女神異聞録〜恋姫伝〜 第四十五話 |
女神異聞録〜恋姫伝〜
第四十五話
「降臨する者」
傷が癒えるまで気を失っていたのか、血を大量に失った為に意識は朦朧としていた。
決着が付いてからどれほどの時間が経ったのか、それほど経っていないのかそれとも全て
の戦いが終わってしまうほどに経過してしまったのか。
木刀を杖の代わりにして立ち上がる。
「う、っく………」
急速な回復の代償か、それとも回復する前に受けていた傷が原因か身体中がぎしぎしと不
快な音を出す。
「バロウズ、皆はまだ生きているか?」
死亡していてもおかしくない傷跡が脇腹から肩にかけて走っている。
手を開いては握り締め、足裏の感覚を、地を踏みしめることで確かめる。
「はい、マスターまだ戦っています」
まだ戦える身体である事か、それともまだ皆が生きている事にか安堵をした。
「方向」
「六時方向です」
方角を聞き、駆ける。
残っているのは後メタトロンという怪物。
必ず勝てるという保障は無い。
だが、もうひとつ壷は恋がもっているはず。
勝機は十分にある。
使わないに越したことは無いが………使い渋り犠牲を出すつもりも無い。
「マスター………」
「どうした?」
「身体は大丈夫なのですか?」
「あぁ、問題ない」
ニンゲンであることを辞め始めたことを指しているのだろう。
ニンゲンのままで乗り越えることは出来ない。
既に変わってしまった、この世界で。
既に来るってしまった、この世界でただのヒトのまま終わらせることは出来ない。
だから俺たちはこの瞬間からヒトで在り続ける事を願いながら諦めていた。
ヒトのまま、人の限界を超えられるならばどれだけ幸せだっただろうか。
本当の終わりの一歩及ばなかった二人はそれでもヒトの側にあろうとした、だから望む事
を諦めるわけには行かなかった。
鏡身が鏡であるのもそう、獣が狼の姿をしていたのもそうだった。
まだその片割れとはいえその魂を託されたのなら俺が早々に諦めるわけにはいかない。
だから、駆ける。
仲間を助ける為に。
二人を釣上げているのが見えた片手でそれぞれに恋を、蓮華を。
それを見た瞬間駆ける速度を上げて駆け抜けた。
「ちぇりゃぁぁぁぁ!!」
猿叫を上げ唐竹に振り上げ、右腕を滑らせて高速で斬撃を発射する。
溜めた斬撃を、二人を手放し落とすことで両手を空けてクロスさせて受ける。
ギィィーーーーーンと木刀と腕がぶつかったとは思えない金属音に似た音を響かせ距離を
とる二人。
「思ったよりも遅かったですね」
「すぅーーーーーー……………はぁーーーーーー……………」
呟きに答えることなく深呼吸して、周りを知覚する。
辛うじて動けるのはラムとリンゴとシィのみ。
後は死亡こそしていないが戦闘は無理のようだった。
「見せてもらいますよ。私たちのアリスを託すに足るか否か」
剛拳が風を砕いて迫り来る。
腰も足運びも完璧な音速の拳は真っ直ぐに一刀へと向かってくる。
その拳を真正面から腰がぶれて見えるほどの高速で回転させて打突をもって弾き返す。
「コロナ!メノウ!召喚!」
弾き返した隙間を縫って二人を、獣から託された二人を呼び出す。
「イエス、マイスター!ブラッドペイン!」
日輪を背負う少女の腕から爪が伸びメタトロンを引き裂く。
「イエッサー!ブラッドサッカー!」
風を纏いチューブトップビキニのように肌を露出させた少女が放つ風が牙のようになり食
らい付く。
「ぐむぅ!?」
連続した攻撃に怯むメタトロン。
「今です!マスター」
その隙に互いに弾かれた体勢を立て直し、腰溜めの居合い術を放つ。
最速の太刀を。
「奥儀一閃!真一文字!」
閃く剣閃が空間すらも断ち切ったような手ごたえを返す。
だが命を奪うまでは至らず、即座に魔法を詠唱される。
「ディアラハン!」
光が包んだかと思えば今まで与えた筈の傷がすぐさまに修復されていく。
「ちぃっ!」
思わず舌打ちをした。
傷を負わせても仕留め切れなければ即座に回復してくる、これほどにも厄介な相手だとは
思わなかった。
厄介なのは回復だけではない。
「ギガントフィスト!」
「トリスアギオン!!」
極大の火炎の螺旋を拳で掻き消しながら次の動作に入っている。
「ブラッドサッカー!」
「マッハパンチ!」
更に拳で風を掻き消し。
「もう一度受けろ!奥儀一閃!」
「ぬぅ!ディアラハン!」
攻撃を一手一手打ち消されるという持久戦にも似たジリジリと押し込まれる。
負け戦にも似た状態。
「(メノウ、魔法を封じることは出来るか)」
「(イエッサー、クロスアイ実行します)」
「さぁ、もうひと踏ん張りだ」
木刀を向けてそう宣言する。
「まだまだわかりませんよ。貴方は確かに強い。ですがそれに足元をすくわれぬよう」
宣言に対し不敵な笑みを返すメタトロン。
「「大空の紅翼!」」
二人の背から燃える火炎の翼が現れ広範囲を焼き尽くさんと地面に覆い被さるが、コロナ
とメタトロンの同名の技が中間地点で互いに相殺しあう。
「奥儀一閃!」
「クロスアイ!」
「ぬあぁ!?」
「さぁ、これで回復はさせん!倒れろ、雲耀の太刀!」
「見事………」
雷速で放たれた上段からの唐竹割りはメタトロンの額を割り出血はさせるも絶命までは至
らず、戦闘不能まで追い込んだ。
元より、止めを刺すつもりはなかったが。
これで、脇見の壷を使うことなくメタトロンを下すことができた。
ネビロスの時も使うことはなかったが、あの時は一つしかなくベリアルに使用していた。
「ふぅ………皆無事か?」
決着をつけようやく皆の方を振り向く。
振り向くとそこにはもう一人の北郷一刀が居た。
『鏡身』己のワンピースとなる最後の一人。
その光景に皆一様に驚いていた。
「なんで一刀がもう一人………」
「世界の繰り返しにはやはり………関係していたのか」
鏡身の姿はまるで一刀だったが、ただ一つ違う場所があった。
それは木刀を持たず、真剣を持っていたこと。
「よう、俺」
「ここで終わるつもりか?鏡身」
仲間たちに手を出させるわけには行かない、出させてはいけない理由がある。
「あぁ、決着をつけに来た………お前が俺を超えられないのなら、俺が成し遂げよう」
「俺が越えられなければそこで終わり、か」
「だからこそ、超えていけ。いまだ何者にも染まらぬ無垢なるモノよ!」
互いに武器を構え、距離を測る。
どちらにとっても一足飛びに武器の間合いに踏み込める距離。
武器に差はそこまでない………真剣であることと木刀であることという差はあるが。
誰かが唾を呑み込む音が響く。
それが開始の合図となったのかタイムラグもなくお互いがぶつかり合う。
「「奥儀一閃………」」
「「九重の羅刹!!」」
同じ基線、同じ剣閃、軌道に乗せて放たれるそれは尽くが触れ合い、互いに弾きあう。
激しい九つの金属音と斬撃同士の衝撃波が地面を揺らした。
まったくの同時、刹那すら違わず同じ技を繰り出した。
「「ベノンザッパー!!」」
「「ヒートウェイブ!!」」
「「空間殺法!!」」
三度繰り返し、必殺の意を込めて加減も何もなく放った技は尽くが打ち消しあい弾きあっ
た。
「ありえない………」
誰が零した言葉か、静かにその言葉は場に溶けて行った。
トレースではないシンクロ、文字通り鏡となった存在に勝ち目は薄い。
「「すぅぅぅ………はぁぁぁ………」」
轟音響く剣撃の応酬が収まったかと思えば、お互いに一呼吸した後ぴたりと動きが止まっ
た………否、止めた。
同じ技が使える。
違う。
同じ技を使える。
コレが正解か。
その上で『鏡身』だけの業が存在している。
超えるのならば一刀だけの業を生み出さなくてはならない。
一つ一つ確認していく。
何が出来るのかと何を出来るのかを。
「全員待機………来るんじゃないぞ」
仲間全員にそう声をかけておく。
かけておかなければならなかった。
鏡は全てを跳ね返す………それは魔法だけではないのだ。
「「行くぞ」」
「贖罪の―――――」
「弾劾の―――――」
罪を背負うのならば、罪は罪たらなければならない。
それは弾劾するものがあってこそ、非難するべき存在があってこそ成り立つ。
「「封殺剣」」
それは等しく罪を殺す為の業。
罰下すものを殺すことを目的とした剣。
ふっと笑った気がする。
互いに剣が重なる瞬間、鏡の剣は力を失う。
「成し遂げてくれよ」
そして、木刀は吸い込まれるように鏡身の胴を薙ぎ斬り飛ばした。
木刀を腰に納め、瞼を閉じて唯の一言を贈る。
「必ず」
鏡身の身体は消滅ではなく光の露となり一刀に飲み干される。
一刀はヒトの身でありながらヒトを止め始める。
それは最後の一人としての覚悟として、託されたモノの為にもヒトでありながらヒトを超
えることを成し遂げる為。
人外、超越者、超人、聖人、英雄、様々な呼び名はあるだろうだがそれでもまだ届かない。
ヒトの範疇に納まっているそれらでは目的を達するには足りない。
人の限界を超えたとはいえ、それらはいまだにヒトの範疇でしかないのだから。
枠を超え切れていない、壊しきれていない。
空を見上げればまだ分厚い雲は空を覆っている。
晴れる事は無い、昼も夜も判らぬこの狂った世界。
そんな雲を突き破り地上に降りようとしているものがあった。
何処までも白い鯨………モンスターを生み出し地上に放った者。
「創造神ルドラサウム………」
「弟、サンダルフォンは負けましたか………」
仲間を集めなければならない。
かの邪神に全てを滅ぼされ弄ばれる前に。
降りてきながら叫ぶ声が聞こえる。
歓喜に上げる声か、絶望へと突き落とす声か。
「ははははは。叫べ、泣け、喚け。モンスターもアクマもヒトも。僕をもっともっと楽しま
せてくれ。滅びに悲しむ声を、殺され怨む声をさぁ、僕に聞かせておくれぇ!」
ルドラサウムの体から何かが舞い降り始めた。
それは白く輝く翼を持ち、金に輝く環を頭に添えた天使たち。
ただそれは聖書に出てくるような一般的な天使じゃない。
剣持ち、戦い滅ぼす為の尖兵。
ワルキューレと呼ばれる戦乙女たち。
そしてアクマでは無い、女の子モンスターと呼ばれる存在だった。
「すぐに動くぞ。奴らはすぐに街に下りるはずだ………あんな奴らの好きにさせるものか」
怒りを顕わにしながらそれをもっての行動はせず、感情に沈み込める。
そんなことよりも先に行動しなければならないのだから。
アレはヒトもアクマも関係なく滅ぼしにかかるだろう。
あれらの意味を創り出したのが、いまだに空で声を大にして滅びに機縁する叫びを希望し
ているのだから楽観はまったくもってする事は出来ない。
「滅びの声を望むなら聞かせてやろう。てめぇの叫びを………な」
詠「詠と」
月「月の」
詠&月&へ「「「あとがきコーナー」」」
へ「というわけで第五章アリス勢力への殴りこみ決定です」
詠「アリスちゃんは仲間になってるんじゃないの?」
へ「そっちのアリスじゃないw」
月「ルドラサウム勢力への殴りこみですね」
へ「うむ、第四勢力アリス作品への殴りこみです」
詠「でもルドラサウムって強いのかしら?」
へ「強いよ。元祖バハムートと同じようなもんだもの」
月「その上で天使たちまで操っているんですか………」
へ「ちなみ第一第二第三勢力はLNC属性勢力のことね」
詠「真女神転生だとN勢力って高レベルアクマいないのよね」
へ「ニュートラルだと高位のロウ・カオスのアクマ呼べないからねぇ」
月「それなのにラスボスは二体ですしね」
へ「理不尽だよねぇ………この世界の方が理不尽だけど」
詠「そう思うならもうちょっと手加減しなさいよ!?」
へ「無理!ぬるくなりすぎる!」
月「元でも十分ひどいと思っていますよ」
へ「人の生き死にがホイホイ出てくるゲームだしねぇ。戦争物だとモブが大量に死ぬけど」
詠「三国志でもうん千、うん万と兵士を使うものね………」
へ「メガテンだと数百万人死亡するけどな!下手したら億か」
月「外国まで影響出ていたらそうなっちゃうんですよね」
へ「影響出てなければ救援活動とか来るはずだからね」
詠「ないから当然………っていうことなのよね」
へ「うむ。数十年音沙汰無し、どう考えても絶望ですありがとうございました」
月「でも原作のラスボスは倒せるんですよね?」
へ「ラスボスは倒せるね。でもなんで雑魚まで強化されてんだろうね?ほっとけば強化され
続けるんじゃないのかな?ってのが作者の考えだから、ラスボス倒してハッピーエンド?
ありえんありえんという思考でいっとります」
詠「そこら辺にオリジナルが………ってそろそろスペースが無いわね〆ましょう」
月「そうですね。名残惜しいですが」
詠&月&へ「「「では、お休みの間アクマに身体を乗っ取られませんようお気をつけて」」」
詠&月&へ「「「また次回でお会いしましょう」」」
PS.ポイントがなく予約投稿は出来て2〜4回毎といった感じになりそうです。
きっちり0時に上げろやゴラァと希望の方はコメントを残していただけましたらポイントがもらえますのでそれにより予約投稿が出来るように成ります。
一言でも罵声でもOKです。
説明 | ||
真・女神転生世界に恋姫無双の北郷一刀君を放り込んでみたお話 人の命はとっても安い、そんな世界 グロや微エロは唐突に生えてくるもの 苦手な人は注意されたし |
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コメント | ||
真・女神転生T基準だと魔人作れませんでしたね。。。 改めて攻略サイトで調べてきたら、デイビット、だいそうじょう、ペイルライダーだけだったのかとびっくり。Lv不明になっとるし。。。(相駿) 真・女神転生1のことですからねぇ・・・・・・高くて60ちょいですよw大僧正は眉毛が在るとラッキーらしい(マテ 出典が出典なので後ろ盾にはならないしねぇ高レベルでも、後1だと魔人作れませんw(ヘイロン) いつも楽しく読ませていただいてます。 N勢力の高悪魔いないって詠ちゃん言ってますが・・・、トランペッター、マザーハーロットがいる気が(;・∀・)(相駿) |
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