艦隊これくしょん とある島の戦闘目録(バトルインデックス) |
何処までも晴れ渡る蒼き大空。
地平線の先まで広がる生命の源たる海。
地平線の先まで広がる海を遮る物は何も無い。
………彼女達を除いては
「クッ…………ロ級!舵ヲ切ッテ!!……ニ級!左舷カラ魚雷!!面舵!!」
そう叫ぶと呼ばれた二隻が反応する。次の瞬間、一隻の元の進路上に幾多もの水柱が上がり、もう一隻の方の至近を魚雷が通過する。
「ハ級!撃タナクテイイ!!ソレヨリ全速デ進ンデ!!」
反撃しようとして反転しかけるハ級を呼び止め、前進を促す。
「ヲヲッ!!……ヲッヲッ!!」
「ヲ級…判ッテル。私ハマダ大丈夫ダカラ」
ヲ級が僅かとなった艦載機を飛ばして、飛来する敵艦載機を迎撃している。
「ヲヲヲッ………ヲヲッ!?」
だが、飛来する敵艦載機の物量と性能に押されてしまう。
ドオオォォォォッン!!
駆逐棲姫達の周囲に幾多もの水柱が上がる。一撃でも喰らってしまったなら、幾ら姫級の駆逐棲姫でも一堪りもない。
「駆逐棲姫。貴女ハ危険デ異端ナ存在ダ」
駆逐棲姫達の後方から彼女等を追ってくる異形───戦艦水鬼はそう言った。
距離は離れていたが、その声はハッキリと駆逐棲姫に届く。
「貴女ノ考エヲ我々ハ受ケ入レル事ハ出来ナイ」
戦艦水鬼がそう言って手を翳すと、周囲のタ級と戦艦水鬼の艤装に装備されている20inch砲と16inch砲が火を噴く。
数舜後、又も砲弾の雨が降り注ぎ幾多もの水柱をあげる。
「クウウ……」
水柱の勢いに堪らず顔しかめる。
──────受け入れられない考え──────
深海棲艦の考え方ではありえないこと。彼女は思ってしまったのだ。
───アア………戦イタク……無イナァ……───
本来ならば、深海棲艦が持ち合わせていない感情。
戦いたくない。争いたくない。それは深海棲艦にとって負の感情とも言える。
その感情を持ってしまった。そして、その感情を共有してしまった。
でも、何故────────
「クッ!?アアアアアァァァァァァ!!?」
一瞬の思考に気を取られ、砲撃の一つが機関部に命中する。
「ヲヲッ!!……ヲヲヲッ!!?!?」
ヲ級が反転して来ようとするも、雷撃と急降下爆撃によって阻まれる。
「判ラナイ。何故貴女程ノ方ガソノ様ナ考エヲオ持チ二ナッタノカ」
戦艦水鬼はすぐそこまで迫って来ており、その主砲は完全に駆逐棲姫を捉えている。
「我等ガ姫、泊地棲姫ノ命二ヨリ………光ノ届カヌ深淵ノ底ヘ…………沈メ」
その主砲から凶弾が今にも放たれる。結局、何も出来なかった。彼女に着いてきてくれた他の艦も、途中で助けた輸送船も。何も出来なかった。その思いだけが彼女の心に残る。
「(セメテ……モウ少シ……生キタカッタナァ)」
彼女は目を閉じて凶弾が放たれるのを待つ。
そして─────────………………
ズガアアァァァァン!!
「────エッ………」
物凄い大音量と共に戦艦水鬼の後方で水柱が上がる。水柱の衝撃波で反射的に駆逐棲姫は目を瞑る。衝撃波と水飛沫が身体のあちこちに当たり、当たった感触と水柱の勢いから、余程の重量のナニかがあったのだと思う。
勢いが収まり駆逐棲姫が恐る恐る目を開けると、戦艦水鬼の後方に控えていた二隻の戦艦タ級が艤装を破壊され目を回して倒れていた。
「バカナッ!?一体何ガ───────ッ!?アアァァァァァ!?」
二回目の風切り音と共にナニかが迫り、一瞬の内に目の前に居た戦艦水鬼が吹き飛ばされる。
「ヲヲッ!!ヲヲヲッ!?」
「ヲ級…私ハ大丈夫ダカラ………ソレヨリ、サッキノハ…………」
安否の確認に来てくれるヲ級に言葉を返しつつ、先程の現象を思い出す。
風切り音。上がる水柱。吹き飛ばされる戦艦水鬼。
「マサカ……艦砲…射撃?」
そう言って辺りを見回すが、砲撃を行ったと見られる艦艇は一切見えなかった。
「ヲ?……ヲヲッ!ヲヲッ!」
「?……空?…………ア……」
ヲ級が何かに気付いたらしく、その白い触手の一本を空ヘと掲げている。駆逐棲姫も釣られて上を見上げると、空に浮かぶ雲の中に一瞬だがキラリと光物を見た。
「戦艦クラスノ観測射撃……」
それならば説明がつく。上空に観測用の航空機を飛ばしてその観測情報より砲撃を行えば、例えこちらを目視で確認しなくとも水平線の陰から砲撃出来る。
だが何故、と駆逐棲姫は思う。深海棲艦で駆逐棲姫の考えに賛同してくれたのは、ここに今着いてきてくれた者達だけの筈。駆逐棲姫、ひいては深海棲艦の敵である艦娘の砲撃ならば、何故第二射で動くことの出来ない私を撃たなかったのか。
そう思っていると、駆逐棲姫の艤装にある無線にノイズが走る。
<<ザザッ………あー、あー、駆逐棲姫さん?聴こえてる?>>
「ッ!?……アア…聴コエテイル……オマエハ一体………」
<<説明は後でするわ………生きたいなら、そこから北北東に進路を取りなさい。貴女達の撤退を支援するわ…>>
無線から流れて来るのは明らかに艦娘の声だった。だが、その声を聴くと何故か安心するような感覚に陥ってしまう。
「ヲヲヲッ…ヲッヲッ」
チラリとヲ級を見ると、ヲ級は私の行動を尊重してくれるらしい。他の駆逐艦達も同じだった。
なら、駆逐棲姫がとる行動はたった一つ。
「……判ッタ、貴女ノ言葉ヲ信ジル…全艦北北東二進路ヲ!!全速デ進ンデ!!」
駆逐棲姫達は見知らぬ艦娘からもたらされた一筋の希望に己が命運を託す。
<<彩雲1より美桜さんへ。駆逐棲姫艦隊は北北東に進路を取りました>>
「了解。彩雲1はそのまま待機して。彩雲2から5、状況報告よろしく」
<<こちら彩雲2。現在、空も海も異常なしです>>
<<彩雲3同じく>><<彩雲4、なにもいないよー>>
<<彩雲5、いじょうなし>>
「了解。引き続き周囲の海域並びに空域の警戒をお願い。何かあったら直ぐ教えて」
<<<<<了解!!>>>>>
美桜は彩雲各機からの現状を報告してもらっていた。駆逐棲姫は私の言葉を信じてくれたらしい。
<<こちら彩雲1。戦艦水鬼旗下の艦隊が行動を再開しました。敵空母ヲ級からの艦載機発艦を確認。艦戦14、艦爆23、艦攻21です>>
「初撃で空母を外したのは一寸不味かったかな………彩雲1、敵艦載機に発見されない様に注意。ムリそうなら撤退してもいいよ」
<<大丈夫ですよ。敵艦載機をもってしても、彩雲の足には追い付く事は出来ませんから>>
「でも無茶はしないで。貴女達を一人も失いたくはないから」
<<了解しました>>
彩雲1の嬉しそうな声を聞きながら、次の策を開始する。
「主砲一番から三番、羽衣弾装填!続いて四番から六番、煙幕弾装填!両方とも信管を遅延信管に切り替え!!」
────了解。一番から三番、羽衣弾装填。四番から六番、煙幕弾装填。信管を遅延信管に────
「彩雲1!敵艦載機並びに戦艦水鬼艦隊の位置情報送れ!!」
<<敵艦載機北北東に進路!敵速120km/h、密集陣形をとっています!!貴艦との距離およそ27km!戦艦水鬼艦隊はその後方4km、敵速29km/h!>>
「了解、各砲塔各角調整!」
────了解。一番左へ0.003、二番上角0.002、三番修正無し────
────四番から六番、下角1.34。四番左へ0.32、五番同じく0.12、六番右へ0.42。修正終了────
────トリガータイミング、アドミラルへと譲渡します────
彩雲からの情報が艤装に伝達され、艤装が唸りを上げて動き出す。左右の砲塔は微妙に角度を変えながら、己が目標を喰らんと確実に狙いを定める。
「一番から三番っ!ってー!!続いて四番から六番っ!ってー!!」
閃光に続き轟音が響き渡る。各々の砲門から放たれた砲弾は放物線を描きながら戦艦水鬼艦隊と敵艦載機の迫って来る方角へ消えていった。
────砲弾、予測線上を通過中。着弾まで3……2……1……着弾、今────
「こちら草薙、彩雲1状況報告お願い」
こちらからは何とも言えなかったので、直ぐに上空の彩雲1に確認を取る。
<<こちら彩雲1。両弾頭炸裂確認!敵艦載機は艦戦1・艦爆2・艦戦1以外は墜落。残存機は撤退しましたっ!戦艦水鬼艦隊の周囲に煙幕弾着弾確認!艦と艦の間で衝突発生の模様!煙幕の間から少し火の手が見えます!>>
上々と言った結果だった。戦艦水鬼達の行き足は止まっており、既に駆逐棲姫達は水平線の陰に隠れて戦艦水鬼達からは見えていない。
「了解。状況終了!彩雲偵察隊は島に撤収、女神さんに入渠準備をするように言っておいて」
<<<<<了解!>>>>>
レーダー上で彩雲偵察隊が島に撤収し始めるのを確認すると同時に、水上レーダーに陰が映り始める。
「さて、お姫様達のお迎えね」
ゆっくりと主機を動かしながら、私は駆逐棲姫の方へと進んでいった。
戦闘記録
戦艦水鬼艦隊VS駆逐棲姫&戦闘空母 草薙
戦艦水鬼艦隊編成
戦艦水鬼
戦艦ル級×2elite
空母ヲ級flagship
雷巡チ級×2elite
駆逐棲姫艦隊編成
駆逐棲姫
駆逐艦イ級flagship
駆逐艦ロ級elite
駆逐艦ハ級elite
駆逐艦ニ級elite
空母ヲ級
戦闘結果
勝者 駆逐棲姫艦隊&戦闘空母 草薙
被害
戦艦水鬼艦隊
戦艦水鬼 中破
戦艦ル級×2elite 大破
空母ヲ級elite 大破(船体は無傷)
雷巡チ級×2elite 中破
駆逐棲姫艦隊
駆逐棲姫 中破
空母ヲ級 小破
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第三話〜姫艦隊救出作戦〜 | ||
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