英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート
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その後機甲兵達を戦闘不能にしたリィン達は双龍橋に突入し……陽動班が自分達に援軍が来ないように出入り口を守っている間に、フィオナを探し回った。

 

その結果フィオナは司令官室にて囚われ……リィン達の登場に焦った領邦軍の司令官は領邦軍が利用している軍用魔獣の中でも一際強い軍用魔獣をリィン達にぶつけたが、リィン達は協力してそれらを撃破した。

 

切り札である軍用魔獣が撃破した事で自棄になった司令官はフィオナに剣の切っ先を突きつけてリィン達を牽制しながら新たな軍用魔獣を呼んだが、そこにナイトハルト少佐が駆け付けて電光石火の速さで軍用魔獣を撃破した後司令官を無力化した。

 

こうして”双龍橋”の攻防は最小限の戦闘をもって幕を閉じ……リィン達は無事、フィオナを救い出すという目的を達成した。

 

その後、第四機甲師団は”双龍橋”を占拠することとなり……司令官が拘束され、頼みの綱の人質であるフィオナまで救出された事を知り、心が完全に折れた領邦軍は正規軍に投降するか、その場から逃亡をした。

 

正規軍に投降した兵士達は双龍橋の牢屋に幽閉されるだけで済んだが……逃亡した兵士達はメンフィル領を抜けてエレボニア領を目指していた為、既に国境で迎撃態勢を取っていたメンフィル軍によって”殲滅”されてしまい……逃亡した兵士達を追撃していたクレイグ中将率いる”第四機甲師団”は国境に到着後メンフィル軍を率いるサフィナにメンフィル軍に敗走兵の後始末をさせてしまった事を謝罪し……その償いとしてメンフィル軍によって”殲滅”された逃亡した兵士達の処理等を受け持った。

 

双龍橋を占領した正規軍がそれぞれ動き回っている中、補給の為にケルディックに向かうリィン達はクレイグ中将とナイトハルト少佐、そしてフィオナに見送られようとしていた。

 

 

〜双龍橋〜

 

「士官学院の皆さんも……危ない所を助けてくださって本当にありがとうございました。」

リィン達と改めて対峙したフィオナは頭を深く下げて感謝の言葉を述べ

「まさか皇太子殿下と皇女殿下にもご尽力いただけたとは……このクレイグ、どのようにしてご恩に報いればいいのやら……!」

クレイグ中将は申し訳なさそうな表情でセドリック皇太子とアルフィン皇女を見つめた。

 

「僕達は”皇族”として、当然の事をしただけです。」

「ふふっ、中将。どうかお気になさらず。」

「えへへ……本当によかったです。」

セドリック皇太子達と共にトワは微笑みながらクレイグ中将達を見つめた。

 

「はは……」

「みんなの勝利、だね。」

「はい♪」

「兄様や皆さんの御力になれて、よかったです……」

「フフ、お見事でしたわ。」

「ああ……この勝利は君達の活躍による勝利。存分に誇っていいと思うよ。」

「フフ……学生主体でこれ程の成果をあげるなんて、本当に驚きました。」

”第3の風”としての初めての勝利にリィン達が喜んでいる中、エリスは静かな笑みを浮かべ、シグルーン達は微笑みながらリィン達を称えた。

 

「それにしても、少佐。タイミングが良すぎませんか?ずっと第四機甲師団から離れて別行動だったんでしょう?」

「たしか帝国西部にも行ってらっしゃったとか?」

ナイトハルト少佐が現れたタイミングを思い返したサラ教官は苦笑しながらナイトハルト少佐に尋ね、マキアスも続くように問いかけた。

「ああ、第七機甲師団を始め、各機甲師団との連絡を取っていた。昨日、フィオナお嬢さんがこちらへ移送されたという情報を聞き―――取り急ぎ駆け付けた次第だ。」

「ナイトハルトさん……どうもありがとうございます。」

「いや……当然のことをしたまでです。」

リィン達に対してはいつものような雰囲気で答えていたナイトハルト少佐だったが、フィオナに話しかけられると堅苦しい雰囲気を若干柔らかくしてフィオナと接していた。

 

(あれれ、なんかイイ雰囲気?)

(照れてるね、あれ。)

その様子を見ていたミリアムは目を丸くし、フィーはジト目になり

(うふふ、将来はひょっとしたら結ばれる事になるかもしれないわね、エリス♪)

(ひ、姫様……お二人に聞こえたらどうするのですか?)

興味津津な様子で二人を見つめるアルフィン皇女の小声を聞いたエリスは冷や汗をかいて指摘し

(うーん………昔からの知り合いではあるけど。)

(まあ……そうなんですか。)

エリオットの小声を聞いたセレーネは目を丸くした。

 

「コホン……しかしナイトハルト。独断専行とはお前らしくないな?フフ、良い意味で軍人としての柔軟性を身に着けたようだ。」

愛娘と見つめ合っているナイトハルト少佐の様子を見たクレイグ中将は咳払いをして自分に注目させた後ナイトハルト少佐の動きを想い返し、苦笑した。

「いえ……今回については奇妙な導きもありまして。砦への進入路が判明したため思い切った次第です。」

「奇妙な導き……?」

ナイトハルト少佐の話を聞いたクレイグ中将は眉を顰め

「そ、それって……」

「……もしかして。」

エリオットとフィーはナイトハルト少佐の言葉から自分達が双龍橋を超える際に出会ったフードの男を思い出した

 

「まさか……怪しげなフード姿の男ですか?」

「ああ、その通りだが。なんだ、お前達の知り合いだったか?」

リィンの問いかけを聞いたナイトハルト少佐は目を丸くして尋ねた。

「い、いえ……知り合いというわけでは。」

「わたくし達もナイトハルト少佐のように、フード姿の殿方の”奇妙な導き”によって双龍橋を越えてガレリア要塞跡に向かう事ができたのです。」

「怪しさ満点ね。」

マキアスとセレーネはそれぞれ戸惑いの表情で答え、セリーヌはジト目になって答えた。

 

「ふうん……?ちょっと気になるわね。」

「……あくまで推測になりますが、皆さんにとっては”敵”ではないと思われますわ。」

「確かにそうだね。話を聞く限り、我々の手助けを陰ながらしているから貴族連合の手の者ではないだろう。」

眉を顰めているサラ教官の言葉にはシグルーンの推測にパントは頷いた。

 

「ふむ―――まあとりあえずはいいだろう。今後、この双龍橋は第四機甲師団が管理する。後の事は我らに任せておぬしたちは出発するがいい。そうだ、補給の為にケルディックに寄った方がいいと思うぞ。確かおぬしらもメンフィル帝国領内での活動の許可は降りているのであろう?」

「父さん……うん。」

「物資も不足しているのでそうしようと思います。」

クレイグ中将の言葉にエリオットとトワはそれぞれ頷いた。

 

「今回は結果的に、正規軍と連携する形にはなったが……それでも、お前達が”第三の風”として活動するのは意義があることだと思う。陰ながら応援させてもらうぞ。」

「少佐……ありがとうございます。」

「フフ、お互い頑張りましょう。フィオナさん、またね。」

「ええ……!皆さんもお気をつけて!」

こうして――――リィン達は双龍橋を後にした。そしてそのままメンフィル帝国領であるケルディックの町に立ち寄ることになり―――物資の補給がてら町の様子などを確かめる事にしたのだった。

 

フィオナがリィン達”紅き翼”に救出され、双龍橋が正規軍に占領された日の夜、内戦終結に向けて西部で活動をしていたオリヴァルト皇子はある人物と接触する為にトヴァルと共にセントアーク市の遊撃士協会の支部を訪れていた。

 

 

 

説明
第41話
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