恋姫?夢想 ━━一人乙女━━  《九》
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リントが月の陣営に客として居座り始め、時空が一時歪んで3ヶ月余り経った。

 

リントの助言によって発案された政策により天水の治安は瞬く間に豊かになっていた

一夜狩りのリントと言う強大な圧力もあって、周囲には賊がいなくなり、その情報を周辺の国々に流したおかげで人が集まってくる

 

しかし、人が集まってくると必然的に喧嘩や窃盗・泥棒などの様々なトラブルが発生していたが、董卓新鋭防衛隊がこれらのトラブルを穏便に解決に導き、天水の町は大陸の中でもベスト3に入るほど活気よく、安全な町になっていった

尚、董卓新鋭防衛隊の中には稀にだが、リントが参加している事もあり、その時には悪党は潔く、そして静かに投降してきたという事例も出ていた。

こんな事もあってか・・・兵隊たちからは燐兎の事を隊長と呼ぶ者が増えたが、「私の名はリントだ! 隊長じゃねぇ!」と綺麗なアッパーカット一つでピタリと誰も言う者が居なくなった

しかし、その代わりと言わんばかりに ”燐兎新鋭隊” などと密かに呼称し始め、リントの知らぬ所でそれは広まっていった。

 

その一方、リントが提示した消費税を導入。

元々自分が居た世界の知識を少しアレンジをしたもので、税金が効率的に入ってくるようになり政務の機能も目覚しい勢いで合理化されていった

そのおかげで月達は毎日忙しいデスクワークの日々を過ごしていた・・・だが突然、朝廷から使者が月宛に手紙を届けにやってきた。

手紙の内容を確認すると、そこには――――――

 

 

『霊帝が死去し十常侍達が権力を振りかざし党錮の禁を起こして好き放題している、これら悪質な宦官達の排除を何進大将軍が推し進めようとしていて、その話に董卓こと月にも協力を要請、是非洛陽までお越しいただきしたい』

 

 

・・・という内容のものだった。

 

使者は月に手紙を渡すと、

「では、私は大将軍様に手紙を渡したことを伝えにいきます」

・・・と、言い残して、その場を急いで去っていった

その後、天水の主な将達は玉座の間に集まり、会議を開く事にした。

勿論、リントも含めて・・・

 

月 「皆さん、忙しい中集まっていただいて申し訳ありません、このたび朝廷から使者が参られ、このような手紙を残していきました」

 

月は使者から渡された手紙を全員に見えるように広げた

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

全員が黙読で手紙を読み終えると共に顔を上げてお互いの顔を見合った。

 

詠 「皆、どう思う?」

 

霞 「な〜んかうさん臭くないか?」

 

嵐 「嫌な臭いがするな・・・」

 

菖蒲 「はい・・・」

 

雫 「この手紙、信用できるんでしょうか?」

 

恋 「嫌な予感、する・・・」

 

音々音「恋殿に賛同ですぞ!」

 

リント 「怪しいって度合いを越してるな、・・・・・・・・・・・・」

 

皆が意見を出している中で、一刀は手紙の内容に違和感を覚えていた。

 

リント 「(霊帝が死去ねぇ・・・、にしちゃあ、豪くタイミングが良過ぎるな。 こりゃ・・・何かあるな・・・)」

 

その時だった――――――

 

リントの頭が響く。

 

その内容にリントは 「ああ、成程ねぇ・・・」 自分だけ知りえた情報に納得をしていた。

早速、真相を理解したリントに詠が近寄り、リントの意見も聞こうと声を掛けてきた。

 

詠 「ねぇリント、あんたはどう思う?」

 

リント 「そうだな・・・、・・・何進大将軍という奴は、信用に値するか?」

 

詠 「ん〜・・・なんともいえないわね。 でも、ボクも前に洛陽に行ったことがあるけれど、十常侍達の雰囲気は尋常じゃなかったわ、人を見る目が虫けらを見る目と変わらなかったもの」

 

リント 「・・・この手紙、断ることは可能か?」

 

詠 「正直、不可能よ・・・この手紙ご丁寧にも漢の玉璽で印が押してあるのよ」

 

手紙を渡された詠は、ため息をつきながら持っている手紙を机にスッと置いた。

 

リント 「(あーあ・・・こりゃ完璧に・・・)破目だな。」

 

詠 「ええ、これは漢の勅命、もし断れば月は逆賊扱い、周りの諸侯を全て敵に回すことになるわね」

 

リント 「選択の余地は無し、もし背けば国が全力を持って私らを殺しにやってくるってワケか・・・」

 

ここまで行けば、悪どいを通り越して呆れを覚える。

月を洛陽にだけは近付けたくはならない。

何故なら、月が洛陽に入れば、ただそれだけで反董卓連合が結成される確率が一気にと膨れ上がってしまう

そうなれば、無垢な少女である月が吊るしあげられ、最終的には殺される可能性が出る。

 

リント「(しかし・・・何故だろうな、月が目的の内の筈なのにどうしてか私を誘っているように思えてしまう)」

 

ふと、手紙から香ってきた匂いを確かめる為に手紙に鼻を当てて嗅ぐ。

 

月 「リントさん? どうかしましたか?」

 

水仙の花の匂いに良く似た品の良い凛とした香り・・・スノードロップの香りだ。

花言葉は、「希望」・「なぐさめ」・・・

そして、もう一つが・・・

 

「あなたの死を望みます」

 

手紙をそっと置いたリントの口は少し微笑んでいた。

 

月 「リントさん・・・?」

 

リント  「この手紙・・・乗ることにしたらどうだ?」

 

霞 「ちょっ!? リント、幾らなんでも軽率やないか?」

 

雫 「わたしもそう思います」

 

武将達にとったら、驚きの発言だった。

全員、この手紙に乗る気ではなかった、

このまま行けば、間違いなく不利な事態に発展し、下手をすれば月の命も危うくなるからだ。

 

リント 「詠も言っていたように、月を逆賊にするわけにもいかない、もし何進大将軍が言っているように洛陽の都が十常侍達によって悲惨な目に合わされているとしたら、奴らを捕まえて次期皇帝の前に突き出せばいい、皇帝を味方に付けりゃこっちのもん、こちら側が有利になってくる」

 

詠 「リント? あんた洛陽の都には行ったことがないの?」

 

リント 「ん? 無いけど・・・」

 

その言葉に詠はため息をついて説明をする。

 

詠 「リント、ボクらも以前、洛陽の都に行ったことがあるけど、その時でも都の中は酷い有様だったんだ」

 

リント 「・・・冗談で言ってるか?」

 

月 「詠ちゃんの言う通りです・・・道端に人の死体があるのは当たり前、商人も遠ざかってしまい税収も落ちる一方、それを補うために民に重税を課すという悪循環・・・とても行政の中枢として機能しているとは言えません・・・あそこは、もはや地獄です・・・」

 

その時の事を思い出したせいか、月の体が少し小刻みに震えていた。

 

リント 「・・・・・・ ”キチガイに刃物” とは、よく言うが・・・キチガイに政治だな・・・」

 

漢王朝に対する自分の考えが今になって、相当甘いと思い知らさせた

 

リント 「尚更だな、一刻も早く洛陽に行き皇帝を押さえて、その勢いで洛陽の町を片っ端から徹底的に改善する、そしてそのことを各諸侯に喧伝すれば全て丸く収まる可能性がある」

 

詠 「かなり危ない橋ね・・・」

 

リント 「だが、このまま行けば間違いなく月が危険な目に遭い、尚且つ民の命の危機が増す。 それにだ、この善行を行えば、民から英雄視される事だってありえる」

 

民からしてみれば、今の偉人達はどれもこれも役立たずで、さらには自分らを傷つけている

そんな信頼も完全に失った状態で、善行を見せれば董卓の名は民達から改善されて行く・・・

しかし、上位に立つ人間からしてみれば蚊に刺された程度でしかない。

権力を使って一気に踏みつぶしてくるだろう。

しかし、リントはそこが狙い目だった。

・・・手紙の香りからリントのみに伝えられたメッセージから考え出された計画からして・・・

 

詠 「・・・うん、それしかないか・・・この天水の治安なら、少しくらい多く兵を連れて行っても問題ないわね、兵は5万人連れて行きましょう、特に騎馬隊を重点的に」

 

雫 「そうですね、一刻も早く洛陽に到着するためには馬に頼るしかありませんから」

 

リント 「霞、鐙はもう行き渡っているのか?」

 

霞 「おう!全軍馬に装備完了済みや!」

 

リント 「なら、天水には代理を残していくとするか」

 

菖蒲 「徐栄さんと張済さんですか?」

 

リント 「いいや、あの二人は洛陽での治安維持には必要だからな、代理選びは雫と菖蒲、お前らに任せる」

 

雫 「分かりました」

 

菖蒲 「はい」

 

詠 「ちょちょちょッ! ちょっと待ってリント! まさか主要な将全員連れて行く気なの!?」

 

リント 「しょうがねぇだろ? 向こうでの仕事はここに居る全員でやらないと手が回らん、後手に回ると月の評判が悪くなる」

 

詠 「うっ・・・そ、そうね・・・言われてみれば・・・」

 

リント 「以上が私の考えだ、月。 あんたがここでの主だ、客としての私の意見、呑むか?呑まないか?」

 

月 「はい、わたくしもそれが現状では最良の手段だと思います、では出発は明日の明朝にしましょう、兵は神速を尊ぶといいます、道中の長安には泊まらずに野宿覚悟で洛陽に向かいます、皆さん、準備を始めて下さい」

 

リント 「決まりだな」

 

詠 「わかったわ!」

 

霞 「よっしゃ!」

 

嵐 「うむ!」

 

菖蒲 「はい!」

 

雫 「わかりました、月様!」

 

恋「わかった・・・《頷く》」

 

音々音「わかったです!」

 

それから一同は出発の準備を夜まで休み無しで進めた

出発の方法は霞の騎馬隊を中心とした董卓新鋭防衛隊を馬に乗せ先に洛陽へ到着させる

重い荷物を持った輜重隊は、嵐と菖蒲と雫が引き入り、後から洛陽に到着させるというものである

 

 

そして、翌日――――――

 

 

月 「それでは参りましょうか」

 

詠 「ええ!」

 

霞 「おまえら!出発や!」

 

恋 「・・・・・行く」

 

音々音 「行くです!」

 

リント 「嵐、菖蒲、雫、後で落ち合おう、その時に再度状況を報告する」

 

雫 「はい、リント様!」

 

菖蒲 「はい!」

 

嵐 「リント! 月様を頼むぞ!」

 

リント 「言われなくても了解している」

 

リントは徒歩、月達は、乗馬の状態で目的地の洛陽に向けて出発をした。

当初、「馬に乗ったら?」と疑問視されていたが、リントが「馬なんて必要ねぇんだよ」と強い拒否を受け、しぶしぶ徒歩での同行を許した。

 

――――――それから二日経過し・・・

 

月の指示通り、野宿を行い、朝になると共に急いで馬を走らせた。

リントも徒歩の身だというのに、馬よりも大分速めに移動でき、そこまでの移動力を持っているにも関わらずスタミナ切れを見せる傾向がまったく無いことから、月達を驚かせていた。

その道中・・・

 

詠 「よし、このままいけば、明日にでも洛陽に着けそうだわ」

 

リント 「油断するなよ、いつ不運な出来事が舞い込んでくるか分からないんだからな」

 

そうリントは言うが、本来なら5日はかかる距離を、幸運にも半分の日時で着きそうだった。

そんな中・・・。

 

霞 「・・・・・それにしても・・・・・」

 

リント 「なんだ、霞」

 

霞 「いや、嵐のことなんやけどな」

 

リント 「あ? 嵐がどうしたんだ?」

 

霞 「よくあんな簡単に輜重隊の任を引き受けたなと思ったんや」

 

リント 「・・・どういう意味だ?」

 

霞 「いやな、あいつはいつも月にべったりで、 『自分の武は月の為にある!』 ・・・てな感じで、よう言うとった」

 

リント 「まぁ見てれば嫌でもそんなの気付くわな」

 

霞 「それなのにあいつはあっさりと、リント、あんたを信用して月を託した、以前のあいつやったら考えられへんで」

 

詠 「確かに霞の言う通りね、あいつは月に拾ってもらった恩を返すために必死だったから」

 

リント 「(ああ、それで・・・)」

 

霞 「それに、リントから真名をもらったあいつは日に日に強くなってきているで、今では3回やって1回勝てるかどうかや」

 

リント 「あぁ、思いっきり信頼されてるな、そりゃ・・・まぁお前らからしたら真名を貰うってーのはとても光栄なものなんだろう?」

 

霞 「そうやな、真名の価値を分かっとるもんからしたら、あんたの行為は命を共に歩むという誓いでもある、嵐・・・あいつはそれが嬉しくてたまらんのやろうな」

 

リント 「まぁ嵐だけ真名が無いのは不公平だろうってーのはあったが、別にそれが一番の理由じゃあない」

 

霞 「ほな、なんや?」

 

リント 「気取った事を言うなれば、あいつは本当に嵐のような奴なんだよ、風という名の兵を集め、やがてなんでもかんでも巻き込んで破壊する、そんな嵐という名が相応しい女なんだよ、あいつは」

 

それを聞いた霞は、きょとんとした表情を見せていた。

意外だったのだろう、リントの素性からして、そんな言葉を吐くなんて、と・・・

 

その時だった。

 

リント達が洛陽に向かっている最中、途中にある谷である動きがあった

 

下っ端 「御頭ァッ、見えましたぜ!」

 

賊頭 「なに!? 相当早いな! 別の団体じゃないのか?」

 

下っ端 「旗は〜・・・董です! 間違いありやせんぜ!」

 

賊頭 「おいおい・・・何でこんなに早いんだ、あいつの言っていた事と全然まったく違うじゃないか」

 

下っ端 「でも、早くしないとあいつら谷を越えてしまいますぜ」

 

賊頭 「わかってらぁ! ・・・よーし、てめーら!! かなり早い目だが、手筈通りにいこうぜぇッ!」

 

「「「「おう!!!」」」」

 

それから少しして、一刀達が谷に入り始めようとしたその時――――――

 

”カラン、カラン・・・”

 

石が転がる音が聞こえた。

 

リント 「来たな」

 

恋 「・・・ッ!」

 

恋も谷上から聞こえた石の音と、複数の気配を感じた。

 

その瞬間。

 

頭 「よし、今だ!! 落とせぇぇぇーーーッ!!!」

 

”ガラガラガラガラガラガラ!!!”

 

谷上の左右から多くの岩が転がり落ちてきた

直径からして人間一人の大きさから馬より少し小柄な大きさの岩が様々に落ちてきた

急激な急斜面となっている崖から放たれた大石は、水を得た魚の如く小刻みに跳ねながら猛スピードで月達へ直進してきていた。

 

月 「きゃあっ!!」

 

詠 「嘘でしょ!!?」

 

霞 「なんやて!!?」

 

音々音 「なんですとぉッ!!?」

 

唐突な出来事に、董卓軍は一気に大混乱に陥っていた。

だが、その中で冷静に対処し始める二人が居た。

 

鋭い銀色の刃が転がり落ちてくる岩を斬り付けていき、岩は小石の大きさまでに粉砕され、

そして次に来る石に対しては、燃え上がる拳で中心を殴り、木端微塵に粉々にした

そのまま急斜面の崖を忍者走りのように駆けあがる。

 

恋 「ふっ!!」

 

その下で、打ち漏らしがあった石を素早い瞬発力と剛力で砕いていき、月達を守っていく。

 

そう、リントと恋の二名だった。

 

リント 「恋ッ!!! 上部の奴らは私に任せろ!! 恋は打ち漏らしの岩を除去する事に専念しろッ!!」

 

恋 「《頷く》・・・わかった・・・!」

 

全面から来る岩達を上がっていくリントが粉砕していき、さすがのリントでも対処しきれずに打ち漏らした岩を恋が砕いていく

しかし、いくら打ち漏らしと言っても精々一つか二つ程度が15秒以内に転がってくるだけだった。

 

詠 「今よ! 二人がボク達を守ってくれている間に・・・!」

 

霞 「応ッ! 分かっとるで! お前ら! 急いで安全な位置まで避難するんや、急ぎぃッ!」

 

「「「「応ッ!」」」」

 

先ほど、リントから 「油断するなよ」 と言われた為か、詠は対処良く指示を出して霞達と兵達を急いで安全な位置まで逃げていく

賊頭 「なっ・・・! なんだ!? 何が起きているんだ!?」

 

下っ端 「わ、分かりやせん! ですけど、頭ァッ! あいつら対応が早すぎます! 次々と岩が壊されて崖の合間に居る仲間も倒されていってます!」

 

賊頭の傍に居る下っ端の言うとおり、崖で配置されていた他の下っ端連中が攻撃により空中を舞っていた。

賊達はまさかこうも容易く反撃されるとは思っていなかったのか、次々と混乱状態に陥っていく

 

賊頭 「あ、あいつは・・・」

 

その時、賊頭は迫りくる紅い服を着た女・・・リントを凝視した

 

賊頭 「あの金色の長髪、緑色の鋭い瞳・・・! 間違いねぇ・・・、 あいつだッ!」

 

下っ端A 「ま、まさか!? 一夜狩りの燐兎ォォォッ!?」

 

下っ端B 「なんであんなのがいんだよ!!」

 

下っ端C 「おいおいおいおい!!! 聞いてねーよ!!」

 

リントが居ると分かった瞬間、下っ端連中は次々と逃げ出し始めた。

 

頭 「チィッ!! 残りの金を貰わないといけないってのによぉ! しょうがねぇ、奥の手を使うか・・・てめぇぇぇーーーらぁぁっ!! あれを落とすぞぉぉっ!!」

 

「「「「お、おう!!」」」」

 

頭に指示された賊達はさっきまで落としていた岩よりも、30倍はある文字通り超巨大な岩を落としにかかった

 

リント 「・・・フンッ・・・」

 

恋 「ッ?!」

 

月 「うそ・・・・・」

 

詠 「冗談でしょ!!? そこまでする!?」

 

霞 「まじかいな!!? こりゃやばいで!!」

 

音々音 「ななななぁッ!!? れ、恋殿ぉぉぉぉぉ〜〜〜!!!」

 

”ガランガランガランガラン!!!”

 

その大岩は斜面を転がり落ちてくる。

一同は理解している、これを退けなければ自分らは確実に死ぬと、

リントもこれを見逃せば、下の連中は助からないと、

剣を鞘に戻し、両手の拳に炎を宿した。

 

恋 「リント・・・!」

 

リント 「安心しろ。 この程度の岩で擱く私じゃあない」

 

そう言うと、同時に大岩に殴り掛かった。

何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も、ただ力強く、威力に一変の狂いも無く、

そんな攻撃を受け続けている大岩は、先ほどまでの勢いを停止させ、ただリントに殴られるだけの岩と化していた。

 

賊頭 「おぉい・・・嘘・・・だろぉ・・・?」

 

目の前の現実に賊達は逃げるという考えが出来なくなるほどに唖然としており、下に居る月達も目の前の光景に驚きの顔を隠せずに居た。

 

月 「凄い・・・!」

 

詠 「嘘でしょ・・・」

 

霞 「リント・・・やっぱあんたは最高やで!」

 

音々音 「あ・・・ああ・・・《口をパクパクしている》」

 

恋 「凄い・・・リント・・・」

 

”怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒ッ!!!”

 

まさに怒れる猛撃とも言わんばかりの攻撃が大岩を襲う。

何度か殴られていくうち、ヒビが全体に周り始め、リントは最後の仕上げにと大岩を殴り飛ばし、一度距離を離した。

 

リント 「唸れ、我が双の熱き拳・・・」

 

そう詠唱すると共に炎はさらに燃え上がり、リントは二つの拳を合わせる

リント 「我前の敵を粉砕し、玉砕し、燃やし切れ、灰に変えろ」

 

詠唱をしていく間、再び転がる力を得た大岩は目前まで近づいていた

その時には、リントは両方の拳を脇の後ろに下げるように構える。

 

リント 「弐層炎人撃!!!」 (※ にそう えんじん げき)

 

そう唱えた技と共に両方の拳が大岩に辺り、二つの拳から放たれている炎が火炎放射のように燃え上がり、岩を貫き通り抜けていく

紅く燃える炎はそのまま天高く舞い上がり、炎を蓄積させられた大岩は勢いに耐え切れず、木端微塵に粉砕した。

 

下っ端A 「ばっ、化け物ぉぉぉぉぉーーーー!!!」

 

下っ端B 「つ、付き合ってられるかよぉぉぉーーーー!!!」

 

下っ端C 「た、助けてぇぇぇぇーーーーー!!!」

 

当然の事か、目の前で起きた事に賊達は恐怖し、我先にと逃げ始めた。

 

賊頭 「あっ!! おい、待ちやがれてめぇらぁぁぁーーー!!! ち・・・ちっくしょう、あのクソ張譲!! 楽な仕事だって言うから載ったってのに!! 全然話がちげぇじゃねぇかよぉ! あの詐欺師めが!」

 

「張譲」――――――

その名前を聞いて、リントは賊頭を睨んだ。

 

賊頭 「しょうがねぇ、俺もさっさととんずら―――って、おおぉッ!!?」

 

逃げようと走り出した賊頭の後ろで、リントが完全に谷を駆け上がり切って、こちらに向かって迫って来ていた。

 

賊頭 「んなぁぁぁ!!? 何でこっちに来るんだよ!!?」

 

突然の事でさらに混乱が増す賊頭は、全速力で逃げ始める

しかし、リントの足と賊頭の足・・・身体能力が異常すぎる程発達しているリントの走りに勝てる筈も無く、段々と確実に距離が縮んでいく

 

賊頭 「や、やめろぉ・・・来るなぁ・・・近寄るなぁ・・・」

 

睨みながらこちらに向かって無言で迫るリントに 「ヒィィッ!!」 と怯え、速度を上げる賊頭

だが、それも空しく、手が届くあと一歩の所まで近かった。

既に手を伸ばし、捕まえようとするリントに賊頭は恐怖のあまり号泣しながら叫んでいた。

 

賊頭 「俺の傍に近寄るなァァァァァァァァァアアアーーーーーーーーッ!!!」

 

それが最後の遺言のように、賊頭は敢え無く捕らえられ、速攻で気絶させられた。

 

しばらくして

 

”バシャッ!!”

 

意識を失っていた頭に向かって水を掛け、強制的に目覚めさせた。

目を覚ました頭が水で視界がぼやけ、顔を振るって頭を上げると・・・

 

月 「・・・・・・・・・・・・。」

 

詠 「やっと起きたわね・・・」

 

霞 「さっきはよくもやってくれたな!おんどれ!」

 

恋 「許せない・・・!」

 

音々音 「ねねもです!」

 

賊頭 「ヒィッ!」

 

頭は特に霞と恋の殺気に当てられ、怯えると共に縮こまってしまう

ちなみに頭が気絶している間に頭の手下達は、霞引き入る騎馬隊に散々に追い散らされ、最終的には力尽きて完全に再起不能となった

賊としては大損害である、頼まれた仕事をこなそうとしたら逆に自分らが捕らえられるという仕事を受けてしまったのだから・・・

 

岩を何度も落としてもリントと恋という天下無双の二人組に全て粉砕され、目標として狙っていた董卓軍も吹き飛んだ際に散った砂粒が鎧や服に当たった程度で完全無傷。

馬も最初は突然の事で暴れていたが、そこはさすが董卓軍達が育てた馬だけあって少しして落ちつきを取り戻していた。

落馬者もおらず、皆無事、荷物も被害も無かった。

結果的には何事も無かったような状態であるが、それでも自分らを奇襲を掛けた事に関して将達は怒りを現していた。

 

詠 「リント、どうする? こいつ」

 

リント 「道は一つだが、まずその前に・・・」

 

リントは頭の首根っこを掴み、ゆるくだが絞める。

 

賊頭 「ウングッ!?」

 

リント「質問に答えてもらうぞ、拒否した瞬間、嫌でも口を割るように行使させてもらうからそのつもりでな」

 

賊頭 「ひっ・・・!」

 

後ろの将達よりも膨大でそしておぞましいく、恐ろしい殺気に頭を足を震わせた

 

リント 「お前、さっき逃げようとした際に『張譲』とつぶやいてたな?」

 

賊頭 「へっ・・・?」

 

月 「え!!?」

 

詠 「なんですって!!?」

 

リントが発した人物名に月と詠が目を丸くして驚いた

無理もない、張譲といえば宦官十常侍をまとめている長、実質的に言えばこの国のナンバー2とも言える人物だ

何故この賊の口からそんな凄者の名が出てくるのか不思議でしょうがなかった

 

賊頭 「〜〜〜〜〜〜・・・ッ」

 

その質問に対して賊頭は首をそっぽ向き、小さく舌打ちを打った。

その態度に冷たい目をしていたリントが 「ああそうかい」 と言いたげな顔を見せ、顔を軽く下に向け、すぐに顔を上げる。

それと同時に賊頭の顔面を強く殴った。

頬などの肉や骨のみの所ではなく、骨と脳があるこめかみ部分を殴った為、異常なまでの激痛が全身に走った。

 

賊頭 「があああああああああああああああああ!!!?」

 

突然の事に賊頭は悲鳴を挙げたが、そこに畳みかけるようにリントは何度も殴る。

鼻、顎、目・・・殴られたらとても痛い部分を何度も殴られ、賊頭は涙と鼻血を流し、悲鳴を上げていた

その光景に将達はやや引いていた。

 

賊頭 「じゃべりまずぅ゛!! じゃべりまずがら、止めでぐれぇぇぇぇーーーーッ!!!」

 

そして最後の一発を殴った頃に賊頭が観念して、これまでの一部始終を語り始めた。

 

・・・その内容は、とんでもなく、そして・・・董卓軍の将達としては衝撃的事だった

十常侍の長である張譲が、十常侍の台頭に否定的となってきた霊帝を毒殺した、

さらに、何進大将軍の宦官誅殺を事前に察知した十常侍達が先手を打って何進大将軍を暗殺し、霊帝の子供である劉弁と劉協を手中に収めた

その後、何進大将軍が月に援軍を要請していたことを突き止め、自分達が逃げるための時間稼ぎの為、この賊達に依頼をしたという事であった。

ここまで悪の限りを尽くせば、もう逆に清々しく思える程の畜生ぶりだった。

 

リント 「成程な。 (記憶通りか・・・)」

 

月 「そんな・・・こんな事って・・・」

 

詠 「腐っているわね、もうどうしようもない位に・・・」

 

霞 「せやな、救いようがあらへんわ」

 

恋 「・・・・・・・・・・・・。 《握り拳を作る》」

 

音々音 「汚いです・・・こんなの・・・」

 

それぞれが漢王朝の醜態に怒りを感じていた

 

賊頭 「ごれで全部です! だ、だがらぁ゛! もう許し―――」

 

 

―――――― 一線。

 

 

リントが腰にしていた剣を素早く抜き、頭の首を刎ねた。

その行動に一同は衝撃を受け、動揺した。

 

月 「リ、リントさん!?」

 

詠 「リント!?」

 

霞 「リント・・・お前・・・」

 

恋 「リント・・・」

 

音々音 「・・・・・・・・・・・・」

 

ゴトンッと音を立てて地面に転がった首を見つめるリント・・・

 

リント 「死ね。 お前らは死ななければならない、この世の糞は、消えて無くならなければならない」

 

そう呟いたリントは、転がった首と死体から将達へと視線を向けた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

そこには、無言でこちらを見る将達の姿が見えた。・

 

リント 「行くぞ、もたもたしてると糞野郎に逃げられる」

 

月 「・・・はい」

 

詠 「・・・そうね」

 

霞 「せやな、このまま放っておくなんて出来へんわ」

 

恋 「・・・・・・・・・・・・。 《頷く》」

 

音々音 「行くです、絶対に張譲を捕らえましょう」

 

徐栄 「・・・はっ!」

 

張済 「・・・おう!」

 

一同はそのまま真っ直ぐに、洛陽を目指した。

 

 

――――――それから暫く・・・。

 

洛陽の北側の門ではすでに張譲達が脱出の準備をしていた

 

張譲 「こちらです劉協様」

 

十常侍の長である張譲は、まだ年端も行かない少女、劉協を用意した馬車に導こうとする、しかし・・・

 

劉協 「・・・・・・・・・・・・。」

 

その言葉に劉協は抵抗するように躊躇った

 

張譲 「――――――ッ!」

 

それに苛立ちを感じた張譲はグイッと無理やり強引に劉協を馬車に押し込んだ。

 

夏ツ 「っ!?張譲様!あまり乱暴にされては!」

 

郭勝 「そうです!この方はこれからの我々にとって必要な方なのですぞ!」

 

栗嵩 「劉弁様を殺してしまわれて、我々にはもうこの方しか居ないのですぞ!」

 

張譲の乱暴な行動に夏ツと郭勝、栗嵩の三人は異議を唱えた、しかし当の本人である張譲は・・・

 

張譲 「五月蝿い!!口を挟むな!!」

 

これである。

まるで子供の駄々のように逆上して怒る張譲に三人は言葉を返す事が出来なかった。

そんな中・・・

 

孫璋 「張譲様、西から砂塵が上がっていると報告がありました!」

 

張譲 「なんだと? あいつらもう戻ってきたのか?」

 

孫璋 「いや、それがどうも違うようです、どうやら騎馬の数がかなり多いようでして」

 

張譲 「何ッ?! 騎馬だと?」

 

自分が雇った賊はそんなに馬を持っている筈が・・・、と疑った張譲、しかし次に放たれた言葉を聞いた途端、その疑問は一つの確信へと変わる。

 

畢嵐 「あれは・・・董の旗!? 張譲様! まさかあれは・・・!」

 

張譲 「ば・・・馬鹿なッ!! 幾らなんでも早すぎる!!」

 

何進大将軍が董卓に援軍の要請をしていたことは知っていたが、どんなに早くても最低5日はかかると予想していた

なにせ賊とグルになってまで時間稼ぎをしようと企み、今はそれが実行されている頃合いと思っていた・・・

しかしそんな計画の中で、一人だけ予想外の人物が居るのに気付かなかった

それが一夜狩りと呼ばれた伝説の賊狩りの女、リントであると。

 

張譲 「あいつらは何をしているのだ!! せっかく大金を払ってやったというのに! 何も役にも立たぬゴミ共めッ!!!」

 

そう激怒する張譲の顔はまさに怒り心頭という言葉がお似合いの顔だった。

後払いにしようとしても、賊が欲張って前払いを要求し、それに仕方なしに応じて出した大金がパァになった、

その上、その賊達も全然役にも立たず、今まさに自分らの計画が破たんする一歩手前になっているのだから、堪忍袋の緒も切れてしまうのもしょうがない

そう激怒している中でも、計画の破たんまで目と鼻の先までになっていた。

 

リント 「居たな」

 

リントは馬に乗らず、マジコメイジの衣装に姿を変え、箒に乗って低空飛行をしながら月達と同行している

そんな中で、リントと月達は目的の人物である十常侍と張譲を目視で確認した。

 

詠 「ええ、居たわ! 十常侍と張譲よ! たぶん馬車の中に居るのは劉協様ね!」

 

リント 「理解している、恋、ねね! 二人は月を守備! 私らは奴らを討つ!」

 

恋 「・・・・・・・・・・・・《頷く》」

 

音々音 「わかったです!」

 

リント 「霞、除栄、張済、三人は周りの奴らを制圧! 劉協は私が保護する!」

 

霞 「よっしゃ!」

 

徐栄 「はっ!」

 

張済 「おう!」

 

リント 「冷静に対処すれば問題ない、相手の戦力とこちらの戦力ではこちらが圧倒的上だ! 各自、作戦を実行ッ!!」

 

そう言って、各種分担した董卓軍とリントは一気に加速を付ける。

 

張譲 「くそっ! 早くここを離れるぞ!!」

 

そう張譲が叫ぶ・・・が、時すでに遅し。

 

夏ツ 「だ、駄目です!!」

 

郭勝 「騎馬隊が来ます!!」

 

霞 「うおりゃあああああああああ!!!!」

 

霞の飛龍偃月刀が鈍い光を見せて、夏ツに降りかかる。

 

夏ツ 「がはっ!!」

 

血しぶきと共に夏ツは悲痛な声を一瞬だけ挙げ、そのまま地面に倒れ落ちた。

 

徐栄 「はぁぁっ!!!」

 

張済 「せぇいっ!!!」

 

次に徐栄と張済の武器が栗嵩と郭勝に襲いかかる。

 

栗嵩 「ぐふっ!!」

 

郭勝 「ぎゃはっ!!」

 

栗嵩と郭勝、両名及び他の十常侍とその部下達は次々と騎馬隊に討たれていく・・・

その光景に張譲は―――

 

張譲 「くそったれぇぇぇぇぇーーーー!!!」

 

劉協 「うっ!」

 

劉協の腕を掴み、そこから人質にしようとしたが・・・

 

――――――閃光。

 

張譲 「ごがぁっ!!!」

 

リントが無詠唱魔法、”フォトン”を唱え、光の玉が張譲に見事に命中して、劉協から突き放した。

攻撃が命中した張譲は、その勢いでそのまま地面に倒れた・・・

 

劉協 「・・・ッ!」

 

一方、先ほどの勢いで背中から倒れそうになった劉協は痛みを覚悟で歯を食いしばった、

だが、そこにリントが素早く背中に腕を廻し、見事キャッチした。

 

劉協 「あっ・・・」

 

箒片手にややスライディングのような形で劉協を無事保護したリントに劉協の頬がやや赤くなっていた。

そうなるのも・・・リントとの顔の距離が近かったからだ

 

月 「劉協様、ご無事ですか!?」

 

そこに月がリントの腕の中で保護されている劉協の元に駆けつけた

 

劉協 「お、お主は・・・?」

 

月 「わたくしは、董卓仲穎と申します」

 

劉協 「―――ッ!? お主が何進の言っていた董卓か!!?」

 

月 「はい、その通りです」

 

月を含めた董卓軍全てが劉協の前に跪いた

リントだけは、さすがに劉協を抱えている状態で少し身動きが取れない状態に居た。

 

月 「この度は、何進大将軍のご冥福をお祈りいたします」

 

劉協 「・・・・・・・・・・・・うむ、何進は良き忠臣であった。 それなのに・・・なのに・・・張譲・・・ッ!」

 

劉協は、気絶しているのかよく分からないがうつ伏せの状態で縄で縛られている張譲を睨み付けた

 

劉協 「・・・・・・・・・・・・ところで、主」

 

リント 「なんだ?」

 

上下関係なんて生まれつきこれっぽっちも関心も何も持っていないリントはやや無礼な口で劉協の言葉を聞く

その劉協は、先ほどよりもさらに赤くなっていた。

 

劉協 「危ない所を助けて貰ってすまぬ・・・だが・・・その・・・なんだ・・・そろそろ下ろしてくれると助かるのじゃが・・・」

 

それにリントは「ああ。」と軽い感じで返事を返し、そっと劉協を下ろした

 

劉協 「おっほん! えー・・・なんだ・・・本当にありがとう、助かった」

 

劉協はリントに対して礼儀良く頭を下げる

その行為にリントを除く全員が衝撃を受けた。

漢王朝の正当な王位継承権を持つ者が一般人に対して頭を下げることなどありえないし、あってはならない、そんな暗黙の了解を破ってまで劉協はリントにお礼を言って頭を下げた。

 

リント 「礼には及ばない、私の知り合いの頼みごとでもあったからな、礼なら月・・・董卓に言ってくれ」

 

劉協 「そうか・・・だが、結果的には主に助けられたのは事実。 ・・・そうだ、お主の名を聞かせてはもらえぬか?」

 

リント 「私の名前か? 私の名前はリントだ。 政治の世界に居るあんたならこの名前は知ってる筈だろ?」

 

劉協 「―――ッ!!? お主が最近噂になっている天の御遣いか!!?」

 

どうやら漢王朝内部にも天の御遣いの噂は広まっていたらしい

 

リント 「いやいや、そっちのしょうもない二つ名じゃなくて一夜狩りの方、そっちそっち・・・」

 

劉協 「ぬっ・・・そ、そうか・・・確かに主の賊狩りとして功績も多く聞いているぞ」

 

どこか天の御遣いとしては見当違いな台詞に劉協は少し残念そうに呟いた

 

劉協 「では皆の衆、よく来てくれた! ・・・さっそくだが、朕を城へ連れて行ってくれ」

 

月 「はい、かしこまりました」

 

リント 「丁度、馬車もあることだし、これで行こう」

 

劉協 「いや、ここからそう遠くない、徒歩で十分じゃ」

 

リント 「だが、あんた捕まっていて疲労が溜まってるだろ? なんだったら箒に乗せていくが・・・」

 

劉協 「い、いや! 遠慮しておこう・・・!」

 

そんな会話を済ませ、月達は洛陽の北門から劉協を都の内部へ連れて行こうとした・・・

 

 

――――――その時だった。

 

 

背後から撫でるような殺気を感じ、リントは素早く後ろを振り向くと、こちらに向かって目を大きく開き、人形のように無表情で不気味にこちらを見る張譲が居た。

縄で縛られている状態にも関わらず、ミシミシと音を立て、今にも引き千切りそうになっている縄が目に入った。

 

リント 「全員離れろッ!!!」

 

その言葉を言った、次の瞬間、張譲は縄を引き千切り、爪を尖らせて、近くに居た兵士数名の首を切り裂いた。

刎ねる所まではいかなかったが、首の前がパックリ割れ、そこから大量の血が溢れ出た。

ザァァァァ・・・と血しぶきの音を立てながら、段々赤色に染まっていく張譲にリントを除く全員が恐怖した。

 

詠 「何・・・?! 何なの!?」

 

劉協 「張譲・・・! 貴様っ!!」

 

リント 「いや! あいつはもはや張譲じゃない! それよりか・・・この殺気・・・人間の物じゃない!!」

 

そう言い終えた後、張譲はフラフラと足取りを取りながら少し前に進み、一気に前かがみになり、地面を思いっきり蹴って跳ぶように接近してきた。

 

月 「きゃあっ!!」

 

リント 「―――ッ!」

 

――――――銃声が鳴り響く。

 

リントが『ガンナー・ハッピー』の衣装に姿を変え、すぐさま手持ちにしたリボルバーで張譲を撃った。

軌道を読み、銃口を弾丸が命中するルートに向け、そのまま引き金を引き、見事に弾丸は張譲の脇腹に命中した。

銃と弾の威力もあり、横に少しだけ傾くと共に一回転して地面に倒れ込んだ。

 

リント 「何してる! ここは私に任せて、全員、この場から緊急退避!! 急げッ! 劉協も月達と共に早く避難を!!」

 

劉協 「し、しかし! 主は・・・!」

 

リント 「問題ない、こういう手の奴は一番慣れてる」

 

劉協 「〜〜〜ッ! 無事で居るのじゃぞ!! 死ぬではないぞ!!」

 

そう叫んで月達と共にその場から避難していく劉協・・・。

それを背中に向け、倒れていた張譲が人形のように腕をガクガクさせながら起き上がる様を睨みながら銃を構えていた。

 

リント 「こんな程度の奴で死ねれるかよ、ド阿呆」

 

残っていた残弾全てを張譲に浴びさせた

弾は体を貫き、地面や門の壁に当たった。

しかし―――

 

リント 「やはり・・・倒れないか・・・」

 

あれだけの大口径の銃弾を全弾浴び、体のあちこちに穴が開いたというのに再び倒れる事は無かった。

そして暫くすると・・・肉を食い破るような音と共にミミズのような大きさ芋虫が銃弾で開いた身体の穴から飛び出てきた

その光景にリントは目を見開き、戦いの中でまったく笑わなかったリントがニカッと笑った。

何も言わず、銃をリボルバーからグレネードランチャーに瞬時に変更した。

弾も炸裂弾ではなく焼夷弾にセットされ、完全に焼き殺すという発想に転換しており、

リボルバーと同様の回転式チャンバーのグレネードランチャーで惜しみない乱射が変異した張譲に全弾命中する。

しかし、体が燃え、衣服が燃え落ちる中でも赤く変色した瞳をギラリと光らせながらリント向かって突っ込んでいった。

 

リント 「おいおい、全弾命中でも動けるとか、勘弁して欲しい・・・なっ! ・・・っとぉ・・・」

 

地面を蹴り、サマーソルトのようにバク転して振り下ろされた爪を回避した。

勿論、元々から攻撃を受け付ける事のないリントに対して、これは一種の攻撃手段の一つでもあった

バク転で回避し、その2秒間の間に焼夷弾の一発を張譲の顔面にぶつけた

ボンッ!と爆発音を鳴らし、顔面全てに炎が覆いかぶさった。

さすがに肉体への指示を送る為の脳みそがある為か、動きがやや鈍くなった

 

リント 「さすがにド頭打ち抜かれたら倒れるか?」

 

まるで生ける屍その物だ。

ゾンビ、グ―ル・・・他者の生血を啜り、肉を喰い、自然とネズミ算のように仲間を増やす・・・。

リントから見たら、そんな魔物の中で少し厄介な性能のモノだと思った。

そう考えている中で、焼夷弾を散々受けて弱まっている張譲にリントは頭を中心に焼夷弾の集中砲火を浴びさせた。

その場で回避するように体を動かすが、リントの精密な射撃によって全弾命中し、体を大きくよろめかせた。

炎で見えぬ視界の中で、気配を頼りにリントを探った。

 

――――――突然の”無”

 

先ほどまで感じていたリントの気配が忽然と消えた。

音も自身が燃える音しか鳴っておらず、辺りは静まり変えていた。

もはや生ける屍・・・化物と化している張譲は恐怖にも感じず、獣的な本能で周りを探る。

その間、纏わりつく炎を何とか振り払おうと手を顔に当ててまるで水を拭き取るようにゴシゴシと拭う。

何とか視界がぼやける程度までに回復した張譲の目線の先には・・・

 

こちらに銃口を向けるリントの姿が見えた。

 

リント 「死ね。」

 

冷たくて鋭い、暴力でしかないその一言を告げてすぐにショットガンの引き金を引いた。

強力な散弾だった事もあったのか、顔面が半分も破裂し、張譲は人形のようにクルリと横に一回転して地面に倒れ、動かぬ屍へと返った。

ショットガンを仕舞い、「ふぅ・・・」 と一息を付くと共に死骸を調べようとした。

だが、張譲の肉体は崩壊し始め、「ブスブス・・・」 と燻ぶっているような音を立てていた。

もうそうなっている状態では調べるモノも調べれないと理解したリントはため息を一つ付いて、月達の元へと急ぐように向かっていった・・・。

 

――――――それから少し時間が経過した頃・・・。

 

劉協 「大丈夫じゃろうか・・・無事で居てくれ〜・・・」

 

月 「大丈夫ですよ、劉協様。 リントさんは必ず戻ってきます、そういう武を持った方なんです」

 

劉協 「そ、そうか? しかし、張譲め・・・まさかまだあのような気力を残しておるとは・・・」

 

そういう劉協に恋はフルフルと首を振って否定した。

 

恋 「違う・・・リントが言ってた・・・あれは人じゃない・・・」

 

劉協 「人ではない・・・?」

 

リント 「ああ。 あれは人間じゃない、正真正銘の化物だ」

 

突然聞こえたリントの声に一同は驚き、声がした方を見る。

 

月 「お帰りなさい、リントさん! お怪我はありませんか?」

 

リント 「ああ、無傷での帰勝だ」

 

劉協 「よくぞ無事で・・・! ・・・して、奴は・・・?」

 

リント 「仕留めた。 最期には肉体の崩壊を起こして死んだよ」

 

劉協 「そうか、よくやってくれた」

 

恋 「リント・・・」

 

リント 「あぁ、さっきの話の続きだが・・・あいつは、蟲で突然変異を起こしていた」

 

詠 「蟲? そんな危ない虫なんて・・・」

 

劉協 「いや、聞いたことがあるな・・・噂程度ではあるが、奇妙な毒蟲が存在する・・・と・・・」

 

それから、劉協の説明は以下のことだった・・・

その毒蟲は、人間や動物などに寄生し、養分などを吸い取る他、寄り代にした生物を操り、寄り代である者の意思も関係なく行動させる事が出来る・・・と・・・

だが、そのような毒蟲は存在があまりにも少なく、一説では感染という形で寄生する形式の毒蟲と思われ、既に何人かが知らずの内に寄生しており、他人に怪しまれぬように行動しているのでは、と・・・

 

その説明にリント以外の一同はゾッとした。

考えてみればそうだろう、そんなおぞましい毒蟲が実際に存在し、何食わぬ顔をしている人物の肉体に寄生しており、何時でも相手の隙を狙っているのならば・・・そのような知能を持った毒蟲が本当に存在しているのならば、と・・・

 

リント 「アホらしい、そんな高精度な知能を持った蟲が存在してるならば、とっくの昔に侵略されて、こんな事件なんて起きようもねぇよ」

 

鋭く冷静なツッコミが一同の恐怖をパチンッと冷まさせた。

 

詠 「そ、そうよね! そんな知将みたいな毒蟲が居るわけないわよねぇ!」

 

劉協 「う、うむ! そうだな! はっはっは! すまぬな、怖がらせてしまった」

 

月 「構いませんよ、劉協様。 私は大丈夫ですから・・・」

 

霞 「せやせや、んなガキの発想みたいなもんにやられる程のウチやあらへんでぇ! はっはっは!!」

 

徐栄 「そうですよね! あはははっ!!」

 

張済 「そんな恐ろしい毒蟲なんて居ない居ない!」

 

月達が皆、そう言ってはいるが・・・足腰は小刻みにだが震えていた。

 

リント (・・・成程、あの蟲・・・そこらじゅうに存在してるのか・・・だが、今回の一件で初めての遭遇だから、そんなに数は少ないのか・・・?)

 

一同、内心怯えながらも強きで居る中、一人、リントだけは先ほどの出来事と劉協が告げた噂を総合して今後の対策を考えていた。

『あの蟲は一匹やそこいらではない、だが数は言う程大量ではない』という仮説が今の所立っていた。

 

それから・・・改めて、リント達は門を超えて、街中に入って行った

 

――――――迎え入れるは、悪臭と腐敗した街中だった。

 

リント「こりゃ酷いな、腐ってやがる」

 

リントは都の光景を見て、呆れを覚えた。

ボロボロの状態となった家屋が立ち並んでいて、あちこちから死臭が漂ってくる

道行く人は皆生気がなく、商人など影も形もない

まさにゴーストタウン一歩手前・・・といった感じだった

 

詠 「こらっ、リント! あんたさっきから劉協様の御前で・・・・・」

 

劉協 「よいのじゃ! ・・・この光景を作ってしまったのは、朕にも責任があるのじゃから・・・」

 

詠 「・・・はっ」

 

劉協にそう言われては流石の詠も頷くしかなかった

 

リント 「安心しろ、この光景は”前の時に”見慣れた」

 

劉協 「えっ・・・? (前の時・・・?)」

 

そのリントの言葉に何処か引っかかる劉協だった。

確かに、リントにとっては見慣れた光景であった・・・

そう、ここに来る前・・・リントが元の世界とは違う、もう一つの異世界での光景を・・・

 

月 「それにしても、前よりも酷くなっているなんて・・・」

 

詠 「あまり言いたくないけど、酷いなんてものじゃないわね・・・」

 

劉協 「・・・・・・・・・・・・。」

 

許しを得た影響か・・・、二人の少し過ぎた言葉に劉協は少し歩く速度を落としながら、少しだけうつむいた。

自分のせいでこうなったかと思うと恥ずかしく死んでしまいそうになったからだ。

この場に居る事さえ、恐怖と羞恥心で押しつぶされそうになった・・・

だが、その背中をポンッとリントが優しく押してくれた。

その行為に劉協は少しだけ目を瞑り、気合を入れた眼差しに変えて、前に進んだ。

 

 

―――その後・・・。

 

 

しばらくして、後から出発した雫、菖蒲、嵐の輜重隊が洛陽に到着した。

そして玉座の間にリント含む董卓陣営の将達全てが集まり、玉座に座っている劉協が居た。

 

劉協 「うむ・・・そちらが董卓軍の将であるな?」

 

雫・菖蒲・嵐 「「「はっ!」」」

 

劉協 「ここまで遠方遥々御苦労であった、ありがとう」

 

雫・菖蒲・嵐 「「「はっ! ありがたきお言葉ですッ!」」」

 

劉協 「さて・・・この三名の説明も兼ねて、朕が知る情報を再度整理しよう・・・」

 

そうして、劉協は全ての整理の為に張譲が何をやったのか、説明し始めた。

賊頭から聞いた情報通り、父である霊帝を暗殺し、何進大将軍も手に掛けた・・・

だが、それだけで収まっていなかったのだ。

次に張譲は劉協の兄上である劉弁・・・その人を手に掛けていた。

それには、玉座の間に居る者達・・・リントを除く全員が驚いた。

張譲が霊帝や何進大将軍を殺した事は、既に情報では知っていた・・・だが、まさか劉弁まで殺しているとは思っていなかった・・・

それら全ての事を告げた劉協は深いため息を吐いた。

無理も無い、自身の親族などが裏切りによって暗殺され、自身までその毒牙が食い込む一歩手前だったのだから・・・

深い悲しみと喪失感、それらの苦しみは幾ら劉協も耐え切れなかった。

だが・・・それでも・・・

 

劉協 「・・・・・・・・・・・・これで・・・父や兄上、何進も、浮かばれるじゃろう・・・」

 

ただそれだけが、彼女にとってのたった一つの大きな救いだった。

 

月 「お悔やみ申し上げます、聖様・・・」 (※聖=ひじり)

 

リント 「こんな事言えた義理じゃないだろうが、あんたの親兄妹は無事天に昇れたよ・・・」

 

聖 「うむ・・・ありがとう、月、リント・・・」

 

二人の励ましに微笑む聖に一同は無言でいた・・・

それからすぐ、劉協・・・聖と董卓陣営の主な将達は、互いの真名を預けあった。

 

聖 「皆の衆、朕は皆に頼みたいことがある」

 

リント 「『この漢王朝を復興して欲しい』・・・そうだろう?」

 

全員がリントの言葉に驚き、耳を傾ける

 

聖 「お主・・・」

 

リント 「まぁ素直に言うと、それも目的の内でここにやってきたもんだ。 今現在、大きな出来事も終わった事だし、そろそろ次の行動に移す時だと思う・・・月!」

 

月 「はい、皆さん! まずは貧困で飢えに苦しむ民を救います、こちらが用意した食糧を分配する作業に取り掛かってください」

 

聖 「なっ・・・! ここまで物資を運んできたのか!? そんな苦労を・・・」

 

リント 「大丈夫、さすがにこの部隊でも運べる物資は限られているからな、ここで・・・」

 

ここで、リントはマジコメイジに衣装を変え、一つの術式を唱える。

それと共に月達は窓から外を見始める。

そして、リントが術式を唱え終わると、城の大きな広場に巨大な魔方陣が現れ、眩い光と共にモリモリと食材なり何なりと・・・復旧に必要な物資が山ほど出てきた。

同じく眺めていた聖は唖然とその光景を見とれていた。

 

聖 「す・・・凄い・・・」

 

リント 「一応、私も協力して木材などを用意した。 石造りなども乙なもんだが、やっぱ木材で作った家も悪く無いものだろう?」

 

月 「ふふふっ・・・さぁ皆さん! 準備準備ッ!」

 

嵐 「はっ!」

 

雫 「月様、お料理、お手伝い致します」

 

詠 「さぁて、こっからが本番だね!」

 

霞 「よし! ウチは衰弱してる民を捜索するわ! あと、悪さしてる奴居たらとっちめたるでぇ!」

 

徐栄 「がんばりましょう!」

 

張済 「よーし! ガンガンいっちゃうよー!」

 

恋 「おー」

 

音々音 「おー! なのです!」

 

 

――――――・・・っと、私達董卓陣営は、リントさんと共に一斉に行動を始めました。

 

まずは詠ちゃん達が協力して、貧困で飢えている民達を救出し、私達で作った御手製の料理を振舞い、何とか一時的に飢えを塞ぎました。

簡単な作りながらも栄養価を基準にして作った事もあって、数杯程御代わりしてきた民の方々の肌色が少しずつですが宜しくなっていました。

 

その間、リントさんと聖様は、今まで漢王朝内部で散々好き勝手していた官僚や宦官を突き止め、その場でリントさんが鉄拳制裁、そして聖様がしかるべき厳罰を与え、清流派が弾圧されることの無いように法律の全面改正を一気に行いました。

時折、詠ちゃんも参加して改善を進めて急速に行っていましたが、途中かで詠ちゃんが戻ってきて、「もうあの二人だけで良いわ」と軽いため息を付きながらやれやれ顔をしていました。

 

それから暫くして、リントさんが政治の法の改善を済ませ、霞ちゃんと合流し、街中で悪事を働く人達を一網打尽にしていきました。

まぁ・・・悪党の方々も、リントさんの顔を見た瞬間に戦意消失を起こして、あっさりと捕まる事が多かったです。

そのせいか、霞ちゃんは「なんやつまらんなぁ・・・」と陰でしぶしぶと小言を言ってました。

 

リントさんの参入もあって、二日半分で終わり、次に割れ窓理論をより確実に実施するために、道にある死体やゴミをすべて回収し綺麗にしていきます。

この時、作業を始める前に事前に調査で的確だと思われる遺体処理場を見つけ、兵の皆さんと共に遺体の一つ一つを丁寧に処理し、土葬していきました

リントさんの天の知識で遺体の丁重な処理法などを教わり、兵の皆さん一人一人が優しく丁寧に死んでいった方々を埋葬しました。

これで・・・逝ってしまわれた方々が安心して天に召されると良いです・・・

 

そしてここからさらに重要な作業、家屋の修復です!

天水より職人や技術者の方々を呼び、家屋を次々と立て直していきます。

ここでもリントさんが大活躍です、職人さんの方々と色々と相談をしながら、新しい家の制作を始めました。

リントさんの言う通りに描いた設計図を見て、「これは・・・一軒完成に相当な時間と労力を使う」と反対しましたが、そこはリントさんの凄技が光ります。

リントさんの人とは遥かに違う力と知力、速度によって、あっ! ・・・という間に骨組みを完成させ、そこから順々に設計図通りに家の修復を完成させていきます!

それには職人や民の方々も唖然としていました。

思ったよりも頑丈で、屋根は石などで補強し、雨水を防ぐ設計となってるそうです・

・・・正直、私には半分以上は何が何だかさっぱりでしたが・・・家の修復をしていくリントさんの姿は職人の方々に劣らない顔つきでした。

 

それを見ていた民の方々は、次々と「自分も復旧の手伝いをさせてほしい」と賛同してきました。

当然、貴重な人材が増える事は良い事だと喜んで了承し、簡単な作業を手伝って戴くことにしました。

都のあちこちに花を植えた花壇を飾っていき、立ち寄ってきた商人の方々に都が良くなってきているという噂をして戴き、

それを聞いた商人の方々達は、次々と見た目が良くなった洛陽によく来るようになって行き、税収も安定してきて、いい循環が生まれ、

こうして、漢王朝は見事に復旧しました!

 

月 「これも、リントさんのおかげです!」

 

リント 「阿呆言え、復旧出来たのは月、お前達のおかげだ」

 

月 「えへへ・・・」

 

そうして・・・たった数ヶ月という短い期間で、驚く程の改善振りに流石の聖も唖然と喜々が同居していた。

 

 

――――――そんな中だった。

 

リント 「ふぃ〜・・・ひっさびさに運動したって感じだなぁ〜! この際だから、建設とかの知識をもう少し高めようかなぁ・・・」

 

そう言って一服しようとした・・・その時・・・

 

「もし、そこのおぬし」

 

リント 「…………。」

 

突然後ろから声を掛けられ、無言で振り返ると・・・そこには全身を外套に包み、掌に水晶玉を持った何とも胡散臭そうな占い師が壁を背に立っていた。

声を聞いても男性か女性か区別しにくく、フードを深く被っていた事もあって、その顔は確認できなかった。

リントは無言のまま、背を向けて老婆の気配だけを感じていおり、決して振り返ろうとしなかった。

そんなリントの反応を無視し、占い師はゆっくりと語り始めた。

 

「おぬしの背後・・・暗黒が見える、それは闇よりも深く黄昏よりも暗い兇気がのう・・・」

 

その言葉を聞いた瞬間、一つため息をついてリントは一つの衣装に着替え、占い師の方に振り返った。

その姿は、黒いコートに白いシャツで決まっていて、まるで映画などで見るマフィアのボスのような衣装になっていた。

しかし・・・そんな姿の中で、占い師はハッキリと見えたリントの瞳にゾクッと背筋が凍りつき、言葉を失った。

目がガラリと変わっているのだ。

先ほどまで翡翠のように美しい緑色の瞳が、金色に変わっており、白い部分・・・強膜の部分が真っ黒に変色していた。

リントのその目に少し怯えた感じの占い師にリントは一つだけ告げた。

 

「黙って傍観してろ、阿呆」

 

それだけを言った後、再び背中を向け、何事も無かったように元の通常の姿に戻ったリントは歩み始めた。

 

 

・・・・・・そう色々とあったが時間は過ぎ、数日後。

聖は月達の功績を認め、宴会を催した

各地から集まった旅芸人を宴会の間へ招き入れ、次々と芸を見せていく

そんな中でリント達は・・・

 

聖 「いや〜〜〜〜〜♪ 月達のおかげで洛陽は見違えるようになった♪ 本当に月達には感謝してもし足りないのじゃ〜♪」

 

月 「あはははははははは〜♪ もう聖様ったら〜♪」

 

詠 「・・・・・・たくっ・・・ (グビッ) なんで (グビッ) ボクが (グビッ) いつもいつも (グビッ) こんなに苦労しなくちゃいけないのよ〜 (グッグッ) ッあぁ〜!」

 

月は聖の呑み相手となっており、その近くで紐付き酒壺を片手に豪快に呑みながら何やら日ごろの苦労の事などをグチグチと口草んでいた。

 

嵐 「月様〜〜〜〜♪ わたしはいつまでもあなたと共に参りますぞ〜〜〜〜♪ 」

 

菖蒲 「うふふっ、うふふふふふふふふふ〜〜〜〜♪」

 

雫 「朱里〜〜〜〜♪ 雛里〜〜〜♪ わたしは〜〜〜幸せデーーーーース!!! あははは〜〜〜♪」

 

霞 「なぁ〜リント〜〜〜〜♪ 膝枕してや〜〜〜〜♪」

 

恋「・・・・・・♪」

 

嵐も月の近くで酒をかっ食らいながらべろべろんに良い、その他の面子も大方が酔っぱらっていた。

 

リント 「・・・・・・。 (駄目だこいつら・・・ッ!)」

 

徐栄 「いや〜〜〜〜〜♪ 男冥利に尽きますな〜〜〜♪ 隊長♪」

 

張済 「羨ましいですぞ♪ 姉上♪」

 

リント 「ぶち転がすぞ、貴様ら。」

 

音々音 「恋殿〜〜〜〜♪ んふふ〜〜〜♪」

 

・・・・・・っと、辺り一変は酒臭さと酔っ払った女どもの締まりの無いふにゃふにゃした言葉が漂っていた。

そして、旅芸人達の芝居が全て終了し、盛り上がりもそろそろ終わりを迎えようとしていた。

 

聖 「むぅ? もう終わりなのかえ〜〜〜?」

 

月 「え〜〜〜〜〜まだ終わっちゃいやです〜〜〜」

 

霞 「む〜〜〜〜〜ん・・・・・・あっ! せや、リント! なんか芸してぇや!」

 

リント 「は?」

 

唐突な事に流石のリントも少し驚いた。

 

嵐 「おお!おもしろそうだ!」

 

菖蒲 「リント様♪ お願いします♪」

 

雫 「お願いします♪ リント様♪」

 

恋 「りんと・・・何かして」

 

音々音 「何かやりやがれなのです〜〜!」

 

徐栄 「隊長お願いします!」

 

張済 「ぜひ! 姉上!」

 

リント 「馬鹿言うなよ、唐突にそんな事―――」

 

リントは、衣装を変える。

その姿は、まさにファー付きの黒いコートに下は上半身にジャージ、下はスカート・・・と何処ぞのミュージシャンの衣装のような姿になっていた。

そしてやはり、その気で居ただろう、ヘッドフォンを頭に付け、チェス柄のギターを握っていた。

さらに彼女の周囲に彼女の頭半分ぐらいの大きさのスピーカーがフワフワと宙に飛んでいた。

 

リント 「できるワケねぇじゃん」

 

(出来る気満々だぁぁぁーーーーー!!!)

 

そう心の中でツッコむ旅芸人達・・・

そして、リントは先ほどの台詞なんて無かったかのように宴の中央に出た。

 

詠 「まさか! 弾けるの!?」

 

リント 「いや、基本的に歌とギター弾きしか出来ん」

 

ベロンベロンに酔っている将達はただ単にジッと見るだけで別にそれ以上のツッコミも無かったが、旅芸人達は不安と妙な期待が湧いていた。

 

リント 「じゃあ、最初は適当に歌わせて貰うぞ〜」

 

そういってリントは、ギターをギャアアアアンッ! と鳴らすと、一同は静まり返った。

 

 

♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜

 

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軽快でノリの良い最初のイントロが流れる

リントがチョイスした選曲は・・・『完○感覚Dreamer』

まさかの男のヴォーカルがメインで歌う曲だ。

 

「・・・・・・・・・・・・。」 (ぽか〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん)

 

その場に居た一同は、最初の出だしだけで衝撃を受けていた、

それもそうだ、この世界では今まで聴いたことの無い音楽で、まったく新しい曲に全員が釘付けだった。

 

 

So now my time is up

 

Your game starts, my heart moving?

 

Past time has no meaning for us, it's not enough!

 

 

突然の英語に何を言っているのか分からなかったが、一同はリントの歌声に驚きを覚えた。

女である筈なのに、まるで男のように力強い歌声、肌にビリビリ伝わってくる音響、どれを取っても完璧で何よりも美声に酔い痴れてしまっていた

 

 

完○感覚Dreamer的空想!!

 

誰が何を言おうが言わまいが無関係!!

 

どうやったっていつも変わらない

 

 

約4分弱の歌に将達は酔いがサッパリと醒め、リントの歌声に感動していた。

そして曲が終わり・・・

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

旅芸人達は余りの凄さにあんぐりと唖然としている

それと同時に将達も拍手をしながら驚いていた。

 

聖 「す、凄いのじゃ!」

 

月 「リントさん、凄いです♪」

 

詠 「聞いたことの無い曲だったわね〜・・・」

 

嵐 「むぅ・・・」

 

霞 「ほんま凄いわ! たいしたもんや♪」

 

菖蒲 「あの〜? もっと他にはないのですか」

 

雫 「そうです! リント様、もっと弾いてください!」

 

恋 「りんと、もっと♪」

 

音々音 「な、なかなかやるです・・・」

 

徐栄 「・・・・・・・・・・・・。」

 

張済 「・・・・・・・・・・・・。」

 

リントの歌声と演奏が気に入ったのか、将達は皆一同、目をキラキラと輝かせながら期待しながら見ていた。

 

リント 「フッ・・・もっと聞きたいか・・・? 良いだろう」

 

この態度で確実に 「あっこの人鼻っから歌う気満々だったな」 と思えるような表情と口調をし、リントは再びギターを構える。

そして次の曲へと移る・・・。

しかし、次の曲から段々リントの曲に対する趣向の本性が露わになる。

 

 

♪♪♪♪♪〜〜♪♪♪♪♪♪〜〜♪♪♪♪♪♪〜〜♪♪♪〜〜♪〜〜♪〜〜〜〜〜

 

♪♪♪♪♪〜〜♪♪♪♪♪♪〜〜♪♪♪♪♪♪〜〜♪♪♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜

 

 

宙舞うスピーカーから流れるイントロを聞く限り、『なごり雪』・・・っと思えた・・・だがしかし・・・

 

 

寿司を待つ君の横で僕は

 

値段を気にしてる

 

季節はずれのブリが光ってる

 

 

まさかの某替え歌の神様とも言える歌手が実際に出した曲、『なごり寿司』の方だった。

先ほどの真面目な感じが完全にガラリと一変して、ギャグ満載な空気が周りに流れたが、何せこの曲がギャグ路線の曲だと誰も知らず、ただ静かに聞いていた。

その顔は勿論、先ほどと同じで感動の眼差しをしており、現在の状況を知る者からすれば凄くシュールな光景になっていた。

しかも一番タチが悪いのは、リントの方で先ほどと同じく美声の歌声で曲のイメージを大崩れにさせていた。

当然、本人の顔を見る限り、わざとでしかないと思える。

 

 

君が去った カウンターに残り

 

むらさきにとけた わさび見ていた

 

今 おあいそで 僕は大枚切った

 

「ごちそうさま」 と 君は帰って行った

 

寿司おごり財布 身軽になった

 

そして・・・先ほどよりも三分も掛からない短い時間の曲が終わり、一同は再び拍手を送った。

しかし・・・歌詞の内容が・・・「彼女を寿司屋に連れて行ったら、見事に全部持ってかれた」という余りに悲惨な歌詞なのにリントは清々しい顔で居た。

 

聖 「すばらしいのじゃリント! 他には何か出来ないかえ!?」

 

リント 「なんだ、しょうがないなぁ・・・」

 

そう言っているが、完全に次の歌を歌う気満々だった。

当然、顔から窺えるに、次の曲もギャグ路線の替え歌を歌う気で居た。

そして次の曲が始まる・・・。

 

 

I wana be a VIPSTAR

 

君がずっと夢中なそれなんてエロゲ

 

テラワロスVIPSTAR

 

腕を広げブーンをさせてあげよう

 

君だけに

 

 

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♪♪♪♪♪〜♪〜〜♪♪♪♪〜♪〜〜♪♪♪♪〜〜〜♪♪♪♪〜〜〜♪

 

 

イントロで唐突に歌いだしたのは、フラッシュ黄金時代に一時流行し、今でもその当時知っている人には懐かしさを残す替え歌、『VIP STAR』

当然、この曲事態も歌詞が完全にふざけており、某大型掲示板サイトの知識などが無ければ理解など0に等しい歌である。

それを躊躇いの欠片も無しに歌い出すリント、元々曲調が爽やかである為にリントの美声も入り、一同は何の違和感も無しにただ歌詞の意味も知らずに単にリントの美声に酔いしれていた。

 

 

I wana be a VIPSTAR

 

君がもっと夢中にさせてあげるからね

 

キラキラのVIPSTAR

 

腕を広げ 魔法をかけてあげよう

 

I wana be a VIPSTAR

 

君をぎゅっと抱きしめてあげるからおいで

 

キラキラのVIPSTAR

 

腕を広げ魔法をかけてあげよう

 

君だけに

 

 

・・・・・・そして、曲が終わり・・・

 

月 「凄いですリントさん!」

 

霞 「リント! 他にないんか?」

 

菖蒲 「そうですよ! もっともっとぉ〜♪」

 

雫 「そうです、ぜひ♪」

 

恋 「りんと、歌って・・・」

 

音々音 「おまえの歌なら聴いてやるのです」

 

詠 「まったく、どこまで万能なのよ・・・あんたは・・・」

 

リント 「了解した、気分も乗ってきたからな、とことん付き合ってやる」

 

そんなこんなで、主にリントが楽しく幸せで居る時間は続いていった。

 

リント (さて、この後の展開が進むならば、アレが来るな・・・)

 

歌っている中、リントは今後起きると予測している事態の事を思っていた。

それは、月達の運命を決定付ける一大事であり、リントに取ってはこの上ないビッグイベントの始まりだった。

 

「・・・・・・というわけでございます、袁紹様」

 

「なんということでしょう!! 名門袁家をさしおいてそのような不届き、許せませんわ!!」

 

とある一室・・・そこで、数名の者達が話合っていた・・・その内容は・・・

 

「その通りでございます袁紹様! 張譲様を殺し、帝を良いように操っている董卓を討ち、あなた様が大将軍となれば漢王朝の栄光を再び取り戻せましょう!!」

 

とんでも無く横暴で、それでいて反吐が出そうな位の嘘っぱちの情報だった。

それが偽りの真実とも知らず、袁紹と呼ばれたどこぞの覇王の髪型にも劣らぬ・・・というより、もうそれ以上に勝っているようなドリルヘアーの令嬢のような女性は、高笑いをしていた。

 

袁紹 「お〜〜〜〜〜ほっほっほっほっほっほっほ! まかせてくださいませ、趙忠さん宋典さん! このわ・た・く・し袁本初が董卓なんていう田舎領主を討ち、張譲さんの敵を討って差し上げましょう♪」

 

「ちょっと待って下さい麗羽様〜〜!簡単に信用しすぎですよ〜〜!」

 

高笑いして、疑いの一片も感じない袁紹こと麗羽に一人の女性がツッコミを入れるように申し出る。

しかし・・・

 

「いいんじゃないか斗詩、その董卓ってやつ悪いことしてるんだろ〜〜」

 

斗詩 「文ちゃんは黙ってて! 悠さんも何か言ってくださいよ〜〜・・・」

 

悠と呼ばれたものは、姓は張、名を?、字を儁乂という

背が高く、なんといってもその豊満な胸が目に付く容姿をしている

誰がどう見てもお姉さん系である。

 

悠 「う〜〜〜〜ん・・・いいんじゃないか♪ 面白そうだ♪」

 

斗詩 「・・・・・・うん・・・悠さんに聞いたわたしが馬鹿でした・・・」

 

麗羽 「お〜〜〜〜〜〜ほっほっほっほっほ! お〜〜〜〜〜〜ほっほっほっほっほっほ!」

 

そう笑うアホ・・・麗羽の高笑いが木霊する中、宋典・趙忠の両名は小さくニヤリと微笑を浮かべていた。

 

宋典 「 (やりましたな趙忠様) 」

 

趙忠 「 (うむ、見ておれ董卓め、我らをこのような目にあわせたこと、死ぬほど後悔させてやろう) 」

 

この二人は張譲が捕まったとき、運良く先に隠れ家に身を寄せていたために助かったのである

 

趙忠 「 (そして・・・一夜狩りのリント・・・! あ奴を討ち取ってやろうぞ・・・!) 」

 

悠 (ん〜・・・袁紹軍もそろそろ飽きてきたかな?)

 

そして、それは各諸侯に檄文として届くことになる ――――――。

 

 

-2ページ-

 

●【リント変身図鑑】

 

●楽音RINTO

 

 

《小話》

歌う専用の衣装。

一応、戦闘用として歌う事によって、補助魔法のように対象の活力を上げたりと歌によって様々な効果を得らせれる事が出来る。

某格闘ゲームのキャラにギターなどを武器に戦うビッチキャラが居るが、あれみたいに戦えない。

あくまで歌う用。

あと、リントの趣向が他の女性よりもかなり傾いており、主にギャグ路線や古い名曲などを聞いたり歌ったりする、ただ気に入ったのなら最新の曲もちゃんと歌う。

 

 

●【今回のバトルBGM】

 

(本日のお相手:欲に溺れたアホ共約3名&そんなアホに付いていってしまった哀れな兵達)

 

「Stage 1-1」:『タイムクライシス3』 ステージ序盤の曲

 

「Enemy's」:『The House of the dead 2』 ボス戦用BGM

(※異変化張譲戦)

 

《プチ話》

「制圧!」・・・と言ったらこんな感じの曲かなって思いました。

最近、新しく5が出たらしいですが、多忙なる仕事などでやる暇もないという以前に台を置いているゲーセンが無い為、未プレイです。

先にプレイした方々のレビューを見る限りでは、悪評が多くあり、「こんなのタイムクライシスちゃうねん」と言う声もありました。

まぁとやかくは言えませんが、出来るならば一回はプレイしてみたいです。 ・・・出来るならば・・・

 

 

●【今回リントが歌った曲達】

 

「完全感覚Dreamer」:ONE OK ROCK

 

「なごり寿司」:嘉門達夫

 

「VIP STAR」:kobaryu

 

《小さな話》

えー・・・なんかすみませんでした。

もう、最初のリント作成のイメージからこういう手合いの歌を歌うってキャラになっていたので、「中途半端なのはダメだ、もう完全イメージぶち壊しな奴歌わせよう!」と考えた結果がこれです・・・。

あえて言っときますが、これらは私が聞いた中で「良いと思える曲」な訳であって、決しておふざけでチョイスしたワケではありません、100%私の趣向です。

いや、ちゃんと真面目な曲も多く聞きますよ? でも、やっぱりこういう笑える曲を聞かないと人生やってられませんよ・・・

えっ? 「こんな場面にこんなふざけたもん出すな」って? うるせぇ馬鹿、転がすぞ。

 

 

●【あとがき】 《なんか色々と遅くなってごめんね (サブタイ)》

 

どうも、私です。

あれからどんぐらい経った? あっ・・・あれから7カ月・・・そうですか・・・すみません・・・

最後の投稿から少し経って、色々とありまして、仕事が快調に乗り始め、今では造船業界のサポートのような仕事に就いてます。

後、今後はこういう仕事内でのプライベートは一切伏せる事にします。

理由としては私の仕事のプライベートなんて明かしても誰も見ないし、面白く思って貰えないだろうとやっと理解したからです。

それから一番の理由としてはこの業界は結構余所に知られると不味い点があるので、つい口が滑る可能性があるからです。

なので、先ほども申しましたが今後はこう言った仕事上のプライベート話は無しにします。

あっ、ですが個人的なプライベートは遠慮なしにガンガン述べるのであしからず、てかあとがきの主な目的がそれですしおすし。

 

さて・・・今回はリントが歌う回でしたが・・・なんかハッチャけ過ぎててごめんなさい。

Seigoさん原作のストーリーで進めると今後、またこういうリントが歌うシーンがあります、「おい馬鹿やめろ」と言う方は遠慮無しに申してください、次は自重します。

そしていよいよ、物語はあのビッグイベントに突入します。

リントも覚悟完了、さぁいざ全速前進DA☆の状態です。

次回からさらに展開が盛り上がるので御期待下さい! あっ、いえ、次回も投稿遅くなるかもなのでそんなに期待せずに御待ちください!

それでは、次回が何時になるか分かりませんが、次回またお会いしましょう!

説明
どうも。
遅くなっちゃいましたね。
仕事が忙しくて。
手がつけれなかったの。
お兄さん許して(迫真)

はい、そんな訳でよーいスタート(ほんへ)
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コメント
Seigouさん>>どうもです。お待たせして申し訳ない…、こちらの作品ではSeigouさんの作品をベースにしてますが、リントがこの世界でどう動くか…を考えながら書いてます。 今後もリントがハッチャけたり、恋姫達に本当の暴力を教えたりしますが温かい目で見て戴ければと思います。(Hank(事情でお休み中...))
待ってました♪確かに北郷伝に沿っていますが、完全な写しにはせずアレンジがあるところが良いですね♪ちなみに、自分が嘉門達夫さんで一番好きなのは、この中に一人です(Seigou)
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オリ主 オリキャラ 長編小説 恋姫†無双 

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