艦隊 真・恋姫無双 69話目
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【 どさくさに紛れて の件 】

 

? 洛陽 都城内 大広場 にて ?

 

ーーーーーー!

ーーーーー!

 

ブロロロォォォ──ッッッ!

 

周辺では空砲が鳴り響き、戦闘機が頭上を飛び交う!

 

その下では、古代ローマの重装歩兵に似た軍勢と交戦する恋姫、艦娘たち!

 

ーーー

 

重装歩兵「トォォオオオッ!」

 

春蘭「なんだぁ! そのへっぴり腰は!? 我が軍の兵士の方が、まだ優秀だぞ! もう一度! 新人兵からぁ───やり直せぇえええ!!」

 

重装歩兵「グワァアアア!!」

 

ーーー

 

季衣「よしっ! 出来たぁ! この紐をコイツに巻き付けて………」

 

重装歩兵「な、何をするっ!?」クルクルクルッ!

 

季衣「流琉、一緒に、この紐を持って! それで、合図をしたら……この布をボクと一緒に引っ張ってよー!!」

 

流琉「兄様が言っていたのは……天の国で行われる『喧嘩独楽』だけど……」

 

季衣「にゃ? 確か……巻いた紐を引っ張って、掛け声を出して回すんだんよね!! 回す兵士にも紐を付けたし、ボクたちが叫びながら引っ張ればいいから大丈夫だよ! 兄ちゃんが話した事と一緒だよ?」

 

流琉「だ、だって……これって───!」

 

季衣「ほらぁ! ちょうど、あの辺り! 密集してて狙い目なんだよ! だからぁ早く早くぅ! 早くしないと、ボクたちのせいで負けちゃうよ!?」

 

流琉「………う、うん!」

 

季衣「行くぞぉ! 兄ちゃんが教えてくれた『ヨイデハ・ナイカ』……受けてみろぉ!! せぇのぉおおお−−−−っ!」

 

季衣、流琉「「アレェ───ッ!!」」グイッ!

 

───ギュルギュルギュル!

 

重装歩兵「う、うわぁあああっ──!!!」グルグルグル!

 

─────ギユュルルルルルッッッ!!

 

重装歩兵「く、くくく、来るなぁああ──ごはぁっ!!」ガッ!

 

重装歩兵「に、人間独楽だ! 人間独楽が来るぞぉ!! ───うわぁあああーッ!! グフゥ!? ぎゃはぁぁぁっ!!」ガッ! ガッ!

 

季衣「うわぁ〜! やったぁ!! 人がアッチコッチに吹っ飛んで行く!! 兄ちゃんの教えてくれた遊びが役に立ったよぉ!!」

 

流琉「い、良いのかな……?」

 

ーーー

 

思春「………………」

 

重装歩兵「でぇりゃあああッ!!」ブンッ!

 

─────スカッ!

 

重装歩兵「…………い、居ない………?」

 

思春「…………後ろだ。 馬鹿者がッ!!」ゴンッ!!

 

重装歩兵「グホッ!!」

 

ーーー

 

雷「───じゃあ! 行くわよぉ!」

 

電「はわわわッ!! 雷ちゃん! ま、待つのですぅ!!」

 

雷「どうしたの? 早く攻撃しなきゃ戦闘が終わっちゃうわよ!?」

 

電「こ、この体勢は、なんですかぁ〜!! 『雷電』ですので、タッグを組むのは分かりますが! こ、この姿勢はぁぁぁ!?」

 

雷「そう? 格好いいと思うけど。 ほらっ! この前に読んだ、キン肉○ンU世のタッグ技『ビッグフット・エクスプレス』を参考にして───」

 

電「スカートが捲り上がるのですッ! 女の子が行う技じゃないのですよ────ッ!!! 破廉恥なのですぅぅぅ!!」

 

ーーー

 

天龍「へっ! この棒だって……立派な武器だぜ! これで、オレの活躍を見せつけてやる! そうなれば注目度も上がり、オレの改二実装も……」

 

龍田「天龍ちゃん……この紐……分かる〜?」

 

天龍「な、なんだよぉ!? ……あぁー? わかんねぇ。 これが、一体どうしたってんだぁ?」

 

龍田「うん、実は……これね? 天龍ちゃんの服に繋がってるの〜」

 

天龍「ハアァーッッ!? な、何を………」

 

龍田「天龍ちゃんが着替えた時に〜細工して〜。 これを引っ張ると〜?」グイッ!!

 

天龍「ま、待っ───『バサッ!』………えっ? あ……あああああっ!!」

 

龍田「天龍ちゃんの『夏季限定グラフィック姿』御開帳〜!」

 

木曾「−−−−−!?」

 

ーーー

 

 

「「「 ( ゚ρ゚)o∀℃ oдo)σ 」」」

 

重装歩兵「うおぉおおおおお−−−−−ッ!!」

 

「「「 Σ(Iil! ̄Д ̄) o∀o)ь゚ο゚)」」」

 

 

ーーー

 

天龍「み、見るなぁあああッッッ!! ───バ、バカァ野郎どもぉぉぉ!! た、龍田ぁー! き、木曾でもいい! 助けてくれぇ!!!」

 

木曾「……龍田……やり過ぎじゃ……」

 

龍田「だってぇ〜天龍ちゃんだけ……狡いんだもぉ〜ん! それにねぇ、足止めと天龍ちゃん弄りも出来て〜結果オーライ〜♪」プンスカ!

 

木曾「………やれやれ。 仕方が無い、俺が周りの連中を相手にしてやるから、何とかしてくれ! じゃないと……提督が怒りだすぞ?」

 

龍田「そうね〜! このままの天龍ちゃんも良いけどぉ、提督に嫌われるのは困るわ〜? じゃあ、よろしくお願い〜。 うっふふふふ〜」

 

ーーー

 

………………このように大活躍中である。

 

 

◆◇◆

 

【 一刀に牙向く伏兵 の件 】

 

? 都城内 大広場 高台 にて ?

 

 

高台の下での激しい攻防戦?が繰り広げる中、楊奉がブッダの木像のように、顔を強張らせ、一刀たちをみつめる! 

 

楊奉の後ろで、庇われるままの何皇后に至っては、顔を下に向けて……ブツブツと呟くのみ。 何を呟いているか、皆目見当もつかない!

 

楊奉に……打つ手は既に無い! 人質は奪われ、手持ちの兵士は眼下でイクサをするため、手持ちは高台の周りに居る者のみ!

 

一刀の周りには、一騎当千……いや、万夫不当……いやいや……まぁそれ以上の戦闘能力を保持している者が……付き従っているのだ! 脱出するのは、もはや不可能といえよう!  

 

ーーー

 

一刀「貴女は──罪を償うべきです、何皇后! そして……何皇后に手を貸した楊奉、お前も連座する事になる!」

 

楊奉「…………くっ!!」

 

一刀「大人しく捕縛され──『待たれやッ!!』──!?!?」

 

ーーー

 

一刀が捕縛の命令を命じようとした時、何皇后が楊奉を押しのけ前に出る! 

 

何皇后「何進! よぉく聞くがええッ!!!」

 

血走った目を向け、左手を前に突き出して、何進へと呼び掛ける!

 

何皇后「主は、何をしいやおる……貴さんの配下『鬼灯』が……わらわん下へ付おいやしたんほな! ならば……わらわを救い出すんが役目ぞ!」

 

「「「 な─────ッ!! 」」」

 

何進「そう……だな。 鬼灯が……私に与えた最後の選択か。 アイツにしては……甘い選択だ───ッ!!」

 

何進は、鞘に収めた剣を再度、抜き放つ! 

 

ーーー

ーーー

 

一刀たちは……正直……侮っていた。 

 

何進は、敵だと公言した割には……霊帝に手を貸し、皇女たちを守り、何皇后に反発する事ばかりしていた。 そのため、警戒していた部分も薄れていた! 

 

それに……艦娘と桔梗たち益州で仲間入りした恋姫たちは、何進──『空母水鬼』の想いを薄々感じ取っていたからである。 

 

一刀に心を寄せて入る事を………

 

だから……このような場で、一刀に直接──手を下すとは考えていなかったのだ。 正に『青天の霹靂』──である!

 

ーーー

ーーー

 

何進「───麗羽よ、下がれぇ! ハァ───ッ!!!」

 

何進は、持っている剣を構える! 

 

そして、同時に放たれる強力な覇気! 

 

霧島「………私の戦況分析に過ちが──!?」

 

長門「───ッ! 提督!!」

 

一刀との距離は……数歩! 

 

何進の剣の腕前は、劉焉を成敗した時に承知済み! しかも……その正体は『空母水鬼』……今のままでは誰も勝てない!!

 

長門も霧島も──後悔した!

 

ーーー

 

一刀の後方に居た──愛紗も鈴々も助けに行こうとするが……足が竦んで動けない! 前方にいる何進が、人ではなく……何か得体の知れない化け物のように感じる! 強烈な圧迫感が武に秀でる将、智に長ける将に襲い掛かるッ!!

 

愛紗「動けぇ! 動いてくれぇ! ご主人様の危機なんだ! 頼む、動いてくれ!!!」

 

鈴々「にゃああああ──ッ! お兄ちゃーん!!!」

 

桃香「キャアアア──ッ! ご、ご主人さ──」

 

白蓮「くっ! 下がれ、桃香!」

 

★☆☆

 

数千の重装歩兵と対峙し、有利に状況を進める恋姫たち!

 

ーーー

 

華琳「────! 覇気が!? しかも──私に近い!?」

 

ーーー

 

春蘭「こ、これしきの事ぉおおおッ!!!」

 

秋蘭「な、何だ……華琳さまと似た……ぐぅ!」

 

季衣「こ、怖いよ〜!」

 

流琉「季衣、しっかりして! 私たちは、華琳さまを守る将なのよ!!」

 

真桜「ちょっ! しゃ、洒落にならんわぁ!」

 

沙和「───! ま、真桜ちゃん! 凪ちゃんが、凪ちゃんがーッ!?」

 

ーーー

 

蓮華「な、何!? これは──ッ!?」

 

冥琳「───祭殿の覇気より、遥かに───くぅぅぅ!!」

 

小蓮「お、お姉ちゃん───!」

 

思春「シャオさま! 私の後ろへ!!」

 

ーーー

 

稟「ま、まさか……私たちのような武に未熟な者まで……!」

 

風「こ、こここ……これはぁ───」

 

星「稟、風! 早く私の後ろへ下がれぇ!!」

 

ーーー

 

月「あああ───ッ!」

 

詠「ゆ、月───ッ!」

 

霞「何しとん! 月、詠! 早よう、うちらの背に隠れぇ!!」

 

月「霞さん! 詠ちゃん、行くよ!?」

 

詠「う、うん!」

 

霞「さ、流石ぁ洛陽やな……! れ、恋以上の化け物が、まぁだ……いるんかぁ……!?!?」

 

華雄「……………更なる高みが! あれか───ッ!!」

 

ーーー

 

恋「─────強い! 恋より………もっと!!」

 

ねね「恋どの────ッ!!!」

 

ーーー

 

翠「──ぐぅぅぅぅッ! な、なんだぁ!? 押し潰されそうな気配は!!」

 

蒲公英「か、身体の自由が……効かないよぉおおおッ!!!」

 

ーーー

 

麗羽「────相変わらず……恐ろしい方ですわね! 兎一匹に全力を尽くすなんて……。 いえ、兎ではなく……白き龍だからこそ……かしら?」

 

 

 

◆◇◆

 

【 慌てる艦娘たち! の件 】

 

? 都城内 大広場 周辺 にて ?

 

補助に徹する艦娘たちも!

 

金剛「Shit!? け、形勢逆転されマシタァァァ!!」 

 

比叡「────!?」

 

榛名「提督が!!」

 

アリゾナ「─────!」

 

金剛「提督や霧島たちがDangerous(危ない)デース! 皆、この艦隊を任せるから、後を頼むネッッ!」

 

比叡「だ、駄目ですよぉ!! 金剛お姉様は、大事な第一艦隊旗艦です! 此処に居て下さい! 私が……司令を助けに向かいますからぁ!!」

 

榛名「比叡姉さん! 私も───」

 

比叡「榛名は金剛お姉様と一緒に此処で待機して! 集音マイクの話からすると……何進、うぅん……空母水鬼よね? ……今、私たちが立ち向かっても……レベル不足の強敵だから、轟沈されちゃう可能性が高いわ……」

 

榛名「そ、それなら……どうして! 皆と艦隊を組んで行こうとしないんですか!? 連合艦隊で突撃すれば!」

 

比叡「この乱戦の中で、連合艦隊と言うの無理ね。 司令の所に行き着くまでに時間が掛かるし、調整も難しいじゃない? 数隻を『回天』のような役目をさせて、脱出させるのが賢明! って言うか……それしか無いのよ!」

 

榛名「比叡姉さ……」

 

金剛「比叡……貴女は、それで良いんデスカ?」

 

榛名「──!?」

 

比叡「……よくなんか……無いですよ! せっかく、轟沈した金剛お姉さまや霧島、あのまま別れた榛名と、こうして……また逢えて、お茶会や毎日騒げる──この場所が大好きでした! 今も……大好きですッ!!」

 

金剛「…………比叡ィ……」

 

比叡「だけど……『アノ時』……私は見捨てらました。 まだ……動く事が出来たけど、轟沈させられて。 だけど……見捨てられるっていうのは……ものすごくぅ寂しいんです。 悲しくて悔しくて……残念で……」

 

アリゾナ「……………」

 

比叡「あそこには、提督と共に霧島も居るんですよ。 私の為に仇を討とうとしてくれた……大事な妹たちの一隻が……。 幾ら轟沈確実と分かっていても、やらなければならない事が……あるんです!」

 

榛名「────!」

 

比叡「私が……何とかして、提督たちを救うから……。 だから……榛名は来ちゃ駄目。 私の代わりに金剛お姉様……お願いね!」

 

アリゾナ「ま、待ちなさいよ! それなら私が代わりに行くわ!」

 

比叡「ひ、ひえぇ〜!?」

 

アリゾナ「な、何をワケの分からない驚き方してんのよ! だから、比叡は残る! 私が、その空母水鬼だかに……一戦交えて来るわ! それなら、大丈夫でしょ! 貴女たちこそ──待っていないよ!!」

 

比叡「えっ? それじゃ!?」 

 

アリゾナ「………誰かが……誰かの為に犠牲になるなんて……もう見たくないのよ! あの時、墜落した貴女たちの艦載機、逃げ惑う私の国の乗務員。 もう……誰か失い哀しむ姿を……見たくないんだから……」

 

★☆☆

 

翔鶴「───! 艦載機より入電! 何進──いえ空母水鬼が、提督を殺害しようと!? は、早く助けに行かなければ───!!」

 

瑞鶴「翔鶴姉は、旗艦だから此処に居て! 私が行ってくるよ!」

 

サラ「いえ、私の艦載機が多く発着しています! ですから、艦載機を利用して隙を突り出し、私が皆さんをお救いしたいと!!」

 

ビッグE「待て待てぇ! ここは、このあたしが出る! 何たって不死身の異名を取るあたしだ! あたしが出撃する!」

 

瑞鶴「だから、私が──」

 

サラ「瑞鶴さんは、お姉さんがいらっしゃいます! 私が代わりに!」

 

ビッグE「サラも駄目だ! 飛行甲板が無いあたしじゃ艦載機を着艦できねぇ! あたしが代打で出る! 文句は言わせないよ!!」

 

★★☆

 

電「は、はわぁあああ────ッ!」

 

雷「電、行くわよ! 今、この戦場は対人じゃなく、対艦娘の戦いよ! ここは雷さまの活躍、見せつけてやる絶好の機会よ!?」

 

響「うむ……立派な意見で感心する。 しかし、重大な事を忘れてないか?」

 

雷「………へ?」

 

暁「わ、私たち……艤装が全部ぅ置いてきたの!!」

 

「「 ─────!?!? 」」

 

響「こういう儀式においては、武器のような物は許可されない。 だから、私たちが『日常品を武器』に変えたんじゃないか?」

 

雷「アィエエエッ!! そ、そうだったわ!」

 

電「ど、どうしよう……! どうしよう!?」

 

〜〜ふらふらっ!

 

スチュワート「ハァ〜フゥ〜! ハァ〜フゥゥゥゥ〜!」ドサッ!!!

 

電「あぁ……スチュワートさん! その艤装は!?」

 

雷「ス、スチュワートって、前作に居なかったじゃない! どこに行っていたのよ? 旧第六艦隊の皆も知らないって言うから……って、これッ!!」

 

スチュワート「ひ、必要だと思って、取りに戻ったのよ! 雷、電……行って来なさい! 貴女たちが……この中で一番の古株なんでしょ? ほらっ! これを装着して、司令官を助けに行ってきなさいよ!!」

 

雷「うんッ! ありがとー!!」

 

電「あ、ありがとうなのです! この事は一刀さんに伝えて……」

 

スチュワート「………しなくていいわ。 わ、私が勝手にやった事なんだから。 その代わり……絶対に司令官……助けなさいよ……? も、勿論──アンタたちも無事に帰ってくる事、忘れるんじゃないわ!!」

 

雷「三人で仲良く帰って来て、見せつけてあげるわ!」ダッ!

 

電「……必ず無事にッ!!」ダッ!

 

スチュワート「……………や、約束……守りなさいよ……ね……」ガクッ!

 

暁「あわわわっ! 『トスッ』 ふぅ〜! 間に合ったわね。 ………お疲れ様、スチュワート……」

 

スチュワート「………スゥー、スゥー」

 

響「………既に……私たちの仲間だな」

 

暁「響……貴女、知っていたわね? スチュワートが雷たちの艤装を取りに行った事……」

 

響「何の事やら……」

 

暁「……いいわよ。 私もね、お子さまじゃ無いから告げ口はしないわ。 だけど、噂話は出るかもね? スチュワートが頑張った話──」

 

★★★

 

木曾「どう考えても、俺しか動けないようだな……」

 

天龍「た、龍田が余計な事……しなきゃ! オ、オレが───」

 

龍田「旗艦が行ってどうするの〜? ごめんなさいね、今回は、少しやり過ぎたかも〜。 お願いしてもいい〜?」

 

木曾「あぁ……任せろ! 俺の命に代えてでも提督たちを救ってやる!」

 

龍田「あ……それは大丈夫ぅ。 心配要らないから〜」

 

木曾「どういう事だぁ?」

 

龍田「だぁ〜て、私たちと同じ目をしているんだもの〜。 大将軍さん〜」

 

木曾「───はっ!?」

 

 

◆◇◆

 

【 一刀を護る者 の件 】

 

? 都城内 大広場 高台 にて ?

 

広場に居る敵味方を全て……圧迫する何進の凶猛なる覇気!

 

恋姫たちでさえ……この状態! 

 

その為、如何に精兵と言えど……兵士たる者たちもまた………

 

重装歩兵「お、重いぃぃぃ………」バタッ!

 

重装歩兵「ぐげえぇぇぇ───」バタンッ!

 

重装歩兵の兵士も──覇気により動けず、重装備が逆に仇となり、一人また一人と地面に自沈して行く!

 

ーーー

 

劉辯「何進……至急中止……」

 

劉協「や、止めなさい!!」

 

桔梗「お二方……お下がりをッッッ!!」

 

ーーー

 

皇女たちの周辺だけは、覇気の流れが若干弱い。 ならばこそ、皇女たちは何進に向かい止めるように促すが……聞く耳を持たず。

 

桔梗も……一刀の身の上を案じるが、今の任務は二人の護衛! その任務を投げ捨て行くには、己の武人としての矜持が許さない!!

 

そして、何進に命じた者たちも、痛烈な金縛りに遭い……そのままの姿勢で固まる! 楊奉は直立不動、何皇后は左手を伸ばし、一刀に指差したまま!

 

されど、楊奉の強張った顔とは違い、何皇后は満面な笑顔で嗤う! 嘲笑する! 蔑み笑った!

 

何皇后「アーッハッハッハッハッ! 何進! やれぇ! やってしまいよし! 天の御遣いん首をはねよ! 漢王朝を牛耳ようとしはる天の御遣いを誅しなはれ!! ───そん御遣いを庇う不届きモンと共にな──ッ!!」

 

何進は、剣先を肩口近くまで上げ、両手で柄を握り締める! 右足を前に出し半身にして、剣を水平に構える! 狙いは……一刀の首、一カ所のみ!

 

何進の剣技、深海棲艦の力を持ってすれば、易々と首を上げれる!

 

霧島も長門も、足が竦んで動けない! それでも前進の意志は衰えず、懸命に歯を食いしばり動かすが……足が石のように動く事が叶わないのだ!!

 

何進の構えを見て、余計に焦るのは艦娘の二人!

 

長門「くそぉおおお──提督ッ!」

 

霧島「───司令!!」

 

『これで勝った!』と思った瞬間───まさかの伏兵!

 

『勝ってメンポを確かめよ』のコトワザ通り──実際危ない! 

 

だが、何進が構えたままで───動きは無い!

 

その視線を追えば……北郷一刀……! 

 

……そして、その前で……

 

両手を広げ立ち塞がる……楽文謙……凪の姿があった!

 

何進「………………退かぬか、娘よ?」

 

凪「……隊長は私の命! この場を前進する事はあっても、避けも退く事もありません! 私の身命は、既に真名と共に隊長へ預けたもの! 何人たりとも───隊長を害させるワケには行きません!!!」

 

一刀「凪──離れろ! 君まで死ぬ必要は無い! 作戦を過ち、皆を危険な目に遭わすのは俺の落ち度だ! 責は俺が取る! だから──離れてくれ!!」

 

凪「い、嫌です! アノ日より消えた隊長を──ずっと待ち望み………やっと……やっと逢えたのに! 何故、また離れなければならないんですかぁ! また、離れる事になるのなら、隊長……貴方と死を選びますッ!!」

 

「「「 ーーーーーー!! 」」」

 

そう言い放ち、目から涙を流しながら……振り返って笑う凪!

 

その顔には、迷いなどない眩しいくらいの笑顔であった!!

 

 

◆◇◆

 

【 つまらぬ物を斬って…… の件 】

 

? 都城内 大広場 高台 にて ?

 

何進は、構えたまま……凪に尋ねる。 

 

何進「一つ聞きたい。 何故……私の覇気から逃れでた? 私の覇気を浴びれば、あのように金縛りとなり動けなくなる! 今回、一刀を一瞬に葬るため、最大限にまで上げた。 それが……どうして容易く動けるのだ?」

 

凪は姿勢を変えず、顔を何進に向けて説明する!

 

凪「何進さまの覇気は確かに巨大であり、私も何も知らなければ、動くどころか指を動かすことさえ……無理だったでしょう!」

 

何進「では………?」

 

凪「その覇気……何故か私の昔仕えていた『主』とほぼ同質の氣! ならば、その氣に私の氣を同調させれば、普通に動く事は可能です! 同質の氣ならば、抵抗する物は無くなる! そうではありませんか? 何進さま!!」

 

何進「………そうか……」

 

そのような会話をしていると、何皇后が横槍を入れてくる! 

 

何進の実行が遅いのを焦れているのか、姿勢が中途半端だから疲れたのか? 

 

多分、どちらもそう何だろう。

 

何皇后「何進よ! なんを喋っておる! 早う御遣いを誅せよ! 早う、早う、早う早う早う───早ようッ!!!」

 

そんな何皇后を無視して、何進が一刀へと話掛けた。

 

何進「………一刀よ! 運命とはいえ、誠に遺憾ながら、このような事になった。 せめてもの情け! 一撃で、その娘共々……葬る!」

 

一刀「………今度は、俺も動けないよ。 しかし、どちらにしても、作戦を失敗した将は、敗戦の責を取らなくてならない! 甘んじて受けるさ! 心残りは二つある! 一つは凪だが……どうしようもない……諦めるよ」

 

何進「………もう一つは? 艦娘や配下の将の未来か?」

 

一刀「───それは大丈夫。 あの貂蝉たちが放って置く事は無い! 必ず救い出してくれるさ! もう一つの心残り、今……叶えたいがいいか?」

 

不思議に思い首を傾げる何進。 

 

そんな何進へ一刀が驚きの発言を添えた。

 

何進「……………?」

 

一刀「………何進に真名を預けられたのに、呼ぶ機会がなかった。 だから……最後に言わせて貰う! 『さようなら……雷華!』 ──以上だ!」

 

何進「か、一刀………!? まだ……信頼してくれると言うのか? 殺気を放つ……私に向かって!!?」

 

一刀「……………………」

 

顔を赤らめて、急いで再度尋ねる何進!

 

しかし……一刀は目を瞑り黙止したまま。 賛成や反対の意思表示が無い!

まぁ……反論しないから賛成なんだろうけど。

 

ーーー

 

何皇后「何進!! 早うせい!! 今、行わなければ───貴さんも誅しはるぞ!」

 

業を煮やした何皇后が怒り狂う!

 

何進「……………………」キン!

 

その様子を横目で見て、剣を収めた!

 

何皇后「なん故、剣を収める! そんまま突き殺せばええモンを!!」

 

何進「このような傑物を、ただ殺すようでは興醒め。 漢王朝の威厳を示すため、この何進の剣技『イアイドウ』を諸侯に見せ付けて、叛逆の種共々刈り取りましょうぞ!!」

 

華琳「─────!」

 

「「「 ────────!! 」」」

 

何進「何皇后──余興として『首』を斬り落とす技、得と御覧あれ!!」

 

何皇后「おぉ───良き余興ほな! 早うしいやみぃ!!」

 

何進が居合いの構えを取る! 

 

ーーー

 

雷「だ、だめぇ!! 絶対にだめぇえええ!!!」

 

電「か、一刀さぁーん!!」

 

ーー

 

アリゾナ「な、何とかならない! 何とかならないの!?」

 

ビッグE「ど、どうしようもないっ! 何なんだぁコイツは!?」

 

ーー

 

木曾「覇気で縄張り作ったって事か! やってくれる!!」

 

ーーー

 

高台まで来ていた五人の艦娘は、何進の覇気の壁に遮られる! 厳密に言えば、入れない事は無い。 しかし、侵入すれば身体が重くなり、進む事に重くなり動けなくなる! 

 

戦艦や空母でさえ難しいのだ。 それ以下の艦では論外である!

 

ーーー

 

諸侯の恋姫たちも、高台に注目する!

 

 

ある者は鳴きながら嗚咽を上げる者!

 

ある者は一刀の死に際を目に焼き付けようと注視する者!

 

またある者は、一刀を睨みつける者!

 

 

誰もが───天の御遣い『北郷一刀』の死を確信していた。

 

 

 

いや……一隻だけを除いて。

 

 

 

ーーーー

ーーー

 

何進「では──『キリステ・ゴーメン』!!」

 

何進が神速の居合い切りを披露した!

 

───

─────ブーン!

───

─────バシュッ!

 

ブシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

───『首』が宙に舞う! 

 

──赤き鮮血を周囲に撒き散らかしながらぁ!!

 

 

──────

────チン!

 

「「「 ーーーーーーーーー!?!? 」」」

 

ーーーー

ーーーー

ーーー

 

何進「如何で御座いましたかな? 何皇后よ………我がイアイドウの……切れ味は───?」

 

 

何皇后「な、なぁ、なぁああああっ! なぁあいぃいいい! わらわの左手が無いのじゃぁああああッ!!?」

 

楊奉「何皇后さまぁーーーーーッ!!?」

 

 

何皇后が大絶叫を上げる! 

 

何皇后の左手から、壊れた水道のように鮮血が流れ出るッ!!

 

宙を舞い切った──左手首が──軽い音を立てて地面へと落ちた!

 

何進「御所望により、確かに首を落としました。 何皇后御身の……『手首』と言う首を!」

 

『ーーーーーーーー!!!』

 

 

ーー

ーーー

 

周囲より歓声とも絶叫ともつかない大音響を聞き、目を開ける一刀。

 

一刀「………これは……」

 

凪「た、隊長! 私たち……助かったんです! 助かったんですよ!!」

 

ふと……身体が軽い事に気付き、身体を動かす一刀。 

 

急いで凪の無事を確認して安堵した後……何進が近付いた。 

 

何故か……顔を赤くして………

 

一刀「………ら、雷華!?」

 

何進「ふ、ふん! この国の真名とやらの重さ……ようやく理解した! 私は、お前たち側に付く! そして、何皇后たちを捕らえよう!!」

 

凪「………………」

 

この時……凪の顔が……少し険しかったそうである。

 

ーーーー  ーーーー

 

これで、攻守の関係は完全に逆転した!

 

一刀率いる艦娘、華琳の呼びかけにより動きだした諸侯、そして……完全に皇女側に廻った大将軍何進が……楊奉たちを追い詰めていった。

 

 

続く

 

 

ーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

今回で終わらせるつもりが……まだ続いた?

 

重要なところも、出しましたから

 

今度こそ……次の話で終了しますので。

 

説明
結局……次回持ち越し。 こんな筈じゃ……
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コメント
天龍焔提督 コメントありがとうございます! 龍田『………おさわりは禁止しています〜。 その首、落ちても知らないですヨ?』(いた)
hokuhin提督 コメントありがとうございます! 龍田さんですからねwww(いた)
雪風提督 コメントありがとうございます! 確かに可能性はあり、迷っていましたが『真名』により決断しました。 後、関係ありませんが、業正さんの家臣『上泉さんの孫』が居合いで有名です。 (いた)
流石艦娘一怖い龍田さん、何進の事を見抜いいていたか・・・(hokuhin)
見事な剣技よ、そしてこの外史に真名と言う名の縛りでもある物が無ければ何進(雷華)は逆に一刀の何処かの首を斬って捨ててたでしょう・・。それに居合道(居合斬り)か・・。当初はせめての情けだったかもby長野業正(雪風)
スネーク提督 コメントありがとうございます! この話の通り『決裂』と……なります。 後に色々な要因に重なる予定ですね……反董卓連合とか。(いた)
ふむ…?何進と鬼灯の関係はどうなっちゃうんだろう?(スネーク)
mokiti1976-2010提督 コメントありがとうございます! 他の皆からも……せつかれます。 特に義輝記のキャラから──『久秀を死なしておいて……それで終わり? いい神経しているわよね?』──はっ!?(いた)
張三姉妹が舞台横辺りで出番を待ちくたびれて爆睡している天和と苛立ちまくりの地和と無言でジッと作者様を見つめ続けている人和の姿が見える…これは幻か蜃気楼か?とりあえず続きを楽しみに待っています。(mokiti1976-2010)
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