猫として生きる
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『猫として生きる』

 

作:某犬犬

 

犬川幸雄:「お前ら授業中にせっせとノート取ってるけど

それ、勉強じゃ無いからな。

ただコピペしてるだけ、坊さんの写経と一緒。」

 

「だめ・・・」

 

犬川:「今度、授業中に教室をじっくりと見渡してみな。

勉強できない奴らは皆、ボケらーとした顔でノート取ってる。

ムックみたいに口半開きで。

出来る奴はそんな暇ない。

独自のメニューを黙々と、こなしてる。

宿題も学校にいる間にさっさと終らして、お持ち帰りなんてしない。

で、たまに顔上げて黒板の内容を把握したら、また、ずっと内職。

授業の内容は、授業中に全部理解するから忘れない。」

 

「サトシ、そんな人の言うこと聞いちゃ駄目!」

 

犬川:「皆が何で必死にノート取るか分ってるか?

それは『勉強なんかしたく無い』から。

ノート取っとか無いと、試験前に一夜漬け出来なくなっちゃうだろ?

そんな丸暗記、答案回収した瞬間に綺麗さっぱり忘れっちまう。

教師としても、暇した生徒がその辺をウロチョロしたり

ゲラゲラお喋り始めたりするよりはマシだから、現状維持の放ったらかし。

生徒は無遅刻無欠席のコピペだけで勉強した気になってるが、当然成績は伸び悩み。

担任も三者面談で『もっと勉強に身を入れなさい』としか言わない。

志望校に行けなくとも、誰の所為でも無い自分自身の責任だ。

教師にとっても所詮は他人事なのだ。

 

「大学に合格りさえすれば、幸せになれるのよ。サトシ!」

 

犬川:「そうやって、何だかんだで大学合格して

『僕たちはエリート・コースの最高級の霜降り和牛

君たちFランは108円のチキン・ハンバーグ。

ちょっと格が違っちゃうかな。なんて、ふふっ。』

とまぁ、こんな調子で就職も超一流企業に内定貰って

薔薇色の未来を確信しながら社会人になって

五月病も何とか乗り越え、結婚して子供も生れて。

そして、ある日ふと気が付く。

『僕たち、扱き使われてるだけの社畜じゃないか!』」

 

「良い子だから皆と一緒に行って。」

 

犬川:「気づいた者が次に考えるのは

『このまま、いやもっともっと頑張ればいつの日か自己実現できる!

そうだ、僕も起業して搾取する側にまわるんだ!』と言う事。

でも、そんな日は永久にやって来ない。

何故なら、搾取する者もまた別の誰かに搾取されているだけだからだ。

自分の首に繋れた鎖を掴んでる奴の元の元へと辿って行くと

その先はどこかの国の顔も知らない資本家と呼ばれる奴等の方に続いてる。

本当にラット・レースから抜け出したかったら

誰が敷いたかも分らないレールから外れなきゃいけない。

けれど、Fラン路面電車ならいざ知らず

エリート新幹線から飛び降りるなんて、正気の沙汰じゃあない。」

 

「あなたは受験の事だけ考えてれば良いの!サトシ!」

 

犬川:「現代日本には野良犬と言う生き物は存在しない。

そんな犬は保険所が即掴まえて殺処分だ。

犬型人間は群れの中で、ご主人様に尻尾振ってる方が幸せなのだ。

が、もしお前さんが犬では無く、猫型人間だったなら、話しが少し変る。

猫には自由気ままに生きて行ける可能性がある。

誰の指図も受けずに、自分の進む道を自分で決める。

泣くにしろ笑うにしろ己が人生だ。

風の様に生きて、人知れず土に還る。

たまに人間に可愛がって貰ったりな。」

 

「お願いだからお母さんの言うこと聞いて!

サぁトシぃ‥‥」

 

犬川:「しかし、犬型人間はこうだ。

『野良猫って大変ブヒよね?彼奴ら野鼠つかまえて食べてるんブヒってよ。

そんな物たべたら、お腹壊しちゃうブヒよ。』

『そうそう、その点僕たちは幸せブヒ。

毎日こうやって、美味しい残飯をお腹一杯食べられるブヒもんね。』

『やっぱり普通が一番ブヒよねぇ。』

『うんうん。フゴーフゴー』

ブタは太らしてから食えだ!」

 

犬川:「ところで、ドナドナの歌って何となく可哀想って感じがするだろ?

そう、察しが良いお前さんなら、もう気付いたろうが

あれ、お前逹のこと歌ってんだぜ。」

 

「どれ、今年のフレッシュ・ミートのお味はどうかな。」

 

からすが「ケー」と鳴いたとさ。

 

説明
学校や会社の組織の中で生き辛さを感じている人へ。
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