(さかのぼること10日ほど前)

千歳航:困りましたね。

提督:どうした?

千歳航:今日の演習で使うペイント弾がほとんどないんですよ。

提督:どれどれ……。ふむ。確かに、これでは扶桑姉妹の一斉射でなくなってしまうな。

千歳航:閉鎖が近いとはいえ、演習ができないと、練度の維持すらできませんし。

吹雪:演習くらいはしたいですね……。

提督:何か代わりになるようなものはないかな。

吹雪:ここ、資材もあまりありませんし……。あるのはお店の在庫くらいです。

提督:店の在庫か。そういえば、調味料とかはそれなりにあるのか。

吹雪:はい。ケチャップやソースみたいな保存がきくようなものはたくさんありますよ。

提督:ふむ。よし!　今日の演習ではペイント弾の代わりに模擬弾としてケチャップを使う。

扶桑・山城・吹雪・千歳航:はぁ!?

　どうしてこうなったんでしょう。

山城:ケチャップとかシミになったら落ちにくいじゃない!

提督:だから、だ。白い衣装にシミがついたら大変だ。だから、被弾を避けるために必死になるだろう?

千歳航:何で、この人は斜め上の行動しかできないのかなぁ……。

提督:さぁ、御託は後だ!　君たちの練度向上のために、厳しくいくぞ!

扶桑:厳しいのはいいんですけど、こんなのは勘弁してほしいわ……。

最上:へぇ〜。そんなことがあったんだ。みんな白い服だから、大変だったんじゃないの?

吹雪:ええ。確かに必死で避けました……。

扶桑改:被弾時の装甲衣装は直すけど、ケチャップのシミはまでは管轄外だって、妖精さん達が怒っていたし。

山城:どうしても完全に被弾を避けられるわけじゃないから、演習の後は速攻でお洗濯よ……。

吹雪:ケチャップのシミ抜きについて鳳翔さんに電話で尋ねたりもしましたね。

最上:そんなので練度って上がるのかなぁ?

吹雪:まぁ……確かにテキパキと行動できるようにはなった……かな。

扶桑改:それと、お洗濯スキルは向上したわね。

　なんて話をしていたら、泊地が目の前に。ようやく、帰還です。はぁ〜、長い航海だったなぁ……。ダメダメ。直ぐ近くだからこそ、注意しないと。艤装を下ろすまでが航海ですっ!

chapter:深夜ラジオとチェスと

(シーンプレイヤー・扶桑改)

　最強青春帝国に戻った私たちは、提督と千歳さんに状況を報告する。その後、私・山城・最上は入渠ドックへ。比較的損傷の浅かった私は二人よりも早く上がる。

　お店(と緊急出撃)は足柄さんたちがやってくれているみたいだから、私と吹雪ちゃんはオフに。

　といっても、ちょっと疲れがたまってしまったので、外に出る気力が……。

吹雪:こうしていると、結構暇ですね。

扶桑改:何だかんだで、私たちも貧乏性なのかしら。

吹雪:(ごろごろ)

扶桑改:(ごろごろ)

　ただゴロゴロしているだけというのもかえって疲れるかも。

扶桑改:そうだ。吹雪ちゃん、チェス、できる?

吹雪:一応、ルールは知っています。

扶桑改:じゃ、夕食後に一局、やってみない?

(そして、夕食後)

吹雪:折角ですから、BGM代わりにラジオでもつけましょうか。

扶桑改:そうね。テレビだと、あまり集中できないしね。

ラジオ:さらまわしのシャイ! ヤング　♪ちゃーちゃらっ　朝焼けになる前に……

扶桑改:あら。これ深夜番組だったような。時間が移動したのかしら。

　ラジオを聴きながら、二人でチェスを指す。「一応」とは言っていたけど、吹雪ちゃんの腕前、中々ね。何だかんだで勝負は白熱し、何局も指す。ラジオから流れるのはいつしか次の番組になっていた。

ラジオ:上島みゆみゆのオールナイト一本!　♪ちゃらっちゃ、ちゃっちゃらら、ちゃっちゃちゃ……♪。

扶桑改:オールナイト一本が始まったわ。

吹雪:もうそんな時間ですか。でも、私、上島みゆみゆさん、好きなんですよ。もうちょっと聴きたいなぁ。

扶桑改:吹雪ちゃんの歳で、上島みゆみゆって、結構渋いわね。

吹雪:そうですか?　この前の朝ドラでもオープニングで上島さんの『米の歌』が流れていましたからそうでもないと思うんですよ。それにピンククローバー・ゼータの『笑ってもいいんだよ』とかTOKKYOの『空知船』とかって曲を提供していましたから、結構、私たちの世代でも上島みゆみゆさんのファン、いるはずです(力説)。

扶桑改:そ、そう……。(吹雪ちゃん、熱く語っているわね(汗))

吹雪:だから、もう一時間だけ!

扶桑改:そ、そうね。だったら、あと一時間したらもう寝ることにしましょうか。

　本音を言うと、私もオールナイト一本、聴きたいのよね。どうせ明日の起床時刻は遅めだし。

　結局、私と吹雪ちゃんはお布団にくるまりながら、最後まで聴いていた。楽しかったからいいわよね。

chapter:妖精さんの夜食

(シーンプレイヤー・山城)

　私と最上の艤装の修理は一晩のうちに終わった。私たちは時雨と曙を捜索するためにまた、合唱団跡地に向かう。最上はチェックポイント103を今後の拠点にできるよう、妖精さん達を連れていくことが決まった。

　チェックポイント102に着いたのはもう夜だった。建物跡への衝突や浅瀬への座礁の危険性もあるから、姉さまは夜間の航行を控える決定をした。で、102のビルで一泊する。

　長い航海に疲れていたのか、姉さまたちは横になるとすぐに寝てしまった。私も眠い……。見張りの妖精さん達……あとは、よろし……く……Zzz……

　ガサガサ

　物音で目が覚めた。えっ!?　こ、この音は……?　も、もしかして。目をあけたらあの黒くて不気味なアレがいるんじゃ……?

　ひぃっ!

　……ん?　なんか違う。話し声?　もしかして、深海棲艦が近くにいるとか?

　私は意を決して目をあけた。するとそこには……。

山城:あれ?

妖精さん達:もぐもぐもぐもぐ……

　明りの周りで妖精さん達が夜食を食べていた。なーんだ。あ、でも妖精さん達が食べているものって、私たちの食料じゃない。そんなに食料を多くは持ってきていないわ。ちょっと注意しなきゃ。姉様たちを起こさないように、そっと起き出して妖精さん達の所へ。

山城:ねえ。

妖精さん達:(びっくりして山城の方を向く)

山城:それ、私たちの食料よね……。それ、食べられちゃうと私たちも行動できなくなっちゃうわ。だから、食べちゃダメ。

妖精さん達:(口々に抗議する)

山城:え?　「深夜勤務だし、これくらいは役得だ」?「来たるべき戦いのポテンシャルを上げるのには食べるのが一番」ですって?

妖精さん達:(こくこく)

山城:だからって、出撃中で補給しにくい時だと困るわ。

妖精さん達:(ぶーぶー)

山城:うーん……あなたたちにへそを曲げられてもねぇ。……わかったわ。ここに、「がらっぱえびせん」とポテチがあるから、それで手を打たない?

妖精さん達:(審議中)

山城:この作戦が終わったら、姉さまの手料理をご馳走するっていうのでどう?

妖精さん達:(全会一致で山城案可決)

山城:やっぱり、姉さまの手料理は決め手になるわね。え!?　「私の艤装妖精だから、好みがうつったんです」って……。まぁ、そうなるのかしら。

妖精さん達:(山城の袖を引っ張る)

山城:はい。「がらっぱえびせん」とポテチよ。仲良く食べなさい。

　妖精さん達が喜んでお菓子の袋を持っていく。こういうところ、可愛らしいわ。それに、がんばっているのも事実だし、何かお礼みたいなこともしなきゃいけないからね。

　さて。起きたら時雨と曙ちゃんの捜索ね。……何もなければいいけど

chapter:リプレイパート

(前回の続き)

ご隠居:さて。艦隊戦は終わったけど、帰還前にチェックポイント106のシーンかな。

香取:そうですね。誰が挑戦します?

ご隠居:姉さまは行動力を大きく減らしているからな。ここは吹雪ちゃんだね。カードは……「航海」か

香取:本来ならかぶり修正が働きますが、吹雪さんの固有アビリティ「がんばります!」で無効になりますね。

ご隠居:でも、さっきのファンブルで猫がついたからなぁ。プラマイゼロだよ。

香取:ファンブルだけはどうしようもありませんから。さ、シーン決定を。

ご隠居:(サイコロコロコロ)……「2.厳しくいくぞ」か。

香取:キーワードのケチャップってなんですか?

ご隠居:見ていたテレビで、「和食の味が薄いからケチャップかけていい」とか何とかっていうシーンがあったから。

香取:やっぱりテレビですか。それにしても、和食にケチャップはないですね。……それはさておき、判定を。

　指定個性は《規律》。吹雪は先ほどとっていたので、判定は楽勝。2D6で、6。猫の修正も入ったが、問題なくクリア。

香取:でも、ケチャップで演習って(汗)

ご隠居:騾馬潤町ではパイ投げ砲撃演習とかしていたから、いいんじゃないか。

香取:扶桑さん達も災難ですね。それでは、起点に戻りましょうか。

　起点の101に帰還。早速、扶桑改・山城を入渠させ、二人とも損傷を小破まで戻す。

ご隠居:戻ったはいいが、吹雪ちゃんは行動済み、扶桑姉妹は入渠中。だれも行動できないな。一回パスかな。

香取:(ここの処理、大チョンボしていますよ、提督。これは後で、厳しく躾なければなりませんね(メタのメタ:詳細は決戦フェイズ後の反省で))

ご隠居:ん?　どした?

香取:いえ、なんでも。うふふふふ。

ご隠居:?　ま、いいや。にしても、修理すると、ごっそり資源引かれるな(汗)

香取:修理は「修理係数+レベル」ですから。戦艦ですと、原作同様、かなり資源を使ってしまいます。

ご隠居:さらに、姉さまはさっきの艦隊戦で行動力が激減したからなぁ。補給もいるな。チェックポイント102は補給できないし。

香取:扶桑さんは戦術アビリティ「士気高揚」で艦隊戦前に行動力を回復できますよ。ここで行動力0にならない限り、問題はないかと。

ご隠居:そういえばそうだったね。「士気高揚」はサブだし、判定もいらないから、こりゃ便利だ。

　改めて、姉さまのターンとなり、出てきたのは「遊び」シーン。ダイスの目は8で「チェス勝負」になる。キーワードは「ラジオ」。

香取:ここのキーワードの理由は何ですか。

ご隠居:深夜ラジオ、好きなんだよ。特に今は「ラジオ深○便」が好きでねぇ。

香取:提督……。これ、「さ○まさしのセイ!○ング」に「中島み○きのオー○ナイトニッ○ン」が元ですね。内容が完全に「おっさんホイホイ」になっています。それに、結構、著作権ギリギリな内容ばかり(汗)。

ご隠居:ここ見ないで、全部のネタが分かる人はそれなりの歳だよな。もっとも、筆者は中島み○きさんのファンですが、「中島み○きのオー○ナイトニッ○ン」(80年代の方)をリアルタイムでは聞いたことがありませぬ。

香取:「中島み○きのオー○ナイトニッ○ン」は月一でまたやっていますから、一定の年齢以下でも知っている方は知っているかと。

ご隠居:ステマやめい!

香取:こほん。それでは、気を取り直して、ダイスを。

　目標値は8だが、ここでは声援を飛ばせばいいという気楽さもあって、ダイスの目も味方してくれた。達成値はジャスト8となり、成功。姉さまと吹雪が互いに感情値を一点上げる。

香取:それでは、102に行きましょうか。

ご隠居:105は後回しにして、直接104に行くか。

香取:と、いうわけで102ですね。ここのプレイヤーは山城さんです。

ご隠居:日常シーンか。そういえば、これも二回目だから、かぶり修正がついてしまうな。楽なイベントだといいんだけど。(コロコロ)ん?

香取:また「8.銀蝿」ですね。

ご隠居:リプレイ的には書きにくいなぁ。

香取:しかし、山城さんなら《索敵》を使えばかぶり修正が入っても目標値7ですから、簡単に達成できますよ。

ご隠居:確かに。それに、「8.銀蝿」は成功すれば行動力が全快するから、ファンブルしない限り、振り直しも怖くないしな。

　肩の力が抜けたのか、ここでもダイスの女神は味方してくれた。2D6で10が出るという快調ぶり。

香取:成功ですね。このセッションでは山城さんの最大行動力が11になりました。

ご隠居:こいつは助かるな。よし、いよいよチェックポイント104。時雨の救出に行くぞ。