桜雨天風(おううあめのかぜ)その6?静かな夜?
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 静かな曲が室内に流れている。落ちついた色調の部屋にあうように選曲されている。

 年代物のレコードプレーヤーから流れる音は、普段はとても心地がよいくが、今日はどうにも落ちつかなかった。

 

 いつも溜まるカフェの地下にあるバーカウンターで、タバコを吹かしアルコールと戯れていた。

くわえていたタバコを外して吸い口を、レッドアイの入ったグラスにつける。

そして、またタバコを吹かす。

 

「なにやってんの、またくお昼とは別人だね。」

 

 吹かす、つけるを繰り返していたら、カウンターから、佳織が話しかけてきた。

 

「まったくだ、自分でもおどろいてる。」

 

 そういい、グラスを手にして飲み干した。

 

「アンタらしいけどさ、どうするの?」

「どうするもこうするも、待つしかないでしょ。」

 

 佳織は意外そうな顔した。

 

「ふ?ん、あの話し方だと蹴ってでもて感じがしたけど。」

「あのな、俺そこまで傲慢じゃないよ。それに文がどちらを選んだとしても協力はする。」

「安心した。やっぱりそうか。突き放す分けないって思ってたけど、言葉で聞くまでアンタの場合不安だからね。」

 

『コツ』

 

 目の前に血のように真っ赤な新しいカクテルがおかれた。相変わらずのタイミングだな。

 そう思いながらカクテルに手を伸ばした時、佳織が神妙な面持ちで聞いてきた。

 

「で、文さんがもし覚悟決めてきたら、アンタはどこまで踏み込むつもり?」

 

どこまでかて、そんなの決まっている。

 

「お前が今、考えている通りかな。」

 

 佳織は驚きもせず、アンタらしいよって顔していた。

 

「人の人生に踏み込む以上は、それぐらの覚悟しないとな。」

 

カクテルを飲みほし、タバコの火を消した。

 

「佳織、俺そろそろ、帰るわ。明日仕事だし。まぁ仕事が手につくかどうか分からんけど」

「いつも、手についてないから変わらないんじゃないの。クビになんないようにね。おやすみなさい。」

「はいはい、じゃな。」

 

 店の外にでると、夏のにおいが漂っていた。

 

説明
 どこかで起きていそうで、でも身近に遭遇する事のない出来事。限りなく現実味があり、どことなく非現実的な物語。そんな物語の中で様々な人々がおりなす人間模様ドラマ。
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小説 桜雨天風 

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