リリカル東方恋姫外伝 ネギま編 第十二話 『売り言葉に買い言葉でも、どっちにしろろくな物じゃない』
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 ナギがナギ無双でアーウェルンクスたちを一掃していた頃。

 墓守り人の宮殿の外のでは混成部隊と神の使者とクズ転生者たちの空中戦が、さらに泥沼へと突入していた。

 

「くっそ!斬っても斬っても減らねぇぞこいつら!?」

「このままだと、ギリ貧になるわね…」

 

 苛立つスカイと、疲れ顔をみせるディープ。

 空中で二人はお互いの背中を合わせ、自分たち囲んでいる神の使者とクズ転生者たちを睨む。

 一刀たちが墓守り人の宮殿の突入して一時間以上。

 グラビティブラスの一撃と兵力の数で、味方陣が押していたが、時間が建つにつれ敵側の兵力が増えていき、いまは押される側になっていた。

 

「増殖とか分裂をしてないところ、どこかに彼らを召還してる魔法か装置があるはずよ。それを壊さないかぎり今の状況を崩せないわっ」

「分かってる!分かってるけど、手と人手が足りねぇ!」

 

 冷静に分析するディープだが、スカイには分かりきっていた。

 ただでさえチートな特典をもつクズ転生者を相手に、一般戦闘員や傭兵たちが戦ってるため、質的に負けており、戦艦やナデシコなど、怪我人や大破する船が続出して離脱する船などがあとがたたず、苦戦をしいらている今の状況下では、召還している場所を特定する時間がなかった。

 

「もはや、力が歴然。おとなしく世界と我が主ヴァビロンために、その命を差し出せ。さすれば、我らの奴隷にしてやってもいいぞ」

「誰がおまえらみたいなクソ蟲の親玉にっ、命を指す出すかよ!」

「世界の為とかほざきながら上から目線で私たちの世界を荒らす下種の言葉を素直に聞くとおもいで?」

 

 神の使徒(笑)が降伏しろと言い、スカイとディープは拒否する。

 

「そうか。…ならば、この哀れな転生者たちのおもちゃとなれ!」

「ひゃっはははは天龍を孕ませてやるぜえええええええっ!」

「龍田は俺の嫁だあああああああああ!」

「むしろ姉妹ともども専用の便所にしようぜキッシシシシシ!!」

 

 理性がないクズ転生者たちが、スカイたちの見た目で勘違いしながらも、欲望のまま二人に襲い掛かった。

 スカイとディープが武器を構えたそのとき、

 

「ドラゴンショット!!」

「壊れた幻想!!」

 

 二人の眼前に極太のビームと剣が横切った。

 クズ転生者たちは、極太のビームに包まれて蒸発し、または、無数の剣でめった刺しにされると同時に剣もろとも爆発した。

 

「ようやくこれたぜ!」

「二人とも、時間をかかってしまい、すまなかったな」

 

 スカイたちの眼前に現れたのは、左腕に赤い籠手がある筋肉マッチョと赤い礼装を纏とい弓をもつ、マサトと剣呉が小型船の飛行船に二人一緒に乗っていた。

 

「マサト!それに剣呉!」

「二人がいるってことは…もしかして…」

『はっははははは!ずいぶんまたせたスカイ、ディープ!』

 

 聞き覚えのある声が戦場に響くと、雲の中から艦隊が出現した。

 

『出向を邪魔をした大臣たちと貴族たちを潰して、帝国軍到着じゃ!』

「「姫様!」」

 

 テオドラが率いる帝国軍の艦隊であった。戦艦にはテオドラとタカミチも一緒であった。

 さらに別の声がスカイたちの耳に届く。

 

『援軍は帝国だけではないぞ!スカイよ!』

「この声…アリカ姫さま!」

 

 反対側の方角から別の艦隊は連合軍であり、アリカとガトウ、そして新しい仲間であるクルト=ゲーデルもいた。

 

『この状況で連合軍の奴らも本腰を動いてくれてな!ようやく駆けつけることができたぞ!』

 

 

 

 

 

 

 スカイたちが戦っている空域の下の地上。そこには神の使徒とクズ転生者を償還する魔方陣が雲の中に設置されていた。

 だが、地上はもはや銀世界というべきか、魔方陣と召還された敵が氷漬けにされ、氷の世界になっていた。

 

「フー…、たくっ、頭の上に千の武器がいるのに、なんで俺たちが地上で千の武器と紅い翼の尻拭いをしなくちゃいけないんだ…」

「しょうがないでしょうースモやん。なんたって世界の危機もとい宇宙の危機。正義の味方が手伝わなくてどうすんだ」

 

 氷の上を足場に、一服するスモーキーと青キジがいた。

 また、スモーキーのコブシや服に、神の使徒とクズ転生者たちの返り血がべっとりとついていた。

 

「スモやんっていうな。ちっ、この戦争が終わったら改めて千の武器を追いかけてやるっ」

「仕事熱心なことでぇ…。けど、こっちの仕事も集中してくれ。ほら来た」

 

 召還魔方陣の異変に気づきいたのだろう。青キジが指差した先から、くず転生者たちがこちらに飛んできた。

 

「せっかくの初の活躍の場面だ。悪いが神様だろうが主人公だろう容赦はしねぇ」

「うるせぇ!」

「たかが、人気マンガのモデルのオリキャラの癖して!」

「こっちとらチートなオリキャラだぁああああ!!」

 

 クズ転生者たちが一斉に青キジに向かって襲い掛かるが、青キジの表面が氷結すると、一瞬、クズ転生者たちが凍結し、氷に覆われた。その氷は山。彼らは、スカイたちがいる空域にまで届く氷山の一部となったのだ。

 

「お前らがの言葉はわかんねぇけど、これだけは言える。…―‐人の敷地(世界)を荒らすな。ゴミどもっ」

 

 青キジが、低い声でそう言った。

 この光景を見物しながらスモーキーがもう一本、葉巻を吸った。

 

 

 

 

 

 

「これが、連合軍三大大将の力…」

「一刀並みに化け物だぜ…;」

 

 目で確認が取れるほどの、氷結と冷気に、スカイとディープは青キジに戦慄した。

 唖然とするスカイたちだが、援軍と敵陣の召還を阻止したため、味方の陣は徐々に気力を取り戻した。

 

『戦闘区域にいる仲間に告ぐ!今発生してる空間の亀裂は俺たちがなんとかする!』

『空間専門の部隊をつれてきた!すぐさま崩壊した空間をふせぐが、それまで我が艦隊を護ってくれ!たのむ!!』

「いわれなくてもわかてるぜっ!」

「もうひとがんばりしましょうか〜!」

 

 アリカの言葉で、スカイやディープ、夜の偶像の三姉妹、クラインやエギルなど、士気が湧き上がり、敵陣を押し返しす。

 その間、戦艦にのった魔法使いたちは二軍に分かれ、一部隊は崩壊した空間の修正をし、もう一部隊は世界を無に帰す儀式を阻止のための反転魔法を準備した。

 逆境であったスカイたちが、援軍の登場でこ逆転した。

 

「どうだ、オイ。神の使者さんよ〜」

「形勢逆転だな」

 

 勝利を確信し、にやりと笑みを神の使者に見せびらかす、マサトと剣呉。

 プライドの高い神の使者は震えて怒る。

 

「お、おのれ裏切りもの転生者が!ゆるさん!全員まとめて削除する!」

「誰が裏切り者だ!人を操ったくせに、仲間みたいにいうじゃねぇよ!」

「従わないもの無理やり従わせた上に、従ったものの心を壊す悪事!さらに、神や世界を言い訳に、おのれの欲望を満たそうとするその腐った根性!醜悪とみた!貴様らの悪逆非道とは神の傲慢さ!絶対にゆるさん!」

「だまれっ!我ら神々の眷属が、たかが人間ごとにっ!」

 

 神の使者は激怒し、一斉にマサトと剣呉に襲い掛かるが、二人は小型船を前進させた。

 そして、

 

「「そっちが神でも、こっちとら主人公の味方だボケェエエエ!!」」

 

 神の使徒たちは極太ビームのドラゴンショット、炸裂弾の壊れた幻想の餌食となった。

 

「「「「ぎゃっぁああああああああ!?!?」」」」

 

 神の使徒というクズの断末魔が戦場に轟き渡ったらせ、二人を乗せた小型船は戦場を飛び回り、クズとクズを駆逐していく。

 

「あっははは、めちゃくちゃだぜあいつら…」

「うふふふふ、さすがわ一刀さんと並ぶチートキャラね〜♪」

 

 その活躍ぶりの、スカイは呆れ果て、ディープは微笑む。

 そのとき、墓守り人の宮殿で、赤い色の竜巻が飛び出し、竜巻と破壊が轟音が轟き、崩壊寸前の墓守り人の宮殿がさらに、崩壊する。

 

「な、なんだ今の竜巻!?」

「墓守り人の宮殿のほうよ!内部で一体なにが起こっているの…!?」

「剣呉。今のって…」

「いや。原作のほうとちがうな。おそらくナギのあたらしい力だろう…心配することはない」

 

 墓守り人の宮殿の異変に、スカイとディープなどが驚くが、原作知識をもつマサトと剣呉は冷静に推測する。

 その数秒後、墓守り人の宮殿で、爆発音が響きわたり、一部が爆発した。

 

「…あれは、まちないがいなく原作のほうだな…」

「なら、行くか…?」

「…そうだな。原作と違ったイレギュラーが起こってはかなわんかしな」

 

 

 戦場をスカイたちにまかせ、マサトと剣呉は小型船を進ませ、墓守り人の宮殿に向かった。

 

 

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 詠春たちが目をさますと、そこは墓守り人の宮殿のテラスであった。おそらく、なぞの巨大な光の塊に押されて、室外へ吹き飛ばされたのであろう。テラスが瓦礫と化していた。

 

「ぐっ、みなさん生きていますか…?」

「お、おう…」

「なんとか…」

「うむ…」

 

 ラカン、アル、ゼクトが返事するが、血まみれで倒れていた。

 眼前から迫ってきた巨大な光を、ラカンは気で強化した腕で、アルが魔法壁を、ゼクトは最強防御で防ぐも、結果はご覧のとおり、防ぐごとはできなかった。その証拠に、大量に血を流す大怪我。とくに、詠春は腹か大量に出血し、ラカンにいたっては、両腕が消し飛んでいた。

 

「ナギ…?遮那たちも…どこへ・・・・・・・――ッ!?」

 

 詠春は周りを見渡しすが、ナギ、遮那、一刀、リーファ、キョウスケの四人がなかった。

 嫌な予感をよぎり、詠春が必死にナギたちの姿を探すと、硬直した。

 前方に巨大な光の魔力を放った者がいたのだ。

 全身を黒いローブを纏い、フードで顔を隠してるため性別や身体特徴が捉えられないが、その者が放つオーラは、詠春の本能が危険と判断するのに時間がかからなかった。アルやゼクトも同じであった

 とくに、ラカンは目の前の存在に、勝つか負けるかの問題ではない。自分では絶対にかなわないと一目で理解し、恐怖した。

 

 

 

 

 

 

「「いってぇだろうが!」」

 

 その恐怖を、左右から飛び掛ったのは、頭に血を流す最強の魔法使いと最凶の侍が杖と長刀を振るった。

 

「ハッ!」

「トウッ!」

 

 さらに、フードの者の目線下から、リーファとキョウスケが姿勢を低くし黒刀・秋水と槍のグリフィンランスを突き放つ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ローブの者は微動せず、多重魔法障壁で四人の攻撃を受け止めるが、ナギの狙いは注意をそらすこと。

 障壁とロープの者の間の隙間に、半分以上に損壊したシルバースキンを纏った一刀が移転で現れた。

 

「…っ!?」

「あんがい綺麗な顔してるんだな誘拐犯…ッ」

 

 フードの下を覗きながら、一刀は右腕をくの字に曲げ、握り締めた拳の血管が浮き上がり拳がルビー色に変化した。

 

「北郷流格闘術・武曲の型!紅玉拳!!!」

 

 気で強化された血は血液操作で鋼鉄並の強度をもち、紅い拳が弾丸のように放たれた、ローブの者は反応できず、ローブを練りこませて、ローブの者は壁を壊して宮殿へと吹き飛んだ。

 

 

「やったか?」

「…駄目、逃げられた」

 

 紅い拳は摩擦と加速により水蒸気が立ち昇っていた。

 吹き飛ばされたローブの者の気配が感じない。おそらく、別の場所に転移し、その場を離脱したのだろう。

 

「ナギ!それに遮那たちも!無事でしたんですね!」

「まぁなッ。アヴァロデウスが衰退で攻撃を弱体化してくれなかったら危なかったわ」

 

 ちなみに、遮那は玄武で、キョウスケはクッションゼリーで、一刀はシルバースキンを防いだので無事であった。リーファにいたっては一刀がシルバースキンを被せたため、無事であった。

 しかし、ロープの者の魔法は強力だったため、衝撃で詠春たちと別にバラバラに吹き飛んでしまった。その証拠に、遮那とナギは頭を汚して血を流し、一刀のシルバースキンは高速修復不可能のダメージを受けたためボロボロ破壊され、核金に戻り、砕け散った。

 

「まさか、僕たち『創造主』の魔法を防ぐなんてね…君たち、もはや規格外を超えているよ…」

「…おっ、まだ生きてたのか白モヤシ野郎…」

 

 近くに、上半身しかないアーウェルクスが転がっていた。さきほどの魔法の衝撃で詠春たちのところまで吹き飛ばされたのであろう。

 

「でも、残念だけど君たちに勝ち目はない。なぜなら僕たちのような捨て駒と違ってまだ、最強の2人が残っている。せいぜい、絶望の中を抗いたまえ…千の呪文の男とその仲間、紅い翼…フッフフ…」

 

 そういい残しながら、アーウェルクスが光の粒子となって消えていった。

 

(原作と違ってアーウェルンクスシリーズ以外にまだ敵が…もしや、その2人の誰かがイレギュラーのヴァビロンか、その手下なのかもしれないな…)

 

 キョウスケが考えるが、まずは詠春たちの怪我を治すことを先決した。

 

「頼んだ。アリス!」

 

 ボンテージの女性の天使が出現した。これぞキョウスケが創造したホーリーの能力をもつガーディアンのアリスである。

 アリスはすぐさま、詠春たちを治療し、怪我が完治した。また、失ったラカンの両腕も元道理にもどった

 

「さすがキョウスケの能力ですね。治療魔法いらずです」

「怪我が直っても、魔力が回復しないから」

「ありがとう、アリス」

「………(ニコッ)」

 

 一刀がアリスに感謝をするとアリスは無言で頷き微笑み、消えた。

 キョウスケの創造する能力のため、本家と違って中身がダンディーな剣玉でなく、中身が女性なので、一刀は不思議な感じがした。その後ろで、リーファが疑いの目でみていたが、本人は知らないことであった。

 

「あの黒ずくめのヤロォ〜!よくも舐めた真似をしやがって!上等だっ!最強の二人もまとめてコテンパンにしてやる!」

「おい、ナギ!待って、アイツは危険だ!一旦、撤退して態勢を立て直したほうがいいって!」

 

 闘気を燃え上がらせるナギ。だが、創造主の危険を感じたラカンが必死に止めた。

 

「このオレを誰だと思ってるんだよジャック!無敵の魔法使いと世界を滅ぼす赤翼皇の魔杖だぜ!創造主だろうが神だろうがあんな奴、屁でもねぇ−−」

『overload』

「へっ?」

 

 突如、赤翼皇の魔杖が鳴るとナギがその場に倒れた。

 

「どうしたんですかナギ!?まさか先ほどの攻撃で怪我でも!?」

「ち、違う!なんか、か、体が…おもうように…うごけねぇ…ッ!?」

 

 まるで、神経が縛られたように指一本動かせなくなったナギ。

 詠春は赤翼皇の魔杖こと、アヴァロデウスに聞く。

 

「アヴァロデウスさん…これはいったい…?」

『…オーバーロード。飛躍で高次元にレベルアップした力がナギの肉体と魂の耐え切れないように、杖の力を強制解除するリミッターだ。そのため、力を使った分、反動で数分は体を動かせなくなる』

「そ、そんなこと初めて聞いたぞ!?」

『あたりまえだ。なにせ製作者が我をおまえに渡したとき、製作者が倒れたからな…』

 

 

 

 

 

 三日前の紅い翼の隠れ家、その地下の工房。

 ナギは工房の扉の前で、自分の新しい杖を製作するリズベットを待っていた。ほかのメンバーは仕事で出かけてるため隠れ家にはナギとリズベットの二人だけだった。

 扉の向こうから、大鎚のパルコーで金属を叩く音が聞こえてくる。そして、その音が止み終えると、扉から片手にパルコーと、真っ赤な杖を持ったリズベットが疲れた顔で出てきた。

 

「で、出来たわよ〜」

 

 リズベットが真っ赤な杖をナギに差し渡した。

 

「おぉおおお!かっこえぇえ!これが俺の新しい杖か!?」

「そう。天滅器…赤翼皇の魔杖。あんただけのワン・オフ・ウェポンよ」

 

 リズベットが赤翼皇の魔杖についての使い方を説明するも、ナギは赤翼皇の魔杖の出来栄えに魅了され生返事で答える。

 おそらく、耳に届いていないだろうが、リズベットは疲れのあまり、フラフラで気づいてはいなかった。

 

「でも…気をつけなさい。そいつはとんでもない暴れ馬だから、下手に力を使うとあんたの命にかかわるから、リミッターをつけといたわ。もしも、リミッターが発動すれば、反動が…―――」

 

 バッタン!

 

「リズ!?おい、どうしたんだよリズッ!?」

 

 突然、床に倒れこむリズベット、ナギが気づき、リズベットを急いで起こすも、

 

「Zz…Zz・・・・・・」

 

 リズベットが静かに眠っていた。そのことにナギが安心する。

 

「なんだ寝てんかよ。心配かけやがって…ったく…」

 

 よくみればリズベットのピンクの髪がボサボサで、目の下に大きなクマができていた。

 赤翼皇の魔杖の創作を徹夜で仕上げたのであろう。ナギはリズベットをお姫様抱っこで持ち上げてベットまで運んだ。その光景をほかのメンバーにみられれば、冷やかされることは間違いなし。とくに、アリカに見られれば、ややこしくなる。また、抱っこされた本人が知れば顔を赤くなるのは間違いないが、その本人はいまだに眠っていた。もっとも、その光景を知るのは床に置かれパルコーと赤翼皇の魔杖となったアヴァロデウスだけだった。

 

 

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 と、まぁ、ナギが三日前のことを思い出し、強制停止のオーバーロードについては、一言も出ていなかったことを確認し、体を動かすことはできず、ただ歯を噛み締めた。

 

「リズのや〜ろ〜!寝るなら、注意説明してから寝ろよ!」

『たとえ事前に教えようが忘れるだろう、おぬし』

「「「いえてる(ますね/な)」」」

 

 ナギの性格上、説明を聞いても、聞いてなかったもしくは忘れたというヘマをするのはアヴァロデウスでもわかりきっていた。そのことに、遮那、ゼクト、詠春の三人がうなずき、他は苦笑する。

 

「しょうがない。ナギが動けないなら、創造主の相手は俺がする。もともと、あいつにはアスナの借りがあるからな」

「駄目です!たとえ、最強であるあなたでも無茶です!せめて、ナギが回復するまでまったほうが…」

「…詠春…おまえ、大切なものを失ったことはあるか?」

「えっ…?」

 

 数秒のタメを作ると、一刀の雰囲気意が変わった。その表情はどこか悲しみと虚無感が覗いていた。

 

「こっちは数え切れないほど大切なものを失って悲しんだ。もう涙が枯れるほど泣いたこともあった。そんなどが長く、何回もあって、いつしか、俺の心が死んでいくを感じながら、失う恐怖でま切なものを背負うことをあきらめていた…それが、長い俺の人生だった」

「「北郷(一刀)さん…」」

 

 歴史の修正力、運命や宿命、世界の残酷さ、一刀の心と魂を束縛し、苦しませた存在。とくに、旅の途中で親睦を深めた親友や、愛した女性ができたとしても、旅人しての一生の別れがあった。それだけで一刀の心を魂を死なすには十分であった。

 まるで、すべての万象を映し照らす鏡のように、一刀はただ、世界の思い道理に動く人形に成り果てようとしていた。

 銀色の侍に会うまでは。

 

「けど、そんな人生を否定してくれた先輩が…恩師がいたんだ。俺と同じで、大切なもがあって、護りたいものがあって、そして、すべてを失った。なのに、その人は俺と違っって、護り続けていた。いつのまにか背負ってしまった大切なものを護るために、己と己の魂と信念を貫き通すために、俺の前に出て後ろにいる大切なものを護るために前へ進む」

 

 一刀の彼の――銀時の背中を、大切なモノを背負った背中を忘れたことがない。

 彼が放った言葉一文字一文字、忘れたことがない。

 彼が放つ鈍く美しい銀色の魂の光を決して忘れない。

 物真似だといわれれば物真似だろう。憧れの人の道を進みたいのは我侭だろう。

 

 

 それでも、一刀は彼が見ていた景色を、背負っていたモノを、美しい魂を、覚えている。

 だから、自分の鏡には、銀色の魂が反射して輝きだしている。

 まるで、彼の信念を、魂を受け継いだというばかりに。

 傲慢か都合がいい考えかもしれない。しかし、一刀は胸を張って世界に唱える。

 

 

――自分は坂田銀時の信念と魂を受け継ぐ『北郷一刀』だと。

 

 

「だから、俺も恩師みたいにする。たとえ一人になろうが、後ろに大切なものがある限り、後退しない。大切な友達を護るため、大切な義妹を助け出すためなら俺は前に進むっ」

 

 一刀のまっすぐな瞳に、遮那たちは、クスッと微笑した。

 

「なにが一人でいいだ。俺をなめるなよ一刀!」

「気持ちはわかるが、俺たちも、簡単に護られている気はないぞ」

「どこだって、一刀さんの隣にいるよ、あたしたち♪」

 

 キョウスケは腕を組んで、リーファは素敵な笑みで言った。

 その顔に一刀の顔が滅びると、急に激痛の顔に変わった。

 原因は一刀の足元だった。

 

「一刀!おまえだけ、おいしい場面をもっていかせるかよ!俺もぜってぇにいくぞ!」

「わ、わかったからスネを噛むを止めて!?痛いって!?」

 

 動けないナギが一刀の足のスネにかじり付き、一刀がぶんぶんとナギを払おうとする。

 

「…たく、面倒をかけやがって」

 

 ラカンが近寄り、ナギを一刀を引っぺがして外すと、ナギを背中に背負った。

 

「おいおい、ビビッて、動けなかったんじゃなかったのかジャック?」

「へっん!たしかに、あのローブの奴には勝てねぇが、あってもねぇ敵二人に怖気づいて逃げたら、最強のジャック=ラカン様の名折れだ。…この命、てめぇに預けたぜ…一刀」

 

 一刀の言葉にあのラカンは心を打たれ、魔法世界人であるため創造主の恐怖でいっぱいで戦う気が失ってたはずだったが、今では戦意が静かに燃え出していたさらに。一刀に自分の命を預けるといいだした。これにはナギやほかのメンバーも驚く。が、すぐに微笑みに変わり、笑みがこぼれた。

 

「フッフフ、なぜでしょうか?創造主を倒すことは不可能と思ったのに、一刀さんが前に出るだけで、不思議と不可能な敵に向かって一歩ずつ歩けそうに思えてきます」

「そうですねぇ…これが一刀さんのカリスマか、もしくは一刀さんの力というものですか…ならば、私たちもこうして待つわけにはまいりません」

「そうじゃのぉ」

 

 アル、詠春、ゼクトも一刀の言葉で絶望に挑む勇気が生まれた。

 と、そこへ小型船が頭上から降りてきた。

 

「だったら、俺たちも」

「手伝わせてもらおうかっ」

 

 小型船に乗ったマサトと剣呉が一刀の横に飛び降りた。

 

「マサト、剣呉!?」

「事情はさきほどの話でわかった。イレギュラーの敵は俺たちが相手する」

「俺たちがおまえらを無事にラスボスの下まで送ってやるぜ」

 

 マサトと剣呉の参戦で、士気が上がる紅い翼。

 すると、ナギが、動かない首を無理やり動かして一刀のほうへ振り向いた。

 

「一刀…今からおまえは、オレのリーダー代理で、オレたちのリーダーに任命する!」

「…えっ?」

「「「「「マジで…ッ!?」」」」」

 

 ナギの言葉に、またもや紅い翼は驚愕した。

 なにせ、自己中心的で目立ちやがりやで、おちゃらけが人の形にしたようなナギが、リーダーの代理を一刀にまかせたのだ

 一刀以外の全員のリアクションにナギが「そこまで驚くことか?」とぼやく。

 

「いいのかナギ?俺がリーダー代理やっても?」

「あったりまえだ。だいたい、捕まった姫を助けるのは勇者か姫の兄の務めって相場が決まってんだ。だったら、ラスボスを倒して姫を助け出す権利があるのはおまえだだけだぜ。お・に・い・さ・ん♪」

「…そうか。なら、リーダー代理、引き受けた…!」

 

 不敵な笑みで言うナギの言葉に一刀は決心し、遮那たちの顔を見ると、全員、リーダーの号令を待っていた。

 

「いくよ皆!」

「「「「「「「「「「オーッ!!!」」」」」」」」」」

 

 心がひとつになった一刀たちは、アスナが囚われている宮殿の奥へと進んだ。

 

 

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「フッハハハハハハハ!よくぞ参った!!貴方らを歓迎するぞ」

 

 一刀たちに前に立ち塞がったのは、なにやらロンゲで殿様のような格好をした男だった。

 威風堂々のように笑うも、その男から発させらる狂気と殺意は隠されてはいなかった。その男の顔に一刀とキョウスケはまさか、という顔になった。

 そして、男は名乗りを上げた。

 

「オレの名は第六天魔王ッ織田信長!!貴方らを黄泉へ導く魔王なり!」

「信長!?戦国時代、あの非道で女子供も容赦はしない武将ではないですか!?たしか本能寺の変で死んだはずですよ!?」

「しれたこと、この世界の創造主が、我の力がほしさに本能寺から我を連れ出し、仲間に引き入れたのだ。早々なにやら不死の秘術を施されたが、この力なかなか良いものだ」

「なな、なんと!?」

「まさかの歴史の裏で織田信長が創造主に助け出された上、不死の術を与えれ今を生きてるとは歴史的の大発見ですよこれは…!?もっとも、敵側にまわってしまったのは歴史的に痛いですが…;」

 

 衝撃の歴史の真実に日本史が知ってる詠春とアルがとくに驚いた。

 

「一刀!ここは俺の任せて、お前たちは先にいけ!」

「あの有名な織田信長と戦えるとはなぁ、おもしろい!俺も受けてたとう!」

「うなるぜ筋肉〜っ!」

『魔王をぶっとばすのは俺の専売特許だ』

「京都神鳴流として、人の道を外れたものを見過ごせません!」

「終わったら後で追いかける!今は先を急げ!!(まさか、サムライティーチャーkyoの信長が出てくるとは…キョウの能力をもつ遮那なら問題ないと思うがイレギュラー対策のために付き添ったほうがいいな)」」

「それじゃーまかせたよ!!」

 

 信長の相手を遮那たちにまかせ、一刀たちは先を進んだ。

 

「にがさん!」

 

 信長が刀を抜き、先頭を走る一刀に襲い掛かるが、遮那が天狼でとめた。

 

「悪いが、俺たちと付き合ってもらうぜ魔王さんよ…」

 

 ギリギリと刀と刀の間に火花が散り、二人は一旦離れた。

 

「ほほぉ、どうやら我とおなじうつけとみた。…よかろうっ。貴様らを倒したのち、残りの奴らもあの世に送り届けてやろうかっ!」

「あの世に先にいくはあんただ!ゾンビ野郎!!」

 

 遮那、キョウスケ、マサト、剣呉VS第六天魔王織田信長

 

 

 

 

 一方、信長を遮那たちにまかせた一刀たちが次に立ち塞がれたのは、金髪でエルフの王みたいな青年であった。

 

「よくきたねぇメッキの勇者たち。ここまでこれたことをほめてあげるよ」

 

 爽やかな青年の声でほめるが、どこかナルシストのようなものを感じ、いかにも、人を見下したようなものの言い方であった。

 

「…なんかあいつの声、ナギの声に似てなくねぇ?」

「オレはあんな、いかにも三流で顔芸がひどくて、ビビリ君みたいな奴と同格にすんなっ」

 

 中の人つながりでメタをいうラカン。ベッシと、ラカンにおんぶされたナギがラカンの頭を叩いた。

 たしかに、ときより、通常の顔と嫌な顔が極端に違いすぎるため、顔芸といわれて当然だと、一刀は苦笑した。

 さらりと、悪口を言われた青年は微動して振るえ、表情を歪ませるもすぐさま、余裕のある表情に戻った。

 

「もっとも、この僕妖精王オベトロンにあたった時点で、君たちの運命はもはやきまったの当然!所詮、世界の創造主が作った人形。作り主である所有者に従っていればいいんだよ。あっ、でもそこにいる女の子は別。僕とおなじ妖精で、しかもエルフのハーフなんてレアだし、僕の専用奴隷にしようかな?毎晩、おっぱい枕で寝たり、満喫したり…あぁ、想像しただけで、興奮しちゃうよ〜ふっふふ」

 

 そう言って、にやにやと顔を歪ませて笑うオベトロン。いや、変態妖精。

 はっきりいって、その表情はキモかった。

 

「……一刀さん。悪いけど先にいってて。あたし、お兄はいないのなんでかお兄ちゃんの仇みたいな気持ちになっちゃってて、もう、あいつを絶望のドン底に叩き落したいっ衝動で抑えれない!」

「そ、それならどうぞどうぞ…(もしかして器の肉体がオリジナルのリーファと繋がったのかな…?)」

 

 リーファが、ゆっくりと三本の刀を抜く。その瞳には光がなく濁っていた。

 おそらく、モデルであるブランコ妖精の影響でも受けたのであろう。なにせ、オリジナルの世界で兄と兄の嫁が散々、泥棒の王にひどい目に合わされたのだ。そのことに一刀は同情を禁じえなかった(ちなみに、そのブランコ妖精もちゃっかりフラグを立てているのだが、一刀とご本人は鈍感だったため波乱は起きなかった)。

 

「…オイ、ナギ。もう歩けるまで回復したか?」

「あぁ、なんとかな。ここまでおぶってくれたおかげで、体力もそれなりに回復したし」

「だったら、ここから先は自分の足で歩いてくれ。俺はあの好青年の皮をかぶった三流をぶちのめす☆」

「…OK☆」

 

 オペトロンの言葉に、逆鱗を触れたのは彼女だけではない。

 背負っていたナギを降ろしたラカンは☆の形に目を光らせてコブシをボキボキと鳴らした。

 

「うふっふふ、では私も同席しましょう」

「うむ、さすがのワシもカッキン☆ときたわ」

 

 同じく、アルとゼクトも、表情を出していないが内心、オペトロンの言葉と性格に吐き気がし、怒りがこみ上げていた。

 

「うんじゃーまかせた」

「気をつけるんだよ、リーファ」

 

 そして、ナギは杖を突きながら早歩きで、一刀はリーファの傍から離れナギと一緒に、ラスボスがいる場所へむかった。

 その反面、オベトロンは追いかえることはしなかった。

 

「僕を無視していくなんてたいした度胸だねぇ〜千の呪文に千の武器?まっ、いいさ。どんなに足掻こうと、君たちおもちゃが僕たちには勝てn――」

「リーファキック!」

「ぶっへ!」

 

 勝者の余裕と傲慢を見せるオベトロンに、リーファが容赦なく、オベトロンの顔面をドロップキックした。

 オベトロンはそのまま後方へ飛ばされ、地面にバウンドしながら着地する。

 すると彼が起き上がると、地面にポツポツ自分の鼻から鼻血が落ちていた。

 

「鼻血!?僕が血を!ぐっ、よくも僕の顔に傷をぉおおおおおおお!?ゆるさい!!絶対にゆるさないからな!」

 

 先ほどの余裕と傲慢を打って変わってプライドを踏まれて、子供のように激怒し、ヒステリックに叫ぶ。

 そんな、彼にリーファは鼻で笑った。

 

「フンっ!見下してるあなたに最初だけ言っておく。あたしたちを舐めたら後悔するよ!」

 

 二本の刀を抜き取り、後ろのラカン、アル、ゼクトと共に戦闘隊形をとった。

 

 リーファ、ラカン、アル、ゼクトVS妖精(変質者)王オペトロン

 

 

 

 

 

 

 とあるベランダ。そこは『世界を無に帰す儀式』の中心であり、儀式の核とされたアスナが拘束されている場所でもあった。

 もっとも、アスナの姿がない。あるのは、壁やゆかりにびっしりと敷き詰められた巨大で複雑な魔方陣と、中央の巨大な黒の球体。そして、球体の上で黒きロープを纏う創造主がいた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・来たか…」

 

 この場に来る足音が聞こえてくる。

 また「で戦えるかナギ…?」と「赤翼皇の魔杖の力は使えねぇけど、普段の力とオリジナル魔法があれば十分だ」という、青年の声が二つ創造主の耳に届く。

 そして、創造主の眼前に、二本の長刀を持った白いコートの青年と、真っ赤な杖を肩に置く赤いコートの青年が現れた。

 

「…異世界の訪問者、そして、赤き英雄よ。おぬしらに問おう。なぜ、我の邪魔をする。これは世界を救うもっとも確実な方法で、もっとも絶対なる選択でもあるのだぞ?」

 

 創造主がそう言うと、二人は「そんなもの決まってるだろう」という目で、片や長刀で、肩や杖の先を向けた。

 

「「テメェのやり方が気にいらねぇからだ!はた迷惑な自己満足の思考放棄馬鹿!!」」

 

 その言葉を合図に、世界を無に帰す儀式の中心が、魔方陣と刀と杖と魔力と気が飛び交う戦場へと変わった。

 紅い翼と完全なる世界による最後の戦いは、こうして切って落とされた。

 

 

つづく

 

説明
今回は原作とちょっと違ったオリジナル展開です。

新しい敵が二人出てきます。

それではどうぞ
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