ゼロの使い魔 AOS 第21話 ある日の店の会話 |
それは、ある日のお店での会話だった。
平賀才人は、大工をしている。
彼は毎日、工具を振るって仕事に勤しむ。
もともと才能があったのか?周りの教え方が良かったの?、どちらかは分からないがとても腕がいい。
最近は彼がいると全体の予定工程が、半分以下に短縮されるほどの影響力が出ている。
ほかの大工の組合からも才人は一目を置かれている、最近は「伝説の大工」という二つ名で呼ばれているとか。
そんな平賀才人だが、実は大工歴1ヶ月未満の新人だった。
しかも、まだ十六歳の少年である。
組合の親方は、若くて実力がある新人が入って来て大喜びだ。
最近は、東地区で起こっているトラブルの解決のために動いているという。
繰り返しになるが、彼は新人でまだまだ下っ端だ。
平賀才人は使いっぱしりで、大工の組合で使っている壊れかけの工具をまとめて鍛冶屋に持って来ていた。
「おっちゃん、直すのにどれ位掛かりそう?」
「この位なら朝飯前だな、これなら自分たちでも直せそうなもんだろ!」
「いや・・・おっちゃんの仕事が無くなっちゃうんじゃないか、それ?」
「うちは武器屋が本業なんだよ、工具の修理なんぞそんなに金になんねぇからな」
鍛冶屋一本で生計を立てるのは難しいらしい、工具の修理よりも武器を売るほうが利益が大きいという事だ。
とは言ってもここの店主、腕はそんなに悪くないらしく才人が働いている組合のご用達の店なのだ。
「表の武器屋のほうで時間を潰してな、そんな掛かんねぇからな」
「わかった、武器でも見ているよ」
「おう!気に入ったものがあったら買ってくれよ、馴染みって事で安くしてやるぞ」
「おっちゃん、俺そんな金ないから・・・」
才人は武器にはそこまで興味が無い様子、もっとも金も無いのだが・・・。
そんな訳で表の武器屋のほうに回って、修理が終わるまでの時間を潰している才人だった。
色んな武器が店内に並べられている、元の世界の漫画やゲームで見たような武器ばかりだ。
武器にはそこまで興味は無かったのだが、見ていると意外と面白い。
店内の武器をのんびり見ている才人だったが、急に後ろから声をかけられる。
「おめぇ・・・いったい、誰なんだ?」
急に後ろから声をかけられて振り向く才人だったが、誰も居なかった。
「あれ、空耳だったのか?」
「空耳じゃねぇよ!こっちだよ坊主、おめぇの目の前にいるだろうが!」
「え〜と・・・剣?、剣が喋っているのか」
「やっと気がついたか、で・・・おめぇさんはいったい誰なんだ?」
「さすがは魔法の世界・・・剣が喋るのかよ、俺は客だよ、武器を買いに来た訳じゃねぇけど」
どうやら声の主は、目の前の樽に刺さっている茶色い剣のようだ。
銅の色なのか?サビがひどいのか?全身茶色の剣が、才人に話しかけてきた。
「そういう意味じゃねえんだが、まあいい」
「・・・?」
「おめぇ、俺を握ってみろ」
「もしかして買えって言っているのか?悪いけど、お金持ってないぞ」
目の前の茶色い剣が、自分を握るように促してくる。
樽の中に大量に入れられた武器の中にあるので処分品なのかも知れないが、才人は本当にお金が無い。
「そんなんじゃねぇから、いいから俺を握りな」
「・・・わかったよ、これでいいのか?」
押し売りかと思ったがそうでは無いらしい、いわれるままに茶色い剣の柄を握る才人だったが。
「やっぱりおかしいな・・・間違っちゃいねぇんだが、間違っているような・・・」
「何を言っているんだ、もう離してもいいか?」
「・・・ああ、手間かけさせて悪かったな」
何がしたかったのか分からないが、離していいというので離した才人の耳に店主の声が届く。
「お〜〜い小僧、終わったぞ!取りに来な!!」
「呼ばれているから、俺行くわ・・・じゃあな」
「・・・ああ」
どうやら修理が終わったらしい、工具を受け取りに裏の工房に戻って行く才人。
残された茶色い剣、「デルフリンガー」は一人つぶやく。
「何で、右手にあんだよ・・・・・・」
....第21話 ある日の店の会話
....第22話 めざせ経済大(町)国 D
執筆.小岩井トマト
説明 | ||
組合で使っている工具を修理しに鍛冶屋を訪れた才人。 そして、修理が終わるまでの時間に出会ったモノは? 補完エピの最終話となります。 少しだけ謎を残して・・・ |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1020 | 1012 | 1 |
タグ | ||
ゼロの使い魔 ゼロ魔 ルイズ 歴史改変 平賀 才人 異世界 | ||
koiwaitomatoさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |