恋姫英雄譚 Neptune Spear |
Mission18: Reunion With Twins
与えられた仕事を俺は執務室にて執り行っていた。第6師団長としてだけではなく警邏隊長、新たに導入された警邏専門の三国志版PMCの本部隊長の3つを任されているから仕事が多い。
やり甲斐はあるから気にはしていないが………。
そんな状態で実質上で俺の隊付となっている宵と一緒に仕事をしていると扉が勢いよく開いた。
「邪魔すんで?」
入って来たのは我等が副師団長の霰だ。
「邪魔をするならお引き取り願おう」
「あいよ?………ってなんでやねん??」
いいツッコミだ。
「用があるから来てるんやボケ??アホか??」
「冗談だ冗談。それで何の用だ?」
「渋い顔しよってボケ晒しおってからに………まぁええわ。リアンに客が来とるで」
「客だと……今日は面会の予定は無かった筈だが……」
「正確にはリアンの客やないんや。月の嬢ちゃんの客やったんやけど、あんたにも会うてみたいちゅうんや」
「誰だ?」
「儂と霞の義母で并州刺史の丁原オカンや」
丁原という名前に俺は軽く驚く。別に丁原には驚かないが裏切られたとはいえ、かの呂布を養子に迎え入れたこともある士だ。
確かに張遼もかつては丁原に仕えていたらしいからある程度は予測出来ていたが、もしかしたら呂布にも会えるかも知れない。
「義母か………確か丁原は君達姉妹のような孤児を引き取って養子にしているんだったか?」
「せやで。儂等姉妹もオカンに拾われよってなぁ、んで他にも親無くした子供等を養子にして可愛がっとんや」
「他にも……ということは1人や2人じゃないのか?」
「儂がまだおった時には7人おったで。んで全員が儂の阿保な妹や…………そーゆーたらまたオカンが養子に双子加えたらしいで」
「双子………どんな奴だ?」
「オカンと一緒に来とったんや。確か名前が呂布「呂布だと?」せや。なんや知っとるんか?」
「あぁ、俺がいた世界じゃ有名な名前だからな。だったら俺も挨拶はしておいた方がいいな。宵、すまないが暫く部屋を開けるぞ」
「はい、後は簡単な報告書ばかりですから私がいれば大丈夫です」
「分かった。すまないが頼む」
「えへへ♪撫でてもらっちゃいました♪」
そういうと礼代わりに頭を軽く撫でてやる。すると宵は嬉しそうに顔を綻ばす。それから霰と共に執務室へ向かった。
案内で連れてこられたのは中庭で、東屋があることで今日みたいに天気が良かったら月達と一緒に茶を飲んだりして寛げる憩いの広場だ。
そして東屋には楽しく談笑している月達の他に見慣れない人物がいた。
桃色のふわりとしたアホ毛が1本でているロングヘアに漢室に属する武将が着る紫と黒の武将用制服。
赤い瞳をした俺より年上の感じがする大人の女性だ。姿を確認した霰は手を振りながら歩み寄っていった。
「連れてきたでオカン」
「あっ、リアンさん」
「よぅ月、詠、霞」
「えらい遅かったやん♪」
「そういうな。さっきまで報告書と大乱闘を繰り広げてたんだからな」
「へぅ……」
「だけど仕方ないわよ。あんたが考えた警邏派遣って内容はあんたしか知らないんだからね。しかも師団長の仕事もしてもらわなきゃならないし」
「ふふふっ、偉く詠ちゃんに気に入られているようね?」
「なっ??だ…誰が気に入ってるっていうのよ椿(つばき)??た……確かに指揮官や武将としては認めてるけど………はっ??」
「あらあら♪やっぱり素直じゃないから可愛らしいわね♪」
「……話の途中ですまないが、君は?」
「いつも娘達がお世話になってます。并州刺史をしている丁原 建陽といいます」
「俺はリアン・スチュアート。一応は霰達の上官をしている」
踵を鳴らして敬礼すると、丁原は笑顔で軽く会釈をして応える。初めての印象としては‘‘母”という言葉がよく似合う物腰が柔らかい女性だ。
「月達とは長いのか?」
「はい、椿さんは私達が小さかった頃からよく遊んでくれて、私と詠ちゃんのお父さんとお母さんがいない時には面倒を見てくれています」
「ボクと月の親は何かと忙しかったからね……過保護過ぎるっていうのも考えものなんだけど……」
「なんや?♪確か詠はまだちっさかった時にお母はんがおらんかったら‘‘オバちゃん何処?”って泣きながら探しおったんちゃうか??」
「ちょっ??な……なに言ってるのよ霞??そ……そんなこと無いじゃないのよ??そんでリアンはなに笑ってるのよ??」
「いや……普段からもっと甘えて来たらいいと思ってな♪」
「なっ??なななななななっ??」
甘えん坊の詠という姿を思い浮かべながら軽く揶揄う。
「そういえば連れがいると聞いたんだが……姿が見えないな」
「えぇ、あの子達ならお友達に会いに行ってますから、多分もう帰って来るかと……知り合いですか?」
「姉妹ということは知らなかったが、呂布なら名前だけなら………ん?」
丁原と話していると足に何かが勢いよくぶつかった感覚に襲われる。そこですぐに足下を見ると………。
‘‘ワンッ??ワンッ??”
‘‘ニャーン♪”
「せ……セキトにテキロ?」
確か恋と愛のペットであるセキトにテキロだった。そこで俺はすぐに推測してしまう。
湖で会った双子に赤兎馬と同じ名前のセキトがここにいる。
赤兎馬といえば呂布の愛馬で目の前にいる丁原の連れでここに来ているのは義娘の呂布。
ここまで来たら答えは一つしかない。誰かに見られている感覚を感じ取って2匹が来た方角を見ると………。
「「………リアン」」
「れ……恋に愛?」
湖で俺に懐いていた恋と愛の2人がいた。
「なんや?2人を知っとるんかリアン?」
「あぁ、前に湖で双子の女の子と会ったと話しただろ?その双子が恋と愛だ」
「あらあら、この子達ったらまた真名だけしか預けてないのね?」
「どないしたんや?」
「この子達ったらよく真名だけ預けちゃうのよ………恋、愛。ちゃんとご挨拶しなさい」
丁原がそういうと2人はアホ毛をピコピコと動かしながら頷き、トテトテと歩いて来る。
「……恋は呂布………字は奉先」
「愛………呂嘉……字……文?」
改めて名乗ると2人は頭を軽く突き出してきた。
しかし恋がかの有名な‘‘飛将軍”こと呂布とはな……確かに彼女の只ならぬ雰囲気が呂布のものなら納得するし、聞いたこともないが呂布と双子の妹であるなら愛も納得する。
2人の行動に察しがついた俺は2人の頭を軽く撫でてやる。
「「♪」」
嬉しいのか、2人のアホ毛が尻尾みたいに振られて何ともいえない雰囲気を醸し出す。
「あらあら………恋と愛がこんなに懐くなんて……」
「珍しいのか?」
「はい。それに人見知りが激しいセキトとテキロも滅多に懐かないんですよ」
現に2人は嬉しそうに寄って来て、セキトとテキロも構って欲しいみたいに甘えてきている。そんなノホホンとした雰囲気を楽しんでいると何やら砂煙りが離れた場所から立ち上り、こちらに近付いて来ていた。
「な……なんだ?」
「へぅ……」
「な……地震??」
「な………なんやこっちに来よるで?」
「オカン……あれなんや?」
「ふふっ……相変わらずねあの子は……」
「ちんきゅうううううう……………」
どうやら砂煙りは丁原の知り合いによるものらしいが、ようやく確認出来た姿は黒の文官の羽織を纏い、学制帽のような帽子を被った黄緑色の髪をした女の子だ。
その女の子は東屋の入り口より少し手前で飛び上がると……。
「きぃいいいいいいいいいっくっ????」
いきなり飛び蹴りを仕掛けて来たが、身体を横に逸らすことで回避し、足首を掴むと女の子は逆さ吊りの状態でジタバタし始めた。
「避けるな??掴むな??早く降ろすのです??」
「いや………蹴りがいきなり来たら誰だって避けるし、隙だらけだったから掴むし、何よりも掴まなかったら落ちるぞ」
「オカン、なんやこのチンチクリンは?」
「私達の新しい家族よ。リアンさん、すみませんがその子を降ろしてやってくれませんか?」
丁原に頼まれてゆっくりと地面に降ろしてやる。すると女の子は両手を挙げてウガーッとしながら猛抗議してくる。
「ぐぬぬ……恋殿と愛殿を誑かすなとど、天が許してもネネが許さないのです??…ぎゃふ??」
「不意打ち……卑怯者のすること……」
「ネネ……悪い子……めっ」
そういうと2人は女の子の目線までしゃがみ、それぞれのアホ毛でどういう原理かはわからないが突き始める。
「ひえぇええっ??恋殿??愛殿??どうか許して下さいなのです??」
「じゃあ……リアンに…ごめんなさい……する」
「お詫びに………真名……預ける」
「ヴぅうううう………分かりましたです……おいよく聞くのです??ネネは陳宮 公大で真名は音々音ねねねなのです??呼びにくかったらネネでもいいです??」
「はは………元気だな……俺はリアン・スチュアートだ」
「ふん??宜しくしてやらなくもないのです??」
そういいながらソッポ向くネネ。恐らくは恋と愛を敬愛するあまりの行動なのだろうな。
天下無双の強さを持つ恋に妹の愛、更には2人を支える軍師ネネ。
華雄、張遼、そして呂布。かつて独裁者董卓を支えた3大英傑達が揃った瞬間であった……………。
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赤青の双子と稀代の名参謀。リアンの前に現れる。 | ||
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