英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
〜カレイジャス・ブリーフィングルーム〜
「ええっ!?ミ、ミルモ達だけでトリスタの防衛部隊を相手にするなんて無茶ですよ!?」
パントの説明を聞いたアリサは驚いた後心配そうな表情で指摘したが
「いいや、むしろ戦力過剰と言ってもおかしくないくらいだ。”古神”が一柱、”魔神”が三柱もいる事に加えて”精霊王女”と最上位精霊がいるからね。”魔神”一柱だけでも一国を滅ぼせるのに、それを遥かに上回る戦力があるから何の心配もない。」
「確か皆さんはガレリア要塞の”特別実習”の際にエヴリーヌ殿とベルフェゴール殿――――”魔神”の”力の一端”をその目にしたはずですわよね?」
「あ……………」
パントの話の後に問いかけたシグルーンの言葉を聞いたリィンはガレリア要塞の”特別実習”の時に近代兵器の軍団を圧倒していたベルフェゴールとエヴリーヌの姿を思い出した。
「そ、それに……ノルド高原ではリザイラさんやミルモさんは精霊の方々と一緒に貴族連合軍を圧倒していましわよね……?」
「ああ……エヴリーヌのように矢で飛行艇を撃ち落した事にも驚いたが、リザイラは魔術で全てを薙ぎ払っていたな……」
ノルド高原での出来事を思い出したセレーネの言葉にガイウスは静かな表情で頷き
「勿論その戦いの際は私も”協力者”として彼女達と共に貴族連合軍と戦う所存です。」
「私もトリスタの防衛部隊と戦いますわ。ペガサスを駆って戦う私にとってはむしろ屋外での戦いや大規模な戦闘の方が本領ですし。」
「無論提案者である私も君達の”協力者”としてトリスタの防衛部隊と戦うつもりだ。」
「パント様がそちらでの戦いを希望するのであれば、私もパント様達と共にトリスタの防衛部隊を相手にしますわ。」
「”鋼の聖女”達までも相手にしなければならないなんて、トリスタを防衛している貴族連合軍はもはや”哀れ”としか言いようがないわね。数は圧倒的に貴族連合軍が上でしょうけど、”質”が圧倒的に違うからベルフェゴール達と”鋼の聖女”達による”虐殺戦”になるでしょうね。」
リアンヌ達の申し出を聞いたセリーヌは呆れた表情で呟いた後目を細めた。
「ぎゃ、”虐殺戦”…………」
「ま、ガレリア要塞やノルド高原で見たあの圧倒的な戦いの事を考えたらそうなるだろうね。」
セリーヌの言葉を聞いたエリオットは信じられない表情をし、フィーは静かな表情で呟き
「ちょ、ちょっと待ってください!まさかパント卿達はトリスタの防衛部隊の命を奪うつもりなんですか!?」
ある事に気付いたリィンは血相を変えて尋ねた。
「ああ。さすがに相手は”軍”だから殺さないように手加減していたら、私達が逆に殺されるからね。”本気”で彼らを”殲滅”するつもりで戦うつもりだ。」
「そ、そんな……!」
「……ッ……!他に方法はないのですか!?幾ら敵とは言え多くの命を奪ってまで士官学院を……トリスタを奪還するなんて方法、俺達を含めた士官学院のみんなやトリスタの人々は誰も望んでいません!」
パントの答えを聞いたトワは悲痛そうな表情をし、リィンは真剣な表情で声を上げた。
「他に方法があるとすれば、トリスタの防衛部隊が帝都防衛の為に帝都方面へと後退して、トリスタ周辺の守備が薄くなる日を待って、その時に奪還する事だが……―――それでは”戦争回避条約”によって設けられた猶予期間を守れず、エレボニアが滅びる可能性が高くなってしまうよ?そうなれば、君達のクラスメイト―――”C”の身柄をクロスベルからエレボニアに引き渡してもらう事も叶わなくなり、彼は最悪クロスベルによって”処刑”されるかもしれない。しかも貴族連合によって誘拐されたかもしれない士官学院の君達の教官や友人、そして彼らの親族は貴族連合を傀儡にするつもりでいる”D∴G教団”司祭ヨアヒム・ギュンターの”モルモット”として”人体実験”をされる可能性もあり得る。そんなリスクを背負ってまでトリスタ周辺の守備が薄くなる日を待ち続けるつもりかい?君達も知っての通りクロスベル帝国が建国されたから、戦争回避条約によって設けられた猶予期間は既に10日を切っているのだよ?」
「!!」
「そ、それは…………」
「……ッ……!」
パントの指摘にリィンは目を見開き、アルフィン皇女は辛そうな表情をし、サラ教官は唇を噛みしめ、仲間達はそれぞれ複雑そうな表情や辛そうな表情で黙り込んだ。
「ザクセン山道でエイリーク皇女殿下が君達に向けて言った忠告……その時が今という事だ。」
ザクセン山道でエイリークの忠告を聞いたリィン達はそれぞれエイリークの忠告を思い出していた。
ですが”戦争”に関わる限り、いずれ自分達の身や大切な存在を守る為、そして目的を果たす為に”敵を殺す必要がある事”が訪れる可能性がある事を頭の片隅に留めて置いて下さい。
「……”戦争に関わる限り、いずれ自分達の身や大切な存在を守る為、そして目的を果たす為に”敵を殺す必要がある”、か。確かに今そうしなければ、私達は大切な存在を失ってしまうかもしれないな……」
「そ、そんな………!他にも方法がきっとあるはずです!」
重々しい様子を纏って呟いたアンゼリカの言葉を聞いたアリサは悲痛そうな表情をし
「パント卿……正規軍に頼る方法を除けば、本当にその”方法”しかないのですか……!?」
「お兄様……」
「兄様……」
悲痛そうな表情でパントに問いかけるリィンをセレーネとエリスは心配そうな表情で見つめた。
「残念ながらそれ以外はない。それとリィン君、正直こんな事は言いたくなかったのだが……―――エリゼは自分にとって大切な存在――――エリス君を取り戻す為に多くの近衛兵達を葬って自らの手を血で染めた。エリゼは”大切な存在を守る為に人を殺す覚悟”ができたというのに、エリゼの兄である君がエリゼと同じ”覚悟”を持つ事を必死に抗っている事に自分は情けないと思わないのかい?しかも君は訓練兵とはいえ、”軍人”だ。訓練兵をしていた時に賊の討伐等も参加していただろうから、既に人を殺した経験はあるのに”今更”敵を殺す事に躊躇を持つのは軍人―――いや、君と共に賊の討伐を行った君の同期の者達に対して何も思わないのかい?」
「……ッ!!」
「姉様……兄様……」
パントの指摘にリィンは辛そうな表情で唇を噛みしめて身体を震わせ、そんなリィンをエリスは辛そうな表情で見つめ
「リィンさんの件同様、皆さんもですわよ。プリネ姫達は内戦終結を目指す皆さんにとって必ず障害になるであろう貴族連合の”裏の協力者”を皆さんの為にも討伐したのです。プリネ姫達の”仲間として”、エリゼやプリネ姫達と同じ”覚悟”を持つ事を抗っている事にエリゼ達に対して申し訳ないと思わないのですか?それに皆さんの”好敵手”と言ってもおかしくない相手である”特務支援課”の方々は悲願を叶える為に”結社”に属する者達や大統領側に力を貸している猟兵達が殺害される事を受け入れました。彼らが悲願を叶える為に障害となる敵が”殺される”事を覚悟し、受け入れたというのに、貴方方はその覚悟ができない事について何も思わないのですか?」
「…………………」
自分達を見回して言ったシグルーンの指摘にアリサ達は何も答えられず、それぞれ辛そうな表情で黙り込んでいた。
「皆さん…………」
リィン達の様子を辛そうな表情で見つめていたセドリック皇太子は目を伏せて黙り込んだ後やがて決意の表情になって、口を開いた。
「……エレボニア皇太子、セドリック・ライゼ・アルノールとして皆さん――――”トールズ士官学院”に”勅命”があります。」
「え……」
「セ、セドリック……?一体何を……?」
セドリック皇太子の言葉を聞いたリィンが呆けている中、アルフィン皇女は困惑の表情でセドリック皇太子を見つめた。
「パント卿が仰った”トールズ士官学院”の方々によってトリスタやトールズ士官学院を奪還する方法を取り、トリスタを……そしてトールズ士官学院を奪還してください。なお、トリスタやトールズ士官学院の防衛についている貴族連合軍の兵士達は殺して構いません。これはエレボニア皇太子―――セドリック・ライゼ・アルノールとしての”勅命”です!」
するとその時セドリック皇太子はその場にいる誰もが予想していなかった行動に出た!
既にお気づきと思いますがついにリィン達が戦争でも敵を殺さないという軌跡シリーズの甘ったれた方法ではなく、エウシュリーらしい現実的な方法を実行します(黒笑)まあ、本編を読んでいる人達はむしろ『何でこっちの方法を取らなかったんだ!?』という突込みをするかもしれませんねww
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第61話 | ||
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コメント | ||
ジン様 というか戦争で敵を殺すのが常識なんですけどね K'様 実際原作の士官学院奪還イベントも茶番というか学生のサークル活動としか思えないですよねぇ 本郷 刃様 ア○ス○ーンに微妙に似て来た気がww 匿名希望様 まあそれはしょうがないかと(sorano) リィンってある意味修羅の国の軍にいたんだから今までの考えの方がおかしかった気もするけどね。中途半端に原作とオリジナル混ぜるとこうなると。(匿名希望) 何気にリィンが訓練兵として賊を殺していたことが明らかになりましたね・・・士官学院というのは軍人の卵を育成するところなので戦争が始まれば仮とはいえ軍人として人を殺さなければならないかもしれないという考えが必要なんですけどね、それにしてもセドリックの成長が凄いw(本郷 刃) 軌跡シリーズの人物は現代人に近い感性の持ち主が多いですから、殺人という行為に嫌忌感を持つのはある意味当然かと。だからこそ、自分達の力で取り戻したいとか学生のサークル活動みたいなこと言わずに大人しく戦争のプロに任せとけとも強く思いますが。(K') ん〜個人的に殺さないほうが覚悟としては上だと思いますけどね?ただ敵を殺す覚悟ってことは自分が恨まれたくないだけの甘ったれの至高だと思うし、まぁ殺される覚悟があるならましかもしれないけど。(ジン) |
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