ゼロの使い魔 AOS 第15話 よみがえるツンデレ!! A |
トリステイン魔法学院の女子寮の一室で、平賀才人とルイズは向かい合っていた。
お互いに話しかける機会を伺いながら・・・。
才人はルイズが先に話すのを待っているのだが、ルイズは顔を上げずに黙り込んでいる。
ルイズは才人が先に話すのを待っているのだが、才人はルイズを見つめて黙り込んでいる。
お互いに思うところがあり、先手を取って話すことをせずに相手が先に話しかけて来るのを待っている。
(どうしよう・・・才人は怒っているのよね?あんなにひどい事言っちゃったし、怒られるのかな?・・・も〜早く何とかいいなさいよ!バカ!!)
(う〜ん・・・やっぱり落ち込んでいるんだよな?この間の事を気にしているんだよな・・・たぶん、でも怒り心頭で黙り込んでいるのかもしれないしな・・・どうしよう)
お互い相手が自分に対して怒っているんじゃないか?ひどい事を言われるんじゃないか?と内心思う。
話の口火を切り出せない様子、言葉に出さなければ伝わらないのだが如何せん臆病な二人だった。
そして、長く感じた沈黙を破ったのは...
「ちゃんと寝たのか?ひどい顔しているぞ」
...才人の言葉だった。
本題は別にあるのは間違いないのだがまずは日常会話っぽい話で先制する才人、ルイズも本題でないのは分かっているのでこの話で様子を見ることに。
「えっと・・・あの後、体調が良くなくて・・・その・・・寝込んでいたの」
「大丈夫かよ!!ご飯はちゃんと食べたのか!?熱とか出ていない!?ちょっと額をさわるぞ!!」
「えっ!?ちょ!ちょっと待って・・・別に病気とかじゃなくって、・・・あっ!?」
「いいから少しじっとしていろ・・・熱くないな、むしろ冷たいかも」
才人のおでこがルイズの額に触れる、予想外の展開と身体的接触にルイズも緊張して一瞬固まってしまうのだが。
「ちょ!?ちょっと!!勝手にくっつけないでよ!!!」
「バカ!!もし病気だったらどうすんだよ!!体調不良をなめんな!!風邪で死ぬ奴だっているんだ、本当に元気なら俺をぶっ飛ばして放せよ!!」
「だから、大丈夫だって言っているでしょ!!バカ!!!・・・バカサイト・・・早く終わらせなさいよ・・・もう///」
結局、ルイズはおとなしく才人のおでこに額を触れさせせるのであった。
焦る才人はルイズのおでこや頬、首筋や手首に指を当てているのだが傍から見ればいちゃいちゃ!ベタベタ!している様にしか見えない。
そう・・・いちゃいちゃ!ベタベタ!ラブラブ!している様にしか見えない、才人よ爆発しろ!!!それかもげろ!!!
「医者じゃねぇから分かんないけど、熱も無いみたいだし脈も正常だと思う」
「ええ・・・そうね・・・うん・・・そうね・・・」
ドクター才人の触診の結果は体に異常なし、ルイズの精神はだいぶ異常事態をきたしているのだが。
診療を終えた二人は少しだけ緊張が解けたように思える、なんとくだけどこの「間の話をしても大丈夫かな〜」という空気が流れ出す。
先ほどはどちらが先に話しかけられるか牽制しあうような流れだったが、いまの二人は「やっぱり話そう」と少しずつだが勇気が湧いている。
もうどちらが先に話してもおかしく無い空気の中...
「悪かったわ、この間は言いすぎたわ」
...先手を取ったのはルイズだった。
「よく考えたら平民相手でもあんな感じで物を持っていくのは良くないわよ・・・その、ひどい事をしちゃった」
「才人が私に言ったことはもっともだと思う・・・かも、うん」
「その・・・もうしないわ、だから・・・え〜と・・・」
ルイズは関を切ったように才人に話しかけた、才人に会ったらあやまろうと思っていろいろ考えていたのだがイザとなるとうまく言葉にできない。
「だから、えっと・・・サイト!私ね・・・」
「ルイズ、手を出して」
うまく言葉に出せずにいるルイズに才人は手を前に出すように促し・・・。
「ルイズ、この間はごめんな」
謝罪の言葉とお菓子が入った子袋をその手に渡していた。
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場面は才人とルイズが部屋で二人っきりになっている六時間ほど前・・・。
「怒っている女の子と仲直りする方法をおしえて下さい!」
「は?・・・いきなり何言ってるの、サイト?」
才人は親方の家でアナちゃんにルイズと仲直りをする方法を聞いていた。
「だから、怒っている女の子と仲直りする方法を教えてほしいんだよ」
「ずいぶんと具体的ね・・・あっ!?・・・いや・・・別に教えてあげてもいいけど///」
「本当か!?ありがとう!!っで、その方法ってなんだ」
「・・・プレゼント・・・かな?やっぱり女の人には贈り物をするのが一番いいと思うわ」
「なるほど〜さすがは女の子!頼りになるぜ!それで、何を渡せばいいんだ!?」
「え〜と・・・えっと、あっそうだ!お菓子がいい!お菓子がいいと思う!!」
「えっ・・・お菓子?さすがにそれは無いんじゃないかな〜」
(いくらなんでも子供っぽすぎる気が・・・)
「そんな事ないもん!サイトがくれるなら何だって良いもん!お菓子をもらったら絶対に嬉しいから!!・・・私は嬉しいよ(ボソッ)」
「う〜ん、わかった!そこまで自信があるならアナの言う通りにしてみるよ、ありがとうアナ!かならずお礼をするからな〜〜〜〜」
才人は駆け足で商店街へお菓子を調達しに向かう、そして残ったアナはと言うと・・・。
「まったく・・・サイトったら、かわいいとこあるじゃない・・・ウフフ///・・・エヘへ///」
九歳とはいえ女の子!恋に恋するお年頃とは言えないが、男の子よりは恋愛的な思考の目覚めは早い!
ただ残念な事に思考に対して経験が圧倒的に足りない、そしてサイトの視線がどこに向いているかも理解してないようである。
そしてこのやりとりが後の「サイトくんロリコン説」の起源になることを今はだれも知らない・・・。
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「ごめんなルイズ、もしかしたら傷つけちまったかもしれないってずっと思ってた」
「えっ・・・そんなこと、ひどい事を言ったのは私のほうだし・・・」
「そのルイズに嫌われたんじゃないかって昨日からずっとビクビクしていたんだ、だから・・・ごめん」
「サイト・・・」
「俺、ルイズに甘えっぱなしだったよ、この世界の事を考えずに自分の考えだけでルイズに当り散らしていた」
才人はあの後ずっと考えていた、貴族の横暴がまかり通るこの世界でルイズだけに非難を押し付けてしまったんじゃないかと。
この世界は階級制度が長い間続いているのだ、その世界で育ってきたルイズに自分の倫理観を一方的に押し付けてしまったのではないかと。
ルイズは自分が悪かった!才人は自分が傲慢だった!お互い自らを責めていたのだが、この事件はそろそろ解決する・・・。
「べっ別にいいわよ!ゆるしてあげるわ!私はあなたのご主人様なんだから、まったく・・・甘えん坊の使い魔を持つと大変ね!」
「はは・・・ありがとう、ルイズ」
「この袋、開けてもいい?」
「ああ、安物だけど気に入って貰えればいいな」
「これは・・・クッキーかしら?」
アナちゃんのアドバイスをもらった才人は商店街にお菓子を買いに行ったのだが、連日の出費で所持金はほぼゼロに等しい。
平民の子供がお小遣いで買える一番安いクッキーしか買えなかった、まさに駄菓子と呼べるシロモノで貴族のお嬢様が口にするものではないのだが・・・。
「サイト、これ美味しいわ」
「良かった・・・本当は自分で作ってあげたかったんだけどな、時間がなくってさ・・・」
「いいのよ、それは後に取っておくから・・・サイトも食べる?」
「いいのか?じゃあ頂きます・・・って、え〜〜〜〜〜〜!?」
「ほら、早く口を開けなさい!ご主人様が手ずから食べさせてあげるんだからね、感謝しなさいよね!!」
お嬢様の味覚は分からないものである、そして才人くんは爆発したほうが良いと思います・・・彼女のいない男子諸君ならそう思うだろ!!!
「いや、それはちょっと・・・恥ずかしいというか、子供っぽいというか」
「甘えん坊のくせに何はずかしがってるのよ!・・・ご主人さまの為にここまで来た使い魔にご褒美よ!ご褒美は躾の基本なんだから!!」
「わ、分かりました・・・ご主人様、あ〜ん」
価値観の違いやお互いの思い違いで崩れかけそうだった二人が復活したのである。
「良〜し!もう一枚あげるから口をあ〜んしなさい、これは躾なんだからね!ヘンな勘違いしちゃダメよ・・・サイト!!」
そして、いまここに・・・よみがえるツンデレ!!
....よみがえるツンデレ!!A 終
next古典的恋愛物語
執筆.小岩井トマト
説明 | ||
ついに再開した才人とルイズ! しかし、お互いの想いが交錯してなかなか話が進まない様子。 はたして二人は仲直りが出来るのでしょうか? ルイズたんは良いものです(あたりまえだ!)、ですが書いていて血の涙が出そうです(血涙)!! |
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