恋姫英雄譚 Neotune Spiear
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Mission09:Hero not a hero

 

 

酷い目にあった………。

 

いくら張麗を折檻する目的で彼女を倒しても、女性の胸を掴むなんてな……。

 

あまりの恥ずかしさに気を失い、目が覚めると既に夜中の1時を過ぎていた。

 

気絶していた間に移されていたと思われる寝台から起き上がり、誰かがいることに気がつく。

 

 

「ようやく起きよったかいな……」

 

 

振り返ると椅子に座り、チビチビと酒を飲んでいる張麗の姿があった。

 

 

「……いつからいたんだ?」

 

「あんたに言われた通りにあの阿呆共に謝って、晩飯食った後あたりや。大体は3刻っちゅうとこやな」

 

 

ということは6時間もここにいたのか……。

そう感じながら張麗はもうひとつあった湯のみに酒を注ぎ、俺に突き出した。

 

 

「ほれ……喉かわいとるやろうから、酒でも飲みぃ」

 

「……すまない」

 

 

何も考えずに俺は彼女から湯のみを受け取り、注がれた酒を一気に飲み干した。

 

 

「おっ?ええ飲みっぷりやな?」

 

「まぁな……こいつは茅台酒だな?芳香が強い……」

 

「酒に詳しいんかいな?」

 

「向こうの世界でも酒は好きだったからな。よく飲んでいた」

 

「……………すまんかったな…兄ちゃん」

 

「?」

 

「儂かて畜生やない。調子に乗って霞達を馬鹿にして……んで最後にはあんたに喧嘩吹っかけて負けたんやからな……面倒かけた相手に謝るんは当たり前や」

 

「…………みんなに謝ったんならそれでいい。既に終わったことだし、気に病む必要はありはしない」

 

「さよか…………なぁ、一つええか?」

 

「なんだ?」

 

「あんたは何の為に兵士になったんや?」

 

 

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彼女からの問いに俺は耳を傾ける。そして対する彼女も湯のみを持ちながら真剣な趣で俺をじっと見る。

 

 

「儂は言うた通り、儂自身がこの国で最強やて証明して、儂の槍を振るうに値する主を見つける為に月達の下を去ったんや」

 

「……………」

 

「あんたは何の為に……天界の軍隊に入ったんか……儂は聞きたい」

 

「…………大事なものを守る為だ」

 

 

俺の言葉に彼女は耳を傾け、俺もゆっくりと語る。

 

 

「俺にとって家族ってのは掛け替えのないものだ。肉親、兄弟、恋人、そして仲間。俺はそんな家族を守る為に武器を手にして戦う」

 

「せやけど全てを守るやなんて絶対に無理や。兄ちゃんかて分かる筈やで」

 

「それは百も承知だ。それを完璧に守るだなんて夢物語でしかない。俺が向こうにいた時でも、作戦中に何人も仲間が敵に倒れ、死んでいった……まだ女を知らない奴だっていたし妻や子供もいた……」

 

「…せやったら「だがな……」………」

 

「だが……彼等の死があったからこそ、生き残れた家族もいる。彼等の死は残された人達の心に想いを宿らせ、それを次の世代へと受け継がせる………」

 

「……………」

 

「俺は……そんな家族を護る為に戦う……それだけだ」

 

「………もし…その家族を卑怯な手で殺めようとして来たら?」

 

「簡単だ………外道は許さない……それだけだ」

 

 

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彼女の息を飲む音が聞こえたようにも感じるが、俺は構わず話を続ける。

 

「俺は家族を無下に犠牲にする畜生を許さない………もし大事な家族に手を出すんだったら…地獄に叩き落として冥界の亡霊共に引き渡す。たとえそれが歴史家から‘‘気狂い”とされても………どんな手段を使っても……俺は単騎だろうとも鬼神や化け物にでもなってやるさ」

 

 

最後に‘‘必ずね”と付け加えると張麗はすっかり黙り込んでしまっていた。そして暫くの沈黙の後にようやく彼女が口を開いた。

 

 

「……リアン…あんさん……英雄か?」

 

「……俺は英雄じゃない……これまでも……これからもな……」

 

「…………霰や」

 

「なに?」

 

「儂の真名は霰や。あんたに儂の真名を預けたる」

 

「………いいのか?」

 

「儂は主を探す旅をしとった………そこであんたの噂を聞いて帰国したんや。はっきり言うたらあんたがまだ儂に相応しい主かは解らん」

 

 

そう言いながら霰は湯呑みに酒を注ぎ、ゆっくりと飲み干した。

 

 

「せやけど月の処にまた戻ることは出来ん。せやけど客将としてやったら儂も構わん。ほんで儂があんさんの副将になって、あんさんがホンマに儂の主に相応しいかどうか見極めさせてもらうで。ええな?」

 

 

董卓軍への復隊ではなくあくまで客将。しかし俺の副将となる。話を聞いてれば無茶苦茶だが何だか悪い気がしない。

霰が俺の湯呑みに酒を注ぎ、最初と同じように俺に突き出した。

 

 

「………俺の名前はリアン・スチュアート。リアンと……呼んでくれ。霰」

 

 

そう言いながら湯呑みを受け取り、一気に飲み干した。

 

翌日の朝、霰を客将かつ俺の副将として迎え入れることを月殿達に知らせ、最初は難色を示していた霞達だが月殿がそれでいいなら構わないといって、霰が俺の新しい家族となった……………。

 

 

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現在以下のキャラクターの真名を募集しております。本格的な登場は第3章からとなりますが、期限は第2章完結までとまだまだ長いのでお考えされる際はゆっくりと結構です。

モデルは全て鋼の錬金術師のキャラクター達になります。

 

 

李儒 文優

董卓軍に身を置く軍師で霞と霰の幼馴染の1人。

2人とは対照的に武芸には護身程度した持たないが優れた前線指揮能力を有しており、攻守を問わず戦況に応じた柔軟な対応力を最大の武器としている。

性格は律儀で真面目だが私生活では少しだらし無い。スタイルに関しても嵐と同じくらいで片眼鏡が特徴。

1人呼称は‘‘わたし”。

外見のリサ・ホークアイ中尉。

 

荀攸 公達

最近になって董卓軍に仕官した新しい軍師。魏の荀ケとは従姉妹同士であるが互いを牽制しあっている。

心理戦や心理学を利用した人心掌握を得意としており、相手の陣営内にて徐々に味方を作り出す。

印象的には笑顔を絶やさないが何を考えているか分からない謎に満ちた女性でもあり、リアンからは才能があるということだが詠は反射的に警戒してもいる。

一応は董卓軍に忠誠を誓っているが……。

1人呼称は‘‘わたくし”。

モデルはラスト。

 

胡軫 文才

董卓軍に身を置く男性訓練担当官。正史ではあまりの人望の無さで有名であったが、リアン曰く‘‘月こと董卓並みかそれ以上に驚いた”。

性格は部下思いで訓練生からは‘‘兄貴”として慕われているが妻と長女を溺愛する家族バカでもあり、よくリアンを含めて同僚や訓練生達に自慢している。

‘‘下の者が更に下の者を守る”というリアンの考えを青臭い考えだとしているが同時にリアンのことを良く理解してもいるので鷹、迅の2人も加えて‘‘天界の戦士3人衆”と呼ばれている。

ある‘‘重大な情報”を手にするが……。

1人呼称は‘‘俺”。

モデルはマース・ヒューズ中佐。

 

樊稠

 

董卓軍配下の軍人で‘‘豪腕の樊稠”の異名を持つ武将。常に身体を動かさなければ気が済まない程の行動派であり、いかつい外見とは裏腹に、涙もろく情に弱い紳士的な人格者。

かつて洛陽にて屯騎校尉の任に就いていたが‘‘党錮の禁”にて十常侍に利用されたことにショックを隠せず、更に官位剥奪という不名誉な待遇をされた後に天水に派遣将校とされる。

 

しかし月の優しさに触れて正式に董卓軍配下として転属願いを提出している。

1人呼称は‘‘我輩”。

モデルはアレックス・ルイ・アームストロング少佐。

説明
目を覚ましたリアン。そこで彼は張麗より英雄かどうか尋ねられるが……………。
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