暁の食事処 第11話 |
水鏡side
私は卯時の初刻頃にいつも目を覚まし、みんなの朝食を作ります
顔を洗うためと台所にいくために廊下を歩きながら昨日のことを思い出していました
あの少年.....朱里を助けてくれたあの旅人と名乗った少年
道に迷っていたところを助けたと言っていましたが......
どうにも腑に落ちないです、確かに助けたというところは
本当でしよう、しかし道に迷っていたに違和感を感じます
朱里は塾で一番、二番を争うほど頭がいいですそんな子が
考え事くらいで道に迷うでしょうか?朱里に聞いても「紅蓮さんのいうとうりでしゅ」
の一点張りでした、まあ本人が無事ならいいでしょう
でも一番不思議なのはあの少年です、朱里に10歳と聞いたときは
驚きました確かに体格は10歳そのものですが纏っている
雰囲気はとてもでは子どもに纏えないほど落ち着いていて、何事にも
動じないような雰囲気でした、そのほかにみたことない剣を
2本持っていました、そのせいか私は最初、彼に警戒心を抱きました
しかしすぐに考えを改めました、あの少年の目をとうしても
悪意や恐怖は伝わって来ません、なにより人見知りな朱里が真名を授けた
人です、それだけで信用するには充分でした
そのようなことを考えていると
「491、492・・・・」
とあの少年の声が庭から聞こえきました
紅蓮side
私はいつも4時ごろに自然に目が覚める
昨日のことは予想外だったがもういい、別に急ぐ旅でもない
そう思い廊下に街で買った手拭いを持ち出る、辺りはまだ薄暗い、庭を見ると近くに井戸を
見つけたので顔を洗う、
「さて、何をするか・・・・・」
このまま黙って出ていく選択もないことはないが晩御飯を
ごちそうになり寝床を用意してもらったのに黙って出ていくのは
さすがに失礼だと思った、たとえそれがお礼だったとしてもだ
かといっていつもの日課としている鍛練をするにも刀は使えない
音でみんなを起こしてしまうのは悪い、なので腕立てや腹筋などの
基礎的なものでやろう、そう思いまず準備体操を始めた
1時間くらいたったくらいに片手で腕立てをしていると
後ろの廊下から気配を感じた恐らく水鏡さんだろう
私はあえて無視し
「499、500・・・・・」
私が、立ち上がり汗を拭いていると終わるのを待っていたように
「朝早くから、熱心ですね?」
「いつもの日課なだけだ」
私は振り向き答える
「それにしても片手で腕立てを500回もなんて・・・剣を持っていましたが
剣術かなにかを?」
「まあ、前に少しだけ習っていた、剣だって親の形見なだけで
今は使っていない」
嘘はあまりついていない使ってないは嘘だが今は師匠から習っていないし
刀も親代わりの師匠のをモデルにしている
「形見・・・・・・・・ということは」
「ああ、今はもういない」
実際には生きているかどうかすら知らないがこっちの方が都合がいい
「すみません無神経な質問をしてしまって.....」
申し訳なさそうに頭を下げる
「気にしないでくれ、もう過ぎたことだ」
自分を捨てた親に感じることはなにもない
「はい、....分かりました、私は台所で朝食を作りますので何かあったら声をかけてください」
「待ってくれ、私に朝食を作るのを手伝わせてくれないだろうか?」
私の突然の言葉に驚く水鏡さん
「そんなお客様にそんなこと.......」
「泊まらせてくれた礼だ、私のお願いということでどうだろうか?」
礼のこともあるが、この時代の台所に興味があった
「分かりました、ではついて来てください」
私は水鏡さんについていった
水鏡side
私は今隣を歩く彼に失礼なことをしてしまいました
あの年で親をなくしてあんな目ができるなんて、いえ
むしろ親がいないからあんなに強い目ができるのでしょう
強く生きようとする意志が感じられます
あんな目をした人はなかなかいないでしょう
そんな彼が作る料理がとても楽しみです
自分からいうということはそれなりに覚えがあるのでしょう
「楽しみにしてますよ、」
彼は表情を変えないまま
「期待にそえられるように善処しよう」
と言いました
紅蓮side
私は台所に入ると辺りを見渡す、
釜戸や七輪、木炭を火種にして加熱する転生前の世界でいう
コンロのような設備もあるし鍋や包丁もある
これなら大抵の料理はできそうだ
「さて、私は何を作ればいい」
「では味噌汁の具材の野菜を切ってくれますか.」
というと水鏡さんは人参、大根、じゃがいもを私に
渡す「了解した」と受け取るしかし、私の今の身長では台所に立てない
それを知っていたのかのように水鏡さんは台をおいてくれる
私は「すまない」といい台に立つ、これならちょうどいい
まず野菜を丁寧に洗う、思えばこの世界でまともな料理を
するのは初めてだ
その後まな板に置き包丁で一口サイズに切る
「さくっ、トントントン・・・・・・」
この世界の包丁は初めてだが案外変わらないものだすぐに手に馴染む
数分ほどですべて切りおわり手を止めると私の手際を見ていた水鏡さんは
「クスクスッ」と笑う、・・・・何かおかしなところがあっただろうか?
私が眉をひそめると
「すみません、あなたの手際がよすぎて何か意外でおかしくなって、男性で料理をする人は少ないのでつい......それに切り方も朱里たちが食べやすいようによりこまかく切っているのを見て何か意外で」
確かに転生前の世界でも圧倒的に料理は女性が多かった
それにしても........
「私はそんなに気遣いのできない人間に見えるだろうか?」
そんな私の言葉に水鏡さんはあわてて
「いえいえそんな!!、ただあなたの年でそこまでの気遣いができるのは
凄いというだけです」
という別に私にとっては普通だが......まあ間違ってないならいいか
「そうか、ほかに何かあるだろうか?」
「そうですねごはんと味噌汁は用意できますからあと豆腐はだけですし
......そうだ紅蓮くんは卵料理はできますか?昨日たくさんもらったんですが」
卵料理か.....応用が効くし料理の幅も広い、朝食に合うのとなると...
あれがいいだろうか
「問題ない、中華鍋と油と牛乳があれば使うがいいだろうか?」
「はい、牛乳はありますし構いませんよ、でも中華鍋と油と牛乳ですか?」
そうか、この世界では卵はせいぜい茹で卵が多いだろう
なので今から私が作るあれは珍しいかもしれない
「ああ、あまり時間はかからない料理だ」
私は中華鍋を強火に掛けるそして少量の油を引き温める
その間に卵を丸い容器に殻を割り中身を出す、長箸でよく
かき混ぜる、白身がなくなるまでやったあと
木炭を減らし中火程度にする中華鍋にといた卵を中華鍋に
ながし、くっつかないように引っ掻くように均一に混ぜる
途中で牛乳を入れたあと火を止め、皿に盛り付ける
「よし完成だな」
水鏡さんは私の料理に終始唖然としていた
「凄いですね!こんな卵料理見たことないです」
「味はみんなの評価次第だな」
転生前の世界の料理が受け入れられるか一つの挑戦だ
朱里side
私はいつも通り卯時の正刻に起きましたが少し寝不足です
何故なら昨日から紅蓮さんのことを思い出すと心がドキドキ
して眠れないからでした
でも紅蓮さんは今日行ってしまうでしょうなんだかとても寂しい
気持ちになります何でしょうかこの気持ち.....
そう思いながら顔を洗い食堂に行くと机に料理がおいてあり
ます味噌汁にごはんに豆腐が紅蓮さんを含めた人数分あります
まだ私意外誰もいません、ごはんはみんな一緒に食べることになっています
私が自分の椅子に座ると
「ああ、おはよう朱里」
「おはよう朱里」
大皿を持った紅蓮さんと水鏡先生が入って来ました
「お、おはようございましゅ」
とあわててしまいました
「紅蓮さんどうしたんですかこんな朝早くから」
紅蓮さんは大皿を置きながら
「泊めてもらった礼に朝食を作る手伝いをと思ってな」
「この卵料理は紅蓮くんが作ってくれたんですよ」
と大皿を見ながら水鏡先生が言いました
紅蓮さんの手料理.....何故か顔が赤くなりました
その後みんなが集まってきました
みんな大皿を見ています卵のいい匂いと美味しそうな黄色と
をしています茹で卵とはまったく違って見たことがないです
「今日は紅蓮くんが朝食を手伝ってくれました」
「私のわがままで作らせてもらった正直な感想を聞かせてほしい」
「じゃあみんないただきます」
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
私は紅蓮の料理を箸でとって口に運びました
お、おいしいでしゅ、こんな味初めてです
茹で卵とは違うおいしさでとてもふわふわしています
みんなも思わず無言になっています
「もしかしておいしくなかっただろうか .....」
と紅蓮さんが残念そうな顔をします
「ちがいましゅ、美味しすぎてみんな無言なだけです」
みんなも「うんうん」とうなずきます
「そうか、良かった口にあったようだな......」
「にこり」と紅蓮さんが初めて笑顔になりましたその笑顔に私だけでなくみんな
「ぽ〜〜〜/////」と赤くなりました
「みんな惚けてないで食べなさい!」
と水鏡先生に言われてみんな我に返りました
「紅蓮さん、これはなんていう料理ですか」
と私が聞くと
「・・・・・・・これは私が考えたわけでないがスクランブルエッグという」
「スクランブルエっえぐう」
「スクランブルエッグ、呼びにくいだろうからスクランブルでいい」
聞き慣れない発音に困りました、それにしても、
紅蓮さん料理うますぎです
説明 | ||
第11話です 卯時の初刻は朝の5時です 正刻は6時です |
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