恋姫無双 袁術ルート 第十話 平和 
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第十話 平和

 

 

黄巾党との戦いに勝利した俺たち。武力を持たずに制圧した俺たちの風評はかなり良好になり、大陸で俺たちのことを知らない人間はいないようになった。

どのような策を使ったのかと、近くの豪族たちは謁見を求めて聞いてくる。しかし、これは雪蓮たちにとっても黒歴史なので策は言わなかった、

 

問題の黄巾党の構成員たちだが、そっくりそのまま吸収・・・・・・とはいかなかった。罪を犯した連中は焼印を押し、強制労働の刑に処し、大した罪を犯さず、ただ状況に流された人たちは帰郷させ、結局余ったのは五万に満たなかった。

 

囚人たちはいくつかの不満を愚痴っていたが、月に一度の天和たちのコンサートを約束すると言ったら、喜んで俺たちに従ってくれた。

 

今、俺たちはつかの間の平和を堪能している。

 

「平和だな〜・・・」

「そうですね〜・・・・・」

「暇じゃ!」

 

俺と七乃さんと美羽は今、中庭でのんびりくつろいでいた。

 

「美羽。何贅沢なこと言っているんだよ。この時間こそが至福の時なんじゃないか。」

「そうですよ、お嬢さま。今のこの時間を大切にしましょうね。」

「む〜・・・・」

 

俺と七乃さんはこの平和な時を満喫していたが、美羽は暇だったらしい。

その時、七乃さんがある事を思い出したようだ。

 

「そういえば、ついこの間、市に新しいお店ができたんですよ。」

「新しい店?どんなの?」

「はい、以前、一刀さんが余った税金で作った例のお店ですよ。」

「へえ!ついにできたんだ。良かったな、美羽。」

「ふえ?・・・・・いったい何ができたんじゃ?」

「忘れたのか?おまえが欲しいって言っていた店の事だよ。」

「おお!ついに出来たのか!?」

 

俺たちの言っている店は、美羽が駄々をこねて無理やり作らせたもの。『ハチミツ専門店』である。大陸中から質のいいものから、珍しいものまで取りそろえている、まさに美羽のための店であった。

 

「よし、じゃあ早速行ってみるか!」

「うむ♪」

 

そうして俺たちはその『ハチミツ専門店』に足を運んだ。

 

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『ハチミツ専門店』、美羽が我がままを言って作らせたものだったが、この時代は甘いものはそれなりに高級で一般人は簡単に食べられるようなものではなかった。それをお手ごろ価格で販売しようと思い作ったのがこの店である。

 

「おお、ここが大陸中のハチミツを集めた店じゃな!」

「へ〜、結構にぎわっているな。・・・・・・・・税金の無駄遣いだと思ったけど、みんなに喜んでもらっているようだ。」

「ふふ〜ん♪妾の言うとおりにすれば何の問題もないのじゃ。」

「今回はお前の言うとおりだったな。やるな美羽。」

 

そうやって俺は美羽の頭をなでてあげた。

 

「うははははは♪もっと撫でてもよいぞ!」

「はいはい。」

 

俺たちは店の中に入った。中は売り物だけではなく、喫茶店のような飲食場所もあった。どうやら、ハチミツを使ったお菓子がここで食べられるのだろう。

 

「うはは〜い♪一刀や!美味しそうなものがたくさんあるぞよ!」

「そうだな・・・・・ためしに何か注文してみるか?」

「うむ♪」

 

そうやって俺たちはお菓子を注文した。この店の主人はお菓子作りの名人らしい。俺たちの期待は膨らむばかり。

 

十分くらい経ってお菓子がやってきた。ハチミツをふんだんに使ったタルトのようなものが来た。肝心の味は・・・・・・・見事だった。ハチミツをふんだんに使っているくせにタルトのサクサクとした食感が失われていない。・・・・・・・・・・・やるな、オヤジ!

 

「おいしいの〜!七乃や、今度妾に作ってくれたも。」

「は〜い。ここの人に作り方を教えてもらいますね。・・・・・・ん?一刀さん、どうかしたんですか?」

 

俺は胸やけを起こしていた。甘いものは大好きだが、それでお腹いっぱいにするほど俺の胃は頑丈では無い。甘いもんばっかり食ってたら胸やけするのは当然だ。

 

「いや、ちょっと胸やけがしてね。少し食べ過ぎたようだ。」

「なんじゃ?あれしか食べておらんというのに・・・・・残りは妾がもらうぞよ!」

「いいよ。俺はちょっと胸やけを治しに少し辺りを散策しているから。」

「分かりました。じゃあ、これを食べたら私とお嬢さまはお城の方に戻りますね。」

「ああ、美羽も食べ過ぎるなよ。」

「この程度は平気なのじゃ。」

 

ハチミツをたっぷり使ったタルトを貪っている美羽を見ていたらまた胸やけがひどくなってきた。さっさと俺はこの場を退散した。

 

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「う〜・・・・・どこかで口直しをしなくちゃ。」

 

胸やけがしたとはいえ、ほんの少ししか食べていないのでお腹は空いているのである。

 

「昼間っからよくあんな甘いものをたらふく食えるな。・・・・・・やっぱり昼はラーメンか肉まんだな。」

 

人間の舌は不思議なものだ。甘いものを食べれば、塩辛いものが恋しくなり、その逆もまたしかりなのだから。

 

一刀はどっかで肉まんでも食おうと歩いていた。行きつけの店に到着したら何やら店前でずっと立っている女の子がいた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

女の子は動かない。ただ肉まんを眺めているだけであった。

 

「おやじ、あの子誰?」

「あ、これは御使いさま。いやね、私にも分からないんですよ。店を開いてからずっとあそこで立っているのですから。」

「え!?店を開けた時からいたの?」

「はい。・・・・・・・何か悪さをするでもなくあのように・・・・・・・正直、いい迷惑ですよ。」

 

店を開いてからというと、今はお昼。ということは2、3時間はあそこで立っている事になる。さすがに気になってきたので女の子に話しかけてみた。

 

「ねえ、君はどうしてここにジッとしているの?」

「・・・・・・・・・肉まん。」

「・・・・え?あ、うん・・・・・ここは飯店だからね。」

「・・・・・・・・・肉まん。」

 

女の子は無口なようでそれしか言わなかったが突然・・・・

 

ググ〜〜〜〜!!!

 

ものすごい腹の虫を泣かせた。

 

「え〜っと・・・・・・お腹すいているの?」

「・・・・・・・・・コク。」

「・・・・・肉まんが欲しいの?」

「・・・・・・・・・お金がない。」

 

どうやらこの女の子はお腹を空かせているようだ。しかし、金がないから見ていることしかできない。あまりにも不憫なので奢ってやることにした。

 

「だったらさ、俺が奢ってやるよ。」

「・・・・・・・・でも。」

「いいからいいから。ちょうど俺も何か食おうとしていたんだからさ。一緒に食べようぜ。」

「・・・・・・・・コク。」

 

女の子はしゃべらなかったがすごく喜んでくれているようだ、その証拠に頭のアホ毛がピクピクと動いている。

 

食べている間、俺は女の子に話しかけた。

 

「俺は北郷一刀。よろしくな。」

「・・・・・・・・・恋。」

「・・・恋?それって君の真名じゃ?」

「・・・・・・・・・いい。」

「良いの?大切な名前なのに。」

「・・・・・・・・・ご飯奢ってくれた。」

「そうか。じゃあ恋。好きなだけおかわりしてもいいよ。」

「・・・・・・・・いいの?」

「ああ!大切な名前を呼ばせてもらったんだし・・・・・・おやじ!じゃんじゃん持ってきて!」

 

俺は調子に乗ってしまっていた。その一言で、まさかあんな悲劇を生むなんて・・・・・この時俺は考えてもいなかった。

 

「・・・・・・・・・おかわり。」

 

「へ、へい!」

 

女の子はすでに十人前は食べている。あの細い体のどこに収納しているのか謎だ。

 

「み、御遣いさま・・・・・・・・その・・・・・」

「だ、大丈夫だ!・・・・・まだ、大丈夫・・・・・・」

「・・・・・・・・・・おかわり。」

 

恋は十五人前ほど食べてようやく落ち着いた。恋のお腹は満腹のようだが、俺の財布はかなりやせ細ってしまった。

しかし、これは自分で言ったこと。自分の言ったことには責任を持たなければならない。もはや俺に悔いは無かった。

 

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俺は城に帰ろうとしたが恋はなぜか俺についてきた。・・・・・・行くところがないのだろうか?

 

「恋は一人なの?」

「・・・・・・・違う。」

「へえ、じゃあ誰かと来たんだ。」

「・・・・・・・・・コク」

「じゃあ、その人たちに会わなくていいの?」

「・・・・・・・・・・はぐれた。」

 

なるほど、迷子か。・・・・・・・なんだか天和たちに会った時のことを思い出すな。

 

「よし!じゃあ、、俺も君の連れを探してあげるよ。」

「・・・・・・・・・・いいの?」

「ああ、俺はこの街には少し詳しいからね。」

「・・・・・・・・・・コク」

 

そうやって俺は恋の連れを探そうと来た道を引き返そうとした時、

 

「ちんきゅーキーック!!」

 

ドッゴーーーーーーン!!

 

「ひでぶー!」

 

何かが俺の体に強い衝撃を与えた。おかげで俺は体をくの字にしながら宙を水平に飛んだ。

 

「恋殿に何をやっているのですか〜!」

「な、なんだ〜!この子供は!?」

「ねねは子供じゃないです!これでも立派な軍師なのですぞ!」

「何をわけのわからないことを・・・・・」

 

その時、恋が蹴りを繰り出した女の子にゲンコツをお見舞いした。

 

「う〜・・・・・恋殿〜、なぜにですか〜?」

「・・・・・・・・一刀に謝る。」

「しかし、恋殿〜・・・・」

「・・・・・・・・謝る。」

「む〜・・・・・・ごめんなさいです。」

「あ、ああ。えっと・・・・・・君は恋の連れ?」

「トラン●ム!はあああああああ!ちんきゅーキーック、すぺしゃる!今日のねねは阿修羅すら凌駕する存在ですぞ〜!」

 

どっがーん!!

 

「ぎああああああ!!!・・・・・・なぜ・・・・・・バタン!」

「ふっ・・・・・恋殿の真名をしゃべったからです。本当ならこの程度では済まされないのですぞ!」

 

ゴツン!

 

「う〜〜〜〜・・・・・・恋殿〜・・・・」

「・・・・・・・・・恋、一刀に真名を許した。」

「な、何ですと〜!!」

「・・・・・・・・・もう一度謝る。」

「う〜・・・・・・一応謝っておくです。このチ●コ!・・・・・・さ、恋殿。月殿たちが探しておりますぞ。早く戻りましょう。」

「・・・・・・・・・コク・・・・・・・・一刀・・・・・またね。」

 

そうやって、一刀は一人地面に這いつくばっていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

「恋さん、大丈夫でしたか?」

「・・・・・・・・・コク。」

「もう、護衛がはぐれてどうするのよ。・・・・・ま、見つかったからもういいわ。」

「・・・・・・・・・ごめん。」

「う・・・・・・いいって言っているでしょ。・・・・・今日はもう宿を探しましょう。袁術に会うのはこの街を少し見てからにしましょう。」

 

 

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(いてて・・・・・・酷い目にあった・・・・)

 

ようやく起きだした一刀。しかし、そのダメージは重かった。

 

「・・・・・・・帰ろう・・・・」

 

一刀は理不尽と戦いながらトボトボと城に帰って行った。

 

「ただいま。」

「おかえりなさい、一刀さん。・・・・・・どうしたんですか?そんなに泥だらけになって・・・?」

「・・・・・言わないでください。」

「はあ〜・・・・・」

 

七乃さんは何かを悟ってくれたようだ。途中、美羽も話に混ざってきた。

 

「おお!一刀。帰ったのかや!お主にお土産があるんじゃ。」

「お土産?」

「うむ。これじゃ!」

 

美羽が取り出したのは、掌に収まる小瓶で、中には黄金色に光るハチミツがあった。

 

「先ほどの店で買ってきたのじゃ。店主が言うにはこの大陸に二つとない珍品中の珍品らしいのじゃ。ありがたく受け取るがよい。」

「いいのか?せっかくの珍しいハチミツを?」

「よいのじゃ。妾は普通のハチミツでも満足じゃし・・・・・・お主に日ごろのお礼というか・・・・・・とにかく、やると言ったらやるのじゃ!」

「あ、ああ・・・・・・ありがとう、美羽。早速、お茶に混ぜて飲んでみるよ。」

「うむ♪」

「じゃあ、お茶の準備をしますね。」

 

俺たちはお茶を楽しもうとした。そして、さっそくそのハチミツを使ってみることにした。

 

「じゃ、贅沢にたっぷり使ってみますか。」

 

俺は美羽からもらったハチミツをお茶に混ぜ込んだ。

 

ゴクゴク・・・・・・

 

「どうじゃ?」

「う〜ん・・・・・・・普通のハチミツと違いが分からないな・・・」

「なんじゃ、つまらん。あの店主め、妾に嘘を言ったのだな。」

「俺が味音痴なだけだよ。でもすげえ美味しかった。ありがとな美羽。」

 

俺は、不機嫌になっている美羽の頭をナデナデしてやった。美羽もまんざらでなく顔を赤くしながら俺にすり寄ってくれた。俺たちは今、至福の時を迎えている・・・・・・・・はずだった。

 

「ぐっ!・・・・・・・な、なんだ!」

 

突然、体が焼けるような痛みに襲われた。痛みはどんどん増し、体から蒸気が出るほどだった。

 

「一刀!どうしたのじゃ!」

「一刀さん!」

「近づくな!・・・・・・ぐっ・・・・・ぐああああああああああああああ!!!!」

「一刀!」

 

美羽の声もむなしく俺の意識は闇の中へと消えた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・

 

 

「う、う〜ん・・・」

 

俺は目を覚ました。目の前には俺を心配する美羽と七乃さんがいた。どうやら気を失ってからたいして時間がたっていないようだ。俺は美羽たちに心配をかけずと起き上がろうとした。

 

「か、一刀や・・・・」

「もう、大丈夫だよ。さっきのは何なのか分からないけど・・・・・・・あれ?」

 

俺は違和感を感じた。なぜか周りの景色がいつもより高く見える。それに立ったはずなのに美羽とあまり背が変わらない。美羽も七乃さんも俺を変わり者のような目で見る。ふと見ると、服がかなりダボダボになっている。

 

「あ、あの一刀さん・・・・・」

 

手が小さい、それだけじゃない。足も、頭も、そしてアソコも!すべてが小さくなっていた。・・・・・・・・・まさか

 

「あの、一刀さん・・・・・・・鏡を見てくださいませんか?」

 

七乃さんは持っていた手鏡を俺に渡してくれた。そこに映っていたのは・・・・・・

 

「なんじゃこりゃあああああああああ!!!!!!」

 

小さくなっていた俺の姿だった。

 

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天の御使いが小さな子供になった。もしこの情報が民衆に広まったら不安が広がってしまうだろう。子供に国政を任せるなんて愚の骨頂だ。これを重くみた俺たちは雪蓮たちに協力を要請した。

 

「きゃああああ?!!!可愛いい!!」

「うっぷ!」

「こら雪蓮!やめるのじゃ!一刀が苦しんでおろう!」

「だって可愛いんだもの。」

 

雪蓮たちを呼んだのはいいものの、この調子で一向に話が進まない。とりあえず服は天和たちに買ってやった服屋のおやじに頼んでいつもの服のミニサイズを作ってもらった。

 

「姉さま!次私に抱かせてください!」

「シャオも〜!」

「私も抱かせてほしいです〜」

「はう〜、モフモフしたいです〜」

「くっ!わ、私は・・・・・し、しかし、これは・・・・!」

 

全員、目が据わっている。俺はとりあえず常識ある祭さんの所に逃げた。

 

「これ!お主らいい加減にせんか!北郷が怖がっておるじゃろ。」

 

その通りだ。こんな美女たちに揉みくちゃされるなんて大人バージョンの俺ならかなり嬉しいだろう。しかし、今の俺は子供。頭では分かっていても体が反応しない。正直、今の雪蓮たちは恐怖の対象でしかない。・・・・・・・呼ばなければ良かったかも・・・・・

 

「ほ〜れ、よしよし。そんな顔をするでない。男の子じゃろ!」

 

祭さんは俺を抱き上げ、あやしてくれた。正直、かなり恥ずかしいがなぜか心が落ち着く。これも子供のサガというものか。

 

「う〜・・・・・祭、あなた手慣れているわね。子供は苦手じゃなかったの?」

 

雪蓮はかなりいやらしく突っかかってきた。

 

「策殿よ。これは北郷じゃ。ならばおびえる必要などない。」

「・・・・・・祭さん・・・・・もう大丈夫ですから降ろしてください。」

「おお!そうか、済まぬな。」

 

そうやって心を落ち着かせた時、冥琳がやってきた。吉報を持ってきてくれたのだ。

 

「北郷が子供になった理由が分かったぞ。」

 

さすが冥琳だ。いつも俺を助けてくれる人。

 

「やはりというべきか・・・・・このハチミツが原因だった。」

「うん?それは美羽がお土産に持ってきたハチミツ・・・・・・・確かに体に異変が起きたのはそれを飲んでからだったな。」

「うむ、これは『あぽときしん』というハチミツでな。ものすごい毒薬らしいのだ。」

「ど、毒薬!?」

「うむ。ふつうは死ぬはずなのだが、体質によっては子供に変化する変わった毒薬だ。しかし、これは普通のハチミツと見分けがつかん上に採取できるのは極少量だ。店の主人も気付かなかったのだろう。」

「・・・・・わ、妾はそんなものを・・・・一刀に・・・」

 

美羽は自分のしたことが急に怖くなったらしい。無理もない。運が悪かったら俺は死ぬかもしれなかったのだから。

そんな美羽に対して雪蓮たちは、Σd!・・・・親指を立てていた。

 

「冥琳。元に戻る方法はないのか?」

「安心しろ、北郷。ちゃんと元に戻る方法はある。」

「ほんとに!」

 

さすが冥琳だ。その事まで調べていてくれるなんて・・・・

 

「しかし、この方法をここで言っていいものなのか・・・・」

「いいから早くいってよ!」

「う、うむ。」

 

なぜか、冥琳は言葉を濁していた。何でだろう?

 

「元に戻る方法はだな・・・・・」

 

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「元に戻る方法とはだな・・・・・・パイカルだ。」

「・・・・パイカル?パイカルってあのお酒の?」

「うむ、そのパイカルだ。一口飲めば再び元の姿に戻れるだろう。」

「なんだ、簡単じゃん。」

「そうもいかんのだよ、北郷。」

「どうして?パイカルなんて酒屋にいくらでも・・・・・」

「ただ飲めばいいというものではない。これはだな・・・・・その・・・・他者の唾液の中の・・・・その・・・酵素という物質と反応させてだな・・・・」

「もっと、分かりやすく言ってよ。」

「う、うむ、分かりやすく言うとだな・・・・他者に飲ませてもらわなければ効果はないのだ。その・・・・口移しで。」

 

・・・・・・・・・・・え?

 

「く、口移し!?」

「うむ。口移しだ。」

 

冥琳がキッパリそう告げたあと、雪蓮をはじめ、ほとんどの奴らが部屋を飛び去って行った。

 

「七乃〜!妾達も急ぐのじゃ!」

「はい♪お嬢さま。」

 

そうやって美羽たちも出て行った。残ったのは俺と冥琳と祭さんだけであった。

 

「え〜と・・・・・みんなどこに行ったんだろう・・・・?」

「十中八九、酒屋だろうな。」

「な、何でこんなところで言うんだよ!」

「なぜと言われても・・・・・・私はお前に聞いたぞ。ここで言ってもいいのか、と。」

 

そうだった。まさか、こんな事になるなんて・・・・・・・雪蓮たちのあの眼、まるで獲物を前にしたような蛇のような眼だった。・・・・・・・となると、俺はカエルか!?

 

「冗談ではない!俺は逃げる!」

「逃げてもいいが、根本的な解決にはならないぞ。」

「う、・・・・・・でもさ、今の雪蓮たちだったら、絶対に唇だけじゃ済まないよ!・・・逃げながら何か方法を考えるよ。・・・・・じゃあね!」

 

俺は一刻も早くここから逃げ出さなくてはならない。己の貞操を守るために!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・

 

「冥琳は動かんのか?」

「今、動いて雪蓮たちを出し抜いたら奴らは暴れます。せめて逃げたとだけ伝えてから動きますよ。」

「ほほう、・・・・・・・しかし、北郷も災難じゃな。」

「ええ。女の恐ろしさを垣間見る事になりましょう。」

 

 

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半々刻ほど過ぎて雪蓮たちが戻ってきた。しかし、肝心の一刀の姿はどこのもなかった。

 

「一刀はどこ!?冥琳!」

「一刀なら逃げたよ。」

「逃げたじゃと!?妾の部下、お主らがキーキー言っておる一刀が逃げたじゃと!?なぜじゃ!?」

「ボウヤだからですよ。」

「くっ!・・・・・・みんな、一刀を探すわよ。早い者勝ちで恨みっこなしってことでいいわよね?」

「「「「応!」」」」

「こら〜!何を勝手に決めとるのじゃ!」

「お嬢さま〜、みんなもうどっかに行ってしまいましたよ。」

「むう、七乃!早く一刀を見つけるのじゃ!」

「はいは〜い♪」

 

そう言ってみんな散開していった。

 

 

一刀side

 

「はあはあ、ここまで来ればひとまず安心だろう。」

 

一刀は町はずれの森の中にいた。街の中ではこの服は目立ちすぎる。なら外の方が安全と考えたからだ。しかし、その考えは甘かったと思い知らされた。

 

チリーン・・・・・

 

不意に鈴の音が聞こえてきた。・・・・・・ここにいるのは危険だ。頭はそう答えているはずなのに動けない。

 

(一刀、動け!一刀、なぜ動かん!?)

 

チリーン・・・・・

 

「見つけたぞ、北郷一刀。」

「くっ!」

 

俺は恐怖を振り切り、その場から全速力で逃げだした。しかし、今の俺は子供の姿。大人の時でも思春に勝てないというのに、この体では彼女から逃げ出せられる訳がなかった。

 

「北郷、あまり手間をかけさせるな。・・・・・悪いようにはしない。私と蓮華さまの所に来てもらう。」

「くっ!これが望みか、君の!?」

「私のではない!これが蓮華さまの夢、蓮華さまの望み、蓮華さまの業!」

「くう・・・・・それでも、守りたいもの(貞操)があるんだ!」

 

俺は逃げた。無駄なのは分かっている。でも何もしないよりはマシだった。

だが、彼女はすでに俺の前に回り込んでいた。

 

「これで終わりにするか、続けるか!?北郷!」

「そんな決定権がお前にあるのか!?」

「口にきき方に気を付けてもらおう!」

 

思春は俺に手を伸ばしてきた。もうだめかと思ったその時、

 

ガキン!

 

金属のぶつかり合う音が聞こえた。そこには刀を携えた明命がいた。

 

「明命!貴様、どういうつもりだ!」

「一刀様。ここは私が引き受けます。今のうちにお早く・・・・・」

「す、すまない!」

 

この場は明命にまかして俺は再び走り出した。

 

「思春殿、先ほどの問いに答えていませんでしたね。理由は簡単です。今の一刀様を捕まえるのは容易。しかし、目的の・・・・・せ、接吻を交わす間は格好の的。しからば、先に後顧の憂いを断ち切るのが妥当かと。」

 

明命の言うことは正しかった。一刀と事を構える時が一番、スキが出来るのだ。ハ●ター・ハ●ターでゴ●がヒ●カに対して行った作戦と同じである。

 

「なるほど、貴様がその策を思いつくということはすでに他の奴らも・・・・」

「はい、すでに私たちと同じように各所で決闘が始まっているころでしょう。」

「くっ!」

 

思春は焦っていた。なぜこんな事に気付かなかったのか。その通りだ。一刀を狙っているのは私たちだけでは無い。ならば他の人間が妨害に来ることをどうして考えに入れていなかった。思春はいち早く蓮華に一刀を届けようと功を焦ったのだ。今頃は蓮華さまも誰かと・・・・・・

 

「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを。」

 

本来ならば、ここは一旦撤退し、体制を整えるべきであるが、相手は明命。背を見せた瞬間にやられるだろう。

 

緊張が走る。隙を見せた方が負ける。勝負は一瞬!

 

みゃあ!

 

「はう〜・・・」

「はあああああ!!」

「なっ!ちい!」

 

ザシュ!

 

「勝負あったな、明命。」

「く、不覚・・・・・・この明命、戦いの中で戦いを忘れてしまった・・・・」

 

バタン!

 

明命、リタイア

 

(待っていてください、蓮華さま。今すぐ駆けつけます!)

 

 

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小蓮side

 

「ど、どうしてあなたが・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

バタン!

 

「一刀・・・・・あなたは、私のモノよ・・・・・」

 

小蓮、リタイア

 

 

一刀side

 

「ふう、明命に助けてもらったけど、・・・・・・大丈夫かな?」

 

俺はひとまず街に戻ってきた。あんな隠れるところがたくさんある森はかえって危険であると知ったからだ。

 

「とりあえず、どうしよう?」

 

俺は歩きながら考えていた。このままじゃ俺は一生かかっても本の姿に戻れないだろう。しかし、彼女たちにお願いをすれば、なにか大切なものまで失ってしまうような気がする。

ここは、常識があり、なおかつほんの少しは俺に好意があるだろう女性に頼んでみるしかない。そうなると・・・・・・筆頭は冥琳、祭さん、七乃さんだよな?

 

とその時、酒屋で昼間っから酒を飲んでいる祭さんを見つけた。

 

「祭さん、こんなところで何やっているんですか?」

「むう・・・・おう、北郷か。いやなに、みんなして酒を飲もうとしているのじゃからな、儂だって別に構うまい。」

「いや、よくないよ。」

「そう固いことを抜かす出ない。お主も飲まんか?」

「いや・・・・・俺は・・・・・」

「ほう、そうじゃったな。誰かに口移しで飲ませてもらわんといけなかったんじゃな。・・・・・どれ、それでは策殿たちには悪いが・・・・・」

 

祭さんはパイカルを口に含み、俺に近づいてきた。

 

「さ、祭さん・・・・・あの・・・・」

 

祭さんは何も言わない。俺が後ずさりすると後ろ首を掴んで自分に引き寄せてきた。もうすぐ、唇と唇が重なり合う。・・・・・・・俺は覚悟を決めた。

 

「昼間から何をやっておられるのですかな?祭殿。」

 

・・・・・・・・・・・

 

「ぶほあ!」

 

祭さんは俺の顔面にパイカルを吹き出した。

 

「ぎゃああああああ!!!目が〜!目が〜!!し〜み〜る〜!!」

 

あまりの激痛に俺は地面に転げ落ちてしまった。

 

「ごほ!ごほ!・・・・・いったい誰じゃ!・・・・・・げっ!冥琳!」

「何が『げっ!冥林!』ですか。失礼ですね。・・・・・・時に祭殿?今あなたは兵の訓練の時間のはずですが・・・・・・」

「いや、これはだな・・・・冥琳よ?」

「言い訳は結構です。・・・・・・・おい、そこの!」

 

冥琳は近くにいた警備兵に声をかけた。

 

「この愚か者をさっさと連れ帰り、兵の鍛練をさせなさい!」

「は、はっ!」

「これ〜!!覚えておれよ!お主ら〜!!」

 

そうやって、祭さんは警備兵に連行されていった。

 

祭さん、連行されたのでリタイア

 

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「全く・・・・・・北郷も北郷だ!さっさと誰かと口付けを交わし、早く戻らないか!こちらとしてはいい迷惑だ!」

 

冥林は本気で怒っている。確かにそうだ。俺がダラダラと贅沢にも相手を選ぼうなんて虫が良すぎる。この一件は原因は美羽だが、解決しないのは俺の我がままのせいだ。そう思うと涙が出てきた。

 

「うっ・・・・ひぐ・・・・・ごめんなさい・・・・ぐす・・・・」

「なっ!ほ、北郷よ。何も泣く事はないだろう。」

「分かっているんだけど・・・・・ぐす・・・・・涙が・・・・・止まらないんだよ。」

 

冥琳は気づいた。今の一刀は子供なのだ。ならば涙線の緩さも子供のままなのだろうと。そう思うと、急にバツが悪くなってきた。

 

「う・・・・すまない、北郷。こちらもお前の気持ちも知らずに言いすぎた。」

「うんうん、いいよ。」

 

一刀は涙を袖で拭き、強がってみせた。そのいじらしさが、冥琳の母性本能をくすぐった。

 

(いかんな・・・・このままでは私も落ちそうだ。早くこいつを元に戻さなければ!)

 

「・・・・北郷よ。その・・・・私でよかったら・・・・お前を元の戻す・・・手伝いをだな・・・・」

「・・・・え?」

「その・・・・・・私では不服か?」

 

冥琳はかなり顔を赤めていた。傍から見れば異常な光景だろう。でも、恥じらいを見せてくれる冥琳ってなんだか・・・・・・・反則的に可愛い!体は反応しなくても頭では理解していたのである。

 

「うんうん、冥琳がいいって言うなら・・・・・喜んでお願いするよ。」

「そうか・・・・・・ちょうど祭殿が残していった酒がある。それを使おう。」

「うん。」

 

俺たちは自分たちの気持ちを確かめ合った。これで、ようやく元の姿に戻れる。

冥琳が酒を口に含んだとき・・・・・・

 

「ぐはあああああ!!」

 

突然、冥琳が苦しみだし、その場に倒れ込んでしまった。

 

「冥琳!しっかりしてよ!冥琳!」

 

ぴく・・・・・・ぴく・・・・・

 

返事がない。ただの屍のようだ。

 

「一体どうしたってんだ!?」

「それは祭さまのお酒のせいですね〜」

 

このほのぼのとしたような口調は・・・・・

 

「穏!」

「はい♪穏ですよ。」

「祭のお酒ってどういうこと?」

「祭さまのお酒は特別中の特別でして・・・・・・蒸留に蒸留を繰り返して高濃縮に圧縮したパイカルなんです。常人なら臭気だけで酔うというのに一気に口に含むなんて・・・・・よっぽっど緊張していたんですね。冥琳さまは。」

 

冥琳 酔いつぶれたためリタイア

 

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「さ〜て、一刀さ〜ん・・・・いや、一刀君と言ったほうがいいですね〜。」

 

隠は舐めまわすような目で俺を見つめてきた。

 

「もうどこにも逃げられませんよ。・・・・・・・・さあ、一刀君・・・・・お姉さんと楽しいことをしましょうね〜」

 

ひいいいいいいい!!

 

俺はまたもや逃げ出した。なんだか先から逃げてばかりなのかもしれない。

 

「そんな体で逃げるなんてできませんよ〜。さっさとあきらめてください。」

 

(ちくしょう!ここまでか・・・・)

 

「諦めちゃだめです。あきらめたらそこで試合終了ですよ。」

 

どこからか天の声が聞こえてきた。その直後、穏の上に何冊もの本が降ってきた。

 

「きゃうあああああ!!」

「一刀さん!こちらです。」

「七乃さん!」

「早く!」

「はい!」

 

穏は降ってきた本に動揺しつつ、その本を手に取ってみた。

 

「きゃああ!!これって水鏡先生の八●一本の最新刊。人気がありすぎてもうどこにも売っていないといわれていたのに・・・・・・あふ〜〜!!」

 

穏はその場で崩れおちてしまった。

 

穏、イってしまったのでリタイア。

 

 

思春side

 

(既に何人もやられてしまっている。蓮華さまはだいじょうぶだろうか?)

 

思春は自分の主を探していた。これはもはや一刀の唇を奪う戦いなのだと思っていた。あの男は気に入らないが蓮華があの男に思いを寄せていることは知っている。ならばこそ、自分のすべきことは邪魔な者たちを排除し、その上で一刀を蓮華の元へ送り届ける。そう決意していた。

 

「しかし、あ奴は一体どこに消えたのだ?」

 

思春は蓮華を探すと同時に、一刀も探していた。たとえ見つけてもすでに事を終えていたら意味がなくなる。先に一刀の方を優先するのは当然といえるだろう。

 

その時、道端で悶えている隠を見つけた。

 

「隠、どうしたんだ!?・・・・・・あの男はどこだ!?」

「・・・・・あっちでふ〜♪」

「・・・・・・そうか。」

 

思春はその場を後にした。あの幸せそうな隠の仲間と思われたくなかったからだ。隠が言っていた方向には張勲と一刀がいた。

 

(見つけた!)

 

 

一刀side

 

「災難でしたね〜。一刀さん。」

「あ、はい。助けてくれてありがとうございます。」

「いえいえ・・・・・でも、一刀さん。これからどうするんですか?誰かに飲ませてもらわなければずっとそのままなんですよ。」

 

一刀はかなり悩んだ。一刀の世界にとって口付けとはかなり特別な意味を持つ。ただ元の姿に戻りたい、ただその事だけの理由で女性に口付けを求めるなんてどうなんだろうと・・・・

 

「うふふ♪一刀さんはお優しいんですね?・・・・・でも、そんなに気にすることじゃないんですよ。みんな、一刀さんと口付けを交わしたいんですから。」

「・・・・え?」

 

七乃さんは何だかすべてを見透かしているようだった。俺の心まで読み取りなんて・・・・

 

「で、でも・・・・」

「それに・・・・・・私もまた・・・・・・あなたと口付けを・・・交わしてみたいです。」

「え、えええええええ!!」

「冗談です♪」

「な、何だよ〜!脅かさないでくださいよ。」

 

七乃さんは意地が悪いように俺をからかってくる。全く!少しは・・・・・本気にしてしまった。

 

「勘違いしないでくださいね。お嬢さまを差し置いて、先に手を出したくないだけですよ。」

「・・・・・え?」

 

お嬢さまって・・・・・美羽の事だよな?・・・・・・・どういう事だ?

 

「もしかして、一刀さんって、お嬢様の気持ちに気がついていないんですか?」

「・・・・・・気持ちですか?」

「はい♪」

 

美羽の気持ち・・・・・数か月前の祭りの日、俺と美羽は離れ離れになるのではないかと思ってしまったあの日、美羽は確かに俺のことを好きだと言ってくれた。でも、それは一人の人間としての意味だと思っていた。・・・・・・・まさか、本当に美羽は俺のことを男として・・・・・

 

「覚えがあるみたいですね。」

「あ、・・・・・はい・・・」

「だったら、答えはもう出ています。一緒に美羽さまの所に行きましょう。」

「で、でも・・・・・」

「もう、じれったいですね〜!早くいきますよ!お嬢様も待っているのですから。」

「わ、分かりました。」

 

答えはもう出た。迷いをふっきり、七乃さんと共に美羽の元へ行こうとした。・・・・・しかし、

 

「行かせるかー!!」

 

突然、後方から怒鳴り声が響いてきた。

 

「なっ!お、お前は・・・・思春!」

 

 

-12ページ-

 

「見つけたぞ、白い奴!もとい北郷一刀!」

「思春!なぜここに!?・・・・・・・はっ!明命はどうした!?」

「奴は私が始末した。」

「くっ!よくも明命を・・・・!」

「雑魚とは違うのだよ!雑魚とは!」

 

思春は殺気を流しながら近づいてきた。

 

「はあどうやらここまでのようですね。・・・・・・一刀さん。」

「はい。」

「お嬢さまは、お城であなたを待っています。行ってあげてください。」

「で、でも・・・・・七乃さんは・・・・・?」

「私はここで殿を務めさせていただきます。」

「そ、そんな・・・・・無茶だよ!七乃さん一人で・・・・・」

「それが今、一番いい方法なんです。」

「くっ・・・・・!」

 

七乃さんの言っていることは正しい。このまま二人一緒にいれば機動力は確実に落ち、二人ともやられてしまうだろう。ならば、一人が殿を務め、一人が逃げることができれば生存率はかなり向上する。・・・・・・でも、殿を務めた人は確実に・・・・・

 

「し、しかし・・・」

 

俺が七乃さんを止めようとしたが、彼女はすでに覚悟を決めている。ここで口を出せば彼女を辱める行為に他ならない。・・・・・・・俺もまた覚悟を決めた。

 

「分かりました、七乃さん。・・・・・・・どうか、死なないで!」

「もちろんです♪・・・・・・・・一刀さん。」

「はい?」

「殿を詰めるのは結構なんですが・・・・・・別にアレを倒してしまってもいいんですよね?」

「七乃さん?・・・・・・・・はい!思いっきりやっても大丈夫ですよ!」

「それを聞いて安心しました。・・・・・もう行ってください。全力でね。」

「はい!」

 

俺はその場から離れた。七乃さんの言葉を無駄にしないためにも、俺は城へと向かった。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・

 

 

・・・

 

(一刀さん、お嬢様をよろしくお願いします。)

 

「待っていてくれたんですか?甘寧さん。」

「・・・・・・共に主に使える者の心意気を無下にできんからな。」

「お優しいんですね。」

「ふん、・・・・・だが、私も主のために動いている。・・・・・・そのために。貴様を倒す。」

「・・・・・・私はあなたに勝てないでしょう。でも・・・・愛する者たちのために・・・・あと半々刻は貰っていきます!」

「ふ、面白い。・・・・・・では行くぞ。」

「はい。」

「「はあああああああ!!!」」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・

 

-13ページ-

 

 

「・・・・・一刀さん・・・・・お嬢さま・・・」

 

バタン!

 

「はあ、はあ、見事だったぞ、張勲よ。」

 

七乃、リタイア

 

「さてと、私も早くあの男を見つけなければ・・・・・・そうして蓮華さまとともに・・・・」

 

思春は顔を赤めながらニヤついていた。傍から見れば、気味が悪い。

 

「思春。」

 

突然自分の名を呼ばれた。すぐさま振り向けばそこには主、蓮華の姿があった。

 

「れ、蓮華さま!」

 

自分の主が健在で喜んだ思春である。しかし、いつもの蓮華と何か様子が違う。

 

「思春、あなたも無事だったのね。・・・・・・ところで一刀はどこにいるのかしら。」

「はっ!・・・・・どうやら城の方に向かっているようです。」

「思春、どうして捕まえていてくれなかったの?」

「申し訳ありません!張勲が奴を逃がすために殿を務めたもので・・・・・」

「・・・・・あなたほどの人が張勲ごときに手間取るなんてね・・・・・『鈴の甘寧』の名前はどこに行ったのかしら?」

 

何かがおかしい。蓮華はこのように人を侮辱するような人間ではないはずだ。

 

「お、恐れ申し上げますが、こやつは自分の仕える主のために自ら殿を務め、私に挑んできたのです。そのような者を冒涜するような発言は・・・・・・」

「ま、いいわ。・・・・・ところで思春?」

「はい?」

「何でそんなに顔を赤めているの?・・・・・・もしかして一刀のことを考えていた?」

「め、滅相もありません!」

「思春・・・・私たちの間で隠し事はなしよ・・・・・それとも私には言えない?」

「い、いいえ!そのようなことは!・・・・・少しだけ・・・・考えておりました。」

 

思春は白状した。

 

「そう・・・・・」

「し、しかし、蓮華さま!私は蓮華さまを出し抜こうなどとは考えておりませぬ!・・・・・貴方さまが良ければ・・・・その・・・・手付きの北郷でも・・・・・」

「そう・・・・・・結局、手を出すつもりなのね?」

 

蓮華は何やら黒いオーラのようなものを出している。

 

「思春、一刀は私のモノよ。・・・・・・だれにも渡さないわ。誰にもね。」

「れ、蓮華さま!」

 

蓮華は、黒いオーラを出しながら思春に近づいていく。思春はあまりにも違う主を前に動くことができなかった。

 

「思春、たとえ貴方でも、ユルサナイワ!」

「れ、蓮華さま・・・・・蓮華さまああああああああああ!!!!」

 

思春、戦意喪失のためリタイア

 

 

「さてと・・・・・・お城って言ってたわね。」

 

蓮華は歩きだした。一刀を己が手の物にするために・・・・・

 

-14ページ-

 

 

「はあ、はあ、七乃さんは大丈夫だろうか?・・・・・七乃さんの気持ちを無駄にしないためにも早くいかなくちゃ!」

 

一刀はようやく、城の前に到着した。しかし、そこには先客がいた。

 

「・・・・・・雪蓮。」

「一刀・・・・・・ここまで来てしまったのね。・・・・・・美羽ちゃんを選ぶの?」

「雪蓮、そこをどいてくれ。」

「私たちじゃ・・・・うんうん、私じゃ駄目なの?」

 

雪蓮は俺に近づき、顔を近づけてきた。いつもならドキッとするはずだが、今の俺は子供。しかも、俺は確固たる信念を持っている。雪蓮の色仕掛けなんかでは今の俺を落とすのは無理だろう。

 

「一刀、私より美羽ちゃんの方がいいの?」

「・・・・・・すまない、雪蓮。」

 

俺が謝ると雪蓮は諦めたように溜息をついた。

 

「はぁ・・・・・分かったわ。行きなさい。」

「・・・・・え?」

「聞こえなかったの?行きなさいって言ったのよ。」

「・・・・・訳を聞いてもいいか?」

 

あまりにも雪蓮らしくない。

 

「・・・・・・約束したからよ。」

「約束?」

「そうよ。美羽ちゃんとちょっとした約束をしたの。」

 

一刀は少し不安になっていた。なんせ、美羽と雪蓮は国を賭けたこともあったのだから。だから今回も何かしらの賭けをしたのかもしれない。

 

「雪蓮、お前また!」

「違うわよ。今回、私は何もしていないわ。」

「・・・・・・本当か?」

「もちろんよ。」

 

どうやら嘘は言っていないようだ。では『約束』とは一体何なのだろう。

 

「雪蓮、約束とは一体何だ。」

「大したことじゃないわ。」

 

-15ページ-

 

少し前

 

城には美羽がいた。七乃が一刀を連れてくるから、城の中で待っていろと。素直に待っていたら、一刀を探しに行っていたはずの雪蓮が戻ってきた。

 

「なっ!雪蓮、何でここに!」

「何でって・・・・・・ここに来れば一刀が戻ってくるかもしれないから。」

「な、なぜそう思うのじゃ!?」

「う〜ん・・・・・・・勘かな♪」

「勘・・・・じゃと!?」

「そうよ♪」

 

美羽は雪蓮が何か企んでいるのではないかと思っていた。しかし、もう乗せられない。あの時の祭りで美羽は『学習』したのだから。

 

「そんなに警戒しないでよ。本当に何にも企んでいないから。」

「・・・・・・本当じゃな?」

「モチ!♪」

「そうか、・・・・・・・なら良いのじゃ。」

 

・・・・・・・・・・・・

 

「ねえねえ、美羽ちゃん。」

「なんじゃ?」

「一刀の事好き?」

「な!/// いきなりなんじゃ!おおおお主には関係のないことじゃろ!」

「関係ないなんて事ないわ。・・・・・・だって私、一刀の事好きだもん。」

「ななな何じゃと〜!」

 

美羽はかなり驚いた。いきなり告白してくるのだから。

 

「美羽ちゃん、覚えている?あの時の祭りの事。」

「う、うむ。」

「あの時、私は一刀を天の御遣いとして欲しがった。・・・・・でも、今は違う。今は女として一刀の事が欲しいと思っている。」

 

美羽は何もしゃべれない。雪蓮が本気で一刀の事を愛していることに衝撃を覚えたからだ。そして、雪蓮は美羽に頭を下げた。信じられないことだ。いつもからかっているばっかりの雪蓮が、孫呉の王ともあろうものが頭を下げてきたのだから。

 

「美羽ちゃん。これは一人の女としてのお願いよ。・・・・・・・一刀の事が好きじゃないんなら、私にちょうだい。」

「な、何を言っておるのじゃ!いやに決まっておろう!一刀は妾の部下じゃ!」

「部下だけなの?本当にその程度にしか思っていない?」

「うっ!・・・・」

「もし、本当にその程度にしか考えていないなら、私たちの所に置いてもいいわよね?大丈夫よ。城下の人間には、彼があなたの部下だと紹介しておくから。」

「ち、違うのじゃ。そうじゃないのじゃ!」

「じゃ、どういう意味?」

「妾は・・・・・・」

「あなたは?」

「妾は・・・・・・・・一刀の事が好きなんじゃ!大好きなんじゃ!離れたくないのじゃ〜!」

 

美羽は城の中に響き渡るように叫んだ。

 

「・・・・・・そう。でももし、一刀が貴方じゃなくて他の子を好きになったらどうするの?」

「そ、それは・・・・・・いやなのじゃ!」

 

美羽は一刀が自分以外の所に行くなんて考えてもいなかったが、もし、他の人間が好きになり、その人の所に行くと言い出したら、美羽はどうすればいいのか分からなかった。美羽はおそらく今までにない以上に悩んでいた。

 

「ぷ、あははははは♪」

「な、何じゃ?なぜ笑っておる!?」

「あはは!だって、美羽ちゃんが本気で悩んでいるんですもの。いつもバカヅラしてんのに。ふふふ♪」

「く〜〜〜〜!雪蓮め〜!」

「ふふふ、ごめんなさい。なら美羽ちゃん、確かめてみない?」

「確かめる?」

「うん、一刀がここに表れた時、私とあなたのどちらの口付けを受けるのかって事よ。」

「そ、それは・・・・・」

 

美羽は怖かった。女として足りないものを雪蓮はすべて持っている。・・・・・だが、ここで逃げては一刀は本当にどっかに行ってしまうのではないかと脳裏に過った。

 

「分かったのじゃ!妾は逃げんぞ!」

「そう。じゃあ、・・・・・・負けた方は潔く一刀から手を引くってことでどう?」

「良いじゃろう!約束じゃぞ。」

「うん、約束。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・

 

-16ページ-

 

 

「と、言う訳よ。」

「・・・・・・雪蓮・・・・」

「早くいきなさいよ!私じゃないんでしょ!?」

「そうはさせないわ!」

 

突然、後ろの方から怒号が聞こえてきた。振り向くとそこには蓮華がいた。

 

「「蓮華!」」

「一刀は私のモノよ・・・・・・・だれにも渡さないわ、ワタサナイ!」

 

蓮華はいつもの蓮華では無かった。その姿からは想像できないほどの黒いオーラをまとっていた。その姿は、さながらゾ●マ様のようだった。

 

「カズト〜!!」

 

今の蓮華は人外の存在だ。おそらく誰も蓮華を止めることはできないだろう。

 

「行きなさい、一刀!」

「し、雪蓮!?」

「ここは、私が押さえる。・・・・早く!」

「で、でも・・・・」

「美羽ちゃんと約束したんだから・・・・・・・ここで約束を破るなんて孫呉の王が泣くわ!」

「雪蓮・・・・・」

「さ、早く!」

「すまない!雪蓮!」

 

俺は美羽の元へと駈け出した。待っていてくれ、美羽!

 

・・・・・・・・・・・

 

「はぁ、謝らないでよね。・・・・・・・未練が残っちゃうじゃない。」

 

雪蓮は今の蓮華には勝てないと実感していた。それでも愛する者のため、友のため、そして自分自身のために雪蓮はこの人外を食い止めなければならない。そう決意していた。

 

「姉さン、そこヲどいテくだサい。」

「そうはいかないわ!今のあなたを一刀に・・・・美羽に近づかせるわけにはいかない!あの子は私が守るわ!」

「姉サん、引いてクれなイなら・・・・・力ズくで通りマす!」

「来なさい、蓮華!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・

 

 

・・・・

 

-17ページ-

 

 

俺は、走った。走って走って、一刻も早く愛する者の元へ。そうして遂に玉座の前まで来た。

 

「美羽!」

 

美羽は玉座で待っていてくれていた。俺が彼女の名を言うと美羽は俺の元へ駆けつけた。

 

「一刀!」

 

俺たちはお互いに抱擁を交わした。

 

「美羽、すまない!おまえの気持ちに気付いていながら・・・・・・・俺は!」

「もう、よいのじゃ。・・・・・・一刀、大好きじゃ!」

「あの時の祭りと一緒だな。・・・・・・・・俺の心はあの時と変わらないよ。俺もお前が大好きだ。」

「っ/// 一刀・・・・・」

「美羽。俺を元の姿に戻してくれないだろうか?」

「もちろんじゃ・・・・・・しかし・・・・・」

「しかし・・・・どうしたんだ?」

「お主は、その恰好でよいのか?」

 

最初、俺は美羽の言っていることが分からなかった。だが、すぐに理由が分かった。おれの体は子供なのだ。今、この状況でおとなになったら、すぐに服が破れてスッポンポンだ。

 

「・・・・・よく、気がついたな。」

「当り前じゃ♪」

 

美羽は誇らしげに頷いた。

 

「服を持ってくるよ。待っていてくれ。」

 

俺は部屋に戻り、服を持ってこようと部屋に行った。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

美羽は、かなり緊張している。一刀とは初めて会った時に口付けを交わしている。しかし、あれは事故のようなものだ。今度は自分の意志で、口付けを交わす。美羽はドキドキしながら一刀を待っていた。その時、

 

「かズと〜!!どこナの〜!!」

 

何か恐ろしいものが近づいてきた。この感覚は今まで味わったこともないすさまじいものだった。美羽は何が来るのか分からないはずなのにガタガタと体を震わしていた。

 

「一刀〜!出てキなさ〜イ!!」

 

美羽はどうかここに来ませんようにと願った、しかし、その願いは聞き遂げられなかった。人外は、美羽に近づいて言った。

 

「一刀を出しナサい!」

 

美羽は震えが止まらなかったが、頭はハッキリしていた。この人外を一刀に合わせるわけにはいかない!そう思っていた。

 

「妾は何も知らんぞ!たとえ知っていてもお主なんぞに教えんぞ!」

「そウ・・・・・・ナら・・・・死ネ!」

 

(一刀!)

 

美羽はもう駄目と覚悟した。その時、

 

「美羽―!!」

 

一刀がその場に割り込んできた。彼は、美羽を庇うように人外の前に立ちふさがった。

 

「一刀!」

「大丈夫だったか?美羽。」

「一刀、こやつは一体なんじゃ!?」

「蓮華だよ!」

「なぬ!こ奴が孫権じゃと!?なぜ、このような姿になっておる!?」

「分からないが俺を狙っていることは間違いなさそうだ!」

 

「一刀〜、あナたを元ニ戻すノはこの私ヨ!」

 

もはや、何を言っているのか分からない蓮華。俺たちに近づいてくる。駄目かもしれない。でも、何としてもこの子だけは守りたい!その思いが奇跡を生んだ。

 

-18ページ-

 

ザザッ!

 

突然、玉座に複数の影が割り込んできた。

「蓮華!あなたの好きにはさせないわ!」

「雪蓮!」

 

「蓮華さま、お静まりください。」

「冥琳!」

 

「これ、権殿!女子がそのような行動をして恥ずかしいと思わんのか」

「祭さん!」

 

「我が主、蓮華さまから出ていくのだ!この怨霊め!」

「思春!・・・・・・それは蓮華自身だよ。」

 

「一刀に手を出したら許さないんだから!」

「シャオ!」

 

「一刀様!お早く!」

「明命!」

 

「楽しい、ご本のお礼ですよ。」

「穏!」

 

「一刀さん、お嬢さま、頑張ってください。」

「七乃さん!」

 

倒れていった者たちが、俺たちを助けてくれた。みんなの気持ちを無駄にするわけにはいかない!

 

「美羽!今のうちに・・・・・頼む。」

「う、うむ!分かったのじゃ!」

 

美羽は口にパイカルを含んだ。そうして、俺に近づいていく。

 

「カ〜ず〜ト〜!!」

「おっと、悪戯はそこまでよ。一刀と美羽の邪魔はさせないわ!」

 

外では蓮華の形をした人外との決戦が始まっていた。しかし、今は関係ない。

美羽は顔を赤くしながら俺に近づいてきた。いよいよだ。

 

「美羽、大好きだよ。」

 

チュ!

 

「んぷっ!?ん、んむ、んんぅ!」

 

美羽は最初抵抗したが、次第に抵抗するのをやめ、俺に任せてくれた。俺は美羽の口の中に入っているパイカルを舐めまわしながら飲んだ。次第に体が熱くなっていく。

 

口付けが終わり、俺の体は燃えるように熱くなってきた。次第に体に変化が訪れてきたが俺の意識はそこで途絶えた。

 

-19ページ-

 

 

「う、う〜ん・・・・・・はっ!」

 

俺は目を覚ました。ここは俺の部屋のようだ。体も元に戻っている。みんなはどうしたんだ?美羽は?と思っていた時、誰かが俺の部屋に訪れてきた。

 

「一刀、大丈夫かや?」

「一刀さん、大丈夫ですか?」

 

美羽と七乃さんだった。どうやら二人とも無事だったようだ。

 

「そうだ!雪蓮たちは!?それに蓮華はいったいどうなったんだ!?」

「む?」

「はい?」

 

二人とも不思議な表情をしている。なぜだ?

 

「あの、一刀さん。まだ、寝ぼけているのですか?孫策さんたちがここにいるわけないじゃありませんか。」

「えっ!・・・・だって・・・・」

「あなたは美羽さまの買ってきたハチミツを飲んで倒れたのですよ。覚えていませんか?」

「い、いや、覚えているけど・・・・・・そのあと俺は体が小さくなって・・・・それで美羽の・・・・・その・・・・・」

「ん?なんじゃ?顔を赤くしよって?」

「何を言っているのですか、一刀さん?ハチミツで体が小さくなるわけないじゃないですか〜♪」

「夢?」

「はい、何だか楽しそうな夢を見ていたようですが、そろそろ現実に戻ってきてくださいね。」

「そうじゃぞ、一刀。」

「あ、ああ・・・・すまない。」

 

どうやらあのハチミツを飲んだ時から全部、夢だったようだ。

 

何日か経って、雪蓮たちが遊びにきた。その時、俺は自分の見た夢の内容をみんなに話した。

 

「あははは、あはははははははは!!!!面白―い!一刀、そんな夢を見たの!?」

「ひどいわ、一刀いくら私でもそんな風にはならないわよ!」

「貴様!よくも蓮華さまを人外のように言ってくれたな!許さんぞ!」

 

そう言って思春は刀を抜き出し、俺に迫ってきた。もちろん逃げ出すに決まっている。

 

「思春!一刀を傷つけたらダメ〜!」

 

そう言って、小蓮は連れてきた白虎に乗って俺を追っかけてきた。

 

「はう〜・・・・・思春殿、小蓮さま〜、一刀様が死んでしまいます。」

 

明命も、ただオロオロするだけだ。

 

遂に俺は力尽き、その場にあおむけになって倒れ込んだ。

 

「ふっ、もう降参か?だらしがない!」

「こら〜!お主ら!一刀は妾の部下じゃぞ〜!」

 

美羽も俺に近づいてきたがその時。

 

コテッ!

 

「「「「「「「あっ」」」」」」」」

 

何もないところで美羽はすっ転んだ。そして・・・・・

 

チュ?

 

一刀と唇が合わさった。

 

「か、かかかかか一刀・・・・・・うわああああああん!!!」

 

美羽はすぐにその場を離れ逃げて行った。俺は一人ポツンと置かれてしまった。

 

「一刀さん。」

「一刀。」

「北郷。」

「北郷よ」

「か、一刀!」

「貴様!」

「一刀!」

「一刀様!」

「一刀さ〜ん。」

 

みんなものすごい形相で近づいてきた。いや、やめて!いやああああああああ!!!

 

「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

今日も美羽たちは平和である。

 

 

 

・・・・・・・一刀を除いて。

 

-20ページ-

 

あとがき

 

こんばんは、ファンネルです。

 

相変わらずの長編。最後まで見てくれる人に感謝感謝です。

 

いろんなアニメやマンガのセリフや行動がパクられています。

 

気づいた人は何人?

 

蓮華ファンの皆さん。ごめんなさい。とりあえず謝らせてください。夢オチってことでどうか!

 

最近、投稿感覚が長くなってきているような気がする。切りのいいところが見つからず、いつも長編になってしまう。

 

・・・・・・・どうしよう・・・・

 

次回は遊ばないで、ちゃんと本編のほうを進めます。

 

ということで次回もゆっくりしていってね。

 

 

 

 

説明
こんばんわ、ファンネルです。

例によって、また長編です。

今回は十話ですが、本編に必要な話はほんの少しです。

ですのでこの話は、番外編としてお楽しみください。

あと、自分はガンダムが好きなんです。ごめんなさい。

キャラ崩壊がいくつかありますが、例によって大したことはないと思います。

では、ゆっくりしていってね。
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コメント
ガンダムの所、爆笑した。www(DEAR BOYS)
ガンダ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ム!!(レオ)
でも、この大混乱が良いです!(とっちー)
30分なら半々刻ではなく、四半刻が正解ですよ・・・(とっちー)
カオスっすね。夢オチでも蓮華の人外の存在はこわいっす(VVV計画の被験者)
中国では飯店=ホテル、酒家=レストランです。(stmoai)
蓮華イタスギ(w でもウケル(うたまる)
・・・( ゚д゚)・・・(つд⊂)ゴシゴシ(;゚д゚)・・(つд⊂)ゴシゴシゴシ(;゚ Д゚)・・・!?(祭礼)
腹が痛い、面白かったです。(鳥羽莉)
日本人(みかん)
す・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すげ(スターダスト)
すごいです、この作品。ネタ街道大爆進です。(投影)
奇跡の夢おちか!!てか蓮華おもろすぎ!(motomaru)
まさか、特殊菊正宗理論がでるとは・・・・・(最上那智)
水鏡先生の八●一本て…水鏡先生…朱里と雛理は貴女の影響で…(libra)
ネタパネェwだがこの√は最高です。(maaa)
ネタの数が半端ないですねwww(フィル)
夢でよかったよ。蓮華怖すぎです。あの状態なら三国最強では?(ブックマン)
あぁ、美羽が可愛い。こうネタをちりばめてそれでなお崩壊させないのはすごいと思います。しかし台詞の中に死亡フラグが多くて笑ってしまうw(sion)
夢オチwここでヤンファ様が現れるとは…(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル(だめぱんだ♪)
ショタ一刀の(腐)女子殺しは異常w(yosi)
どうしようww突っ込みどころしかないwww(ヒロキ)
どこから突っ込めばいいのやら、と思っていたら…夢オチかよっ!面白すぎて、次回が待ちきれないです!(MTK)
やー、良いものですね〜(cheat)
あれ・・・ガン●ムにまじってFat●も(ふもふも)
読み応えがあるのでいくらでもバッチコイなのですよ<長編(闇羽)
Poussiereさん、名前はそこから取りました。気づいてくれたんですね。(ファンネル)
munimuniさん、はんぱなくてすみません(ファンネル)
XOPさん、修正完了しました。ありがとうございます(ファンネル)
メルさん、これからもがんばります(ファンネル)
YOROZUさん、僕も見たくありません(ファンネル)
作者様の名前から・・・・気付くべきだったかな・・・・w でも・・・・面白いから (〃∇〃)ノ イイョ-!!  さて、次回はどんな事が起こるのか愉しみですネ─ ( 〃∇〃)(〃∇〃 ) ─ ッ♪(Poussiere)
感→勘:隠→穏(XOP)
おれもガンダムは大好きです。特に古いやつでは機動新世紀ガンダムXが好きですね〜、ガロ〇ドとテ〇ファ二人が一緒のラストシーンが感動した。 すいませんいろいろ脱線してしまいました。ということで、ファンネルさんこれからも頑張ってください。(いずむ)
コ○ンなのか!?www夢でもゾーマ状態の孫権みたくねえw(YOROZU)
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