本編補足 |
平穏な日
C1 めぐり合い
C2 奇遇
C3 授業1
C4 ランチ
C5 授業2
C6 下校
C1 めぐり合い
千年大陸連邦。アークシャー州寄宿魔法学校イデン・カレッジ。寄宿舎309号室。ベッドに眠るアークシャー州寄宿魔法学校の生徒のディリゲンド。暫くして彼は目を開け、顔を横に向けて時計を見る。
機械音。時計の針が彼の眼に映る。彼は目を見開いて、飛び上がり箪笥からイデン・カレッジの制服を取り出すと、急いで着替えて、バッグを持ち扉を開けて駆けていく。
寄宿舎から校舎に駆けていくディリゲンド。彼の前方を歩くアークシャー州寄宿魔法学校の生徒のソーシャ。
ソーシャ『おはよう。』
ディリゲンド『おはよう!』
ソーシャの前を掛けるディリゲンド。ソーシャは首を傾げてディリゲンドの方を向く。
ソーシャ『おい、君…そんなに慌ててどうしたんだい?』
ディリゲンドは駆け足をしながら、振り返る。
ディリゲンド『どうしたも何も、このままじゃ遅刻する…。』
ソーシャ『遅刻??』
ソーシャに背を向けるディリゲンド。懐から懐中時計を取り出すソーシャ。
ディリゲンド『君もそんな悠長にしてたら遅れてしまうよ!』
ソーシャ『…まだ、7時30分だぜ。』
立ち止まり、眼を見開くディリゲンド。彼は上肢を上げ、手根を見る。
ディリゲンド『あ、あれ…。時計…。』
首を横に振るソーシャ。
ソーシャ『慌て者だなあ。君は…。』
ソーシャの方を向くディリゲンド。
ディリゲンド『…見間違えたのかな。』
笑うソーシャ。
ソーシャ『はは。まだ、開始時間には25分程あるぜ。取りに戻ったらいい。』
ソーシャから目をそらすディリゲンド。
ディリゲンド『言われなくてもそうする。』
ディリゲンドはソーシャの脇を通り過ぎ、寄宿舎の方へ歩いていく。
ソーシャ『一回、荷物も確認しておいた方がいいぜ。』
振り向くディリゲンド。
ディリゲンド『分かってる…たくっ。』
手を振って去って行くソーシャ。彼を見つめるディリゲンド。
ディリゲンド『…誰だ?アイツ。』
C1 めぐり合い END
C2 奇遇
千年大陸連邦。アークシャー州寄宿魔法学校イデン・カレッジ。階段教室である11号講義室。椅子に座るイデン・カレッジ魔法学校の生徒達。魔法学校の女生徒達と談笑する魔法学校の男子生徒達。椅子に座り、教科書をめくるディリゲンド。隣に現れるソーシャ。
ソーシャ『やあ。』
ソーシャの方を向くディリゲンド。
ソーシャ『奇遇だね。君もこの講義を受けるんだ。』
頷くディリゲンド。
ディルゲンド『あ、うん。』
微笑むソーシャ。
ソーシャ『隣、いいかい?』
頷くディリゲンド。
ディリゲンド『いいよ。別に。』
ディリゲンドを見つめるソーシャ。
ソーシャ『ソーシャっていう。』
眼を見開くディリゲンド。苦笑いするソーシャ。
ソーシャ『私の名前。』
ディリゲンド『あ、ああ。僕はディリゲンド。しかし、君みたいな奴は…。』
ディリゲンドはソーシャを見つめる。
ディリゲンド『見たことがある…。』
首を傾げるディリゲンド。
ディリゲンド『ような…ないような…。』
笑うソーシャ。
ソーシャ『まあ、この寄宿学校はマンモス校だからね。仕方のない事。それにこれも何かの縁さ。』
チャイムの音。
席に駆けていく生徒達。下の扉から現れる寄宿魔法学校イデン・カレッジの女教師のエフ女史。
椅子に座り、彼女を見る一同。
エフ女史『これより、授業をはじめます。』
C2 奇遇 END
C3 授業1
千年大陸連邦。アークシャー州寄宿魔法学校イデン・カレッジ。階段教室である11号講義室。席に座るイデン・カレッジ魔法学校の生徒達。黒板に魔方陣を板書するエフ女史。彼女はチョークを置き、生徒たちの方を向く。
エフ女史『この様に魔法陣が書かれるわけです。』
ノートに魔方陣を書き写す生徒達。魔方陣の外枠を指すエフ女史。
エフ女史『そして、この外枠は魔法の系統を意味する記号です。これは水術を表します。』
黒板の前に立つエフ女史。ディリゲンドとソーシャの前のイデン・カレッジ魔法学校の女生徒Aが魔方陣を眺めながら手でなぞる。
エフ女史『この系統の魔方陣は、召喚魔法等や高度な魔法といった複雑なものではなく、ある一定の動作に発動する仕組みです。無論、そこには呪文詠唱もいりません。身近なマジックアイテム…そう百円ショップに売られているものによく使われて…。』
魔法学校の女生徒Aのノートの魔方陣が青い光を発する。魔方陣から水が溢れ、ディリゲンドとソーシャにかかる。水に透けるカッターシャツ。彼らの方を向く一同。口に手を当て、ディリゲンドとソーシャを見つめる魔法学校の女生徒A。
魔法学校の女生徒A『あわわ…。』
立ち上がり、彼らに頭を下げる魔法学校の女生徒A。
魔法学校の女生徒A『ご、ごめんなさい。』
魔法学校の女生徒Aの方を向くソーシャ。
ソーシャ『別にいいさ。』
ソーシャはディリゲンドの方を向く。
ソーシャ『な。』
ソーシャの方を向いて頷くディリゲンド。
ディリゲンド『まあ…。』
ディリゲンドは地震の濡れた服を見つめ、ソーシャの方を向く。
ディリゲンド『しかし…乾くかな。』
ディリゲンドとソーシャの方を向くエフ女史。
エフ女史『二人ともその場にじっとしていなさい。』
笑うエフ女史。
エフ女史『今から、実演を見せますから。』
教壇に魔方陣を描くエフ女史。彼女は指でそれをなぞる。ディリゲンドとソーシャの下に移動する魔方陣。
赤い光が発せられる。立ち上がり自身の服を見つめるディリゲンドとソーシャ。
ディリゲンド『おお乾いてる。』
ソーシャ『あ、乾いた。』
顔を見合わせる二人。
エフ女史『この様に簡易魔方陣は、操作しやすく私たちの生活に浸透する利便なものです。まあ、使い方を間違えて失敗してしまうこともありますけどね。』
チャイムの音。
エフ女史『それでは今回の授業はここまでにします。』
C3 授業1 END
C4 ランチ
千年大陸連邦。アークシャー州寄宿魔法学校イデン・カレッジ。階段教室である11号講義室。扉から出ていく生徒達。椅子に座るソーシャとディリゲンド。ソーシャはディリゲンドの方を向く。
ソーシャ『な、食堂で昼飯を食べに行こうぜ。』
ソーシャの方を向くディリゲンド。
ディリゲンド『…ああ、いいよ。それでどっちにする?』
顎に手を当てるソーシャ。
ソーシャ『そうだな2号棟の食堂にするか。』
頷くディリゲンド。
千年大陸連邦。アークシャー州寄宿魔法学校イデン・カレッジ。2号棟の大食堂。トレーにコテージパイを載せるソーシャ。フィッシュアンドチップスを載せるディリゲンド。
彼らはレジに行き、食事代を支払う。トレーを持ち、2号棟の大食堂の窓側の席に座るディリゲンドとソーシャ。
ソーシャ『さっきは傑作だった。』
フライドポテトを摘まむディリゲンド。
ディリゲンド『まったく酷い目にあったよ。』
コテージパイを口に運ぶソーシャ。
ディリゲンド『まあ、ほどなく乾いたからよかったけど…。』
ソーシャ『まあ、魔法の恩恵だね。』
ディリゲンド『まったくもって。本当に便利だよ。魔法は素晴らしい。』
コテージパイを食べながらディリゲンドの方を見つめるソーシャ。彼はコテージパイを噛んだ後、飲み込む。
ソーシャ『…そうだけどね。』
ソーシャを見て首を傾げるディリゲンド。コテージパイをスプーンですくうソーシャ。
ソーシャ『アゼリアナ・ゼッツイア教授は知ってる?』
ソーシャを見つめるディリゲンド。
ディリゲンド『アゼリアナ・ゼッツイアって、あのニュースで話題になった…。』
頷くソーシャ。
ソーシャ『そう。公金を横領して、死んだ妻を生き返らせる禁忌の研究をしていた。』
ディリゲンド『…禁忌って言うけどさ。女王陛下も転生…。』
ソーシャ『あれは若返りの術で蘇りじゃない。』
ソーシャを見つめて頷くディリゲンド。
ディリゲンド『あ、ああ。そうだね。』
ソーシャ『蘇りの術、屍術は成功した例がほとんどないからね。成功の記述のある文献は全て悲惨な末路なものばかりだよ。』
コテージパイを食べるソーシャ。
ディリゲンド『そうか。でもその教授、確か情状酌量されて…。』
頷くソーシャ。
ソーシャ『そこなんだよ。ユランシアのガイデン王国の要塞島が独立したのは知っているだろう。』
ディリゲンド『ん、ああ。確か暗黒大陸連邦から来た技術将校が公爵を自称して独立した。』
スプーンをディリゲンドの方に向けるソーシャ。
ソーシャ『そうそう。技術将校のジエンが作ったジエン独立公国。』
苦笑いするディリゲンド。
ディリゲンド『自分の名前を付けるとはね。』
ソーシャ『目立ちたがり屋なのかね。まあ、週刊誌の情報だけど、彼も公金を横領して、愛した商売女に貢いだって。まあ、それでバッシングと追及を受け、自国から逃げ出してあんなことになってしまったって。』
笑い出すディリゲンド。
ディリゲンド『アホだな〜。』
ソーシャ『無論、ジエンには情状酌量なんてない。』
眼を見開くディリゲンド。
ソーシャ『さて、二人とも公金を横領した罪は同じだよ。二人とも愛する人の為に罪を犯した。しかし、二人の裁きは分かれた。』
上体を乗り出し、頷くディリゲンド。
ソーシャ『彼らの罪の重さを分けたのは愛した対象が最愛の妻か愛した商売女かってことだけ。』
ソーシャはディリゲンドを見つめる。
ソーシャ『まあ、それだけなんだけどね。』
顎に手を当て、2、3回頷くディリゲンド。
C4 ランチ END
C5 授業2
千年大陸連邦。アークシャー州寄宿魔法学校イデン・カレッジ。体育館に集うイデン・カレッジの生徒達。
イデン・カレッジの生徒達が並べられた的の前にそれぞれならぶ。2列目に並び、周りを見回すディリゲンド。腕組みしてそれを眺める教師のゴルドエイト。
呪文詠唱の声。
生徒達の手が青白く光り、氷柱が的に向かって飛んでいく。的に当たる氷柱。
ゴルドエイト『よし、次。』
先頭の生徒達は後ろに下がり、前に出る2列目の生徒達。
呪文詠唱の声。ディリゲンドの詠唱が少し遅れる。生徒達の手が青白く光り、氷柱が的に向かって飛んでいく。少し遅れて飛んでいくディリゲンドの氷柱。的に当たる各生徒の氷柱。的から外れるディリゲンドの氷柱。
ゴルドエイト『…次。』
ゴルドエイトはディリゲンドの方を見つめる。
ゴルドエイト『ディリゲンド、ちょっとこっちへ。』
顔を上げゴルドエイトの方へ駆けるディリゲンド。
ディリゲンド『は、はい。』
ディリゲンドを向き、頷くゴルドエイト。
ゴルドエイト『詠唱に迷いがあるな。』
ディリゲンド『あ、はい。』
ゴルドエイト『迷いごとや、まあ浮かれた気分は誰にでもある。しかし、その日の気分やモチベーションで左右されるようでは駄目だ。その為の訓練であり、修練だからな。』
ディリゲンド『は、はい。』
ゴルドエイトはディリゲンドの方を叩く。
ゴルドエイト『わかったね。』
デイィリゲンド『はい。』
ゴルドエイトに頭を下げるディリゲンド。
ディリゲンド『はい。ありがとうございます。』
ディリゲンドはイデン・カレッジの生徒達の方へ去って行く。手を叩くゴルドエイト。
ゴルドエイト『よし、次。これが終わったら詠唱フォームの再確認をするぞ。』
C5 授業2
C6 下校
千年大陸連邦。アークシャー州寄宿魔法学校イデン・カレッジ。揺れる木々。下校するイデン・カレッジの生徒達。ディリゲンドは、度々、周りを見回しながら校門へと歩いていく。校門を出て、周りを見回して後ろを振り返るディリゲンド。彼の眼に映る校舎の脇の芝に座り、読書をするソーシャ。
ディリゲンドはソーシャの方へ歩いていく。
ディリゲンド『やあ。』
ソーシャは顔を上げディリゲンドの方を向く。
ソーシャ『ああ、君は。』
ディリゲンドは膝に手を当て、ソーシャの読んでいる本を見つめる。
ディリゲンド『何を読んでいるんだい?』
ソーシャ『ああ、ただの哲学書。』
ソーシャは本を閉じる。ソーシャの隣に座るディリゲンド。
ソーシャ『君も読むかい?』
ソーシャは本をディリゲンドの前に出す。本を見るディリゲンド。
ディリゲンド『いやあ…小難しいものはちょっと…。』
ソーシャ『そうか。残念。』
本を鞄にしまうソーシャ。ディリゲンドはソーシャを見つめる。
ディリゲンド『君は詠唱の実技の授業は受けないの?』
鞄のかぶせを閉じるソーシャ。
ソーシャ『ああ、去年とったからね。履修は自由に選択し。実は最大履修数に引っかかってね。泣く泣くあの授業を切ったんだよ。』
眼を見開くディリゲンド。
ディリゲンド『へえ、そんなに履修しているんだ。僕は、必要最低限だけさ。』
ディリゲンドの方を向くソーシャ。
ソーシャ『そっか。まあ色んな人がいるからな。色々知っていた方が面白いのに。』
ソーシャはディリゲンドの方に手を差し出す。
ソーシャ『これからもよろしくな。』
ソーシャの手を見つめるディリゲンド。
ディリゲンド『あ、ああ。こっちこそよろしく。』
握手するソーシャとディリゲンド。
C6 下校 END
END
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