いぬねこ!10〜鳥飼さん誕生日SS〜2015 |
いぬねこ!10〜鳥飼さん誕生日SS〜2015
「ごほっごほっ」
「大丈夫、ひばり?」
「うん、大丈夫。ちょっとむせただけ」
相変わらず寝込むことが多い私は毎度のようにベッドで寝てさっちゃんはベッドに
背中を預けて本を読む、そんな光景が広がっていた。
最近は前と比べると学校に行ける回数が増えたこともあって嬉しかったのだが・・・。
こうしてさっちゃんに面倒をかけさせているようじゃまだまだかな・・・。
具合悪いときはいつも悪い方向に前向きな考え方をしてしまう私。
かなり言葉に矛盾はあるけど、実際に言葉として浮かばせるとそうなってしまうのだから
どうしようもない。
「ごめんね、さっちゃん・・・」
「どうしたの、いきなり」
本を読みつつも私の一つの行動、言葉をちゃんとキャッチしてくれている。
本当は読むのに集中できていないんじゃないかって心配になるくらいだ。
「二人で一緒に出かけられることもなくて、ずっと家でお見舞いさせちゃって」
「何を今更」
「ですよね〜」
お互いに離れられなくなるくらい、長い付き合いで好きあっていて。
キスもしてみたこともあったけど、それ以上は・・・私の体力だと死にそうになったから
今後しないようにしたんだっけ。
熱でボーっとしながらこれまでさっちゃんと一緒にいたことを思い出していた。
その9割以上は家の中での出来事だった。私自身普通の人並にさっちゃんと
デートできたらよかったのにと少しは思ったりもしたけど。
最近は本当に無いものねだりしても仕方ないと悟るようになっていた。
私はそれでもいいけれど、病気でもなんでもないさっちゃんはつまらないんじゃないか
そういう不安はずっと過ぎっていた。
けれど、素っ気無く見えてもさっちゃってすごく優しい子だから・・・。
つい甘えちゃうんだ。
ベッドから伸ばした手をさっちゃんが優しく繋いでくれる。
少し感覚が麻痺していてもその感触を得るととても気持ちが穏やかになっていくのが
わかっていく。
「あのね、ひばりが何を考えてるかわからないけど、私は一度もここにいて嫌だと
思ったことないわよ。別に外でデートできないくらいで不満なんか抱きはしないわ」
「さっちゃん・・・」
「・・・調子に乗るからあまり言いたくはなかったけど、こうしている時間も私は普段
溜まっているストレスの癒しになってるんだから、思い切り甘えてきなさい」
「うん・・・ありがとう・・・」
「あ、でも。普段面倒なことするひばりには大変な思いはさせられてるけどね」
「うっ・・・ごめんなさい・・・」
本は既に下ろしているが、姿勢や視線はそのままで。私に背中を向けながら
話すからさっちゃんの顔が見えなくて少し不安だったけど優しい言葉をかけてくれて
気持ちが落ち着いていた。
さっちゃんがこっちに向かないのも多分お互いのこういう表情を見るのが
恥ずかしいだけなのかもしれなかった。
昔から二人共変わらず、片や恥ずかしがりや。片や捻くれや。それでもずっと
手を取りながら歩いてきたのだから。
私は笑みを浮かべて後ろ姿のさっちゃんを見ながら言葉にしないでお礼を言った。
多分言葉にして言ったらさっちゃんはどう反応していいかわからずに
困ってしまうだろうから、敢えて口には出さなかった。
こうやって私はいつものように彼女の優しさに甘えてしまうのだろう。
でもお互いに気持ちを確かめた時にはさっちゃんの覚悟も感じていたから
私たちはそれでいいのだろう。
無理に普通を望まなくたって私たちなりの幸せさえあればそれで・・・。
今までもこれからも、ずっと二人で支えながら。時に口喧嘩もしながらも
長く二人で人生を歩んでいくに違いない。
そう思うと気持ちも楽になって気付けば私は眠りに落ちていた。
何か夢を見ていた気もしなくもないが、おそらくは幸せな夢をみていたのだろう。
なぜわかるかって?
それは後にさっちゃんが起きた私に幸せそうな顔をしていたって告げていたからね。
お終い
説明 | ||
自分が病弱で相手のことを思いながら長々と考えるSSw原作の鳥ちゃんは後ろ向きなことに大してポジティブに考えがちですが(矛盾)頭の中では時々こういう風に考えてたりするのかなぁとか妄想してみますた^q^ イラスト→http://www.tinami.com/view/785481 |
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