恋姫英雄譚 Neptune Spear
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Mission16:Birds of prey to protect the Dong Zhuo

 

 

 

第6師団による初陣から5日後、噂が噂を呼んで瞬く間に第6師団の存在は有名となった。俺は別に特別な策をした訳ではないのに、街では‘‘鉄壁師団”や‘‘天界軍”、更には‘‘董卓秘蔵部隊”なんかと呼ばれていた。

 

同時に治安の良さも広まっていき、街には様々な商人が訪れ、軍にも第6師団に志願者が相次いだ。

その中には匈奴・鮮卑・羯・?・羌の部族‘‘五胡”から来た外人もいて、外人の割合が比較的多い董卓軍でもかなり珍しかった。

 

仕方がないので臨時入隊試験を実施し、兵力増強をする。それにより第6師団は500人の兵力から約1,000人と倍になり、部隊も幅が広がる。

 

俺は月の親衛隊でもある第5師団第1大隊の訓練に立ち会う為に天水郊外にいた。

 

 

「なんというか……勢いが凄まじいな」

 

 

俺の目の前にいるのは第1親衛隊‘‘猛禽陣営”。兵力250人と董卓軍では最も小規模だが破壊力は嵐が指揮する第4師団と互角とされている。

 

その理由が………。

 

 

「うらうらぁああああっ??猛禽陣営のお通りだあぁあああっ??」

「ひゃっはあぁああああっ??」

 

 

まるで暴走族のような勢いだからだ。

 

成り立ちは黒と紫の軽装兵で手には剣や槍、斧、双鞭と完全に防御力を無視した正面突破重視の編成で、見える限りでも兵は激戦を潜り抜けて来たことを表す生傷が見られる。

 

 

「あれじゃ軍隊というよりも暴走族という言葉がよく似合うんじゃないか?」

 

「ですが皆さん月様のことを本当に大事に想ってくれていますよ」

 

「だろうな。でなかったら牙門旗に‘‘我最高君主董卓全捧”なんて書く必要がないからな」

 

 

宵と一緒に猛禽陣営の牙門旗を見る。

 

翼を広げた鷲に‘‘我らは最高の君主董卓様に全てを捧げる”という意味を持った漢字を組み合わせた文字という、ますます暴走族のような牙門旗。

なお、牙門旗はもう一つあり、もう一つは李の一文字を囲むように‘‘Noi diamo a Dong Zhuo Supremo una vittoria.(我らの君主董卓に勝利を与えん)”というローマ語が書かれた鷹が大隊長を務める第2大隊の牙門旗が掲げられている。

 

2つの大隊は規範や雰囲気が全く逆であるが、主である月に対して絶対的忠誠心を持って親衛隊として活躍しているので互いを認め合い、手を取り合って月を護っている。

 

 

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そんな演習風景を見ていると両手に戟を持った鷹と槍‘‘紅牙”を手にした燕の他にもう1人やってきた。

腰まで伸びたブロンドのロングヘアに赤い瞳、上半身がないチャイナ服に霞や霰みたいに豊満な胸にサラシを巻き、スタイル抜群の俺と同年代と思える女性だ。

 

 

「よう、リアンも来てたか」

 

「あぁ、前々から第2師団の演習には興味があったからな。ようやく見にこれたよ」

 

「お久しぶりですリアンさん。宵ちゃんも久しぶり♪」

 

「燕ちゃん♪元気だった?」

 

「うん♪」

 

 

久しぶりの対面であろう、宵と燕は手を取り合いながらその場を跳ねる。すると燕の頭を撫でながら先程の女性が歩み寄って来た。

 

 

「あんたが噂の‘‘天界の戦士”さんかい?」

 

「あんたは?」

 

「あたいは徐栄。猛禽陣営のガキ共を束ねて月のお嬢を護る戦争屋だよ」

 

「徐栄か………知っているとは思うが俺は第6師団師団長のリアン・スチュアートだ」

 

 

徐栄といえば確か董卓を支えた中郎将で、陽人の乱で董卓軍内において孫堅軍や曹操軍を撃退するという呂布をも上回る武功を立てた生粋の武人だ。

 

確かに目の前にいる美女から漂う雰囲気は霞や霰と劣らないものだ。そして肩に担がれた彼女の得物である偃月刀も雰囲気を益々強めている。

 

 

「そんで、あんたから見てうちのガキ共はどう映る?」

 

「……勇猛果敢。破壊力に長けて如何なる敵をも薙ぎ払う精強さだ」

 

「そんだけかい?」

 

「いや……一見すると派手で粗暴だが的確な判断力は卓越した連携、状況判断に愚直なまでの合理性を持っているな」

 

「へぇ………天界の戦士にそこまで言ってくれるったぁ嬉しい限りだねぇ」

 

「そして最も優れているのは徐栄、あんただ」

 

「あたいがかい?」

 

 

予想していなかったのか、徐栄は豆鉄砲を食らったかのような表情でこちらを見るが俺は続ける。

 

 

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「第2師団は親衛隊としての機能を持ち、尚且つ五胡の比率が最も多い外国人部隊だ。血気盛んで王室から愚民と蔑まされている連中を纏め上げ、董卓軍の中でも随一の忠誠心を持った親衛隊に鍛え抜いた手腕に、君自身の武功に知略。名将と噂されているのも頷ける」

 

「……………」

 

「もちろん鷹の部隊も同じだ。部隊の中にお前が連れてきたローマ人の同僚を指揮官にして異色ながらも全て実戦に基づいた編成や戦術を持って月を支えてる。いい部隊だ」

 

「ありがとうよ。けど戦術は燕が漢とローマの戦術を組み合わせたお陰だ。俺1人じゃここまではならないだろいな」

 

「い……いえ………私なんて詠様やリアンさんと比べてもまだまだです……」

 

「その詠の嬢ちゃんもあんたのことを高く評価してたさね。もっと誇りに思いな」

 

 

そういいながら再び徐栄は燕の頭を少し乱暴に撫でる。一方の燕は「あうっ」といいながら照れていた。

 

 

「しかしあんたもよく人を見てるじゃないか、本当にいい男さね。顔もあたい好みの渋くて凛々しいしな」

 

「ありがとう」

 

「うっし??あたいのことはこれから真名の鷲(じう)と呼びな」

 

「………いいのか?」

 

「構わねぇさ。んでどうだい?この後酒でも「姉御、今は訓練中だ。頼むから後にしてくれ」へいへい……相変わらず真面目だねぇ鷹は………んじゃああたい等は鍛錬に戻るさね」

 

「分かった。また今度酒を飲むとするか」

 

「頼むぜリアン。いいローマ酒が入ったから持っていくぜ」

 

「楽しみにしてる」

 

 

そういいながら俺も仕事に戻る為、鷲達を見送ると天水の執務室へと宵と一緒に帰る。

董卓こと月に命を賭けて付き従う猛禽陣営。一緒に戦うことを少し楽しみにしながら仕事に励むとしよう…………。

 

説明
董卓を護る3人の猛禽。
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