真・恋姫無双 覇王伝 第二十五話 |
〜北郷軍本陣〜
「徐庶様、北郷様の『鳳凰』が到着しました!
『鳳凰』はそのまま敵本陣に突撃を敢行しました!」
静里の元に『鳳凰』到着の報せが届く
「間に合ってくれましたか!」
静里が安堵の声を上げる
下策とも云える「力押し」を用いた理由
北郷軍の切り札『鳳凰』が到着する前に敵の策の全てを出させる事
無論、『鳳凰』無しでも勝利できることが最善だが敵の策がまるで読めない以上、被害は免れない
そして野戦ならば『鳳凰』の力が必要になる
だからこそ『鳳凰』を後から到着させる
そうすれば『鳳凰』は敵の策による被害を受ける事は無い
そして『鳳凰』の到着までの時間を伝令からの情報を基に推測した
それが結実して敵の策の全貌を出させ、『鳳凰』の突撃を呼び寄せた
「『鳳凰』に後方は任せます
我等は前方の敵を殲滅します」
〜孫家「周瑜隊」〜
「周瑜様、北郷軍の例の騎馬隊が本陣に突撃を仕掛けました!」
「なんだと?!」
冥琳は驚愕した
『鳳凰』が出陣して来る事は予期していたが本隊に居ると思っていた
時間稼ぎにしかならないが盾部隊を用意し、突撃に備えていた
此方は囮なのでそれで充分だ
万全の策とは言えない
だが勝機は充分にあった
炎蓮が華雄を討ち取った この時点で策は半分以上成功した
だが凪の奮闘で誤算が生じた
そこへ敵の切り札『鳳凰』が後方より現れ、本陣に突撃
冥琳の策は失敗ではないが停滞した
勝敗は『鳳凰』対孫家本陣に委ねられた
〜一刀視点〜
華雄 討死
この情報を受け、間に合わなかったとの思いが浮かぶが悔いるのは後だ
今はこの戦に勝つ事だけに集中する
「『鳳凰』突撃ー!」
孫家本陣に突撃を敢行した
「疾風、此方の迎撃部隊はお前が指揮しろ!」
「御意!」
疾風に指揮を取らせれば迎撃部隊の崩壊は食い止められる
後は敵の大将を何とかしないと
そして孫堅と孫策を見つけた
俺は騎馬を疾走させ向かって行く
「一刀!」
孫策が立ち塞がるが馬足は弱めずに突っ込んで行く
そしてその速度を利用しての槍突き
孫策は剣を盾にして防ぐが
「く〜〜〜〜!」
威力を受け切れずに後方へ弾き飛ばし、孫策の剣を砕いた
尤も此方の槍も穂先が駄目になってしまったが
俺は下馬し孫堅と向き合う
「久しぶりだね、一刀!」
「反董卓連合以来かな?」
「ああ、合肥の戦いでは直接剣を交えなかったからね」
そんな話をしながら闘気をぶつけ合う
「この戦、先が見えたんじゃないか?」
「ああ、私達の負けだよ」
俺の問いに対して孫堅が負けを認めた
「それなら降伏しないか?」
「断る!私は誰かの下で飼われているのは我慢できない
袁術の下に居たのもいつか孫家の復興を夢見ていたから耐えられた
だが今回の敗戦で孫家の復興は無くなった
此処でお前を討ち倒しても、鞘華が旗印となって我等を打ち負かす
お前の騎馬隊と統制を取り戻した迎撃部隊で我等の本隊を打ち破る事は明白だ
だから今から私は一人の武人として命を懸けて戦う!」
槍を捨て『朱雀』を抜いて孫堅と闘う
「はー!」
孫堅の斬撃を躱すがその速度で反撃に移れない
孫堅の斬撃は速く、重い その上覇気が有り、捨て身の気迫が有る
一番戦いたくない類いの相手だ
だが此方も負ける訳にはいかない
孫堅に連撃を繰り出させ無い様、大きく間合いを取り今度は此方が先手を取る
そして俺が勝る速度で孫堅を攻める
孫堅も速度で負けるなら力で対抗してくる
至近距離での斬り合いから鍔ぜり合いになる
力での押し合いに分が悪いと感じた俺は後方に軽く飛ぶ
孫堅は軽く態勢を崩し、そこへ俺は横に回転して横薙ぎの斬撃を放つ
だがその斬撃を孫堅は腕で防ぐ 剣で防げば反撃が出来ないので腕で防いだのだ
無論、普通に受けたら俺の斬撃は腕を斬り落とす
だが孫堅は俺の方に腕(拳)を突き出し、刀の鍔元と腕がぶつかる様にした
鍔元では肉は斬れても骨までは斬れない
動きが止まった俺に孫堅は残った右手で斬撃を上段から繰り出す
刀で受けるのは不可能と判断した俺は刀を離した
そして、”真剣白羽取り”で孫堅の剣を受け止めた
「なっ!」
孫堅が驚いている
こんな技はこの時代に無いだろうから当然だ
成功した要因としては片手の斬撃なので速度も力も落ちていた
上段からの斬撃なので比較的受けやすかった事が上げられる
しかし成功したのはまぐれでしか無い
驚き動きが止まった孫堅の腹に正面蹴りを叩き込んで後退させる
その隙に刀を拾おうとしたがそこに孫堅が斬りかかって来た
俺はその斬撃を孫堅と同じ方法で受け止めた
腕に刀が食い込み激痛が走るが堪えて刀を逆手で拾い、そのまま切り上げる
「母様ーーーー!!!」
俺の斬撃で倒れる孫堅を見て、孫策が絶叫した
「よくも母様を!」
孫策が涙を流しながら孫堅の剣を拾い、俺に向かおうとした時
「止めろ、雪蓮!」
孫堅の声が響いた
「母様!?」
孫堅は弱々しい声で
「もう止せ 雪蓮」
「でも!」
「さっきも言った通りこの戦は私達の負けだ
私は己の意地で降伏を拒んで、一騎討ちで負けた
しかし一人の武人として最後を迎えられたんだ」
孫堅の表情は死に行く者とは思えない穏やかな物だった
「雪蓮、一刀に降伏しろ
そして蓮華やシャオ、家臣を一刀の配下になる様に説得しろ
そしてお前も一刀の配下になれ いいな
一刀、頼まれてくれるか?」
俺は孫堅の問いに
「降伏して恭順した者を傷つける事はしない
孫策達が降伏するなら受け入れるさ」
と答えた
孫堅は微笑んで
「礼を言う
袁術の元に居た時は屈辱の日々だった
だがそれ以外は3人の娘に恵まれ、武人として死ねた
悪くない人生だったよ」
そう言って目を閉じ、その目が開かれる事は二度となかった
「母様ーーー!!!」
2度目の孫策の絶叫が響き渡り、そして
「敵大将、孫堅は討ち取ったりー!」
俺は戦の終了を宣言した
〜あとがき〜
孫家攻略戦終了です
まず雪蓮が一刀の強襲で吹き飛ばされた件は奇襲だったから成功したのです
決して一刀の武力が雪蓮を大きく上回っていた訳ではありません
炎蓮が死亡しました
私の炎蓮のイメージは人の下に就くことを良しとしない、武人としての生き方を全うしたいと思ってる
それと戦が始まったら完全に負けるまで戦い続ける闘争心をもった人物
これが私の炎蓮のイメージです
だから戦の行方が見えても降伏しない その結果死者が多くなる罪を背負う
そして武人として戦いを辞めない
更に人の下に就かない
こうした観点から死ぬ事になってしまいました
本当に申し訳ありません!
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
説明 | ||
孫家攻略戦B | ||
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コメント | ||
Jack Tiam様>逆恨みでも割り切れないんでしょうね。それと孫家として一刀の下に付く訳では無い上に、炎蓮の遺言も有りますから。(ZSAN) …孫家の誇り云々言ってるが、一歩間違えると只の逆恨みになりそうなことばっかり言っているような気もするんですよね、孫呉関係者は。戦人には戦人のマナーがあるわけで、それを守れないなら戦乱の世は辛いですよ。ドライな考え方ですけどね。ただ、まだ一つや二つ悶着がありそうですね。美羽という前例がある以上、孫呉はもう誰かの下につくのは絶対に嫌でしょうから。(Jack Tlam) mokiti1976-2010様>これについては次話にて。(ZSAN) 霊帝様>確かにそうですね。でも雪蓮達は残っていますから。(ZSAN) 未奈兎様>そう言って頂けると少しは楽になります。(ZSAN) nao様>炎蓮は心強くても扱い辛いでしょうね。雪蓮達の心情に関しては今後にて。(ZSAN) 睦月様>もう、何と言っていいのか・・・。(ZSAN) 雪蓮が果たしてこのまま素直に一刀に降る事を良しとするのかが気になる所ですね。(mokiti1976-2010) これで一刀を搾るオネェサマがへったか・・・(霊皇) まあ確かに、誰かに飼われるより喰うか喰われるかが好きそう(未奈兎) 孫堅が死んだか〜仲間になってくれれば心強かったのに^^;雪蓮とか孫堅の言葉があっても最初は一刀を恨みそうですな〜(nao) 孫堅が、死にましたか…(睦月) |
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