英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート
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〜バリアハート・クロイツェン州統括領主の城館・執務室〜

 

「え………………」

「クロチルダさんがベルフェゴール様の”使徒”になる事、ですか……?」

ベルフェゴールの提案を聞いたリィンは呆け、エリスは戸惑い、リィンの仲間達もそれぞれ不思議そうな表情をしていた。

「ええっ!?」

「よりにもよってその方法ですか、ベルフェゴールさん……」

「うふふ、なるほどね♪確かにそれならパパ達も納得するでしょうね♪」

「………?ああ、なるほど。そう言う事か。」

「………………(何故ベルフェゴール様が彼女を……?――――!まさか………!)」

一方プリネは驚き、ツーヤは疲れた表情で呟き、レンとエヴリーヌはそれぞれ納得した様子でいている中、疑惑の目でベルフェゴールを見つめていたエリゼはある事に気付き、ジト目でリィンとクロチルダを見比べていた。

「一体どういう風の吹き回しで”蒼の深淵”を”使徒”にしようと思ったのだ?」

「うふふ、そんなのご主人様に仕えている身として、ご主人様の為にそうしようと思っただけよ♪」

レーヴェの問いかけにベルフェゴールはウインクをして答え

(ふふふ、物は言いようですね。)

(同感です。マスターの不埒な女性関係を面白がる彼女の事ですから、恐らくクロチルダ様にマスターと不埒な関係になる事を迫る事を条件にしたのではないでしょうか?)

(ア、アハハ……さすがにそれはないかと思いますけど……)

(……さすがにベルフェゴールでも女性が好きでもない男性と肉体関係になる事を無理矢理迫るような事はしないと思うわよ。)

ベルフェゴールの答えを聞いて静かな笑みを浮かべるリザイラの念話にアルティナはジト目で頷き、メサイアとアイドスはそれぞれ苦笑していた。

 

「プリネ達は何の事だかわかっているようだが……一体どういう事なんだ?」

「”使徒”……――そう言えば”嵐の剣神”に仕えている使用人達も自分達がそのような存在である事を言っていたが、何か関係があるのか?」

プリネ達の様子を見たマキアスとユーシスはそれぞれ尋ねた。

「えっと……”使徒”とは以前説明した”神格者”と似ている部分がありまして。神や神格者、そして魔神のような”神核”を持つ”超越者”が能力の一部を分け与える事で超越した能力を得た上、その与えた者が生きる限り永久的に生き続け、その与えた者を補佐する存在なのですが……”神格者”と違う点がいくつかありまして。”使徒”は”神格者”と違い、常に主従関係になる為、主が倒れると使徒も精神的な強い衝撃を受ける事もあり、場合によっては廃人になる事もあるそうです。」

「は、”廃人”……」

「……何となくだけど”起動者”と”騎神”の関係に似ているわね。」

「そうね……姉さんはその事も知っているの……?」

プリネの説明を聞いたマキアスは信じられない表情をし、セリーヌは目を細め、エマは不安そうな表情でクロチルダに尋ねた。

 

「ええ、勿論彼女から説明を受けたわ。まあ私の主になるのはあの”七大罪”の一柱なんだから、よほどの事がない限り大丈夫だと思うからそんなに心配する必要はないわよ。」

「それはそうなのだけど……」

「それでこれがお父様達も納得する肝心な理由になるのですが……―――”使徒”は”主”の命令に”絶対服従”なんです。」

「”絶対服従”って、具体的にはどうなるの?」

プリネの説明を聞いたフィーは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「極端な話、”主”が”使徒”に”死ね”って命令したら、その”使徒”は自分の意志に反してでも自害するって事。」

「な―――――」

「何ですって!?」

「そ、そんな……」

「………なるほどね。メンフィルの”客将”でもあるベルフェゴールがヴィータの生殺与奪権を握れば、ヴィータも逃亡なんて真似はできない上メンフィルも納得できるって訳ね。」

エヴリーヌの説明を聞いたリィンは絶句し、サラ教官は血相を変え、エマは表情を青褪めさせ、セリーヌは複雑そうな表情をしていた。

 

「そういう事。ま、ヴィータがご主人様達を裏切らない限り私はそんな事をするつもりは全然ないから、心配無用よ♪」

「だ、だが……幾ら何でも生殺与奪権を握るなんて、やり過ぎだろう!?」

「しかもその女の事だから、”使徒”になったその魔女を自分のしたいように操るのではないか?」

「実際帝都の地下でエリス達を助ける為にテロリスト達を操って自害させたり、レオを操って同士討ちをさせたりしていたものね。」

「ええっ!?」

ベルフェゴールがクロチルダの生殺与奪権を握る事にマキアスは反対の様子を見せ、ユーシスは呆れた表情で指摘し、フィーの話を聞いたエリスは驚いた。

 

「というかベルフェゴールさん……スカーレットさんに続いて”また”ですか……」

「やれやれ。”客将”という立場をここまで利用する者も双界を探してもベルフェゴール以外はいないだろうな。」

「うふふ、”大罪”を司っている魔神の使徒だけあって、みんな元犯罪者ね♪」

ツーヤは疲れた表情で指摘し、レーヴェは呆れた表情をし、レンはからかいの表情で呟いた。

「え…………」

「スカーレットって、まさか帝国解放戦線の”S”の事!?」

ツーヤの言葉を聞いたリィンは呆け、サラ教官は血相を変えた。

 

「ええ、そうよ。スカーレットは私の”第一使徒”よ。」

「えっと、ベルフェゴール。どうして彼女を”使徒”にしたんだ?」

「うふふ、ご主人様に惚れているあの女に”極刑”の判決が出ないようにメンフィルに動いてもらう為よ♪」

「……………………」

ベルフェゴールがスカーレットを”使徒”にした理由を知ったリィンは石化したかのように固まり

「ハアッ!?」

「何だと!?」

「な、何でそんな事になったんだ!?敵同士だったんだぞ!?というか一体いつ彼女がリィンに惚れたんだ!?」

サラ教官やユーシス、マキアスはそれぞれ驚きの表情で声を上げ

「フフッ、クロウが知ったら間違いなく驚くと共に悔しがるでしょうね♪」

クロチルダはからかいの表情でリィンを見つめていた。

 

「……兄様?今の話について、後で詳しい説明を聞かせて頂きますね?ウフフフフフフ………!」

「やはり”そういう事”でしたか……ウフフフフフフ……!」

「フフッ、後でアリサさん達にも知らせて、みんなで説教ですね、リィンさん?勿論クレア大尉にも報告しますからね?」

「……………………」

「アンタ……本当に節操がないわね。」

「ヒッ!?ま、前より増えてる……!ガタガタブルブル……!」

それぞれ膨大な威圧を纏って微笑むエリスとエリゼ、エマに微笑まれたリィンは表情を青褪めさせて身体を震わせ、セリーヌはリィンを呆れた表情で見つめ、エリス達が出す威圧の余波を受けたエヴリーヌは悲鳴を上げた後表情を青褪めさせて身体を震わせていた。

 

「え、えっと……とりあえずその件については後回しにしまして……スカーレットさんがベルフェゴールさんの”使徒”になった為、万が一エレボニアがスカーレットさんに”極刑”の判決を決めた場合、メンフィルが彼女の判決について口を出す事は決定しています。――――ベルフェゴールさん。お願いしますから、私達に相談もなく犯罪者を庇う為に”使徒”にして、私達(メンフィル)にその犯罪者を庇わせるのは今回で終わりにして下さいね?」

「そのくらいの事はわかっているわよ。それに今回の件についてはメンフィルに対する”貸し”にして、もし私の力が必要になった場合、何の見返りもなく応じるわ。それならいいでしょう?」

プリネの言葉にベルフェゴールは静かな表情で頷いた。

「……わかりました。今の件も含めてクロチルダさんの一時釈放についてお父様に交渉しますので少しだけお待ちください――――」

その後一端退席したプリネは通信でリウイに事情を説明した後リィン達の元に戻って来た。

 

説明
第77話
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