英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
〜カレイジャス・ブリーフィングルーム〜
「なっ!?」
「ど、どうして僕達にそんな”勅命”をするんですか……!?」
セドリック皇太子の”勅命”を聞いたマキアスは驚き、エリオットは信じられない表情で尋ね
「エレボニアの存亡や”教団”によって出る被害と”逆賊”である貴族連合軍の兵士達の生死を比べれば、どちらを優先すべきかは明白です。エレボニアの皇族として……そしてエレボニアの”皇”である父上の跡を継ぐ者として、エレボニアが滅亡する可能性を高め、更にはエレボニアの民達が”D∴G教団”によって人体実験をされるかもしれない可能性を見過ごす事はできません。…………貴族連合軍の兵士達を殺すように”勅命”した僕の事は幾らでも恨んで構いませんので、貴族連合軍の兵士達を殺してでもトリスタを奪還してください。トリスタを奪還する事ができれば、ヘイムダルの奪還も可能となりますので、帝都であるヘイムダルを奪還する事ができれば”戦争回避条約”の猶予期間以内に内戦を終結させられます。」
「殿下…………」
「殿下はトリスタを奪還する為に貴族連合軍の兵士達を殺す事に迷っている私達の背中を押す為にそのような”勅命”をされたのですね……」
「………………」
セドリック皇太子の説明を聞いたユーシスとラウラは辛そうな表情でセドリック皇太子を見つめ、サラ教官は重々しい様子を纏って黙り込んでいた。
「セドリック……だったら、わたくしも――――」
「ううん、アルフィンは”勅命”をしないで。」
「え………ど、どうして!?」
セドリック皇太子と共にリィン達に”勅命”をするつもりでいたアルフィン皇女はセドリック皇太子に制され、信じられない表情で尋ねた。
「アルフィンはいずれ”エレボニア皇族”じゃなくなるから、そんな”勅命”をさせる訳にはいかない。」
「それは……!確かにそうですが今のわたくしはエレボニア皇族!ですから当然エレボニア滅亡を防ぐ為に貴方と同じ”勅命”をする”義務”が―――」
セドリック皇太子の話を聞いたアルフィン皇女は反論をしたが
「…………アルフィンはエレボニアにとって”恩人”で”英雄”のリィンさんに嫁ぐんだから、アルフィン自身にリィンさんに対してそんな残酷な”勅命”をさせる訳にはいかないよ。」
「セドリック…………」
「殿下…………」
セドリック皇太子の説明を聞くとリィンと共に辛そうな表情で黙り込んだ。
「兄様……」
するとその時エリスがリィンの片手を自分の両手で優しく包み込んだ。
「エリス?」
「兄様……姉様が私の為に多くの近衛兵達をその手にかけた話やシグルーン様達から”戦争”の話を聞き、それからずっと考えて答えを出しました。――――内戦を終結をさせる為には時には非情な決断が必要だと。私も姉様や兄様と共に自分の手を血で汚す覚悟はできています。クロウさんや士官学院、そして留学中にお世話になったエレボニアの人々の為にも迷わないで下さい……!」
「エリス……」
「エリスお姉様…………」
エリスの言葉を聞いたリィンはセレーネと共にそれぞれエリスを辛そうな表情で見つめた後決意の表情になって仲間達と目線を合わせて頷き、そしてセドリック皇太子を見つめて言った。
「セドリック皇太子殿下……殿下の”勅命”、”トールズ士官学院”一同、未熟な身ではありますが受けさせて頂きます。」
「今までお世話になった恩も返す意味で、絶対にトリスタを奪還してみせます……!」
「……はい。その代わりになるかどうかわかりませんが必ずクロウさんの身柄をクロスベルから引き渡してもらい、僕達皇族の権限で”処刑”の判決は出ないようにしますのでどうかよろしくお願いします。」
リィンとトワの言葉にセドリック皇太子は静かな表情で頷いた。
こうして、リィン達Z組によってトリスタの奪還作戦が正式に行われることになった。詳しい作戦の段取りは発案者であるパントと士官学院の事を一番よく知るトワによって行われ……その結果まず街道に展開している防衛部隊を撃破してトリスタに駐屯している部隊を引きつける事になり……防衛部隊を撃破する役割はリィン自身の申し出によってヴァリマールを主体に行われる事になった。
そしてトリスタに駐屯している部隊を引きつけた後ベルフェゴール達が陽動兼駐屯している部隊の殲滅をする事になり、リィン達は三班に分かれてトリスタ並びに士官学院に駐屯している部隊の殲滅を行う事になった。
トリスタから士官学院の正門を目指して士官学院に突入するA班のメンバー構成はリィン、トワ、ラウラ、フィー、エリス、サラ教官。士官学院のグラウンドにある裏門から士官学院に突入するB班のメンバーはアンゼリカ、ユーシス、マキアス、ミリアム、エリオット、アルティナ。そして旧校舎から士官学院に突入するC班のメンバーはアリサ、ガイウス、セレーネ、エマ、メサイアへとそれぞれ編成し、翌日に作戦を決行する事になった。
〜数時間後・バリアハート・メンフィル帝国軍・エレボニア帝国侵攻部隊総督府〜
リィン達によるトリスタ奪還作戦が決まった数時間後、エレボニアに侵攻するメンフィル軍の総督府である元アルバレア公爵城館にはリアンヌと共にメンフィルに寝返った”鉄機隊”の面々も待機しており、”鉄機隊”の”筆頭隊士”であるデュバリィはリィン達の件を知るとある決意をし、デュバリィは自身が決めた決意を実行する為に同じ”鉄機隊”のメンバーである”魔弓”のエンネアと”剛毅”のアイネスと共に城館内にいるレーヴェを探して自分達の頼みをレーヴェに伝え、その頼みにレーヴェは眉を顰めながらも応じてデュバリィ達の頼み――――リウイとの面会を実行する為にリウイがいる部屋を訪れていた。
「執務中の所申し訳ございません。陛下、少々よろしいでしょうか?」
「―――入れ。」
「ハッ。失礼します。」
リウイの答えを聞いたレーヴェは部屋に入った。
「陛下、”神速”を始めとした”鉄機隊”の者達が陛下との面会を望んでおられますが……」
「何?一体何の用だ。」
予想外の人物達が自分との面会を望んでいる事を不思議に思ったリウイは眉を顰めて続きを促した。
「”神速”が陛下に嘆願したい事があるとの事です。」
「俺に嘆願したい事だと?……まさかとは思うが”結社”関連の事か?」
「いえ。”Z組”と決着をつける為に、その許可を陛下に頂きたいとの事です。」
「”Z組”と決着をつける為だと?………―――いいだろう。通せ。」
「御意。」
数分後、デュバリィ、エンネア、アイネスがリウイがいる部屋に通された。
「……本日はメンフィルに所属してまだ日の浅い私達との面会に応じて頂き、心から感謝致しますわ。」
「挨拶はいい。レオンハルトから”Z組”と決着をつける為に俺との面会を望んでいると聞いたが、一体何の為に”Z組”との決着を求める?」
「……それは――――」
そしてデュバリィはリウイの疑問に答えた。
「―――と言う訳です。どうか彼らとの決闘の許可をお願いしますわ……!」
事情を説明し終えたデュバリィはその場で頭を深く下げ
「デュバリィ…………―――陛下、我々からもお願いします……!」
「どうかデュバリィの願いを叶えてやってください……!」
デュバリィに続くようにアイネスとエンネアも頭を深く下げた。
「…………全員、頭をあげろ。一応確認しておくがシル―――いや、リアンヌはその件について承知しているのか?」
「いいえ、マスターには相談していませんし、相談するつもりもございませんわ。今回の件は”結社の鉄機隊”としての決闘なのですから。」
「なるほどな……”Z組”と直接剣を交えたデュバリィはともかく、”Z組”との面識すらないお前達は何故デュバリィと共に”Z組”との決着をつける戦いに挑む?」
デュバリィの話を聞いて少しの間考え込んだリウイはエンネアとアイネスに視線を向けて尋ねた。
「我々の”筆頭”であるデュバリィの決戦なのですから、我々はデュバリィの仲間として力を貸す事にしたのです。」
「後でマスターからお叱りや処罰を受ける事も、メンフィルからの処罰を受ける事も覚悟の上です。」
「ハア……奴の愛弟子だけあって、そういう所も奴に似ているな……」
アイネスとエンネアの決意を知ったリウイは呆れた表情で溜息を吐いた後考え込み、そしてデュバリィに尋ねた。
「……ちなみにその決闘でお前達が勝利した場合はどうするつもりだ?」
「私達が勝利したとしても、トールズ士官学院は彼らに返還しますわ。私達が求めるのは”Z組”との決着のみなのですから。」
「……―――いいだろう。後悔が残らないように、全力で奴等と戦って決着を付けて来い。」
「ええ……!―――かつて敵対していた”結社”出身で新参者である私達の嘆願に応えて頂いた事に心から感謝致しますわ。このご恩は今後の働きで返させて頂きます。―――それでは私達はこれで失礼しますわ。」
そしてデュバリィはアイネスとエンネアと共に部屋から退出した。
翌日、リィン達は”Z組”を始めとした”トールズ士官学院”の悲願であるトリスタ奪還作戦を開始した…………!
今回の話で既に察したと思いますがまさかのデュバリィ達”鉄機隊”が原作でトールズ士官学院で戦うパトリック達の代わりのボスとしてリィン達の前に立ちはだかります!なので光と闇の軌跡シリーズでは今まで散々な扱いをされてきた(オイッ!)デュバリィ達の最高の見せ場になると思いますww
説明 | ||
第62話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1444 | 1302 | 2 |
コメント | ||
本郷 刃様 まさかのデュバリィの活躍の場がようやく来ましたw(sorano) お、デュバリィの活躍の時ですか、楽しみですね(本郷 刃) |
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