英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート
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〜カレイジャス・ブリーフィングルーム〜

 

 

「ああ、その件ね。もしユーゲント皇帝夫妻がメンフィルの保護を受け入れれば、”紅き翼”のみんなにもそうだけど、正規軍にも無制限の補給の許可が下りる事になっているわ。」

「なっ!?む、”無制限”!?」

「し、信じられない……!」

レンの口から語られた驚愕の事実にレーグニッツ知事とアリサは声をあげ

「レン姫、どういったものを無制限に補給させてくれるんでしょうか?」

「そ、それに………もしかして補給をしたら、後で凄い高い利子がつくのではないんでしょうか………?」

ある事が気になったジョルジュとトワは不安そうな表情で尋ねた。

 

「補給をしていいのは食料に弾薬、武器、燃料、破損した兵器に必要な材料、その他もろもろ……まあ、さすがに戦車や機甲兵みたいな”兵器”はダメよ?勿論補給をしたら請求書も発行して渡すけど、支払はいつでもいい事になっている上、利子は0.1%もつかないから安心していいわよ。返済は1年――いえ、10年後でもいいし、何だったら100年だって待つわよ?パパ達”闇夜の眷属”は長生きだし。」

「ハハ………さすがに100年も借りる訳にはいかないよ。父上達を囮にする代償だけあって、私達にとっては魅力的過ぎる提案だね。―――ちなみに父上達はメンフィル領のどこに滞在する事になっているんだい?」

レンの話を聞いたオリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた後すぐに表情を戻してレンを見つめた。

「今日制圧したバリアハートよ。あそこなら”元”アルバレア公爵家の城館があるから、皇帝夫妻が滞在するにはもってこいの場所だしね。加えてバリアハートと隣接している三つの領地の内、ケルディックはメンフィル領、レグラムは”アルノール家”に味方をしている数少ない帝国貴族である”アルゼイド家”の領地なんだから、安全度で言えばユミルの次くらいだと思うわよ。帝都・トリスタ方面から領邦軍が来る場合も考えられるけど……帝都・トリスタ方面からバリアハートに進撃するにはケルディック要塞を超えなければならないから、どっち道帝都・トリスタ方面からの進撃も”不可能”と言っても過言ではないわ。」

「………………」

「占領した領地で保護するとか、陛下達に対する嫌がらせだとしか思えねぇぞ。」

レンの説明を聞いたユーシスが複雑そうな表情で黙り込んでいる中、トヴァルは厳しい表情でレンを見つめた。

「クスクス、さすがにそれは勘繰りすぎよ♪」

「なおバリアハートにはケルディックで臨時領主をしていたプリネ様達が移って来る事になり、以後バリアハートの元アルバレア公爵城館にて領主としての務めをされるそうです。」

「うふふ、リィンお兄さん達の”仲間”であるプリネお姉様達もいるんだから、”色々な意味”で安心でしょう?」

「それは…………」

「……彼女達ならば、父上達が過ごしやすいように最大限に配慮してくれるだろうし、メンフィルが心変わりをして父上達に危害を加えようとした際、メンフィルに内密で父上達を逃がしてくれる可能性もありそうだね。」

エリゼの説明の後に問いかけたレンの問いかけにリィンが複雑そうな表情をしている中、オリヴァルト皇子は僅かに安堵の表情をしながら呟いた。

 

「―――それともう一つ。エレボニア各地に散っている諜報員達の手によってメンフィル帝国が発行した新聞をエレボニア中にばら撒く事になっているわ♪エリゼお姉さん、シグルーンお姉さん。またお願いしてもいいかしら?」

「はい。」

「御意。」

そしてエリゼとシグルーンは手分けして新聞をリィン達に配った。その新聞の内容は要約すると以下のものであった。

 

 

1、貴族連合の数々の愚行によってメンフィルとエレボニアが戦争状態に陥ってしまった事

 

2、ユーゲント三世を始めとしたエレボニアの皇族達は全員オリヴァルト皇子率いる精鋭部隊によって救出された事

 

3、救出されたユーゲント三世は自らメンフィル帝国領内に赴いて、メンフィルとの和解に向けて交渉中との事

 

4、バリアハートとオルディスは既にメンフィルに制圧され、メンフィル領となった事。また制圧の際、貴族連合に加担した貴族の当主達が処刑され、それを後で知ったユーゲント三世は当主達の処刑並びにメンフィルによるバリアハート、オルディス占領を認めた事

 

5、ユーゲント三世を始めとしたエレボニア皇族達は貴族連合を”賊軍”と認定した事

 

6、メンフィルと交渉に向かったユーゲント三世に自分の代わりを託されたオリヴァルト皇子、セドリック皇太子、アルフィン皇女がそれぞれ内戦終結に向けて本格的に活動し始めた事

 

 

「………これは…………」

「……この内容がエレボニア中に知れ渡れば、間違いなく貴族連合に大打撃を与えるだろうな……」

「恐らく貴族連合から脱退する貴族達も出るでしょうね……」

「そりゃこんな内容の新聞を読んだら脱退したくなるよ〜。いきなり劣勢になった上、下手したら自分達までメンフィルに処刑されるかもしれないし。」

新聞の内容を読み終えたレーグニッツ知事は複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って呟き、クレア大尉は真剣な表情で考え込み、ミリアムは疲れた表情で呟き

「……こんなものまで既に発行していたという事は、最初からユーゲント皇帝夫妻を保護する内容の”妥協案”を呑ませるつもりだったとしか考えられないわね。」

「しかも嘘は書いていないから、余計に性質が悪いね。」

「フィ、フィーちゃん。」

セリーヌは目を細めてレン達を見つめ、ジト目で呟いたフィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいた。

 

「フフッ、戦争状態に陥った国にここまで御膳立てをされた内戦なんて、他には絶対にないでしょうね♪」

「むしろあったら、色々と指摘したいところがありますよ……」

「ア、アハハ……でも早く戦争が終わって欲しいと思う民達にとっては希望が持てる内容ですわよね。」

微笑みながら呟いたルイーネにリ・アネスは疲れた表情で指摘し、マルギレッタは苦笑していた。

「というかユーゲント陛下達の救出の件まで書いてあるけど……そのつもりだったら、陛下達を救出する際のあたし達に手を貸してもよかったんじゃないの?もし失敗したらどうすつもりだったのよ……」

「クスクス、そんな心配は最初から……―――あら?――――失礼。ちょっとだけ席を外させてもらうわね。―――こちらレン・H・マーシルン…………」

呆れた表情で自分を見つめるサラ教官の言葉に微笑みながら答えかけたレンだったが、通信の音に気付き、通信機を取りだして通信をしながら会議室から出た。

 

「父上……先程の”妥協案”、まさか呑むのですか……?」

「………………」

「お父様、わたくしの事を気にする必要はありませんわ!わたくしの場合はレン姫の仰る通り自業自得ですし、それにわたくしのせいでエリスが女学院を去るのにわたくしだけが女学院に通い続けるという厚かましい事なんて絶対にできませんし、そもそもエリスがいない学院生活なんて考えられません!だからわたくしもエリスと一緒に退学する所存です!」

「姫様……」

レンが一時退出すると心配そうな表情で見つめてくるセドリック皇太子の問いかけにユーゲント三世は目を伏せて黙り込み、ユーゲント三世を見つめて意見するアルフィン皇女をエリスは驚きの表情で見つめ

「俺も殿下と同じ所存です、陛下!御身が危険を晒す必要はありません!」

「ユーシス……―――…エリゼ、本当に他の方法はないのか………?」

アルフィン皇女の後に続くように意見をするユーシスをリィンは複雑そうな表情で見つめた後エリゼに問いかけたが

「申し訳ありませんがメンフィル帝国政府内での発言権を持っていない私では不可能です。私はあくまで専属侍女長。エレボニアを本気で滅亡させるつもりでいたメンフィル帝国政府に私がプリネ姫に提案した”救済条約”を採用して頂いただけでも、”奇蹟”と言っても過言ではありません。」

「リィンさん。エリゼは貴方の為に必死に考え、その案を採用する為にプリネ姫に嘆願したというのに、それ以上を望むのは貴方の為に陰で動き続けていたエリゼに失礼ですよ。」

「それは………すまない、エリゼ……」

「姉様…………」

エリゼとシグルーンの正論を聞くとエリスと共に複雑そうな表情で黙り込んだ。

「―――ですが、考えようによっては陛下達がメンフィルに保護される件の妥協案の方が内戦を終結させる一番の近道かと思われます。その案を実行できれば間違いなく貴族連合を衰弱させられますし、メンフィル軍も自国領を襲撃する貴族連合軍を迎撃して貴族連合の勢力を減らしてくれる上我々に無利子かつ支払期限を長期間待って頂くという形で、無制限の補給をして頂けるのですから。しかも話を聞く限り、陛下達の身もエレボニア各地で戦闘が起こっている今の状況を考えれば最も安全な地帯にいると言っても過言ではありません。」

「シャロンッ!!」

そしてその場で進言したシャロンをアリサは声を上げて睨んだ。するとその時レンが再び部屋に入って来た。

 

 

説明
第31話
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コメント
本郷 刃様 まあ今のアリサは自分にとって他人事ではない事ばかりメンフィルとクロスベルに突きつけられて心に余裕がないから仕方ないかと(sorano)
シャロンも色々と抱えていますからね、結社に居たということをアリサももう少し理解できるような気も・・・(本郷 刃)
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他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡U 

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