独立国家ヤマト戦記〜異世界チートは鉄の味〜
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              第六話 サンドリア王国 ミサイルカーニバル

 

 

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「こちら『ベニ1』!邪霊地帯上空へ突入!こいつはスゲェ!ファンタジー生物のオンパレードだ!!ドラゴンっぽいのや羽生えた人間モドキに、たくさんの羽が生えた人面の蛇みたいなのまでいやがる!!って、おい!羽の生えた鹿までいやがるぜ!!?なんだあれ!?!?」

 

 第一次攻撃隊として参加している戦闘機の一機から、司令部であるE-3Aに、興奮を抑えきれない叫びが届く。

 

 邪霊地帯へ突入した攻撃隊は、まずその上空で、飛行可能な様々な魔獣による迎撃を受けていた。

 

 中でも特に目を引くのが、ファンタジー作品で語られる姿そのままな、巨大な二本脚のドラゴンのようなものや、蛇の体に人間の顔面と白い羽が十数対生えた気色悪い飛行生物もいる(あとで図鑑で調べたところ、どうやら前者はワイバーンで、後者はケツァルコアトルらしいとわかった)。

 

 地球ではお目にかかる事の出来ない伝説の生物達が、今生きて目の前に存在する。伝説で語られる姿と能力と共に。

 

 例えそれが倒すべき敵としてであったとしても、彼らにとっては興奮を覚えるに充分すぎる要素であった。

 

 

 

 

「制空隊は対空戦闘と爆撃隊の護衛に専念せよ。爆撃隊は空中を気にせず、まず地上攻撃に専念させよ」

 

 とは言え、それは直に目標を視界に入れられる戦闘部隊だからこそ出来る興奮であり、後方の安全地帯で航空団の指揮管制に専念する空中管制員達には無関係であった。

 

 もっとも、そんな彼らも実はドラゴンなどのファンタジー生物を生で目にしたかったのは同じなようで、興奮混じりな前線部隊の報告の数々が、まるで自慢話を聞かされているような気分になるのか、管制員の指示の声には軽く苛立ちと言うか嫉妬の気配が滲んでいたりする。

 

 

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「イィィィィィイイイィィイィヤアアアアアアアッッッハアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 ゴオオオオオオオオオオッッ!!!

 

 爆撃隊の護衛に就くF-16の一機は、体長30m程のドラゴンと、高度4000の高空で壮絶な追いかけっこを展開している。後方から迫る真っ赤な炎のブレス攻撃を横捻りで回避し、素早く後ろに回り込んで機銃を掃射する。

 

 しかし、その一撃はドラゴンの鱗に傷をつけるも致命傷には至らず、逆に首だけを後ろに捻り牽制のブレスを放つと、やむなくF-16は回避行動をとる。するとさらに急速に旋回を終えたドラゴンが再び追撃に入る。先程からこの繰り返しで、中々決着が着かない。実際にはF-16のパイロットが遊び半分であることも原因の一つなのだが、ともあれその光景は、傍から見ればまさしく世紀の対決と銘打つに相応しい、手に汗握る壮絶な空中戦であった。

 

 

 

一方の対地攻撃隊は、空中と異なりほぼ一方的に有利な戦闘を繰り広げていた。

 

 

「爆撃手!俺達の目標はあのデカいカニだ!!」

 

 

「了解ぃぃぃッ!!!」

 

 地上スレスレを飛行する一機のA-10が、目標を定めた。腹に抱えた武装の数は実に15個にも上る。その全てがハイドラ70ロケットガンポッドであり、無誘導ではあるが投射量と破壊力にはある程度定評がある。

 

 そして彼らの進路上には、群れをなして進む高さだけで目測30mはありそうな、巨大なカニのような魔獣の群れがいた。見るからに硬そうな甲殻に身を包んだ水色っぽいカニは、明らかに8本以上ある足で地上を“前進しながら”、A-10の接近に対して泡の弾幕で対抗してくる。

 

 

 「邪魔なんだよどけやおらああああああああッッ!!!」

 

 機長が自機の進路を遮る泡の弾幕に対して罵声を吐くと同時に、彼のA-10の機首がチェーンソーのような重低音とともに巨大な火を噴き始めた。

A-10の象徴とも言うべき武装――GAU-8アヴェンジャーが、眼前を遮る泡の弾幕をぶち破ろうと咆吼したのである。

 

 GAU-8は30oと言う、開発者の正気を疑うような巨大な砲門を多数束ねたガトリング砲である。本来のA-10はこのGAU-8を撃ち始めると反動で機体が空中で静止するという問題点があり、運用には細心の注意が必要とされていた。

 

 ところがこちらのA-10。神様特典による召喚物であるためかそう言った不都合な問題点のことごとくが払拭され、しかも威力はそのままと言う夢のような存在に“作り替えられている”ため、彼らは機体の制御喪失などの心配をすることなく、思う存分にこの30oの鉛の牙を剥き、眼前の敵に猛然と襲いかかった。

 

 大小様々な泡がA-10を包み込まんと襲い来る中、30oの鉛弾はそんなもの知ったことかと言わんばかりに次々とその泡を力尽くで引き千切り、また強引に砕き散らしながら、勢い余って泡を吹いている張本人達にまで突き刺さる。

 

 元々、戦車などの対装甲目標を空から一方的に撃破することを目的としていた30o対戦車砲弾は、外骨格を身にまとうカニ達に対しても同等以上の戦果を挙げた。

 

 すなわち、口に飛び込んだモノはカニの体を貫通して背中に大穴をぶち開け、脚や鋏、腹などに当たったものは派手に衝撃波を生じ砕け散った甲殻の破片ともども脚を引き千切り、あるいは腹を砕き割り、あるいは鋏を叩き折り、カニ達の躯を屑肉に変えていったのである。

 

 

 

「機長!射撃開始します!!」

 

 

「よっしゃ撃てええええええええッ!!!」

 

 そこへ追い打ちをかけるように、ハイドラ70ガンポッドから、70oの炎の槍が、シュッシュッという甲高い音ともに噴煙を曳きながらカニ達の下へ殺到する。

 

 刹那、大地に爆炎が上り、着弾点付近のカニ達は衝撃波と土煙にまみれながら空中高く放り上げられ、勢いよく地面に叩きつけられる。

 

 それだけなら全く何の問題もないのだが、着弾時に生じた熱波がカニ達を瞬間的に蒸し焼きにし、さらに上から落ちてくる別のカニが勢いよく落ちてきて、衝撃と重量に潰され、下のカニは息絶えていく。上に落ちた運のいいカニも、ダメ押しに放たれる30o弾の掃射でやはり弾け飛び死に絶えていった。

 

 

「射撃手!!アヴェンジャーの弾はまだ残ってるか!!?」

 

「もちろんです機長!!ハイドラのロケットもまだ半分は残ってますよ!!」

 

「OK!!だったら次だ!もう一発派手にぶちかましてやろうぜ!!」

 

「Yes,sir!!」

 

 カニ達の死骸を飛び越えて、A-10は次なる獲物を求めて去る。彼らはその後、さらに30匹程度のカニの群れを見つけ、これも焼きガニに調理して帰路に着くのであった。

 

 

 一方、空中の方もほぼ片が付き、飛んでいたモンスターはその全てが叩き落とされ、宙を舞っているのは味方の戦闘機ばかりとなっていた。

 

 そして、彼らの多くはミサイルを温存しており、逆に機関砲弾は弾切れかそれに限りなく近い状況にあった。

 

 これは彼らが、ファンタジー生物を間近で見たいと欲をかいた結果であり、そのため至近距離に接近する必要があるドッグファイトを乱発した結果機銃弾の深刻な浪費が発生したのであった。

とは言え、ミサイルはまだ大量にある。対空ミサイルが大半であったが、だからといって対地攻撃が出来ないわけではない。ロックオンせずにそのまま撃ち込めばいいのだから。

そして今、対地攻撃機はほとんど兵装を使い果たして退却しようとしている。その背後からは生き残った数少ないモンスター達が最後の反攻を考えるのは自明の理であった

 

 そんなわけで制空権を手中にした戦闘機隊は続けて対地攻撃隊の退却を援護するべく、腹に抱えたミサイルを一斉に魔獣の残りに向けて放ったのである。

 

 

「ミサイルカーニバルだ!!!」

 

 F-15のパイロットの一人が、そう言って目の前で次々と着弾していくミサイルたちをそう表現した。まさしく眼前は、最後の一撃としては余りにも過剰すぎる数のミサイルを撃ち込まれ、まさにお祭り騒ぎにも似た非常に賑やかで文字通りに熱気にあふれた光景が展開していた。

 

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 かくして、大勢は決した。邪霊地帯はこのあと、空襲部隊最後の攻撃を担当する100機程のB-52から投下されるレーザー誘導爆弾の豪雨によって広い範囲を耕され、現地の人々から黒い森の異名で恐れられた魔獣の巣窟となっていた密林区域は、完全にクレーターだらけの焼け野原と成り果てたのである。

 

 こうして、サンドリア王国に危機感を与え、彼らと亮輔たちヤマトとの邂逅の遠因を作った邪霊地帯の魔獣危機は、人知れず行われた蹂躙劇の末、完全に鎮圧されたのであった。

 

 

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「そうか・・・成功したか!」

 

 王都『サーディン』まであと二日程の地点で野営中の亮輔のもとに、薩摩島から作戦成功の報が届いたのは、作戦終了日の夜のことであった。

 

 今回、邪霊地帯西側一帯で発生していた魔獣の異常発生現象の鎮圧において、攻撃隊は少なくとも10万体規模の魔獣の大群を文字通り殲滅。反動として現地一体は完全な焼け野原となったが、ドラゴンやグリフォンなどといった、地球の伝承でも最高峰に位置するとされる高位の幻獣の類まで多数存在していたと考えれば、快挙といっていい成果であろう。

 

 

 

「よくやってくれた。警戒は怠らないようにしつつ、今はゆっくりと休んでくれ。本当に、ご苦労だった」

 

 

『はい。では、失礼します。総統閣下』

 

 

「うん」

 

 そうして、電話相手の将軍――マッケンジー少将だった――を労い、電話を切る。

 

 そして、深い溜息とともに、レジャーチェアに倒れこむようにして座り、背凭れに体を預け、脱力する。

 

 

 

「ドラゴンが出たって聞いたときはどうしたもんかと思ったが・・・やれやれ。上手くいってくれてよかった」

 

「お疲れ様です。閣下」

 

 そこへやってきたのは、亮輔の副官を務めている星田少佐だ。両手にレジャー用のコーヒーカップを持っており、インスタントコーヒーのほろ苦い香りが湯気とともにほのかに立ち上っている。

差し出されたコーヒーを啜ると、心地よい苦味が口の中に満ちる。

 

 

「あぁ、美味い」

 

 亮輔はそう言ってほっと一息つく。

 

 報告通りならば、ドラゴンなどと言うものまで大量に討伐したのだ。これが地球の物語に出てくるような強力な存在だったのであれば、たとえワイバーンのような亜龍種であったとしても相当な経験値が稼げたはずである。

 

 当然、作戦終了後はその点をしっかり確認しようと亮輔は考えていたのだが、思った以上に張り詰めていたらしくドッと疲れが押し寄せてきたため、結局確認は翌日に持ち越すことにして、今はゆっくりと体を休めることに決めたのであった。

 

 

 

 

 

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 どうも、海平?でございます。

 今回も短めで薄っぺらな内容でお送りしました。

 表現や文面がマンネリ化しないようにしようとするとやっぱり短くなってしまうのが悩みです。

 今回の話も個人的にやや納得のいかない点がいくつかあるので、ひょっとしたらあとで何箇所か訂正するかもしれません。

 その時はきちんとご報告いたしますので、どうか生温い目で今後も見てやってください。

 それでは、今回はこの辺で

 

 

 

 

説明
どうもお久しぶりです。
海平?と申す者です。
またしても前回からかなり間が空いてしまいましたが、今回も内容短めです。
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転生 チート 現代兵器 ファンタジー 

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