イナズマイレブンGO 王の騎士 |
「天馬って騎士団に入るの?」
幼馴染み──葵が何気なく言った一言により、天馬の運命が決まる。
「…入ろうかなって思ってるんだ。このまま平民だと、ね」
天馬の悲しい表情に、葵は察する。
平民は貧しい。そのため、寿命が短いのだ。──一部例外があるが…。
「天馬が入るなら、私も入るよ。…もしかしたら、私の力、分かるかもしれないからね」
「…まあ、そうだね」
天馬はぎこちなく返事する。…葵の力というのは、とても不思議な力だ。ある時は、傷を癒やしたり、相手の考えが分かるという力だ。…だが、何故か狙われなかったが…。天馬はそのことに不安を感じていた。いつか、狙われるであろうと──。
「平気だよ?だって、私だもんね」
そんな天馬の不安な表情を見て、葵は太陽のように笑う。天馬は少し元気になる。
「うん、そうだね」
葵に心配されないように、作り笑いをする。
「それじゃあ、明日、此処で待ち合わせだね」
天馬の作り笑いに気がついたのか分からない。
「うん」
葵の笑顔に天馬は救われる。
「…よかった。間に合って」
天馬は疲れているが、葵に悟られないように必死になって隠す。
「別に良いよ。時間、まだあるからね」
葵は天馬の様子を見て気がついたのかは分からないが、この様子では気がついたであろう。
「此処が、騎士団に入るための試験場所?」
天馬は辺りを見てから言う。天馬や葵と同じぐらいの子が沢山居る。
「どうやら、騎士、歌姫、術士の試験場所は此処で良いみたいだね」
天馬の後ろから声をかけられる。気になって、後ろを見ると、橙色の少年が居た。
「えっと、あなたは?」
不安そうに葵が尋ねる。
「まあそう言う反応だよね。僕は太陽。軍師希望者だよ。君達は」
人当たりの良さそうな顔で自己紹介する太陽。容姿は美男、と言ったところだろうか?
「俺は天馬。騎士希望者で…平民なんだよね」
平民という言葉は小さく言う。その言葉を聞いた途端、太陽は驚く。
「平民?信じられないよ?…もしかして、天馬の隣の少女も平民なの?」
「あ、うん」
驚く太陽に、戸惑う天馬。
「あの、どうしてそんなに驚くんですか?」
「…少し、場所を変えよう。聞かれたら不味いかもしれないからね」
そう言うと、太陽は二人の手を引っ張り、皆の死角となる場所まで来た。
「此処で良いかな」
太陽は、二人の手を離す。
「ねぇ太陽、どうしてそんなに聞かれたら不味いの?」
葵は太陽に聞く。しかし、答えたのは天馬であった
「葵、多分だけど、利用されるからじゃない?平民=奴隷だしね」
天馬は葵の疑問に答える。太陽は頷く。肯定のようだ。
「…本題に入るね。…雰囲気が、違ってたんだよね」
「雰囲気が?」
葵は理解不能という顔をしているが、だが、天馬はそれだけで分かったような顔をしていた。
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