ゼロの使い魔 AOS 第19話 アナの憂鬱 |
アナは、非常に機嫌が悪かった。
家族で朝ごはんを食べている時でも、仲の良い友達と遊んでいる最中でも機嫌が悪かった。
なんで機嫌が悪いのかと言うと・・・。
ヒラガサイト、最近お父さんの大工の組合で働き出したお兄さんだ。
初めて会ったのは二週間ほど前、夕食の時にお父さんが家にサイトを初めて連れてきた。
黒い目と黒い髪の外国人なのかな?今まで、見たことのない様な人だ。
お父さんはすごく仕事ができると褒めていた、おじいちゃんもサイトをひと目で気に入ってたと思う。
私はあんまり好きじゃない、お父さんとおじいちゃんがサイトを褒めているのを見るとすごくモヤモヤする。
サイトがお台所に入って、お母さんと一緒にお料理をする様になった。
お母さんはサイトをすごく褒めていた、野菜の皮をむくのがすごく速いとか。
サイトはお母さんに褒められると、すごく嬉しそうにしている。
やっぱり私はあんまり好きじゃない、お母さんがサイトを褒めているのを見るとすごくモヤモヤする。
サイトがお母さんと一緒にお料理をする様になってから、サイトの料理が食卓に並ぶようになった。
見た目はお母さんのお料理とあまり変わらないけど、すごく変わった味がする。
サイトは自分の国のお料理だと言っていた、お父さんたちもサイトのお料理をいっぱい食べている。
やっぱり私はあんまり好きじゃない、えっ!?お料理はおいしいよ・・・でも好きじゃない。
サイトは仕事が早く終わると私のお友達と遊ぶことがある、大人の癖に・・・。
サイトはいろんな遊びを教えてくれた、縄をつかってみんなで飛んで足を引っ掛けた人が負けの大縄跳び。
空き缶を使って、鬼の人が空き缶を守りながらみんなをつかまえる缶けり。
ボールを蹴って相手の陣地にある大きな枠にボールを入れながら得点を競うサッカー、サイトの国では大人でも喜んで遊ぶらしい。
サイトはみんなの人気者だ、みんなが「サイトくん」って呼んでいる、私は呼ばないけどね。
やっぱり私はあんまり好きじゃない、家に居る時より私に話しかけてくれないんだもん・・・。
最近、サイトとよくお話するようになった。
サイトは他の国から働きに来たらしい、この国にいるお友達をたよってトリステインに来たって聞いた。
サイトはお父さんとお母さんとおじいちゃんが大好きだって言っていた、自分は家族に会えないからみんなといると楽しいって・・・。
サイトは私のことを大好きだって言っていた、バカじゃないの!私はあなたの家族じゃないんだから!!
私の家族はお父さんとお母さんとおじいちゃんの三人・・・あっ、家を出て行ったお姉ちゃんもいたんだ・・・四人だけなんだから!
やっぱり私はあんまり好きじゃない、サイトは私のことが大好きみたいだけどね・・・フフッ///
週末になると、サイトは家に来ない。
この国にいるお友達と遊んでいるらしい、私のこと大好きだって言ってたのに・・・やっぱりあんまり好きじゃない。
今日もみんながサイトを取り合って遊んでいる、最近は近所のお姉さんもサイトと一緒にお料理したりする。
東の町でサイトを知らない子供はいない、他の町の子にはサイトの事は内緒にしているけど他の町の子も最近来ている気がする。
お父さんは「情報封鎖かよ!」って驚いていたけど意味が分からない、サイトの取り合いは他の町にも広がっていきそうだ。
みんなサイトが好きなんだよね・・・でも、サイトは私のことが大好きなんだからね、そうよ!サイトが好きなのは私なの!
サイトは私を好きって言っているけど、私は別になんとも思ってないんだから・・・勘違いしないでよね!!
今日はサイトが遅くまで家にいる、ただし・・・私とあんまり話してくれない。
お父さんとおじいちゃんがお部屋でサイトとずっと話しているんだもん、お仕事のお話をしているってお母さんが言っていた。
邪魔しちゃいけないよね・・・早く終わらないかな、寝る時間になったらお話できないじゃない!サイトの・・・バカ!!
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何でこんな事になっているんだろう?
サイトが私の隣で寝ている・・・起きているわけじゃないよね?・・・サイトの寝顔、たぶん誰も見たことが無い寝顔だ。
せっかくだから、少しいじってみようかな?・・・(ツンツン)・・・ふぅ〜///・・・えへへ〜///
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朝になった、やっぱりサイトは隣で寝ている。
夢じゃなかったみたい・・・サイトと一緒に寝ていたのは本物の私だった、そしてサイトはいまだに夢の中みたい。
起こしたらおはようって言って来た、なんだろう・・・おはようって言われてすごく・・・何でもないから///
お昼になる少し前にサイトが家に来た、どうやら私に会いに来たらしい。
話を聞く限りだとサイトは私と仲直りがしたいらしい、それを私に聞くなんてワザとらしいことをする。
カワイイところがあるんだな〜とは思ったけどね、お菓子が欲しいっていったらお菓子屋さんのある方へ走っていった。
まったく・・・サイトは私のことが大好きなんだよね〜、そんなに走らなくても私は逃げないんだから!
サイトに会えなかった・・・あの後、ずっとお家で待っていたのに・・・。
朝になってもサイトに会えなかった、お父さんの仕事場まで着いていったんだけど今日は遅れるかもしれないって・・・。
「サイトのバカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「アナ!?どうしたよの急に変な声出して」
「別に・・・何でもないわよ、続きをして遊びましょうよ」
「ヘンなアナ〜〜!!」
アナは、非常に機嫌が悪かった。
仲の良い友達と遊んでいる最中でも、機嫌が悪かった・・・のだが。
「アナ、見っ〜けた!!」
「サイト!あっ・・・プイ!!」
「あれ、どうしたんだよ?今日はご機嫌斜めなのか?」
「別に・・・サイトこそお仕事しないでいいの、朝は仕事場に居なかったじゃない」
「どうして知ってんだ?まあいいや・・・仕事なら途中で合流してもう終わらせてきたぞ!」
「うそ!まだお昼すぎたばかりだよ!いつも夕方までお父さんお仕事で帰ってこないもん!」
「ふふふ・・・嘘だとおもうなら後で親方に聞いてみな!最近は腕が上がってな、伝説の大工なんて言われてたりするんだぜ!」
「ふ〜ん、それで伝説の大工が私に何か用でもあるの?」
「よく聞いてくれた!実はアナにプレゼントがあるんだ」
「ふ〜ん・・・えっ?私にプレゼント・・・、サイトが私に」
「アナ、両手を前に出して・・・はい!サイト特製アナちゃんプリンだ!!」
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場面は前日のルイズの部屋にもどる。
「いや、もうお腹が・・・いや!欲しいデザートがあった、お願いしていいのか!?」
「いいわよ!何でも頼みなさい、アイスでもケーキでもなんでも揃っているから!」
「じゃあプリンが食べたいな、できればお持ち帰りで・・・ダメかな?」
「・・・え〜と、プリンって何?」
まさかの答えに才人は驚く、この世界にプリンが存在していない事に!
「えっと・・・プリンはプリンだよ、卵と牛乳とクリームとかで出来ている黄色くてプルプルしたやつ」
「そんなデザートは聞いた事がないわ、あなたの世界のデザートみたいだけどこっちには無いものみたいね」
「ううっ・・・そんな、バカな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
お城や服装・・・風習や食べ物もどう見たって中世ヨーロッパなのにプリンだけが無いとは、ハルケギニア・・・おそろしい子。
「サイト、無い物は仕方ないじゃない・・・他のデザートだって美味しいものはいっぱいあるんだか・・・」
「プリンが無ければ作ればいいじゃあないか!かの有名なマリーさんだって、そう言っていたんだしな!!!」
「えっサイト!?いったい何を言っているの?」
「ルイズ、今から書くものを厨房で作ってもらうんだ!!お前にも食べさせてやるぜ!!」
「えっ・・・わかったわよ、そのプリンってやつを作るのよね?」
才人はメモ帳にプリンの材料を書きなぐってルイズに渡し、ルイズはメイドを呼んでレシピ通りにプリンを作るようにお願いした。
そして・・・すぐに出来た。
プリンは卵と牛乳だけでプリン液をすぐに作ることができる、あとは煮て固めるだけなのだ!
初めて食べるプリンにルイズもご満悦の様子、お土産に容器に入ったプリンを厨房にお願いしたらレシピと交換で交渉成立!そして現在に至る。
余談だが、パンなければお菓子を食べればいいじゃあないというマリーさんの名言は実は曲解されて後世に伝えられたものとか・・・。
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「アナちゃんプリンって何?」
「ふふふ・・・この世に一つしかないアナのためだけに、用意したオリジナルデザートだ!!」
「「「「「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」」」」」
近くにいた他の子供たちの声が、広場に響き渡った。
「さあ、食べた!食べた!愛情がいっぱいこもっているからな!!残さず食べてくれよ!!」
実際につくったのは魔法学院の料理人なのだが・・・ここは話を盛る才人、そしてプリンを食べたアナはと言うと。
「甘くてプルプルしておいしい・・・かも、サイト・・・その、あ...ありが...」
「ずる〜い、アナちゃんだけ!」
「私たちにも、アナちゃんプリンちょうだい〜」
「わかった!わかった!ここにいる人数分はあるから、ちゃんと並びな!」
「「「「「わ〜〜〜〜い!!!!」」」」」
「アナ、どうだったアナちゃんプリンは!?」
「・・・・・・おいしかったわよ、サイト」
やっぱり私はあんまり好きじゃないかも・・・でも、ありがとう・・・サイト。
この日「サイトくんロリコン説」の幕が開けたのだった。
....第19話 アナの憂鬱 終
....第20話 純情な・・・
執筆.小岩井トマト
説明 | ||
お父さんの仕事先に新しい人が入った 私はあんまり好きじゃない・・・あんまり好きじゃないんだから。 親方の娘のアナちゃんの才人に対する想いが語られます。 小岩井トマトはロリコンではありませんからね〜第19話をお楽しみください。 |
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