恋姫英雄譚 Neptune Spear
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Mission11: Sister of red and blue

 

 

董卓軍第6師団……俺が師団長を務める全く新しい部隊創設を目的とした部隊で正式名称は‘‘董卓軍第6独立混成師団”。

 

一ヶ月前に集まって合格した志願兵300名を中心に漢人や西涼連合からの派遣将校。更には五胡からの志願兵も取り入れている。

五胡を加えることは流石に詠達は反発していたが‘‘能力さえあれば性別も生まれも関係ない”というと納得してくれた。

 

師団編成後、兵達を一人前にすべく兵器や装具が行き渡ったらさっそく訓練に入った。

最初の内は使い物になるかどうか解らなかったが一ヶ月もすれば逞しくなっていっている。

 

俺も第6師団の新しい訓練場所を探すべく、天水郊外にある湖の近くを散策していた。

 

 

「綺麗な湖だな……」

 

「この辺りじゃ1番デカイ湖になるな」

 

 

そう言いながら俺と迅はひたすら歩いていた。

湖は本当に水が澄み切っており、水中には大きい魚がたくさん確認できて、対岸や少し離れた場所には鹿や虎などの動物達が水を飲みにやってきていた。

 

 

「しかしこの辺りは流石に演習場には向かないぞ」

 

「あぁ。虎みたいな肉食も多いし、なにより月様達もこの湖が好きだからな。だから開拓する訳にはいかねぇ」

 

「ここを踏み荒そうとする連中の気がしれんな」

 

「全くだ……しっかしこんなにいい天気だったら酒でも持ってくりゃよかったぜ」

 

「今はあくまで業務中だぞ。酒を飲むんだったら勤務が終わった後にしろ」

 

「へいへい、相変わらず我らの師団長様はお堅いんだからよ」

 

「そう拗ねるな……仕事が終わったら一緒に飲みに行くぞ。もちろん俺の奢りだ」

 

「マジか??だったらさっさと終わらせようぜ??」

 

 

迅は俺の奢りだと聞いて周辺の調査に全力で向かった。俺は少しおかしく笑ったが一つ問題がある。

なにせこの辺りは獣がたくさんいる上に土地勘なんて全くない。しかも肝心の案内役である迅も何処かに行ってしまったから何処になにがあるのか全く分からない。

 

暫く考えて俺は結論に達した。

 

 

「………昼寝するか」

 

 

仕方が無いので迅が戻って来るまでの間、すぐ側の木陰で昼寝をすることにした。

そして装具一式を外すと俺は心地よい風と木陰の気持ちよさで瞬く間に夢の中へと旅立っていった。

 

心地よい温かさを感じて起きることを拒む正直な体。だが流石に何か異変に気が付いて目を開けると………。

 

 

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「…………」

 

「「………く?」」

 

「………だれだ?」

 

 

なぜか左右の腕を枕にして寝ている可愛い女の子がスヤスヤを気持ち良さそうに寝ている。

 

右腕にいる女の子は赤い髪で少し褐色の肌。身体の何箇所かに模様のような刺青をしていて頭頂部には触角のようなアホ毛が生えている。

左腕の女の子は顔は瓜二つ。しかし髪の色が青色でアホ毛も1本になっている。

 

 

「なぜこんな状況に………」

 

「「…………かふっ」」

 

 

そんな状況を伺っていると2人同時に目が少し開いて欠伸をした。

 

 

「起きたか?」

 

「「…………起きた」」

 

 

目を覚まして頷きながらこちらを見る双子らしき少女達。

 

 

「…………セキト」

 

「…………テキロ」

 

「セキトにテキロ?」

 

 

俺が尋ねると2人はそれぞれ赤いスカーフを首に巻いたウェルシュコーギーと青いリボンを尻尾に付けた白猫を俺の上に乗せてきた。

乗せられた2匹は俺をマジマジと見てきて可愛らしかった。

思わず2匹の頭を撫でていた。

 

 

「………セキトにテキロか……まるで赤兎馬と的盧みたいな名前だ」

 

‘‘くぅ?ん”

‘‘ニャー”

 

 

ほぅ……可愛い。

 

セキトとテキロは俺に頭を撫でられ嬉しそうに鳴いた。

 

 

「「……………」」

 

「ど……どうかしたか?」

 

「…………恋」

 

「愛は……愛」

 

「えっ?……それは真名ではないのか?」

 

「いい………セキト懐いたから」

 

 

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「テキロも懐いた……姉ェが真名…預けた……だからいい」

 

「それだけ?」

 

「セキトとテキロが懐く人に悪い人はいない。だから………信用できる」

 

「そうか………わかった。じゃあ預からせてもらおう。恋、愛」

 

「「……………(すりすり)」」

 

 

恋と愛は真名を呼ばれて嬉しそうであり、俺の腕に顔を擦りつけてきた。

可愛らしいのだがはっきり言って恥ずかしい。

 

 

「えっと……遅いが俺の名前はリアン・スチュアート。呼びにくいだろうからリアンと呼んでくれ」

 

「「(コクッ)・・・分かった」」

 

「それで一つ聞きたいんだが……2人はなんで俺の腕を枕にして昼寝してた?」

 

「セキト………気持ち良さそうに寝てた」

 

「テキロも……だから……愛と姉ェも一緒に寝た」

 

「そうか………」

 

 

なんとも純粋無垢な少女達だ……。

 

思わず2人の頭を撫でていた。するとセキトが暴れだして俺の顔を舐め、テキロは頭を擦り付けて甘えて来た。

 

 

「ははは………分かったよ。ほら」

 

 

セキトが撫でられているのを見て、他の犬や猫も一刀にせがんできた。

 

 

「「リアン………」」

 

「どうした?」

 

「撫でる………」

 

「リアン……愛もナデナデ……」

 

 

無邪気にただ優しくセキトとテキロたちと接している俺を見ていて恋と愛はなんだか幸せな気持ちになっていた。

 

だから恋と愛は撫でてもらえたことが本当に嬉しいようだ。

 

 

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そんなノンビリした時間を楽しんでいると….………。

 

「恋???愛???」

 

森の中から2人を探している声がした。

 

「「あっ……お母さん」」

 

「お母さん?」

 

「「(コクリ)」」

 

「そうか………だったら早く行ってあげな。お母さんが心配するよ」

 

「うん……」

 

「分かった….…でも……」

 

「分かってる。また会えるし、俺も2人に癒されたいからね」

 

「「……本当に?」」

 

「あぁ」

 

 

恋と愛にそういうとセキトにテキロを引き連れて2人は無垢な笑みを浮かべながら手を振って森の中に入っていった。

 

 

「……何とも不思議な双子だな……しかし……」

 

 

俺は暫く2人を見送り、姿が見えなくなると不意に2人から感じた違和感を思い出す。

 

 

「2人の気配………途轍もない覇気だったな……」

 

 

2人から感じた違和感とはまさに覇気。そしてあの無垢な目の裏側にある哀しみ………。

それがどういう意味を成しているか今はまだわからない。その意味は後に自らで判明させることとなる……………。

説明
第6師団の訓練地を探すリアン。そこである姉妹と出会う。
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