がちゆり-松本りせ誕生日SS-2015-
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がちゆり-りせ誕生日SS-2015

 

【りせ】

 

 あの人は、西垣先生はいつも私に笑顔を向けてくれる。

それと比べて私はいつも無表情。笑顔を作っても鏡を見ると普段と変わらない。

それでも先生だけは私のしていることに気付いてくれている。

 

 何でわかるのだろう?

 

 首を傾げて考えても答えはわからなかった。

私も誰にでもわかるような笑顔とか作れれば先生は喜んでくれるかな?

思い立った私は最寄の女子トイレに歩いて入っていった。

 

 流し場に設置してある鏡を見ながら映っている自分の顔をジッと見つめる。

その後、おもむろに自分の頬をつまんでぐいっと横に広げる。

 

 ・・・ただ横に広がっただけだった。

 

 今度は横に引っ張ったまま持ち上げると・・・。

 

 ・・・ただ変な顔になっただけだった。

 

 そんなことをしていると背後から気配を感じて「そのまま」で振り返ると

そこには西垣先生が笑いを堪えるようにして私を見ていた。

 

「ははは、松本何やってるんだ。変な顔して」

「・・・」

 

「え、笑顔作りの練習?」

「(コクンコクン)」

 

「バカだなぁ、そんなことしなくてもちゃんとみんなに伝わってるぞ。多分」

「・・・」

 

 最後の一言が微妙に説得力をなくしていて私はがっかりすると西垣先生は

私を包み込むようにして抱きしめた。周りには誰もいないけど、何だかドキドキする。

 

「仮に誰にもわかってもらえなかってとして・・・私が松本の全てを

わかればそれでいいだろう?」

 

 恥ずかしげもなくそんなことを言うものだから私はなお頭の中が真っ白になって

何も考えられずにぎゅっと先生の背中に回していた手に力が入る。

そして赤らめているであろう顔を先生に向けて見上げる。少し困ったように。

 

「・・・」

「おおっと、そんな顔で見ないでくれよ。これで機嫌を直してくれ、松本」

 

 ちゅっ

 

 言った瞬間、私の額に先生は軽く口付けをした後。

何もなかったように私の頭を撫で始めた。

 

「・・・」

「どうだ、少しは嬉しかったか?」

 

 それは嬉しいに決まっているけれど・・・少し複雑な気持ちのまま

誤魔化すようにしながら先生は私から離れて生徒会室に向かってしまう。

先生の後を追って私も一緒に出ていった。

 

 歩きながら私はキスされた額に触って何とも言えない胸の内がざわつくような

気持ちになった。ただ、この感覚は全然嫌なものではなかった。

 

 生徒会室の前についた時、先生が私を見てから中へと入っていった。

その見ていた中でほんの一瞬、私をすごく愛おしそうに見ていたように思えた。

その時、ふと私は今日自分の誕生日なのだと気がついた。

 

 あのキスはもしかしてそのための?

そう考えても先生から答えが返ってくることはなかった。

おそらくその答えがわかるのは私が卒業してからになるかもしれない。

そんな予感があった。

 

 けど、はっきりしていなくてもしてもらったことはずっと鮮明でずっと心に残って

ずっと幸せな気持ちにさせてくれることだけは確信していた。

 

 私もこの変わった先生が好きで好きでたまらないのだ。

生徒会のみんなが集まるまで私は一秒でも先生と居たくて生徒会室に入ったのだった。

 

お終い。

 

説明
表情を変化させることが苦手な会長が試行錯誤してる最中に萌える先生の姿を描いたSS。会長おめハピバ(。?ω?。)
イラスト→http://www.tinami.com/view/778989
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ゆるゆり 誕生日 百合 松本りせ 西垣奈々 なでなで ハグ 

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