真・恋姫†無双 裏√SG 第49話 |
士希視点
洛陽で友紀を回収し、咲希達と合流したのも束の間…
士希「フッ!」
徐福「!?ほぉ…」
転移を繰り返して敵の死角、死角へと回り込んで大剣を振ったにも関わらず、その攻撃は余裕で受け止められた
なんだこいつ?転移の速度について来るとか人間辞めてんだろ!
俺は受け止められたと認識するや否や、すぐ様転移を行使し、距離を取った
レーゲン『なんですか、あれ?士希さんを止めるとかあり得ないんですけど』
俺の中にいる相棒のレーゲンが驚いていた
士希『わかんねぇが、何百年も生きてる不老不死みたいな奴なんだろ?人間は間違いなく辞めてやがる』
レーゲン『うわぁ…勝ち目とかあるんですかね?』
士希『さぁな。それを見極める。レーゲン、サポート頼むぜ』
レーゲン『了解です!』
念話でのレーゲンとの会話を一旦打ち止め、目の前の敵に意識を集中させる。
武力は咲希並。魔力量だけは膨大な俺と同等の魔力量。
と言うより、身体全体が異質な何かで作られたような存在。
咲希が他者に「負ける」と思わせる恐怖なら、徐福は「勝てない」と思わせる恐怖。
似ているようで異なる二つの恐怖。
だが…
士希「勝てないって思うくらいなら、まだマシだろ」
「勝てない」ってだけで、「負ける」って理由にはならない。
もう一つ言えば、俺の隣には「負ける」と思わせる恐怖の体現者がいるんだ。
「負ける」事はない
士希『咲希、聞こえるか?』
俺は徐福ととてつもない死闘を演じる咲希に念話を飛ばす。
つか、なんだあの戦闘。本当に人間かよ。攻撃が目で追えねぇ…
咲希『あぁ?なんだ?つか、テメェも混ざれ!サボんな!』
士希『好き好んで死にに行くアホがいるか!?テメェに伝える事がある。これは友紀からの助言だ』
咲希『友紀からの?』
士希『あぁ。テメェが相手にしてるそこのバケモン。友紀が言うには完全な不老不死じゃねぇらしい。何度も致死性の攻撃を与え続ければ、いつかは死ぬんだとよ』
咲希『致死性の?……そういう事か。あいつ、一度は私が殺したが、普通に生きてる。つまりは、ライフのストックがあるって事でいいんだな?』
もう既に殺してたのかよ…
士希『あぁ。カンストしてねぇ事を祈ろうぜ!』
咲希『同感だな。いい加減飽きてきた。ってか、お父様に会いたくなってきた。士希、何とか出来ねぇのか?』
何とかって、ザックリだなおい。つか、相変わらずのファザコン的理由だな
さて、それを抜きにしても、俺も何度も殺すなんざ面倒臭すぎる。
それに俺も早く帰りたい。恋人が恋しいのだ
士希『レーゲン、アレやるぞ』
レーゲン『ですね。状況から見ても、あの化け物の不死性は異能の力みたいですし。やりましょう!』
俺はレーゲンの許可を取り、地面に大剣を突き刺した
見せてやろうじゃないか。神器の真の力を
士希『咲希、どうにかしてやる。その代わり、ここから先は念話が出来ねぇから注意しろ!』
咲希『あぁ!?何する気だ?』
士希『黙って見てな』
咲希視点
士希が白い大剣を突き刺すと同時に、士希との念話が途切れた
徐福「ほぅ?何をするつもりじゃ?面白そうじゃから待ってやるぞ?」
徐福はそう言いつつも、私への攻撃を止めない。
今も四方八方から攻撃が飛んでくる
咲希「あんまり私の弟舐めてると、痛い目見るぜ」
徐福「ほー!やはりアレは鬼の弟か!よく似ておるな!」
咲希「私とあいつは双子でな」
徐福「双子!それは珍しい!」
咲希「あぁそうだ。あいつと私は、未だ負け知らずでな。勝てない敵は居ないんだ。だからな徐福、お前は負ける」
徐福の攻撃が重くなる。どうやら挑発に乗ったようだ
徐福「言うではないか、鬼。お主は回復力はあるが蘇生は出来ない。余は回復も蘇生も出来る。この意味、わかるじゃろ?」
咲希「それをなんとかするのが、弟の役目でな。知ったこっちゃねぇんだわ」
徐福「なにを…!?」
ふと、士希が居た場所から一瞬だけ、異様なプレッシャーを感じた。
そのプレッシャーは直ぐに消えたが、刺さっていた白い大剣は漆黒に変色しており、その剣からは…
何も感じられなかった
徐福「奇妙な剣じゃな」
徐福の言う事はもっともだった。
どんな物にも、それに流れる氣の様な物が有るはずなのに、士希の持つ漆黒の大剣には何もない。
いや、有るにはあるのだが、それが何なのか、全くわからない
ただ、これだけは言える
あの剣に斬られるのは、間違い無く良くないと
咲希「!?」
士希に念話を飛ばそうと意識する。だが、それは叶わなかった
士希とのコネクションが消えた?と言うより、士希そのものから、魔力が全く感じられない。
一体あいつは、何をした?
士希「咲希!確実に徐福の隙を作れ!」
士希が大剣を構えて言った。
よく見れば、いつの間にか士希の姿も、普段の見慣れた、黒い短髪、茶色い目、そして黒いシャツとジーパンというスタイルになっていた。
背中にあった筈の羽根もいつの間にかない
考えられるのは、あの漆黒の大剣だが…
咲希「んなこたぁ、後で考えりゃいいな!」
私は動き出す。
士希に言われた通り、徐福の隙を作るために
徐福「どれ、その剣の性能、見せてみるがいい」
咲希「ッ!?しまっ!」
徐福はそう言って、直径5m程の魔力を帯びた球を士希に投げつけた。
それはまるで、野球の投球フォームの様で、そこから繰り出される球速も、200kmは越えていただろう
今の、魔力を失った士希では、防ぐ事は出来ても、捌く事は出来ない。そんな一撃だった。
私はそれを目で追うだけで、動けずにいた。
マズイと思った。
あんなものを士希が食らったら、四肢が吹っ飛んでダルマになっちまう!
だが、そんな私の予想は、簡単に裏切られた
士希「…」
士希はただ、真っ直ぐに大剣を前に突き出した。
なんの力も入れず、本当に突き出すだけだった
そして魔力の球が剣先に触れる
その瞬間、魔力の球が掻き消えた
咲希「!?」
徐福「!?なんと…」
私と徐福は揃って驚いた。
きっと、あの球をまともに受けたら、大型トレーラーが時速200kmで突っ込んで来るのと同じくらいの衝撃があった筈だ。
なのに、士希はそれを汗一つ流さず、まるでシャボン玉を割るかの如く容易く掻き消した
今の士希にアレを消す力はない。
なら、間違いなくあの剣が何かをした
徐福「………なるほど。その剣、異能を斬る事に特化しておるな?」
異能を斬る?………そうか、そういう事か
士希「おいおい、もう気付いたのか。こいつは退魔剣ゼウス。性能は…まぁ予想通りだと思うぜ」
退魔剣ゼウス。異能の力を斬る為の剣。
だからなのか。その所有者である士希自身からも、魔力が消え失せているのは。
いや、魔力源になってるものは生きてるが、そこから魔力が流れていないのか。
一見、非常に強力に感じられるが、リスクも大き過ぎる。
魔力が使えないということは、魔力による身体強化も出来ないと言う事。
だから士希は、私に徐福の隙を作る様に言った。
自分一人では、剣を当てる事すら出来ないから
咲希「なら、私がしっかりやってやるよ!」
私は徐福目掛けて氣弾を飛ばしつつ、脚に魔力を纏わせて近付いた
徐福「そうやすやすとヤられる気はないぞ!」
私が撃った氣弾は全て受け流され、それどころかそれを士希目掛けて投げ返した。
士希は咄嗟に気付き、回避行動を取った
避けた?何故避ける?あの剣で斬れば良かったものを…
徐福「んー?その剣、もしや…」
徐福が魔力ではなく、氣を収束し、それを士希目掛けてビームの様に撃った。
士希はそれを確認して飛んで回避するが、徐福のビームの追尾が先回りし、士希に直撃した
咲希「チッ!ベオウルフ!」
私は舌打ちし、魔力を帯びた渾身の蹴りを徐福に叩きつける。
徐福は片腕でそれを受け止めるも、ゴキンという鈍い音と共に、防御した腕を叩き折った
徐福「やりおる!じゃが!」
徐福は折れた腕を斬り落とした。
そして次の瞬間には再生されていた。
そしてそのまま、再生された腕で私の脚を掴み、私を投げ飛ばした
咲希「チッ!士希!無事か!?」
投げ飛ばされ、壁に激突する寸前で体制を立て直し、その壁に着地する様に止まる。
そのまま地面へと降り、士希に向かって叫んだ。
すると、瓦礫の中からガラガラと士希が立ち上がった
士希「こちとら、これくらいの砲撃を日常的に撃たれてたんでな!あいにく無事だ!」
どんな日常だよそれ
咲希「あぁそうかい!それより!テメェ、なんでさっきのビームは剣で防がなかった?」
士希「氣は異能じゃねぇ!自然エネルギーみたいなもんだ!自然にあるものは斬れねぇんだよ!」
そういう事かよ。
それで、徐福もそれに気付いて氣弾を撃ったのか
あまり、長期戦には持ち込めねぇな
咲希「なら、ケリつけるか。いけるな、士希?」
士希「当たり前だ。しっかりしろよ、咲希」
私と士希は近付き、拳をコツンと合わせた
咲希「私ら双子に」
士希「討てない敵はいねぇ!」
私と士希は同時に駆け出した。
士希は若干出遅れていたが、それは私が速過ぎただけだ。何の問題もない
徐福「ケリをつけるか!余はまだまだ物足りんぞ!」
徐福は私を迎え撃った。
士希の事など見ていないかのようだった
咲希「私はもう飽きた。さっさと終わらせて、お父様に甘えにいくよ!」
背中に背負っていた刀を引き抜く。
白く美しい刃に黒い魔力光が纏い、禍々しい姿を見せつけた
私の全力全開ってやつだ
徐福「!?これはいかん!」
徐福は咄嗟に防御体制に入ったが、武器も何もない、腕だけでガードしようなんざ、足りねえわな
咲希「瞬撃連華」
私は刀を全力で振るう。
秒間にだいたい10発。それを5秒。
合計50もの斬撃が徐福の四肢を斬り落とした。
どうやら徐福は魔力や氣を使って身体を硬化していた様だが、無駄だったな
徐福「むぅ!」
徐福は四肢を斬られながらも即座に再生し、少し浮いていた体制を立て直そうとする。
だがそれは、間違いなく出来た隙だった
グサッ
徐福の脚が再生され、地面に降り立つと同時に、徐福の胸にスッと、静かに黒い刃が生えた。
士希が徐福の背後に剣を突き刺したのだ。
その剣からは血が一滴も流れていない。
しかし、徐福は確かに、もがき、苦しみ始めたのだ。
その様子から、再生も、不死も、それどころか魔力すらも消え失せた事がわかる
咲希「遺言くらい聞いてやるぜ?」
私は刀をしまい、愛用のデザートイーグルを取り出し、膝をついた徐福の眉間に狙いを定めた
徐福「グフッ…クハッ…まったく…ようやっと、余も天に昇れる…」
そういう徐福の表情は、とても満ち足りたかのように、優しい笑顔だった
こいつは…きっと…
咲希「あぁ、今、送ってやるよ。士希」
士希はフッと笑い、頷いた。
それと同時に、突き刺していた剣を引き抜く
士希「DEAD」
咲希「END」
ダァン!
一発の銃弾が、満足気に笑う徐福の額に穴を開けた
説明 | ||
こんにちは! Second Generations複数視点 洛陽救出戦決着 |
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コメント | ||
あら?意外と早い決着ですね。もう少し粘ると思ってましたが(ohatiyo) | ||
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