英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
〜バリアハート・クロイツェン州統括領主の城館・執務室〜
「昨日のクロスベルの拘置所を悪魔達に襲撃させた犯人が父さん達を助ける時に現れた”教団”の司祭――――ヨアヒム・ギュンターだって!?」
「なるほど。わたし達が探している人物って言っていたけど、”そっち”だったんだ。」
「しかもクロウがあの亡霊と手を組んだだと……?」
クロチルダの話を聞き終えたマキアスは信じられない表情で声をあげ、フィーは真剣な表情で呟き、ユーシスは目を細めて考え込み
「クロチルダさん、念の為に聞いておきたいのですけどクロウの過去にヨアヒム・ギュンター―――いや”D∴G教団”との接点は……」
「当然ないわ。第一”D∴G教団”は”結社”も危険視していた組織で、秘密裏に各国や”星杯騎士団”も見つけていなかった”教団”の”ロッジ”を潰していたくらいよ。もし私が知っていたら間違いなく手を切らせていたわ。」
リィンの質問にクロチルダは静かな表情で答えた。
「何故クロウさんは何の接点もない”D∴G教団”の司祭と手を組んだのでしょう……?」
「状況を考えれば脱獄の為に”取引”を持ちかけられて、その”取引”に応じたと思うのだけど……―――!ちょっと待って……ヨアヒムと手を組んだという事はまさかとは思うけどクロウは”グノーシス”を使ったのかしら!?」
不安そうな表情をしているエマの疑問を聞いたサラ教官は考え込んでいたがある事に気付き、血相を変えてクロチルダに尋ね
「ええ……あの身体能力や纏っている”瘴気”を見る限り間違いなく”グノーシス”を使っていたわ。そのせいで脱獄の際にクロウを制圧しようとしていた”キリングベア”も相当苦戦していたしね。」
クロチルダは疲れた表情で答えた。
「”キリングベア”ですって!?」
「え………何でガルシアがクロウを捕まえようとしていたの?」
「えっと……お二人はもしかしてその人の事を知っているのですか?」
クロチルダの話を聞いて血相を変えたサラ教官と目を丸くしているフィーの様子を見たエリスは不思議そうな表情で尋ねた。
「”キリングベア”ガルシア・ロッシはかつてクロスベルで暗躍していたマフィア―――”ルバーチェ”の若頭を務めていた者だ。」
「それと”キリングベア”は”西風の旅団”から”ルバーチェ”の会長――――マルコーニに引き抜かれた”元猟兵”なんです。」
「”西風の旅団”だって!?」
「じゃあその人もユミルで亡くなった猟兵達同様フィーの………」
レーヴェとプリネの話を聞いたマキアスは驚き、リィンはフィーに視線を向け
「……ん。ガルシアといた期間は短かったけど、わたしにとっては”家族”。ゼノ達みたいに可愛がってもらったし、色々と教えてもらった。」
「フィーちゃん………」
「……………………」
静かな表情で答えたフィーをエマは辛そうな表情で見つめ、エヴリーヌは何も言わず静かな表情で見つめていた。
「なおガルシア・ロッシを含めた”ルバーチェ”のメンバー全員はヨアヒム・ギュンターによるクロスベル襲撃事件解決の際に全員逮捕され、現在は拘置所で服役中の身です。」
「なに……?ならば何故服役中の者がクロウを捕えようとする事ができたのだ?」
エリゼの説明を聞いてある事に気付いたユーシスは眉を顰めて尋ねた。
「クロスベル警察の報告によると、元国防軍の兵士達が悪魔達と戦っている時に投げた手榴弾がたまたま”キリングベア”がいる部屋の扉の前に転がってそのまま爆発して”キリングベア”が出て来て、”ルバーチェ”の減刑の為に元国防軍の兵士達に加勢する事を決めたそうだから、多分拘置所の襲撃犯と思われる”C”をクロスベル警察に引き渡す為に”C”を捕えようと戦ったのだと思うわよ?」
「え……何故襲撃犯と思われるクロウさんを捕えたら”減刑”できるのですか?」
「―――犯罪者が何らかの形でその国に貢献すれば、”特例措置”として減刑される事があるのよ。実際リベールでクーデターを引き起こした”情報部”も”リベールの異変”の際にリベールの窮地にかけつけて劣勢だったリベール軍の救援や逃げ遅れた市民達の救助や避難活動を行った事によって、その事に感謝したアリシア女王が”恩赦”を出して”情報部”の罪を”減刑”して釈放した例があるわ。」
レンの推測を聞いて不思議そうな表情をしているエリスの疑問にサラ教官は静かな表情で答えた。
「ちなみにクロウと戦ったガルシアは無事なの?」
「ええ。クロウさんとの戦いで負った傷は既に治療されていて、今は拘置所で大人しく服役しているとの事です。」
「そう……」
ガルシアの安否を聞いたフィーはツーヤから安心できる答えを聞くと僅かに安堵の表情をした。
「それにしても脱獄の為に薬物にまで手を出した挙句歴史上最低最悪とまで言われた”D∴G教団”と手を組むなんて、あのバンダナ男もカイエン公のように見境がなくなっているわね。」
「セリーヌ!」
「………ッ………!一体何を考えてそんな事をしたんだ、クロウ……ッ!」
「「兄様………」」
セリーヌの話を聞いたエマは声をあげ、辛そうな表情で唇を噛みしめて身体を震わせているリィンをエリゼとエリスはそれぞれ心配そうな表情で見つめていた。
「―――でも結果的にはそっちの方がよかったかもしれないわね。クロウがヨアヒム・ギュンターを手を組んだという事はあたし達―――エレボニアがクロウを拘束する事もできるわ。」
「あ……ッ!」
「フン、俺達の手であの亡霊を滅するついでに奴を叩きのめしてひっ捕らえれば、万事解決という事だな。」
サラ教官が呟いた言葉を聞いてある事に気付いたマキアスは声を上げ、ユーシスは鼻を鳴らして呟いた。
「そう簡単にクロウを制圧できると思わない方がいいわよ……クロウは”グノーシス”の力で”オルディーネ自身”になる事ができるのだから以前戦った時とは比べものにならないくらいの”力”を得ていると思うわよ。」
「え……クロウが”オルディーネ自身”になれるってどういう事ですか!?」
クロチルダの忠告に一瞬呆けたリィンは血相を変えて尋ねた。そしてクロチルダは自分が知る限りの”グノーシス”に秘められた効果やガルシアに追い詰められたクロウが”魔人化(デモナイズ)”で”オルディーネ”の姿になった事を説明した。
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第74話 | ||
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コメント | ||
本郷 刃様 一番わかりやすい例はやっぱりリシャール達元情報部でしょうね(sorano) まぁ司法取引ですよね、その貢献度によって色々と変わりますが・・・(本郷 刃) |
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