三国同盟 第八話 〜行動〜 |
一方で秋蘭と冥琳、恋の3人は来るべき日に備えてまずは城内の探索と内偵を始めていた。
「まずは、私が城と臨禅達とやらの情報を集めておく。2人はいざという時に備えて武器や脱出経路の確保を始めてもらいたい。さすがに丸腰では脱出も厳しいだろう。」
「うむ、私も恋殿も不審感を持たれないために自分の武器は持ってきていないから当然といえば当然か…わかった。その2つは私と恋殿で確保しておこう。構わないだろう?恋殿?」
秋蘭が恋の方を見て確認を求めると、恋は黙ってうなずいていた。
「問題は…秘密裏に動けるかどうかだな…この城は明らかに私達の様な武勇に長けた女が少ないし、さっきの騒動もある。どこで監視の目があるか分からんな。」
「確かに…一刀の方は楼音がいるから問題ないだろう。しかし、私達の方は冥琳殿の言うとおりの状態だ。寝込みを襲われないとは言い切れないし、周りは男ばかりだからな。」
話し合いながらも考え込む二人をよそに恋はどこから取り出したのかという疑問が起こるくらい暇そうに豚まんを食べ始めていた。
そんな時に冥琳が何か思いついたような様子を見せる。
「男ばかり…よし、これを利用するとしよう。これが上手くいけば、おそらく問題なく情報などを集められるはずだ」
「では、その策を聞かせてもらおう」
冥琳は秋蘭と恋に対策を伝えると…二人は黙ってうなずいていた。
「私は一旦席をはずすが、2人はここで待っててくれ」
そう言うと冥琳は部屋を後にしていて、しばらくしてから戻ってきた。
しかし、冥琳は1人で戻ってきたわけではなく数人の女性を連れて来ていた。
「冥琳殿、その者たちは?」
「楼音が臨禅や宗閑の動きを知るために使っていた者たちだが、楼音が一度ここを出た時に謹慎を命じられていたしい。それをあらかじめ楼音から聞いていたから、今回は私達に協力してもらおうと思ってな」
「なるほど、この者達を使えば我々も動きやすいということか…」
「私たちはこの絽漢で捕虜として扱われていましたが、此度は皆様のお役に立つために参りました。私たちに協力できることがあればなんなりとお申し付けください」
数人の女性たちはそう言うと冥琳たちの前に跪いていたところ、恋が再び豚まんを取り出して女性たちに分けていた。
「みんな…仲間…だから、食べる」
女性たち少し照れたような様子で受け取って食べ始めるとその場にいた皆が笑っていた。
「では、手はず通り頼むぞ。楼音たちの方にも注意を払っておいてくれ」
「「「はっ!」」」
そう言うと女性たちは方々に散って行った。
「かなりの身のこなしだな…あの者たちはいったい何者なのだ?冥琳殿?」
「北郷の世界で言うところの忍者という奴らしい。それよりも私達も動くとしよう」
冥琳がそう言うと秋蘭と恋はそれぞれの役割をこなすために動き出していた。
その頃、一刀達は既に焔王との謁見が行われていた。
焔王の近くには臨禅直属の部下であり、焔王の護衛でもある男たちが出入り口に立っており、焔王の近くにも立っていた。
「楼音…よく無事で戻ってきた。その者は…?」
「はい…この者は私がここに戻るために尽力してくれた男で、この男と一緒にいた者たちはかなり腕の立つ者たちだったので、私の独断で城に招きました。」
「そうか、楼音が決めたのであれば問題はあるまいな。では、細かい報告を聞くとしよう。お前たちは下がれ」
「ですが…」
「下がれと言ったら下がれ。どうせ、お前らは立っているだけで何の役にもたたんだろうが!」
語気を強めて言う焔王に気圧された護衛たちはその場から次々と退室していった。
「さて…その者が天の御遣いで間違いないのだな?楼音?」
焔王の問いかけに楼音は無言でうなずくと一刀の方を見始めると、それを察した一刀は話し始める。
「えっと…北郷一刀と言います。楼音さんの依頼というかお願いで貴方をここから連れ出しに来ました。ちなみに俺の仲間があと3人来てるんで…一緒に来てくれませんか?」
「バカみたいに正直に言うんだな。とても三国同盟を陰で支えた男とは思えんな…お前に命を預けるのはいささか不安だ。」
「ですが、焔王様!このままですと近いうちに必ず臨禅や宗閑がお命を奪いに来ます!あ奴らに討たれるくらいならば、いっそのこと御遣い様に頼るか…とおっしゃったではありませんか!ですから、私も焔王様のためと思い、こうしてお二人の謁見まで尽力で来たのです!!」
「楼音よ…お前の事は信頼しているし、お前がここに連れてきたという事はこの男に何かしらの力があるのだろう。だからこそ、今こそその力を示してもらいたいのだ。」
語気を強めていた楼音とは対照的に冷静にしゃべり続ける焔王の様子を見ていていた一刀は少し考え込むしぐさを見せるとある提案を持ちかける。
「えっと…それじゃあ、もう少しだけ楼音とあとは数人だけ貸してもらえます?」
「ほぅ…なぜだ?」
「焔王さんって今は臨禅達の監視の目とかがあってほとんど身動きとれませんよね?だから、人手を貸してもらえるなら数日中に焔王さんが自由に動けるようにしてあげますよ。具体的に言うと…脱出の準備を焔王さん自身も出来る様にすると言った方が良いかも。」
「ほほぉ〜面白い。良いだろう、しばし楼音と直属の隠密5人をお前に貸そう。楼音…良いな?」
楼音は無言でうなずき、一刀は「どうも」とだけ言うと焔王は2人に早速、動き出すように促してから2人は揃ってその場から退室していった。
「一刀さん…あの様な事を言って大丈夫だったのですか?なにか策でも?」
「まぁね〜。でも、成功させるためには楼音と冥琳たちに頼みたい事があるから、一回皆と話し合う必要があるかな。」
そう言うと2人は冥琳がいる部屋へと行くと既に冥琳は待っていたように入ってくる一刀と楼音を見ていた。
「冥琳、そっちはどう?」
「秋蘭殿と恋殿に武器の調達と脱出するための道の確保を頼んだ。私もこれから着替えて情報収集を始めるつもりだ。」
「なっ…危険です!女性が1人で城内を歩くなんて…街などをご覧になったはずです!」
「分かっている。だから、忍者という者たちにこれを用意させたのだ」
そう言うと冥琳が箱から男装の道具や一般兵の服を取り出す。
「なるほどね。男性や兵士になり済まして、情報を集めるってことね。秋蘭と恋もこの格好で?」
「ああ。私達の代わりも用意している。」
そう言うと同時に冥琳が手を叩くと一刀の前に冥琳と秋蘭、恋にそっくりな女性3人が天井から現れた。
「3人が男装してる間はこの人達が代わりになるってことね」
「うむ、忍者という者たちは他人に変装したりするのが得意らしいからな。私達の事は必要最小限の事は伝えてあるし、なによりもこの正確さだ」
「確かに…この者たちなら冥琳さん達の代わりを務めるには充分でしょう。でも、あなた達は確か私が魏へと向かったあとに、臨禅達によって謹慎を命じられていたはずでは…」
「それはね、最初に臨禅達が攻めてきたときに使った捕虜の中に忍者の彼女たちがいてね。その時に保護して、この国の詳細を調べてもらうために楼音たちの所に潜入してもらってたんだ。そこに俺たちが来たから、こうして手伝いに来てくれたってわけ」
「なるほど!忍者という者がどういう者たちかは知りませんが、確かにこれだけの能力があるのなら、謹慎していた所から抜け出すのは簡単ですね!ましてや、もとは捕虜と思っているわけだから、そんなに厳しい警戒はしないと…」
一刀は笑顔で答える。
「それで北郷はこれからどうする?」
「俺も冥琳と同じような事を考えてたよ。そのために隠密の人を借りてきたしね」
「一刀さん…まさか…」
「そうだよ。隠密というか忍者の人に焔王さんの代役をやってもらおうと思ってね。それと楼音の代役もやってもらいたいしさ。そうすれば、2人は侍従か誰かにうまく変装してもらえば、あとは自由に動けるから脱出の準備とかしやすいでしょ?」
「なるほど…では、私はその代役をする2人に振る舞いなどを教えればいいんですね?」
「そうだね、そうしてもらおうと思ってたから。俺は男装してる秋蘭たちと一緒に行動するよ。その方が違和感もないだろうし、色々と補助もできそうだからね。」
一刀の言葉に冥琳と楼音は納得する。
「では、私の方は2人に教えるために2日ほど時間をください。2日後にはすでに代役が焔王様と私の代わりを務めているようにしてみせます!」
「それならば、私達は焔王を迎える準備をしておくとしよう。」
「じゃあ、早速実行しよう!くれぐれも慎重にね!」
楼音と冥琳にそう言うと一刀は部屋を出て秋蘭たちと合流するべく行動を始めた。
あとがき
恋姫の更新がこんなに遅くなって本当に申し訳ないですm(__)m
さすがにニートが4年近くになるとマジでやばいと思って、色々と頑張ろうと思ってたんですが、結局何も変わらないうえに何かスキルを身につけたわけでもなく…
そして、別作品を書いていたら続きを書くのを途中で止めるという大愚行をやらかしてしまいました。(猛烈に反省してます)
期待して待っていた方にはホントに申し訳ない事を…(そんな人いるわけないと思ってますが…)
これからはなるべく早めに続きを載せていきたいと思ってますので、どうか長い目で見てもらえると嬉しいです。
説明 | ||
第八話アップです!! 果たしていつまで続くことやら…今回は色々な要素と言うか、今まで以上にキャラを細かく書きすぎて書いている自分が混乱してしまいました。泣 そのせいか誤字脱字がかなりあると思いますので、遠慮なく指摘してください。 |
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