英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート
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〜カレイジャス・ブリッジ〜

 

「”D∴G教団”が崇めている”御子”、ですか。それならばそのキーアさんという方を確保する為に、クロスベルに攻め入る可能性も高いでしょうね。」

「しかも”特務支援課”の人達がその子の保護者をしているなんて……」

事情を聞き終えたエマは真剣な表情で考え込み、アリサは不安そうな表情をしていた。

「し、しかし……その”キーア”、だったか?500年以上前の人物だなんて、そんなのありえなくないか?」

「フン、250年前の人物が今目の前にいるのだから、ありえてもおかしくないと思うがな。」

「確かに言われてみればそうだよねぇ?」

「ア、アンちゃん!」

「ハハ………」

マキアスの意見に否定したユーシスはリアンヌに視線を向け、ユーシスの言葉に口元に笑みを浮かべて頷いたアンゼリカの答えを聞いたトワは慌て、ジョルジュは苦笑し、リィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「え、えっと………―――クレア大尉、”情報局”は行方がわからないカイエン公達について何か掴んでいないのですか?」

「あ、それにレクターはどうなったの?”碧の大樹”も消えたし、もうクロスベルから戻って来ている頃だよね?」

気を取り直したセドリック皇太子の質問に続くようにミリアムもモニターに映るクレア大尉に質問した。

「申し訳ありませんが情報局もまだ何も掴んでいないようでして……現在調査中との事です。それとレクターさんは昨日クロスベルから帰還しましたが、事情を聞いた後再びクロスベルに向かいました。」

「え……何故でしょうか?」

クレア大尉の説明を聞いたエリスは呆けた後尋ねた。

「クロスベルに滞在している”空の女神”―――エイドス様に”新型のグノーシス”を投与された者達の治癒の為に協力してもらう交渉とクロスベル政府にウルスラ病院に保管されてある”グノーシス”の解毒薬の提供等の交渉をする為です。」

クレア大尉の答えを聞いたリィン達はそれぞれ血相を変えた。

「そう言えば”グノーシス”を投与された場合の問題があったわね……」

「はい……話によると”新型のグノーシス”を投与されて、巨大な魔人へと化した方を救えるのは女神様だけだとの事ですし……」

サラ教官の言葉にアルフィン皇女は不安そうな表情で頷き

「で、ですがその”グノーシス”、ですか?”魔人化(デモナイズ)”を解毒する薬をどうしてクロスベルにある病院に保管されてあるのでしょうか?」

「アタシもそれに関して疑問を持っていたわ。”魔人化(デモナイズ)”の解毒薬なんてどう考えても”聖水”の類じゃない。教会ならまだわかるけど、何で病院にそんなものが保管されてあるのよ?」

ある事が気になっていたエマは戸惑いの表情で尋ね、セリーヌは眉を顰めて尋ねた。

 

「ギルド関係者に聞いた話だと、かつて”特務支援課”に所属していた”匠王”の娘達が開発して、襲撃事件の後”グノーシス”を投与された人々の治療を少しでも早める為にその娘達がウルスラ病院に開発した”グノーシス”の解毒薬の製法を教えたから保管されてあるそうよ。」

「ええっ!?”匠王”って、以前僕達が異世界に行った時に僕達の武具を創ってくれた人ですよね!?」

「それもウィルさんではなく、その娘の人達がそのようなとてつもない薬を開発していたのか……」

「しかも”特務支援課”に所属していたなんて……!」

「武具だけでなく、薬の調合までできるとか”工匠”ってできる分野が広すぎでしょう……」

サラ教官の説明を聞いたエリオットやガイウス、リィンは驚き、アリサは疲れた表情で呟いた。

「それにしてもディオン卿のご息女であられる方達も”工匠”としての腕前も凄まじいですね……」

「ああ。16歳にもなっていないのに、そのような凄まじい効果を秘めた薬を開発できるなんて、普通なら考えられないしね。」

「じゅ、16歳にもなっていないって……!その人達、一体何歳なんですか!?」

パントとルイーズの会話を聞いていたマキアスは信じられない表情で尋ねたが

「マキアス、そなた……」

「年齢は女性に対する禁句ですわよ……」

「ちょっ!?というか普通に考えて誰でも気になるだろう!?」

厳しい表情をしたラウラと呆れた表情をしたセレーネに見つめられると焦った表情をした。

 

「フフ……――――ウィル殿のご息女の方達の年齢についてですが、姉が15歳、妹達は14歳との事です。」

「じゅ、15歳に14歳!?そんな幼い娘達がそんなとんでもない薬を開発したの!?」

「私や姫様達よりも年下ですね……」

「フッ、どんな娘達なのか、非常に気になるねぇ?」

「もう、アンちゃんったら……」

「ハハ、まあこれがアンだからね。」

リアンヌの話を聞いたアリサは驚き、エリスは目を丸くして呟き、興味ありげな様子でいるアンゼリカを見たトワは呆れ、ジョルジュは苦笑していた。

 

「フフ、確かに年齢はまだ幼い方達ですが、見た目は正直大人と言ってもおかしくありませんよ?」

「あ、そう言えばクレアは”匠王”の娘達に依頼する為に直接会った事があるんだったよね?だったら顔見知りのクレアも行った方がよかったんじゃないの〜?”グノーシス”の解毒薬の”開発者”である匠王の娘達の協力も必要だと思うし。」

「へ……」

「何だと!?」

ミリアムが呟いた意外な事実を知ったマキアスは呆け、ユーシスは驚きの表情で声をあげ

「フフ、それは私も考えましたけどヨアヒム・ギュンターが貴族連合を使っての襲撃に備える為に私もエレボニアに残るべきだとレクターさんに言われましたので、エレボニアに残る事にしたのです。」

クレア大尉は苦笑しながら答えた。

 

「まさかこのような身近な所で話にあったウィル殿のご息女達と面識がある人物がいたとは……」

「”依頼”って言っていたけど、何の依頼をしたの?」

ラウラは目を丸くしてクレア大尉を見つめ、フィーは不思議そうな表情で尋ねた。

「大した内容ではありませんよ。武器の改造と、私が使っている”ミラーデバイス”の改造です。」

「ったく、まさかそんな事をしていたなんてね……―――もしかしてレクター少尉がクロスベルに交渉に向かったのは”匠王”の娘達に、既存のグノーシスの解毒薬の量産や”新型のグノーシス”に対する解毒薬の開発に関する交渉もする為かしら?」

「ええ、彼女達にも交渉するとレクターさんも言っていましたから間違いないかと思います。―――それではまた情報が入りましたらお知らせしますので私はこれで失礼します。」

そして通信を終えたクレア大尉はモニターから姿を消した。

 

「―――セドリック殿下、アルフィン殿下。既にメンフィル帝国も帝都の解放についての情報を手に入れていると思われますが、まずは殿下達自身の口から正式に内戦が終結した事についてメンフィル帝国に報告するべきだと思うのですが、いかがでしょう?」

「そうですね……カイエン公をまだ捕えていない事等についての件もありますし、すぐに報告して事情を説明した方が良さそうですね。」

シグルーンの提案にセドリック皇太子は頷き

「ええ……!お父様達もきっとお喜びになるでしょうね♪」

「まあ、プリネ達の事だからもう知らせているかもしれないけど。」

「フィ、フィーちゃん。」

嬉しそうな表情をしているアルフィン皇女に指摘するフィーを見たエマは冷や汗をかいた。するとその時何かの音が聞こえて来た。

 

「これって……導力通信のコール?」

「リンデ、どこからよ?」

「えっと、ちょっと待ってね。―――え……バリアハートのクロイツェン州統括領主の城館から来ているみたいよ。」

「へ…………」

「――――バリアハートのクロイツェン州統括領主の城館というと、恐らくプリネ達だろうな。」

通信士を務めている士官学院生の報告を聞いたマキアスは呆け、ユーシスは静かな表情で推測した。

「こんな絶妙なタイミングで通信だなんてたまたまかな……?―――皇太子殿下、皇女殿下。いかがなさいますか?」

戸惑いの表情で考え込んでいたトワは気を取り直してセドリック皇太子達に尋ね、二人はそれぞれ目を合わせて頷いた後セドリック皇太子が答えた。

「勿論繋いでください。」

「わかりました。―――スクリーンに転送して!」

セドリック皇太子の指示に頷いたトワの指示によって再びスクリーンがリィン達の目の前に現れ、スクリーンにプリネが映った。

 

「あ……プリネ……!」

「―――お久しぶりです、皆さん。まずは内戦を終結させた事……おめでとうございます。先程お父様―――リウイ陛下からメンフィル・クロスベル連合はエレボニアが”戦争回避条約”の猶予期間内に内戦を終結させた為、エレボニア侵攻を完全に中止したとの連絡がありました。」

「え……それは本当なのか!?」

プリネから伝えられた話に呆けたリィンは明るい表情で尋ねた。

「はい。バリアハートの城館の客室で滞在しておられるユーゲント皇帝夫妻にも既に知らせてあります。」

「よかった……本当によかった……!」

「姫様……こちらをお使いになって下さい。」

「グスッ……ありがとう、エリス。」

プリネの答えを聞いた瞬間涙を流して安堵の表情をしているアルフィン皇女にエリスはハンカチを渡し、アルフィン皇女は渡されたハンカチで涙をぬぐった。

 

「悪いわね、本当ならこっちから出向いて説明するべきなのにわざわざ知らせてくれて。」

「いえ、私も皆さんの”仲間”として少しでも早く知らせたかったですから気にしないで下さい。―――それよりも、”クロスベル帝国”建国以降行方がわからなかった”蒼の深淵”の件について皆さんにお伝えしたい事があるのです。」

サラ教官の言葉に答えたプリネは意外な答えを口にした。

「え……ね、姉さんの事についてですか!?」

「……もしかしてヴィータを捕えたのかしら?」

プリネの話を聞いたエマは血相を変え、ある事を察したセリーヌは複雑そうな表情で尋ねた。

 

「それが……今から約2時間前に”蒼の深淵”自らバリアハートに姿を現して、メンフィル軍に”投降”して来たのです。」

「ええっ!?」

「クロチルダさんがメンフィル軍に”投降”しただって!?」

プリネの口から語られた驚愕の事実に仲間達と共に血相を変えたエリオットとマキアスは驚きの声をあげ

「ほ、本当に姉さん自らメンフィル軍に”投降”したのですか!?」

「はい。」

「……正直信じられないわね……アンタは何か心当たりはないのかしら?」

エマと共に信じられない思いをしていたセリーヌはリアンヌに視線を向けて尋ねた。

「いえ、私も彼女に何があってそうしたのか正直わかりません。ただあくまでこれは私の予想ですが”盟主”が殺され、更に彼女と私以外の”蛇の使徒”達が殺された事で”結社”が事実上崩壊し、それらによって全てに絶望して自暴自棄になり、”盟主”の後を追う為にそのような事をしたのかもしれません。」

「……………………」

「そ、そんな……プリネさん、メンフィル帝国は投降した姉さんをどうするつもりなのですか?」

リアンヌの推測を聞いたセリーヌは複雑そうな表情で黙り込み、表情を青褪めさせたエマはモニターに映るプリネを懇願するかのような表情で尋ねた。

 

「…………彼女の処遇についてはこれから決める事になりますので、現時点では明確な答えは言えません。ただ彼女は自分自身の希望に応じてくれるのならば、自分を処刑しても構わないどころかメンフィルに隷属しても構わないとも言っていますので、恐らく”更生の余地あり”という事で少なくても”処刑”の判決は出ないと思うのですが…………」

「なっ!?クロチルダさんがそんな事を言ったのか!?」

「あの姉さんが……」

「あのヴィータが全てを奪ったメンフィル相手にそこまでして叶えたい”希望”って何なのよ?」

プリネから語られた驚愕の事実にリィンは驚き、エマは信じられない表情をし、セリーヌは眉を顰めて尋ねた。

 

「―――その件については皆さんが直に会って彼女の”願い”を聞いた方がいいと思います。彼女もリィンさん達――――”紅き翼”に直接会ってお願いしたい事があると言っていましたので。クロチルダさんは今私の権限で城館の客室に滞在してもらっています。」

「わかった、すぐに向かう!―――トワ会長。」

「うん!すぐに学院のみんなを集めて、バリアハートに向かうね!」

こうして……リィン達はクロチルダの真意を知る為にバリアハートに向かった。

 

 

 

説明
第71話
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コメント
K'様 それに自分が導いた起動者だというのもあるでしょうね 本郷 刃様 しかもこのルートではただでさえアンチが強かったクロウのアンチが更に強くなっていますものねw(sorano)
まぁここのクロウは自分の計画や行動が上手くいかなくて拗ねている(あるいはグレている)だけですし、年相応といえばそれまでですがなにぶんその結果が悪い方に向かっているという・・・(本郷 刃)
お願いしたいこととはクロウの事でしょうかね?あんなんでも一応クロチルダにとっては仲間でしたし。(K')
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