恋姫OROCHI(仮) 参章・壱ノ陸 〜繋ぐ-孫呉・越後〜
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「……ですって」

 

春日山の上段の間には、雛や小蓮も含め、主だった者は全員集まっていた。

上段の美空は書状を読み終えたると、書状から視線を外し、周りを見渡す。

 

「あぁ、愛菜……愛菜ぁ〜…」

 

美空の視界には、未だに百面相を続ける秋子が映る。

と言っても、ひたすら哀の中でぐるぐる回り続けてるだけなのだが…

元々、書状は秋子が読んでいたのだが、愛菜の件で激しく狼狽してしまい、仕方なく美空が引き継いでいた。

 

「もう!しっかりなさい秋子!あなたがそんなのでどうするのっ!?」

 

さすがの美空も我慢の限界だった。

 

「し、しかし御大将…愛菜が……」

「大丈夫、秋子。書状にも、無事って書いてある…」

「そっすよー。陸遜のおっぱい見て、秋子さん思い出して泣いてるだけみたいっすから、心配ないっすよ〜」

「そうは言っても……あぁ〜〜!!」

 

頭を抱えて大きく身悶えする秋子。

揺れるおっぱいを横目で見ながら、小蓮はきつく歯噛みをする。

 

「それにしても、周公瑾は凄いわね。先に聞いていた詩乃の計画に加える形で、戦術面とか、かなり詳細が詰められているわ」

「ふふんっ!ウチの冥琳は凄いんだから!」

 

自国の軍師が褒められて、機嫌が直る小蓮。

 

「やっぱりウチにも軍師欲しいわね〜。頼みの筆頭家老がこれじゃあねぇ〜〜?」

 

未だに身悶える秋子にも聞こえるよう、大きめの声で皮肉交じりに美空が言う。

 

「…さすがに、周公瑾や陸伯言と比べられても困りますよぅ。御大将…」

 

一応は応える秋子。

 

「確かにそっすねー。っていうか、そもそも御大将に軍師はいらねっすし」

 

戦術という点で見れば、そもそも美空が戦国有数の逸材なので、軍師が必要があるかと言えば、無い。

戦略面で見ると、確かに長尾には必要かもしれないが、美空は気まぐれで動くことが多く、そもそも美空自身が軍師のような人材を必要としてこなかった。

秋子も軍師というよりは宰相といった方が近い。

 

「うちに軍師がいないのは、御大将が悪い…」

「悪いっすねー」

「はい〜…」

「うっさいわね!分かってるわよ!言ってみただけじゃない!」

 

切れる美空。

 

「あははははっ…」

 

その光景。いつもの越後を見てコロコロと小蓮が笑う。

 

「あんたたちって、本当に面白いわね。美空なんか、お酒は呑まないけど、雪蓮お姉ちゃんにソックリ!秋子も大変よね〜」

「分かって頂けますか!?小蓮さん!」

 

しばらく春日山で過ごすうちに、小蓮と長尾衆はすっかり仲良くなり、真名も許すようになっていた。

小蓮生来の性格も手伝ってか、既に軽口も叩ける間柄であった。

 

「分かるわよ〜。ウチの冥琳もそれはそれは苦労してるわ。うん」

 

冥琳の頭痛の種の半分くらいは小蓮自身なのだが、それは棚に上げる小蓮。

しかし、そんな彼女に天罰が下る。

 

「大体お姉ちゃんは…むぎゅっ!」

「あぁ〜!ありがとうございます!小蓮さ〜ん!!」

「むー!ぐむむーっ!!」

 

喜びのあまり、小蓮を抱きしめる秋子。

顔がスッポリと胸に谷間に埋まる。

さらに、抱き心地が似ていたのか、その状態で再び愛菜病が発症。

 

「愛菜ぁ〜〜〜!!」

 

それはもう、強く強く抱き締められる。

小蓮は憎き巨乳の谷間で、少しずつ意識が遠くなるのを感じていた。

 

「秋子さん秋子さん!正気に戻るっすー!小蓮落ちちゃうっすよ!」

「はっ!?」

 

慌てて柘榴が小蓮を引き剥がす。

 

「大丈夫っすかー?小蓮」

「あぁ〜…ごめんなさいね、小蓮さん!大丈夫ですか?」

「うぅ……」

 

焦点が合ってきた小蓮の目に飛び込んできたのは、大きな脂肪の塊が正味四つほど。

落ちるより過酷な光景だった。

一気に意識を戻された小蓮に、

 

「…ていうか御大将、実は大酒呑み」

 

松葉がボソッと呟く。

 

「え?」

「ちょっと松葉!」

「顔色一つ変えず、強いお酒を水のように流し込む姿は……恐怖」

 

と、表情一つ変えずに顔を青くする松葉。

 

「そうですね。家中の者でも付き合うものはほとんどなく、部屋でお一人、手酌で飲んでいる姿は見ていられませんでしたね」

「秋子!なんであんたがその事を知ってるのよ!」

「あ〜……」

 

言うんじゃなかった、と渋い顔をする秋子。

やがて観念したように口を開く。

 

「御大将に少々用事がありまして、夜中にお部屋の方へお邪魔したことがあったのですが…障子の隙間から御大将のその寂しげなお背中が見えまして…

 涙を拭いながら、その日は帰りました」

「寂しげに見えたんなら、声くらいかけなさいよねっ!」

「でもスケベさんと出会ってからは控えてるんすよね〜。さすがのスケベさんも引くかもしれないくらい呑むっすから」

「ぐっ……」

 

声に詰まる美空。

 

「だからスケベさんが武田に取られちゃった後は、スゴかったっす〜…」

「そうでしたね。越後再統一の戦勝祝いのときは、酷かったです…」

「公方さまを……潰した」

「あ、あれは…一葉さまが飲み比べしようって誘ってきたから…」

 

公方さまって?と首を傾げる小蓮に柘榴が、皇帝とか王様みたいなもんす、と教えると、

 

「……これじゃお姉ちゃんより酷いじゃない」

 

と零し、小蓮も溜息を一つ。

 

「あぁ〜もう!とにかく!!これで空と愛菜を助ける目処がついたってわけ!」

 

話が大きく脱線していたので、バンバンと書状を叩いて、強引に話を元に戻す美空。

 

「雛は引き続き剣丞たちや孫呉との繋ぎをお願い。秋子は物資の確認を。柘榴と松葉は兵の鍛錬をしておきなさい。くれぐれも、敵に感づかれないようにね!」

「「「応っ!」」」

 

 

 

 

 

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こうして越後、剣丞、孫呉の三勢力が繋がった。

 

敵が仕掛けた二虎競食…いや、龍虎競食の計を破るための反転攻勢が、始まる…

 

 

 

 

 

説明
どうも、DTKです。
お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、57本目です。

孫呉・長尾に仕掛けられた計略が明らかになり、それを元に剣丞たちは両者と繋ぎを取ります。
本格的に動く前の、若干の閑話休題をお届けします。
今回は越後のお話です。


この後、本編だけでなく幕間として戦国・三国を入り混ぜた拠点フェイズのようなものを考えています。
もし、見てみたい組み合わせやシチュエーションなどありましたら、是非コメントなどでお知らせ下さい^^
まだ出ていない娘でも構いません。
随時募集しております。

なお、実際の地形や距離とは異なった表現があります。
その辺、お含み置き頂ければと思いますm(_ _)m
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コメント
正宗サンさん>面白い試みだと思いますが、今のところ予定はありませんね^^;(DTK)
センリさん>そこは女の子の恥じらいというやつでしょう。大事な人がいるからには、正史のように呑み過ぎる事もないでしょう^^(DTK)
ラズリードさん>それはまた…恐ろしい勝負となりそうですね^^; 平和になった後に、開催されるかもしれません!(DTK)
スネークさん>危険な香りがしますね…他に霞や星を混ぜるのも危険ですw(DTK)
いたさん>また上手いことを仰いますね!今後も是非お楽しみに^^(DTK)
どうせなら本家キャラも出て欲しいです。(正宗サン)
剣丞は美空が大酒呑みでも引いたりしないだろう。むしろ彼は美空が飲み過ぎで死なないか心配になるだろう(センリ)
自分としては美空と雪蓮の飲み比べを見てみたいな。戦国きってのウワバミと三国きっての呑兵衛の勝負となりゃかなりトトカルチョが儲けられるし(ラズリード)
これは…美空と雪蓮と祭と桔梗を同じ部屋に置いちゃいかんな…地獄よりも酷いことになってしまうww紫苑を入れれば多少セーブ…しないな…(;´Д`)(スネーク)
『龍虎競食の計』が………徐々に『龍虎協蝕の計』に………。 どうなりますか、楽しみですね!(いた)
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