恋姫†無双 〜乗り越えなければならないもの〜 第二話
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                               恋姫†無双

                          〜乗り越えなければならないもの〜

 

 

                        『いつも通りな日常?日常ってなんだっけ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 北郷一刀は普通の学生だった。

 

 朝起きて学校に行き、時には遅刻したり、悪友とくだらない話題で盛り上がり、時にスルーしたり、授業を真面目に受け、時に居眠りしたり、新作のゲームを買うために必死で走り、時に間に合わなかったり、課題の出来栄えを褒められ、時に課題の存在すら忘れたり、たまに実家に帰って元気な姿を見せに行き、時に祖父にボコボコにされたり…そんなありふれた、どこにでもいるような普通の学生だった。

 

 『普通の学生だった』と過去形で表現されるということは、すなわちそれは過去の事実を指していることに他ならず、現在の事実に必ずしも適応されるとは限らないということを意味する。

 

 そして、今現在の北郷一刀は、『普通の学生ではない』。

 

 彼自身の主観時間で十数年前、異世界へ迷い込んだ。そこは、彼のいた世界の過去の歴史、『三国時代』と呼ばれる時代…それを模した、亜種とでもいうべき世界、『外史』と呼ばれるものの一つだった。なぜ亜種というのか?それは簡単な話、三国時代の名だたる英雄の大半が女性になっていたからだ。これを『正しい歴史』という歴史家などそうそういない。

 

 その世界で彼は『天の御使い』と呼ばれ、実史の劉備のポジションにつき、乱世を戦い抜いた。

 

 ここからが重要なことだ。彼は実史の劉備のポジション…つまり関羽、張飛たちを従える蜀という国家の王として戦い抜いたわけなのだが…劉備と違い、彼は魏を降し、呉を併合して、たったの一代で大陸を平定してしまったのだ。歴史の大盤狂わせもいいところだ。

 

 そんな世界を否定する者と、肯定する者がいた。

 

 『管理者』…彼らはそう名乗った。

 

 管理者たちは、三国時代の歴史に存在する、しかし決して表舞台には現れない人物たちの名前を名乗り、それぞれ世界を『否定する者』、『否定の管理者』と『肯定する者』、『肯定の管理者』の2つの勢力として、永い時の中で、数多の世界をかけて戦い続けていた。

 

 そして、彼が治めた世界は否定の管理者達にとって、ただの破壊すべき対象にしか過ぎなかった。

 

 彼は抗った。彼が動員できる限りの戦力をもって。

 

 超常の存在たる管理者、否定の管理者達に戦いを挑み、そして…彼は敗北した。

 

 彼は否定の管理者達による『外史の終端』を食い止められなかったのだ。

 

 そもそも外史の終端を食い止める手段など、肯定の管理者すら「ない」と返答するようなものだ。もともと特に大きな力を持っていたわけでもない、普通の学生に止められるはずもない。

 

 だが彼は諦めなかった。

 

 彼は最後まで、考えうる限りの策を練り、張れるだけの伏線を張り、打てるだけの手を打って戦った。

 

 そして彼は最後に「皆といられる世界」を望み、その望みを叶えて、彼が元々いた世界を模した外史に、彼の愛する人々と共に渡った。

 

 それが、彼の主観時間における、数か月前の出来事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 俺が泰山で否定の管理者達と死闘を繰り広げてから数か月経った。

 

 俺たちは今、『俺の元いた世界』によく似た外史で平和に暮らしている。

 

 最初の頃は本当に大変だった。

 

 皆見るもの見るもの説明を要求したり、「妖術だ!」とか言って騒いだり、原因不明にモノが壊れたり………本当に大変だった。

 

 春蘭や思春が『今時の若者』のナンパ(若者→華琳、若者→蓮華でアタック)にキレて切りかかりそうになった時は本当に…本当によく、誰も死ななかったな…。若者くんは精神に深い傷を負って再起不能になったけど、気にするほどの問題でもないだろう。正直、俺もあのナンパにはブチ切れそうだったし?

 

 まあ、ジェネレーションギャップが二千年近くあるんだから、むしろこの程度で済んで良かったと考えるべきなのだろう…べきだよなッ!?

 

 皆の方の「大変だった」はそういう感じだけど、俺の方は別の意味で大変だった。

 

 突然だが、人間が生きていく上で、「最低限必要なもの」とされているものはなんだろう?

 

 答えはとっても簡単です。「衣食住」です。

 

 ではここで問題です。「衣食住」…これらを揃えるのに必要なものとはいったいなんでしょうか?

 

 こちらの答えもとっても簡単です。「お金」です。

 

 そういえば、あの外史に行ったときに最初に問題になったのも、「お金」だったな…。無銭飲食はいけません!

 

 だが「お金」が必要だと言っても、この世界の俺は「大陸を平定した王」ではなく、「一介の学生」でしかない!俺にそれほどの金策があるわけがない!

 

 当然行き着く先は、「実家に頼る」というほぼ一択なのだ。学生だから、仕方ないと言えばそこまでだけど…正直な話、あまり実家には頼りたくなかった。

 

 なんでかって?

 

 では質問だ。俺は実家に、何をなんと説明すればいい?

 

 そもそも、あの化け物じいちゃんに嘘は通じない。外史なんて説明しても、信じてはもらえないだろう。よしんば信じてもらえても、そうすれば今度は俺という存在の問題になってくる。俺は、彼ら(実家のみなさん)の子と同じ名前を持つ、彼らの子と同じ姿をした別人ということになり、そもそもの問題として、俺の生活基盤が危険になる。

 

 さすがに不味いと、各国の軍師達と一緒に策を練りまくった。「真実の一部を伏せることにしたら、うまくいくのでは?」という案が採用された。

 

 だが蓋を開けてみると…意外なことになった。

 

「そうか…そうか!一刀が女を連れてきたか!しかもは〜れむか!!カカカッ!これで北郷の血は安泰じゃわい!良きかな良きかな!酒じゃ酒!朝まで飲むぞい!!」

 

 …これが、実家に帰った時のじいちゃんの言葉だ。

 

 俺達が必死で考えた策を使うまでもなく、俺が一言も発することなく、すべての問題は解決した。なんか、解決してしまった…。

 

 まぁ…いいんだけどね?

 

 そんなわけで、今俺達はじいちゃんが知り合いから譲り受けた(多分巻き上げた)、聖フランチェスカ学園にほど近い場所にある「しばらく誰も使っていなかった別宅」を使わせてもらえることになった。

 

 ………奇妙なくらい綺麗にしてあったり、妙に大きい別宅だったり、防音が凄くしっかりしていたり、用途不明の地下室があったり、『なぜか』布団がシングルではなくダブルだったりするのは…気にしないことにしよう。…ごめんなさい、すごく気にしてます。有効活用してます。おじい様、誠にありがとうございました!

 

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 まぁ、なんだかんだ言っても今じゃ俺ら、普通の学生ってわけだ。普通の学生には、普通の学生の責任があるよな?

 

「あ゙〜〜〜〜〜〜〜………。疲れた…。」

 

 愛紗に俺の過去の話をする決意をした翌日(あの段階で日付跨いでたから当日?)のことである。俺は聖フランチェスカ学園の図書館で、夕日を横目に机に突っ伏していた。

 

 俺は課題の提出期限を、一週間間違えて覚えていることに気付いた。乃川が「かずピー…あのハゲ田(歴史の教師)の課題ヤバイな〜…昨日徹夜でギリギリ終わったわ〜…。」と言ってきたから期限の前にギリギリ気付いたのだ。マジで助かったぜ、乃川!俺のところは皆ちゃっかり終わらせてたみたいだよ…。

 

 自力でなんとかしようにも、そもそもの量がハンパなく、レポートがどうしても終わらず、朱里や華琳に助けを求めても…

 

「それでは、ご主人様の為になりませんので…。将来的にはご主人様も、この国で上に立たれるのですし…。」

 

「この程度もできないの?簡単じゃない?どこがわからないのか、理解に苦しむわ。」

 

という反応が返ってきたので、やむを得ず、一人寂しく図書館に篭っていたのだ。

 

 だが朱里よ、俺がこの国で上に立つことは確定なのか?

 

 いや、既に人の上に立ったことはあるし?っていうか大陸を平定した国王ではありましたし?普通に会社員やってても、将来的には部下もできるだろうけど?君の瞳には俺が将来、総理大臣あたりにでもなるビジョンが見えているのかい?

 

 うわ〜…怖いくらいありうる…。

 

「って急がないと閉じ込められる!!」

 

 回想してる場合じゃなかった!

 

 聖フランチェスカ学園は、左慈が強盗に入って以来セキュリティーが強化され、今ではすべての教室が決まった時刻に自動でロックされるようになっていた。もちろん、見回りの警備員がいるからそのまま朝までというわけではないが、面倒くさい注意を聞かなきゃいけないのは御免こうむる。

 

 玄関口まで戻ると見知った人影が見えた。

 

「紫苑、今帰り?」

 

「あら?ごsh…北郷君も。珍しいわね、今日は一人なの?」

 

 紫苑、本名『黄忠漢升』。

 

 俺と一緒にあの外史で戦い抜いた、俺の大切な((女性|ヒト))の一人。いまは聖フランチェスカ学園で教師(担当科目は家庭科)をしている。ちなみに彼女の娘の璃々ちゃんは、フランチェスカの系列の幼稚園に通っている。

 

「『今日は』ってところが、すごく痛いよ紫苑…。」

 

「あら?ごめんなさい。嫌味のつもりはなかったのだけれど…いつも、北郷君の周りには誰かがいるものだから。」

 

 紫苑…この様子だと、また誰かに告白されたな…。

 

 紫苑は当然だが綺麗だ。美人だ!すごく素敵な女性だ!!←大事なことなので何度でも言いますが、無限に続くので割愛

 

 綺麗な女教師なら男子生徒が告白するのはよくあること(?)だ。当然毎回フラれる。なお、フランチェスカで一番最初にフラれたのが乃川なのは、割とどうでもいい些事だ。なんせ、紫苑の一番は俺だからな!!どんな男でも、くれてやらんわ!!!!

 

「こんな時間まで残って、どうかしたの?」

 

 紫苑は気遣わしげな、いや…心配げな目をしていた。

 

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 多分紫苑が気にしているのも、俺と同じことなのだろう。

 

 俺は、あの外史での戦い以降、『なぜか』劇的に女子のモテるようになった。

 

 ………………………………なぜだ?

 

 そのことで、乃川が血の涙を流していたのは、マジでどうでもいいことだ。

 

「歴史のレポートだよ。仕上がんなかったから図書室に篭ってた。」

 

「そうなの?てっきり、また告白でもされたんじゃないかと思ったのだけれど?」

 

「最近はかなり減ったよ?乃川によると、最近ついた俺のあだ名が『難攻不落冷酷非道七転八倒北郷一刀』らしい。」

 

「………………………………………まるで虎牢関のようですわね…。」

 

 言いたいことはよくわかるぞ、紫苑。だが紫苑よ…教師モード、忘れてるぞ?

 

 こっちが割とあっさり告白を否定したことで安心したのか、帰り道の紫苑の機嫌が、ほんの少しだけ良くなったような気がした。

 

「ただいま〜。」

 

「ただいま。今帰ったわよ璃々〜。」

 

「あ、おかあさん、おとうさん、おかえりなさ〜い♪」

 

 天使のような笑みでトテトテ走ってくる小さい女の子こそ、紫苑の娘の璃々ちゃん。

 

 あの華琳が手を出すでもなく、見守りたい子供ナンバーワンとするだけあって、成長を見ていて温かい気持ちになる。

 

「おかあさん、きょうはね、りっちゃんとみおちゃんといっしょに、おえかきしたの!」

 

 …………………………………うん、超癒される。自慢げに自分の描いた絵を見せる仕草とかヤバイ!癒され過ぎる!あの雰囲気は紫苑と璃々ちゃんの絵だな!!

 

「あらあら〜、上手に書けたわね〜♪」

 

「あとねあとね、ムギちゃんがね〜、アズちゃんとゆいちゃんとういちゃんも〜…」

 

 その後もひたすら続く親子の会話に耳を傾けつつ、俺は台所を覗きに行った。今日の当番は確か…

 

「あ、おかえりなさい一刀。」

 

「北郷か、夕餉はまだだぞ?」

 

記憶通りだ。蓮華と思春がそれぞれコンロとまな板の前に立っていた。

 

「帰ったから顔出しに来ただけだよ。…この匂いは、魚の煮つけと見た!」

 

「お前でなくとも、皆気付いたぞ?」

 

 …その指摘はなかなか痛いぞ思春。

 

 実は、家事を当番制にすると決めた時、最も問題になったのが料理当番だった。それは決定的に重要な問題が2つあったからだ。

 

 1つ、華琳がいること。当然だが、半端な料理を出せば怒るだろう。魏を降した後も相当気を使って料理人を選定したものだ。

 

 そしてもう1つは…『愛紗の悲劇を繰り返してはならない』というものだ。…当然愛紗には秘密だ。ちなみに愛紗は今でも紫苑に料理を習っている。ちなみに愛紗だけでなく、翠や鈴々も最近習い始めたことを紫苑がこっそり教えてくれた。俺、超ニヨニヨしてます!!

 

 そういう事情で、それなりに料理ができる人間だけが、料理当番に組み込まれた。その分他の家事が免除されているので抜かりはないぞ?

 

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 魏からは華琳と秋蘭だ。華琳は当然、料理の腕が大陸でもトップクラスだったので一番最初に組み込まれた。その側近だった秋蘭も料理の腕が中々なので当然抜擢。

 

 蜀からは朱里と紫苑と愛紗だ。朱里はお菓子作りを始めとして、料理の達人だったので即採用。紫苑に関しては流石は一児の母としか言いようもないが、レパートリーが神がかっている。そして愛紗は、あの外史から着実に腕を上げていき、気が付いたら紫苑に「あとはレパートリーを増やしていくだけ」と言わしめるほどに成長していた。

 

 呉からは蓮華と思春だ。蓮華は家庭料理(当然中国のもの)全般がそれなりに得意だった。家庭的で皆にも受けがいい。意外だったのが思春だ。思春は魚料理に関してのみ、華琳を唸らせるほどの腕前を持っていたのだ。元江賊だから、魚に詳しいのも頷ける。だけど初めてのはずの日本料理でも魚関係だけプロ級って…日本人の俺マジで立つ瀬ねー。寿司握れんだぜ?寿司!母さんも握れないのにな!

 

「愛紗が今どこか知らない?」

 

「かn…ゲフンゲフン!愛紗、なら先程部屋に戻ったぞ?」

 

「わかった。ありg…「主〜!電話ですぞ〜!」…ありがとう。ちょっと行ってくるよ。」

 

 星の声が聞こえたので、そちらに向かうが、こういうタイミングで電話をかけてくるのは大体決まっている。というより、家のほうにかけてくるという段階で確定だ。

 

「あぁ主、((義祖父様|おじいさま))よりお電話ですぞ。」

 

「………やっぱり?」

 

 俺は恐る恐る受話器を耳に当て………………ずに、目一杯腕を伸ばして耳を塞いだ。

 

「いっっっったい、いィィィィィィつまで待たせるつもりじゃァァァァァくぉんぬぉクソ馬鹿孫めがアァァァーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!」

 

キィィィーーーーーーーーーーーーン……………………………………

 

 ………………………………………………………………………………………俺は正しかっただろ?

 

 俺は大きく息を吸い込む。力の限り、肺がもつ限界まで。

 

「ぐぉるぁああああああッ!!じゃかぁしーわッ!!クソジジィィィィィィィーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

キィィィーーーーーーーーーーーーン……………………………………

 

 

 

 

(中略)←ウルサイからだが何か?ちなみに星なら、受話器渡した途端にどこかに行ったぞ? by.心は永遠の中学二年生

 

 

 

 

「ハァァァァァァァァ…………………………………………じいちゃんの話をまとめると、たまには帰ってこいって話だな?」

 

「最初からそう言うとるじゃろうが?その歳で耳が遠くなったかww」

 

「じいちゃんと一緒にすんなッ!!「お兄ちゃん静かに電話するのだ!冬恋*乙女が聞こえないのだー!」………ごめんな鈴々、静かにするよ…。」

 

 念のために…冬恋*乙女とはこの世界で最も人気なTVアニメだ!断じてER○い内容ではない!ただの学園恋愛ものだ!!俺も歳が歳でなきゃ見てるぜ!!!!

 

「わかったよ…来月にいっぺん帰る。詳しい予定はまた連絡するから、それでいいか?」

 

「うむ!待っておるぞ!曾孫もさっさと連れて来んか!」

 

「まだいねぇよ!!「…お兄ちゃん?」…すんませんでした。」

 

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 怖えぇぇぇぇぇ………鈴々のトーンが一段階くらい下がってた!!

 

 俺はそのあと二、三言話してから電話を切った。なんで電話だけでこんなに体力を使う必要があるのだろう?

 

 夕飯の後、俺は中庭に出た。あの話は、今日はやめた。いくらなんでも今日は運が悪すぎる。今日は気負いすぎたし、少しのんびりしよう…と思ったが、どうやら先客のようだ。

 

「あら一刀じゃない。どうかしたの?」

 

「ちょっと食後の腹ごなしだよ。そういえばどう?ちょっとはこっち、慣れた?」

 

 月明かりの下、黄金の輝きを持つ覇王が、モニュメントの岩に腰かけて杯を傾けていた。

 

 綺麗だ。彼女の覇気が、その美しさに拍車をかけているのだろう。

 

 俺は、こう思う。人間が本当に美しいと思うものは、ただ輝いているモノではなく、ただ珍奇な造形でもなく、ただ一心に天に手を伸ばす存在なのだと。そして、風貌の良し悪しなどは、ただの飾りにしかなれない。だから、俺の愛している((女性|ヒト))は、皆真に美しい((存在|ヒト))だと胸が張れる。誇らしく思える。まあ皆、普通に美人だけどな!!

 

「慣れないわね。」

 

「やっぱり1800年後の世界はきついか?」

 

 当然だろうな。俺から見て1800年後って言ったら、ア○ムもガ○ダムもドラゑも○だって化石だよ…。

 

「そっちじゃないわよ。あれよ。せっかく月見酒したい気分なのに『天』見酒よ?こっちの星は、あまり好きじゃないし、月にも慣れないけれど…まだ感想は必要?」

 

「アハハハハ……。」

 

 俺は乾いた笑しか出てこなかった。

 

 彼女につられて夜空を見上げると、そこには雲一つない………残念なくらい星が見えない都会の夜空があった。天の全てでないと、酒の肴にもならないから天見酒か…。

 

 今日は立派な満月が見られる。三国時代、つまり華琳たちの知っている月は、俺の時代よりも大きい。昔読んだ本によると、月は少しづつ地球から離れて行っているらしい。つまり彼女らの知っている月より、今の月は小さいのだ。だが彼女が言っているのはそこではない。そんなくだらないこと、慣れる慣れないの問題ではない。

 

 問題だ。この世の誰が、月が小さい感じがすると言って慣れないって言うと思う?

 

 いないとは言わない。でも華琳はそんなことを気にしないだろう。そもそも『慣れる』という表現は合わない。

 

 じゃあ何が慣れない?

 

 『月が真っ二つになっていたら』?それは慣れないと表現してもいいんじゃないか?

 

 俺達が見上げた月は、何者かに真っ二つに砕かれたような、『N』の字をひっくり返したような少し元の位置からずれた状態で空に浮かんでいた。つまり自分達から見て、右半分が少し上側にずれて、左半分が少し下側にずれている。

 

 これが何を意味するのかは分からない。

 

 頼みの綱の貂蝉も、この外史にはいないようだ。一度も会っていない。この世界の月について調べても、この世界では昔からああだった、という手詰まりな情報しか得られなかった。

 

「何をどうすればああなるのか…まったく、呆れてものも言えないわ。」

 

 愛紗、鈴々、朱里、星、翠、紫苑を除く他全員には、ここが俺のいた世界で、1800年後の世界だと説明してある。外史の説明をして、彼女達を不安がらせたくないし、俺の世界でないと言えば、今度は足場が不安になるだろうということで伏せることにしたのだ。

 

 つまりあの月は、過去の戦争が原因でああなったことにしてある。あんな意味不明な事象まで俺達で背負い込むことに、いささか不満がないでもなかったけど。

 

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「それはそうと、一刀。実家に戻るの?」

 

「電話聞こえてた、よね。」

 

「この家にいて、聞こえない場所をむしろ教えてほしいくらいだわ。あんなに怒鳴って、近所に迷惑だといい加減学習なさい。」

 

 はい、おっしゃる通りです。

 

「全員で?」

 

「その予定。じいちゃんもかなり楽しみにしてたし。」

 

「………まったく、私達の都合も考えなさい?まあ、お世話になっている身だから、贅沢は言えないのだけれど。」

 

「ごめんなさい…。」

 

「そこで落ち込まれても困るわよ…。ま、予定は早めに決めておいてね?こっちもなるべく調整するから。」

 

 そう言うと華琳は部屋に戻っていった。部屋で桂花が待っているらしい。

 

 ん?待っているってことは、桂花が部屋にいることを知っていてここにいた?ってことは、つまり焦らしプr…ゲフンゲフン!

 

 ともあれ、俺も部屋に戻ろう。

 

 俺は、もう一度だけ、不思議な月を見上げてから部屋に戻った。

 

 今日はもう休もう。

 

 そして俺は布団にもぐったすぐ後に、それが不可能だということを知ることになる。

 

「…なぁ〜ご。にゃぁ〜〜…。にゃご。」

 

 お、おぅ…恋よ、その破壊力抜群の猫耳と尻尾はどうしたんだい?何?星が用意してくれた?これを着ければ絶対無敵?………星、グッジョブだ!

 

 翌朝俺は、見上げたんだ。なぜかおかしいくらい、黄色い太陽を………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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あとがき

 

ども〜、心は永遠の中学二年生です。

 

いかがでしょう、なるべく日常っぽく仕上げたんですが・・・

 

私の伏線は長いから、色々な伏線を敷いても、回収は時間がかかります・・・

 

私は現在、絶賛迷走中です!!

 

6月中に次書けるかなぁ・・・?

 

あ、璃々ちゃんの友達、誰だかわかりました?

 

当然元ネタは軽Oんです!

 

ごめんなさい、名前思いつかなかったんで、ネタに走りました・・・

 

あと、アニメもネタに走りました・・・

 

・・・ところで、ハムと猿どうしよう?

 

考えてるパターンだと、ハムと猿はストーリー進行上必要n「影薄くて悪かったなッ!!」

 

ぎゃ〜〜〜!!!!ハムさん!?!?!?!?

 

「ハム言うなッ!!私には公孫s」ではではまたの機会に〜(逃走)

 

 

説明

どうも〜
ごめんなさい!
遅くなっちゃいました!!

なんか書いてて、説明文が長すぎる気がする・・・
どうしよう?
今回は面白い自信がいつも以上にない・・・!!
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