神次元の外れ者(51)
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「Final Hard Form」(チータ視点)

 

ラステイション付近・森林兼暴風領域前

 

さて……クリエ(とついでにあのやろー)の手がかりになるかと思って来たは良いものの、目の前の暴風の壁に四苦八苦していた。

 

「オラァァァァァ!!」

 

いくら撃っても弾かれて

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

いくら斬っても斬れなくて

 

「どぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!」

 

いくら叩いても割れなくて

 

「せぇぇぇぇいっ!!」

 

いくら突いても貫けなかった、他にも殴ったり引っ掻いたりもしたけど効果なし、体力が削れる一方だ。

一番攻撃力がある魔王サマはこんな時にぐーすかしてやがるし……肝心な時にこれだもんなぁ……

市販の剣じゃ直ぐ折れるし、かと言ってそれ以上に強力で丈夫な武器がねぇし。

 

「……あった」

 

そうだあった!アレがあった!とっておきのアレが!!

 

「ピーシェ!特訓の成果を見せる時だ!」

「「「え!?」」」

「よーし!いっくよー!」

「……ふぇ?」

 

俺の言葉にきょとんとする寝坊助姫、驚愕する三女神、そして張り切るピーシェ。

 

「「ファイナルハードフォーム!」」

 

二人が掛け声を上げるとピーシェの身体が光り輝き鉄拳に姿を変え、俺はそれを右手にはめ込んだ。

因みにこの((鉄拳|ロケットパンチ))形態、名前がないようなので【パンチング・エンジン】と名付けた……こらそこ、ネーミングセンスないとか言うな。

 

「ぴぃこれ好きー!一緒にやると楽しいもん!」

「と言うか何時の間に出来るようになったの!?」

「頭が似てるから息も合うんじゃねぇのか?」

「クーちゃんの反応はあの壁の向こう……今のチータさんとピーシェちゃんの突破力なら、完全破壊は無理でも突き抜けるぐらいなら……!」

「むー……」

 

皆の想いをこの身に背負い、そしてピーシェの力に転化!この((鉄拳|オトコロマン))に込めて……いざ!

最速で最短!まっすぐ一直線で突き破る!腕に付けたまんま鉄拳のロケット吹かして加速力増加!更に回転かけてコークスクリューだ!

 

【コンビネーションスキル/ガードストライク=マキシマムフィスト】

 

「いっけええええええええええええええ!!!」

 

ゴッッギギギギギギギギギギギギ

 

「か、堅ぇ……」

 

回転かけた捨て身覚悟の人間ロケットパンチが……効かない!?この技を編み出すまでに何度も右腕火傷したのに!!

 

ガキィンッ!

 

これまでの努力と特訓、そして今この時の根性虚しく、俺の攻撃は弾き飛ばされ、風の壁によって俺達は吹き飛ばされた。

マズいな……この手が駄目だとすると他に打つ手がねぇぞ?

 

「……チータさん、ちょっとよろしいですか?」

「なんすか?今他に手がねぇか考え中なんだけ「私達三人を使って下さいませ」……は?」

「「ええっ!?」」

「今この異常気象を止める事は困難ですが、あの風の向こうにいるクーちゃんを助ける事はできましょう……貴方とわたくし達なら」

「使うってまさか……アンタらもなれるの!?」

「ピーシェちゃんよりも前になってますわ。」

「おいおいおいおい!緊急事態なのはわかるけどコイツに使わせるのかよ!?まだプルルートの方がマシだぜ!!」

「そうよ!あんな変態に触らせるなんて!それにコイツ武器の使い方荒っぽいし……」

「時間は一刻を争います、それにこんな状況下で一番真剣になれるのは彼ぐらいなものでしょうし」

 

まぁ確かにこんな状況で漫才をやる余裕なんて俺にはない、ふざける時もマジな時も割り切ってますから、自分。

そんなこんなで相談した結果、ベールが提案した作戦でいく事になったんだが……余りの無謀さと危うさから、正直あまり気が乗らなかった。

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