孫権伝ー9
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 孫権伝第9話

 

 『飛び立った龍と孵る雛』

 

 

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 輝理との出会いから数日後。俺と輝理は襄陽の街に到着していた。俺の事情は真名を預けてもらったので説明は済んでいた。

 

 輝理「それでは今日はこのまま水鏡女学院へ赴きましょう。街の人の話だと水鏡先生は昨日の内に帰ってるようですし。」

 

 一刀「戻るの早!?ま、まあ俺は森で迷ってた口だし、こんなもんなのかな?」

 

 輝理「それだけではありません。水鏡先生はまるで瞬間移動をするかのようにいろんな所に出現するんです。」

 

 一刀「それは何処のあずささんですか?瞬間移動能力とか((拍手|かしわで))一つで飛んでくの?」

 

 輝理「そこまで異常ではありませんよ。ですが・・・もしかしたら出来ちゃうかもです。」

 

 一刀「なんか・・・すごいなその人。」

 

 輝理「はい、すごいんです。」

 

 そんな他愛の無い?話をしながら水鏡女学院を目指す俺達だが、入り口に差し掛かった俺は呆気に取られてしまった。

 

 一刀「ね、ねえ輝理?」

 

 輝理「なんでしょう?」

 

 一刀「すんごい山道だけど、合ってるの?」

 

 輝理「はい、水鏡女学院はその性質上外界から離れた所に有ります。正しくお嬢様の通う場所なのです。」

 

 一刀「どうしよう?俺が行くのはとてもまずい気がしてならない。」

 

 輝理「どうでしょう?一刀様ならむしろ黄色い声援で迎えられそうで、少女が彼女達を斬らないかが心配です。」

 

 一刀「輝理の嫉妬が一番怖い!?」

 

 輝理「冗談は置いておくとして。大丈夫ですよ。水鏡先生もおられますし、何より人材確保の為に顔を出しておくのは悪い話ではありません。」

 

 一刀「そうなの?じゃ、じゃあそうしようかな・・・」

 

 正直何処までが冗談で何処までが本気か問いただしたかったが、斬る方が本気だと怖いので聞けなかった。

 

 輝理「それでは登りましょう。大丈夫です。半刻程で付きますから。」

 

 一時間も登るんですか?どんだけ山の中だよ女学院。

 

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 輝理「一刀様、到着です。」

 

 一刀「此処が・・・水鏡女学院か。」

 

 その門は日本建築のような様式で右側に水鏡女学院の文字が書かれた木製の看板が掛けられていた。って言うか本当に日本の大手の寺子屋なんかがこんな感じではないでしょうか?いやむしろ寺に見えますよ??

 

 輝理「う〜〜〜ん!!う〜〜〜〜ん!!はぁ、はぁ。」

 

 一刀「輝理何してるんだ?」

 

 輝理「あ、はい。侵入者対策のからくりの解除を行いたいんですが・・・なにぶん大きくて硬くて・・・一刀様みたいですね!」

 

 一刀「まだ見たこと無いだろうに!?」

 

 輝理「まだ?見せてくれるんですか!?分かりました、今すぐ致しましょう!!」

 

 一刀「えぇい!少し落ち付けい!!」

 

 ゴン、と小気味のいい音を立てて俺は輝理の頭頂部に拳骨を落とした。輝理はあまりの痛さにそこにうずくまってプルプル震えてしまった。

 

 一刀「とにかく手順を間違えずに動かせばいいんだな?えっと、これをこうして・・・」

 

 ガコンと最初に輝理が動かそうとしていた木製のレバーを倒して、次々と絡繰を解除して行く俺。そして門がゆっくりと開いて行く・・・

 

 一刀「ふ、俺に掛かればこの程度の絡繰は子供のおも(ガイーン)じゃ!?!?」

 

 最後の最後に金ダライが落ちて来ました。この時代に有るのでしょうか?落ちて来たのだから有るのでしょう。めっちゃ痛いです。

 

 輝理「あ、最後の解除は素直に紐を結んだまま引っ張れば開くんですよ?」

 

 一刀「それは・・・分からなかったぜ・・・」

 

 「侵入者ですわ!」

 

 「闖入者ですわ!」

 

 「変質者ですわ!」

 

 「頓珍漢ですわ!」

 

 俺の頭に落ちて来た金ダライの音に反応した武装少女たちがその手になぎなたを持って現れた。だからどうしてこうも日本風なんですか?この水鏡女学院と言う場所は。とてもハイカラ臭が漂ってるんですが。だがそれよりも言いたい事がある。

 

 一刀「最後の頓珍漢は無理やりすぎるだろう!」

 

 輝理「皆さん、このお方は侵入者でも闖入者でも頓珍漢でもありません。少女の主様です!」

 

 おお、輝理よ。その弁明は嬉しい半面、変質者は肯定なのでしょうか?

 

 ??「輝理さん?おかえりなさい。貴方がタライに引っ掛かるなんて珍しいですね。」

 

 輝理「水鏡先生。タライの餌食は少女の主様です。」

 

 ??「主様?と言う事は最後の最後までこの絡繰扉を紐解いて行ったというのですか?って貴方はいつぞやの。」

 

 一刀「どうもお久しぶりです。まさか貴方が高名な水鏡先生だとは・・・俺は北郷と言います。成り行き上輝理の主となってしまったのですよ。」

 

 ??「まあまあ、あの男嫌いの輝理さんが。それはとても好々な事です。男嫌いが治って何よりですよ。私は司馬徽と申します。」

 

 まあ治って無いのですがね。

 

 司馬徽「それで、北郷殿はなに用でこの女学院へ?」

 

 一刀「はい。実は・・・」

 

 俺は手短に単刀直入にそれはもう大胆に大宣言をした。

 

 一刀「優秀な人材が欲しいんです。この大陸に真の王を誕生させる為に。大陸の統治の一端を担える文官が。」

 

 包み隠さず人材を求めて来たと。

 

 

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 その後、俺は司馬徽さんの部屋に案内された。勿論優秀な人材を紹介してほしくて大人しく従っているのだが。

 

 輝理「一刀様、縛られるのがお好きだったんですね?」

 

 一刀「んな訳あるか。」

 

 そう、今俺は生徒を不安にさせないために縛られているのだ。

 

 司馬徽「すみませんね。一応此処は男子禁制なもので・・・」

 

 一刀「いいですよ。怖がられるのもあれですし・・・」

 

 司馬徽「まあ、今は私の部屋ですしね。輝理さん、ほどいて差し上げて下さい。」

 

 輝理「あ、分かりました。」

 

 一刀「ふぅ、意外ときつく縛るんだもんな、輝理は。」

 

 輝理「すみません。嘘はなかなか通じないんですよ、あの子たち。」

 

 司馬徽「それでは本題に移りましょう。北郷殿はこの水鏡女学院に人材を探しに来たのですね?」

 

 一刀「そうです。水鏡女学院の噂は聞いています。そこで我が主、孫権仲謀様に仕え、その道を支え、その未来の一翼を担う人材を求めて来ました。」

 

 司馬徽「そうですか・・・この女学院から推挙できる人材は限られています。最近の世の中は物騒で、豪族の子女が勉学を名目に避難して来ている状況ですから。」

 

 なるほど、つまり豪族の娘達が多く、その親が仕官を認めないと言う事だろう。まあ、彼らからすれば可愛い娘、もしくは家名の為に嫁がせる必要があるからという理由辺りだろうか?

 

 司馬徽「そして私自身がその少ない中から推挙できるのは此処に居る徐庶を除くとあと二名となります。」

 

 輝理「朱里ちゃんと雛里ちゃんですね?水鏡先生。」

 

 司馬徽「はい、その通りです。輝理さん。」

 

 ふむ、二名か。水鏡女学院の輝理―徐庶を除く二名となるとやはり・・・

 

 一刀「・・・伏龍と鳳雛ですか?」

 

 二人「「!?」」

 

 ビンゴ。確かにこの二人を俺は求めて来たんだ。だがしかし、諸葛孔明は確実に反董卓連合時には劉備の所に居た筈だ。軍議の場でも見かけたしな。

 

 一刀「なぜわかるか・・・それは俺が天の御使いなんて肩書きを持っているからです。と言ってもそれを知る人間はごく少数ですがね。勿論隠す理由は多々ありますが、それは今は説明する必要もありませんね。」

 

 司馬徽「貴方が・・・天の御使い?」

 

 一刀「らしくない・・・でしょう?」

 

 司馬徽「え?ええ。なんと言うか・・・その。」

 

 自分でも分かってる。華琳の所に居た時はフランチェスカの制服を着ていたから白く輝いて見えていただろう。だが今は私服はナチス風の軍服に戦闘時は黒ガメッシュ(俺命名)状態なのだ。

 

 司馬徽「ですが・・・確かに天の御使い様なら世に出ていない鳳統の号を知っていてもおかしくありませんね。」

 

 一刀「ははは。知識は有るだけで詳しくは知らないですがね。」

 

 しかし世に出ていないのは鳳統か。と言う事は・・・

 

 一刀「しかし、司馬徽さん。つまりは伏していた龍は天へと飛び立ち、雛は未だに孵らぬ卵の中と言う事ですか?」

 

 司馬徽「あら、うまいですわね。確かに諸葛亮はこの世を憂い、自らが仕えるべき主君を探しに旅立ちました。」

 

 ふむ、正直政治力の高い諸葛亮を味方に引き入れたかったがな。だが仕方ない。

 

 一刀「ならば・・・鳳士元殿と交渉してもよろしいでしょうか?」

 

 司馬徽「・・・一つお聞きします。貴方の主は孫権仲謀殿と申しましたが、かの江東の虎の二女でよろしかったですか?」

 

 一刀「はい。」

 

 司馬徽「つまり貴方は孫文台よりも、そして孫伯符よりも、その方が王にふさわしく、謀反を考えていると?」

 

 一刀「はい。」

 

 俺は司馬徽さんの考えに俺はためらい無く答えた。此処で隠し事をしても何の得にもならないだろう。たとえ此処から孫家の上に情報が漏れたとしても、鳳士元と言う優秀な軍師を一人えられることに比べた些事であると俺は判断した。

 

 司馬徽「取り繕わないんですね。分かりました。輝理さん、雛里さんを呼んできてもらっても良いですか?」

 

 輝理「はい分かりました。」

 

 そう言うと輝理はそのまま部屋を後にした。さて、待っている間に何してようか?正直気まずいなんてものじゃない。

 

 司馬徽「北郷殿。」

 

 一刀「はい、なんでしょう?」

 

 司馬徽「貴方はこの大陸がどのようになるとお考えですか?」

 

 いきなりそんな事を聞かれても俺は知識がある分先入観がなぁ。だが、此処もまた正直に答えるべきだろう。

 

 一刀「まずは今起こっているこの大陸内の乱ですね。これは民の中にくすぶっていた王朝に対する不満が爆発した物でしょう。これは多少の識者が考えれば分かる事です。問題はそれを抑える武力を漢王朝が持ち合わせていないことですね。」

 

 これにより王朝は自らの力不足を諸侯に露呈させる結果となったのだ。

 

 一刀「さて、此処で王朝はどう考えるでしょう?脆弱な軍事力をどう補うか。何処かの侯を上洛させ、皇帝の座す街の防衛力として使えばいい。そんな安直な考えに至るでしょうね。この大陸は皇帝と言う存在にちょっとばかり依存し過ぎているきらいがありますから。」

 

 皇帝だ、天だ、貴族だ、豪族だ、将軍だ。そんな肩書に民はちょっとばかり媚びへつらい過ぎている。俺はそんな事を正直思っている。いや、一度向こうに戻ってから思い始めた。だからこそ華琳は俺を天の御使いとして利用できると考えたのだ。

 

 一刀「だが此処に問題が生じる。それをやるのが十常侍にしろ大将軍にしろもう片方の勢力が邪魔になる。どちらかがどちらかを誅殺して、その擁立した諸侯がもしも皇帝をその手中におさめたら?各諸侯はどう思うだろうか。有らぬ噂を流し、反連合を組むやもしれませんね。いえ、そうなるでしょう。」

 

 歴史では勿論暴政を敷いていた董卓を諸侯連合が追い払う結果となった。だがあの時は絶対にそんな事は無かった。洛陽は平穏そのものだったのだから。

 

 一刀「結果、擁立された候は連合に敗れるでしょう。元より勝てる可能性が極端に低い戦争ですからね。そして此処で漢王朝は完全に失墜します。何せ乱は治められず、皇帝の居る都に軍が押し寄せる事態にまで発展する。民は、諸侯は、漢王朝を、皇帝を、もう崇めたりしないでしょう。勿論そう言う人物が目の前に居れば長年刷り込まれた思想が勝手に体を動かし、ひざまづかせる事でしょうが。」

 

 とは言え諸侯にとってはそんな事は関係ないのだろうがね。ここで全てが整うんだ。乱世の幕を開く準備が・・・

 

 一刀「あとはもういろんな思想が入り乱れる群雄割拠の時代に突入ですよ。こんな感じですか?」

 

 司馬徽「驚きました。そこまでお考えですか。」

 

 一刀「まあ・・・ですが俺はそこまで至る前にどうにかしたいとは考えいます。」

 

 司馬徽「と言うと?」

 

 一刀「正直申しまして、俺はこの王朝は端からどうでもいいと考えてます。隙あらば十常侍を滅殺し、大将軍をぶち殺し、皇帝をかっさらい、漢王朝をぶち壊して速攻群雄割拠の時代にしても良いと考えてるぐらいです。」

 

 司馬徽「な!?」

 

 一刀「結局そうなるのならさっさとなれって話です。そうすれば・・・少なくともそうなるまでに死んでしまう人達を救えます。」

 

 司馬徽「それは暴論では?」

 

 一刀「暴論結構。その暴論が以外と真理だったりします。弱いから死ぬと言うのも結局は暴論ですが一つの真理でしょう?」

 

 司馬徽「た、確かに。」

 

 一刀「無論、考えはするけれど実行には移せませんよ。それは人の心からかけ離れてるし、我が主にも迷惑がかかる。ですが・・・やはり隙が有ればその不条理を理不尽で、理不尽を不条理でぶち壊してやりますがね。それが結果的に今の民と未来の民の為になるのなら。」

 

 司馬徽「・・・」

 

 一刀「まあ、俺の考えは結局の所独りよがりの我が儘なのでしょうね。それに彼女達に付き合わせている最低な男ですよ。そしてその最低な男から司馬徽さんに一つ提案があります。」

 

 司馬徽「提案?」

 

 一刀「はい。貴方も・・・俺は欲しいです。」

 

 司馬徽「はぁ、・・・はいぃ!?」

 

 一刀「貴方も比い稀なる政治家の一人と考えます。勿論断られたら潔く引きましょう。ですが・・・貴方が俺の語る未来に少しでも光を見たのなら、どうか考えておいてほしい。」

 

 司馬徽「本気なんですね?」

 

 一刀「はい。」

 

 司馬徽「一年・・・時間を貰えますか?」

 

 一刀「と言うと?」

 

 司馬徽「元より此処まで世が乱れてしまっては、この女学院ですら危ういでしょう。生徒たちを親元に帰してやらねばなりません。」

 

 つまり、それを終えたら合流すると言う事だろうか?それなら仕方ない理由だと思う。

 

 一刀「分かりました。今はそれで納得しておきましょう。」

 

 所詮は口約束だが、この人なら信用しても良いかな?ん?足音が柄づいて来る所を見ると、どうやら来たようだな。

 

 輝理「先生、雛里を連れて来ました。」

 

 司馬徽「御苦労さまです、輝理。」

 

 ??「おおお、お呼びに授かり、鳳統し、士元。ただいま推参でしゅ!」

 

 そこに居たのは魔女っ子帽子のカミカミ幼jげふんげふん。少女だった。

 

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 輝理が鳳統ちゃんを連れて来てすぐに自己紹介を済ませ、司馬徽さんと輝理は夕食の準備があると言って、現在部屋に俺と鳳統ちゃんの二人きりだったりする。

 

 鳳統「あわわわわわわわわわわわわわわわわ。」

 

 一刀「動揺し過ぎ。まずは深呼吸。はい、吸って〜。吸って〜。吸って〜。」

 

 鳳統「はひ!?す〜〜。す〜〜。す〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・ぶは〜〜〜〜〜!!し、死んじゃいましゅ!!」

 

 一刀「ははは。だけど肩の力抜けたろう?」

 

 鳳統「そんな簡単に・・・あれ?あ、平気になりました!」

 

 一刀「さてと、本題に入ろうか。士元って誰かに仕えようとは思っていないかい?」

 

 鳳統「仕官ですか?今はまだ・・・」

 

 一刀「だが、孔明はその為に学院を出たと聞いたが?」

 

 鳳統「はい・・・朱里ちゃん―孔明ちゃんは苦しむ民を救うために自分の思いを叶えてくれる主を探しに行きました。」

 

 一刀「そうか・・・士元は付いて行かなかったのか?」

 

 鳳統「はい。その頃私は水鏡先生のお使いで輝理ちゃんと街に買い物に行ってまして・・・」

 

 一刀「輝理と・・・?でも輝理は水鏡塾を出ていたんだろう?」

 

 鳳統「えとえと・・・あわわ。その、えと、その時に街で輝理ちゃんのお母さんがお亡くなりになった事を聞きまして。そこから怒涛の勢いで出て行ってしまって。」

 

 意外と輝理って感情的なんだな。いや、まあ、あの変態度合いじゃな。

 

 一刀「なるほどな〜。大変だったね。」

 

 鳳統「そ、そうなんでしゅよ!輝理ちゃんも朱里ちゃんも私をおいてけぼりにして何処が楽しいんでしょうか!?」

 

 うぉう!?怒りだしてしまった。

 

 一刀「さ、さて話をもどうそうか。実は士元には俺、と言うより俺の主に仕えてほしいんだ。勿論俺個人にって言うのなら吝かじゃないが。出来ればな。」

 

 鳳統「北郷しゃんの主でしゅか?しょれは?」

 

 一刀「孫権仲謀。孫家の二女にして俺が、俺達が大陸の王にすべきお方だ。」

 

 鳳統「孫家の・・・え?でも孫家って今は文台さんが居ますよね?それに上には孫策さんが居た筈ですけど・・・」

 

 いままで所々で噛んでいた鳳統ちゃんだったが、遂に噛み癖が発動しないで真面目な顔付きになった。さすがに軍師。こう言う時に感情を押し殺して冷静に分析する所はさすがと言わざるを得ないな。

 

 一刀「そうだ。だが、この大陸の王は仲謀様しかあり得ない。これは別に妄信から来るものじゃない。俺が、天の御使いとして、男として、野望の為に、願いの為にそうすると言う意思でそう言っている。」

 

 言っている事は明らかな謀反宣言。孫家に仇成すと言っているのだ。大事も大事だ。

 

 鳳統「・・・一ついいですか?」

 

 一刀「なんなりと。」

 

 鳳統「北郷さんはそれがどう言う意味か分かってますか?」

 

 その問いはきっといろんな意味が含まれているのだろう。ならば俺が思える限りの“意味”を答えよう。

 

 一刀「孫家に対する謀反宣言。王朝に対する打倒宣言。各諸侯に対する宣戦布告。その為の人員を利用する宣言。俺の野望の為に皆死んでくれ。そう言う意味だ。そしてそれは隠す気など毛頭ない。野蛮な考え?そんなの重々承知。愚か者?だからなんだ。魔王?言わせておけ。俺は、俺達はそれを成すためなら、命を天秤にかけるどころか、全てを掛け金として前に出す。自分の命を含めてだ。」

 

 鳳統「・・・」

 

 目の前の鳳統ちゃんは完全に呆けていた。そうだ。俺の道はそう言う道だ。一人の女の子の道を潰す宣言を孫権にして、利用してもいいと言う言質もとっている。ならばもはや自分の心を阻む自我無し。ただその到達点の為に付き進む。

 

 一刀「士元。この道は正しく魔道だろう。多くの者から後ろ指さされる道だ。そうならないように努力はするが、それでも傍から見たら酷い道だ。だが・・・それでも俺はこの道を進まざるを得ない。なぜか分かるか?」

 

 鳳統「いえ。全然分かりません。」

 

 一刀「俺がな・・・馬鹿だからだ。」

 

 鳳統「へ?」

 

 一刀「唯一人の女の子が泣いていた。自分の道を進んだ結果、到達点へと到達し、そして大事な物を失くして泣いている。そんな目に合わせたくないのさ。馬鹿だろう?その為に自分の命すら賭け金に他者の道を利用し、他者の命すら利用する。最低最悪の大馬鹿野郎さ。」

 

 勿論彼女の道がたとえ間違って今回成せたとしても彼女は涙しないだろう。だが同じ顔の同じ名の同じ真名の少女が居るのなら、その道、潰したくなるじゃないか。

 

 鳳統「本当に、大馬鹿です。」

 

 一刀「そうだ。大馬鹿だ。だからその大馬鹿が本当の魔王の片割れにならないように力を貸してくれないか?鳳士元。いや、いまだに孵る事を拒む鳳雛よ。」

 

 鳳統「貴方はその卵から孵った鳳雛に何を与えますか?」

 

 一刀「その知謀と言う翼を大きく羽ばたかせられる戦場と言う大空を。そしてその先に有る未来を」

 

 鳳統「貴方はその道に倒れ往く命になにを出来ますか?」

 

 一刀「誇り高き命に冥福を。そして決して我が道絶えぬと約束し、彼らが望んでいた未来へと到達する事を。」

 

 鳳統「貴方はその先にどんな未来を成し得ますか?」

 

 一刀「賢王が治めし国、笑顔絶えぬ国民の営み、かつて敵だった物とすら酒を飲み交わし馬鹿騒ぎできる未来を。」

 

 鳳統「ならばこの鳳士元。今こそ堅き卵の殻を打ち破り大空へ羽ばたきましょう。姓を鳳、名を統、字を士元、号を鳳雛、真名を雛里。北郷様を主と仰ぎ、北郷様の主を王とすべく、我が翼を大いに役立ててください。」

 

 一刀「その決断に感謝する、雛里。我が真名を一刀。好きに呼ぶと良い。」

 

 雛里「はい。よろしくお願いします。ご主人様!!」

 

 一刀「よろしくね、雛里。」

 

 雛里「あわわ///////」

 

 こうして、俺の配下の一人に鳳統の名が並ぶ事になった。

 

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 あとがき

 

 

 え〜、突然ですが次回予告を廃止します。

 

 一刀「本当に突然だな?理由は??」

 

 本当は一話づつかわるがわるやるから次回予告をしようと思ってたんだけど。今回でそれも無くなったじゃん?だったら次回予告やるのもなぁ・・・と思ってさ。

 

 一刀「まあそれでもいいが・・・ゲストはどうする?」

 

 同時にゲストも呼ばないでいきましょう。今後このあとがきは俺の好き勝手に動かしてみようかと思います。

 

 一刀「どうするんだよ?」

 

 そうだな・・・本当に読み切り短編みたいなのを・・・背表紙の四コマみたいな短さで乗せるのも良いなぁ。

 

 一刀「ネタあるのか?」

 

 そこはほら・・・思い付いたら乗せる敵な不定期作品だよ。

 

 一刀「まあ、それでお前がいいのならやればいいさ。俺には関係ない。」

 

 基本的に一刀がいじられる話だがな。

 

 一刀「俺が基本的に苦痛を味わうのか!!」

 

 デフォでしょ?

 

 一刀「違うからな!?そんな事実ないからな!?」

 

 ・・・

 

 一刀「え〜そんなまさか〜。みたいな目をするなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 では皆さんまた次回お会いしましょう〜〜〜。次回はどれになるかな〜。

 

 一刀「誰か否定してくれよおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

説明
第九話です。

もう題名で誰が出るかわかっちゃいましたね。もう伏線とか苦手で苦手で・・・

風呂敷広げても閉じることをしない俺本当に大丈夫か?大丈夫だ問題ない。

では本編どうぞ
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コメント
禁玉⇒金球さん<雛里「ぐすん」 一刀「雛里は二号じゃない!専用機だ!」雛里「うわぁぁん!ご主人様のバカァァァァ!!」 ・・・朱里はなんなんだろうな? 朱里「はわわ。試作機でしゅ!」 まじで!?(ユウヤ)
未奈兎さん<一刀「そうだ!だから桃花をディスるのやめてあげようよ!」 華琳「戦乱の時勢であれじゃあ無理でしょうよ。」 一刀「ですよね〜」(ユウヤ)
あかさん<返事がない、現在修復中のようだ。(ユウヤ)
黒鉄刃さん<恋さん・・・刺さって、る、グハァ!(ユウヤ)
睦月さん<今後の雛里の武に期待 一刀「そうそう、武に・・・武!?」(ユウヤ)
量産型……じゃないオマケ…でもない二号さんこと雛里が来た(禁玉⇒金球)
バカで結構コケコッコー、誰だって自分の道があるさね(未奈兎)
さらに恋「出さないと・・・・・・・ンッ・・・・だよ?」コテ(顔を傾けながら)(あか)
病んで恋「ユウヤ…恋の出番は?」(方天画戟を突き刺しながら)(黒鉄 刃)
雛里が仲間になったか…(睦月)
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