その頃、天空稲荷神社。

「お天さまー！お天さまってばぁ！」

「なんで逃げたりしたのよーっ！お願いだから出てきてよぉ！」

術式の失敗で身体が入れ替わってしまった唯と和美が、必死に叫びながら境内を歩き回る。

と、その時だった。

「いやぁ、待たせてごめんよ」

「お天さま！？なんであの時逃げたりなんかしたのよ！！」

「そうよそうよ！失敗したからってあんまりじゃないの！？それでも神様！？」

「だからごめんってば。逃げ出したりして悪かった。でももう心配いらないよ」

それでもなお、天洸をジト目でにらみつける唯と和美。

「うっ…信用ないな…」

「だって霊力もう使い切っちゃったんでしょ？」

「どーせ明日まであたしたちの身体は入れ替わったままなんでしょ？」

「まぁ聞きなって。たしかに『あたしの霊力は』使い切った。だけどまだ望みがある」

「はいはい、何を言ってもムダですよー…って、『あたしの霊力は』？」

「そ、それってどういう意味なのお天さま？」

「フッフッフ。この神社で巫女をやってるあんたらなら知ってるだろ？稲荷神社は全国に山ほどあるんだ。この天空市の隣にある森野中市にもね」

「そういえば、天空五大稲荷って聞いたことが…」

と、その瞬間天洸の背後から、別の妖狐が姿を現した！

「どうもー！森野中稲荷神社の祭神・常葉だよー！」

「「えっ！？常葉さま…って！？」」

「コイツが言った通りさ。森野中稲荷神社の祭神で、あたしの幼馴染なのさ。…常ちゃん、見ての通りだよ。今ここにいる女の子二人の心を元の身体に戻してやってくれ」

「まっかせて！さぁ二人とも、ここに並んでちょうだい」