英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
〜カイエン公爵城館〜
「母の助命とカイエン公爵家の存続です。」
「フン、兄と父は見捨てるのか?」
ユーディットの答えに興味を持ったヒーニアスは嘲笑して問いかけ
「―――はい。父と兄に関しては自業自得だと思っています。言い訳にしかなりませんが元々私とキュアは内戦に反対でしたし、エリス嬢誘拐の件を知った際は何度も父にエリス嬢をメンフィル帝国に返還してメンフィル帝国に謝罪すべきだと進言しました。ですが父は聞く耳を持っていなく……」
「…………それで?もしメンフィルが貴様の求めているもの――――カイエン公爵夫人の助命とカイエン公爵家の存続に応じた場合、貴様は何を”代償”にするつもりだ?」
「……カイエン公爵家が全ての元凶でありながら私と私の妹キュアは畏れ多くもラマールの民達から慕われています。私達自身、新たな祖国となるメンフィル帝国に忠誠を誓い、クロスベル帝国やメンフィル皇家の方々のお役に立つ為に働く所存であります。民達に慕われ、またラマール州の統括領主であった私達がメンフィル帝国にに忠誠を誓えば、民達は当然としラマール州の貴族達も従い、戦後の処理や領地経営がやりやすくなるかと愚考致します。また、本来なら爵位剥奪どころか一家郎党処刑されてもおかしくない立場である私達”カイエン公爵家”を救った所か配下として新たな国造りに携わらせた事で、国内の人々は当然として、諸外国に対してもメンフィル帝国の慈悲深さを知らしめることができると思われます。」
「ほう…………カイエン公爵家の長女は”才媛”であると報告にあったが、報告以上の者だな。――――だが、残念だったな。”ラマール州はメンフィル帝国領にはならない。”」
ユーディットの説明に感心した様子で聞いていたヒーニアスはユーディットにとって予想外の答えを口にした。
「え……それはどういう事でしょうか?」
「貴様の先程の弁論を評して、本来ならまだ秘匿情報である情報を教えてやる。―――オルディスを含めたラマール州は”六銃士”によって建国される”クロスベル帝国”に贈与される事になっている。」
「ええっ!?ラマールがクロスベルの!?い、一体何がどうなっているのですか!?」
「…………”通商会議”の時から予想していましたが、やはり”六銃士”とメンフィル帝国は繋がっていましたか…………―――ヒーニアス殿下。大変勝手な嘆願にして殿下にお手数をかけてしまうと思われますが、私と”六銃士”の一人―――”黄金の戦王”ヴァイスハイト・ツェリンダー殿との面会を手配して頂けないでしょうか?」
ヒーニアスの話にキュアが混乱している中、ユーディットは落ち着いた様子でヒーニアスを見つめて問いかけた。
「ほう……よりにもよって”黄金の戦王”を選ぶとは中々目の付け所がいいな。―――いいだろう。先程見せた貴様の見事な弁論やその才能を評して、”黄金の戦王”との面会を取り計らってやる。」
「ありがとうございます。ヒーニアス殿下の寛大なお心に心から感謝致します。それとヒーニアス殿下。先程兄の要請によって、オーレリア将軍率いるラマール領邦軍が正規軍との戦闘を中断してこちらに向かっているとの報告が入りました。」
「フン、その程度の事貴様に言われなくても予想している上、既に対策も取ってある。”黄金の羅刹”がオルディス奪還に向かっている事はこちらにとっても都合がいい……”黄金の羅刹”もついでに討ち取ってくれる。」
「…………殿下。もしよろしければ、私の考えた策を実行して頂けないでしょうか?その策ならば、オーレリア将軍達を戦う事なく降伏させる事も可能です。」
「ユ、ユーディ!?一体何を……」
「ほう……?――――言ってみろ。」
「その策とは―――――」
ユーディットの申し出を聞いたキュアが驚いている中、ユーディットの申し出に興味を持ったヒーニアスは続きを促し、ユーディットはヒーニアスに自分が考えた策を伝えた。
「―――なるほど。確かにそのやり方なら、労せずオルディス奪還の為に来る領邦軍を無力化できるな。しかし一つ疑問がある。何故貴様は故郷や家族を裏切ってまでそこまでする?」
「先程も口にしたように、母の助命とカイエン公爵家の存続、妹の未来の為……そしてこれ以上父の野望に巻き込まれた者達が血を流さない為です。その為ならば、私は心を鬼にします。」
「ユーディ…………」
「我らメンフィルやクロスベルに媚を売って、自身の望みを叶える為か…………フッ、貴様程の逸材をメンフィルが手に入れられない事は少々残念だな。――――いいだろう。貴様のその策、有効に活用させてもらう。その代わり先程の話通り奴等が現れた際、貴様に説得してもらうぞ。」
ユーディットの答えにキュアが呆けている中、ヒーニアスは静かな笑みを浮かべた後すぐの表情を戻して話を続けた。
「かしこまりました。ですがその前に妹を自室まで送ってもよろしいでしょうか?妹を自室に送り次第、すぐに戻りますので。」
ヒーニアスの答えに安堵の表情をしたユーディットはヒーニアスに会釈をした。
「そのくらいなら構わん。そこのお前とお前は二人を護衛しろ。」
「「ハッ!!」」
その後二人はメンフィル兵達に護衛されながら移動を始め
(何とかメンフィルにカイエン公爵家の存続を許す余地ありと判断してもらえる切っ掛けを作れた上、”黄金の戦王”と面会できる機会を作れたわね…………この身を捧げてでも絶対に彼との交渉を成功させないと……!)
キュアと護衛のメンフィル兵達と共に移動し始めたユーディットは決意の表情をした。
〜同時刻・アルバレア公爵城館〜
「ほ、報告!メンフィル軍の別働隊が屋敷内に突入して来ました!」
「な、何ぃっ!?」
同じ頃アルバレア公爵は兵士からの驚愕の報告に血相を変えて声をあげ
「ほ、報告!貴族街を陣取り、戦闘を開始したメンフィル軍が貴族の方々の家に突入し、貴族の当主の方々を次々と殺害しているとの事です!」
「何だとっ!?おのれ、薄汚い簒奪者どもが……っ!オーロックス砦からの援軍はまだ到着しないのか!?」
更なる驚愕の事実に驚いたアルバレア公爵は怒りの表情で怒鳴った。
「残念ながらオーロックス砦からの援軍は来ない。」
するとその時青年の声が聞こえると同時にエフラム率いるメンフィル兵達が部屋に突入してきた!
「!!!」
「メ、メンフィル軍……!」
「公爵閣下!お逃げ下さい!」
「うおおおおおっ!!」
エフラム達の登場にアルバレア公爵が目を見開いたその時、領邦軍の兵士達はエフラム達に襲い掛かったが
「甘い!!」
「グアアアアアアアッ!?」
「ギャアアアアアアッ!?」
「む、無念…………」
エフラムが槍で薙ぎ払うと、一撃で全員絶命した!
「…………あ………………」
兵士達の絶命にアルバレア公爵は呆然とし
「”アルバレア公爵家”現当主ヘルムート・アルバレア。メンフィル帝国領ユミルの破壊、放火、騒乱並びに領民虐待、ユミル領主シュバルツァー男爵夫妻傷害の疑いにより貴様を拘束する。―――拘束しろ。」
「「ハッ!!」」
「なっ!?やめろ!私を誰だと思っている!?誇り高き”四大名門”の”アルバレア公爵家”の当主にこのような真似をして許されると思っているのか!?辺境の愚民共や貴族の恥晒しに裁きを与えた私を裁いていいと思っているのか――――――ッ!!」
エフラムの指示によって兵士達が近づいてくると喚き始めた。
「自らの欲の為に他国の領地を猟兵達に襲撃させた愚か者がまだそのようなふざけた事を口にするとは、どこまでも腐っている男だな!」
「へぶっ!?……………」
しかしエフラムに殴り飛ばされると鼻血を出しながら身体をピクピクさせた後気絶した!
「制圧し終えた領邦軍の詰め所の地下牢にアルバレア公爵夫人共々放り込んでおけ!」
「「御意!!」」
そしてエフラムの指示によって気絶したアルバレア公爵は既に制圧された領邦軍の詰め所の地下牢に別のメンフィル兵達によって拘束されたアルバレア公爵夫人と共に放り込まれた。
こうして……エレボニア帝国の”五大都市”であり、”四大名門”の本拠地にしてそれぞれが納める広大な州の首都である”海都”オルディスと”翡翠の公都”バリアハートはメンフィル軍によって制圧された!
と言う訳でアルバレア公爵は第2部が始まる前に早期に退場した為、ケルディック焼き討ちイベントが消滅しましたwwなおこっちのルートのユーディットはとんでもない功績を残す事になります!後既にお気づきと思いますがルートは変わっても結局ユーディットとキュアはヴァイスの毒牙に(汗)さすがはヴァイスと言った所でしょうかねww
説明 | ||
第10話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1279 | 1187 | 2 |
コメント | ||
本郷 刃様 三下の末路みたいに笑えますよねw(sorano) アルバレア公爵の「へぶっ!?」に地味に噴いたw(本郷 刃) |
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