No.535 恨みの形見
説明
先代が亡くなり長男が継いだ、とある酒場。賑わってはいるものの、その客数は全盛期の半分ほど。常連だった客は口を揃えてこう語る。「先代の時はこちらの顔色だけ見て、その時の気分に合った酒を出してくれたもんだ。今は儲けしか考えない店になっちまった。決してそれが悪い訳ではないが、あの時の酒はもう二度と飲めないんだなぁ・・・」と。先代が大切に、時には研いで使っていたアイスピック。亡くなる直前、長男の前で「これだけは使い続けてくれ。」と懇願した・・・にも関わらず長男は即効捨てた。父の恨みはやがて長男を通じ、様々な人達を襲う。長男の嫁、可愛いはずの孫までも。それだけこのアイスピックでたくさんの客を癒してきたのだ。その酒場のカウンターで、アイスピックで心臓をひと突きされた長男の遺体が見つかる。悲しいことにそれから先も父の恨みは仲間をたくさん作り、殺人の快楽に酔いしれている。
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