〔首領専用の独房〕

〇……なあ、この独房って一体どんなやつらが入ってたんだ？

●あん？

〇ここだけ昔から改築されてて且つここら辺じゃ大きな事件起きてねぇし……しかも独房にしては豪華だし可笑しいだろ？

●ああ、お前ここの整備初めてだからしらんのか……

〇え、お前知ってんの？

●この独房はな……インターセンターの首領、リンク・ワーカーに内政をさせる為にこさえたもんなんだよ

〇……は？あの人が？

●俺も信じられなかったがな……だが超行動派のあの人がやらかした事の数々を聞いた時、納得できたよ

〇一体どんな話だよ、こんなとこに閉じ込められる程に酷い事なのかよ

●ああ……それも規模がデカいのばかりときた

●あれは、地域拡大とスカウトを兼ねた他種族訪問を、あの人の独断でやっていた頃の話だ

〇……（何か始まったよ）

●あの人はいつものように書類に目を通し、次の業務が来るまでの間、こっそり外に出て、アマゾネス族んとこに訪れたんだ

〇アマゾネスって……あの両性具有で有名の！？あの人さり気なく羨ましい事を……！

●ああ……皆が皆美貌に溢れる女たちだが男に興味は一切なく、自分らでヨロシクやって栄えて来たあの女性オンリーの戦闘民族だよ！

〇まさかあの人 、奴らとの間に子孫を遺しに……！

●馬鹿野郎、インターセンターへのスカウトの為だよ、それにあの人そういうの疎いって知ってるだろ？

〇そうだったなぁ……あの人仕事は出来るのに恋愛とか異性に関してとかはなぁんでからっきしなんだか

●さあなぁ……

〇所であの人、尋ねに行ってどうしたんだ？

●「強さを示せ」って言われて族長とガチバトやったらしいぜ？「軟弱な男が勝てるわけない」と高をくくったんだろ、実際アイツ等、腕っぷしに関しちゃ最強だし

〇結果は？まさかあの人が……

●中断になった……あの人の仮面が割れた((瞬間|トキ))突然族長からやめだしたんだよ、しかも男であるあの人を交渉に持ちかけた。

〇確か手応えは良く、良い返事を期待出来る結果になった……らしいのにその二週間後に壊滅したんだっけ？

●その原因はな……あの人の素顔を見てガチ惚れして取り合いになって、内乱を勃発しだしたからだといわれてるんだ

〇ええっ！？いくらなんでもそんな……

●いいや実は有り得るんだよ、あの人の仮面を割った女性が二人判明されていてな……二人共あの人襲ってデキちゃったらしい

〇マジで！？

●現にクローフィアさんのお子さん、実はワーカーさんの血を引いてるんだぜ？本人もそう言ってた

〇は……初耳だ……

●そんな調子で無自覚且つ無意識に多種族をおとし、内乱を引き起こしたあの人は、この独房に入れられたそうだ……すぐ脱走しちゃったけどね

〇意味ねぇ！！

●脱走する度にインターセンター総出の捕物帳が行われてたからなぁ……その間にセキュリティガチガチにしたり、そん中で仕事が出来るように設備を整えたり、外部からの情報を仕事内で拾わぬよう遮断工作加えたり……

〇色々……手を加えてるんだね

●その度に脱走しまくるから大変だったよ、仕事中、ドア越しで看守の話を聞いた直後、当たり前の様に鍵開けて看守寝かせて行っちゃうし

〇意味ねぇ……

●ああ、実績を出してるからオールダメ出しも出来んし、何よりあの人はこの国の要だしな、あの人いたからこの国は今も在り続けられるし

〇……つまり、あの人のスカウト防止の為の措置って訳か？にしたって意味なんざなんにも……

●いや、あの人に問題があったんはスカウトだけじゃねぇ……それに、ここが無ければ女神のいる四国が終わってた

〇どういう事だ？

●そうだなぁ……あれは、そう、あの人が国に潜入捜査から帰って来た時の話だ、あの人はいきなり、集めて来た四国の情報をゲイムギョウ界中に公開すると言って来た。

〇ええっ！？そんな事したら交渉不可どころか向こうが潰れかねん爆弾情報のオンパレードだぞ！？あの温厚そうなあの人が何で……

●話によると……さらわれたインターセンター所属のモンスター達が、契約システムの実験台にされて無惨な姿になってた所を……それにブチギレたらしい

〇契約システム……女神に命を預けて加護を最大限貰う為のシステムだな。その為の実験台に俺達の仲間を、親戚を、家族を……ッ

●そんなあの人をこの独房に入れ、上層部の皆は必死に説得した……その甲斐あってか、あの人は思いとどめたんだ

〇仲間を殺された上層部一同と、復習も励ましと慰めの言葉も……何もしてやれない申し訳なさと悔しさでいっぱいだったワーカーさん……お互い、辛かったんだろうな……

●今にして思えば、あの人が四大国に正面衝突を仕掛けた時には既に、我慢の限界突破しだしてたのかもしれんな

〇ああ……あの人、もういないんだよな

●……あの人が亡くなったと報道が出された後、リーダーを失ったインターセンターが内乱で壊滅したという嘘情報を流し、俺達が一斉になりを潜める事で、連中の目から逃れる事に成功したわけだ……

〇あれから何年か経ってるんだよな……ユウザも大きくなったし、いつかここの事を話してぇなぁ……酒の肴に

●オイオイユウザは未だ未成年だぞ、けど話はしておきたいな、ここに詰まっている思い出を

〇……アイツも段々あの人に似て来たけど、もうあんなことは二度とごめんだ、だから……今度は俺達で俺達の居場所を護ろう、それがインターセンターなんだしさ