チートでチートな三国志・そして恋姫†無双
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第58話 時を待つ

 

 

 

 

 

天和と人和には頭巾をかぶせてとりあえず誤魔化すことにした。本当は髪を切って髪型を変えるのが一番安全なのだろうけど、天和のきれいで長い桃色の髪を切るのは勿体ないと思った。怪しいことこの上ないけれど、なんとかなるはずだ。

 

 

「一刀さん、こんなので本当に大丈夫なんですか……?」

 

「皇甫嵩たちに必要なのは“北郷一刀”つまり俺が挨拶をして“張角”の首を渡すことだけ。部下が変な頭巾をかぶっているくらいなんてことないから心配しなくていい。ただ、ここから出たら下?の城に着くまで余計なことはしゃべらないでね。休憩ほしかったら言って。」

 

「はい。」

 

桔梗、椿と合流して皇甫嵩のところまで戻った。紫苑と藍里の戦闘は見事としか言いようがない。あれから数時間が経ったけれど、見事に持久戦を展開していた。

 

「一刀さん!」

 

「ただいま。見事だ。降伏勧告をして、ダメなら全軍で潰そう。」

 

「わかりました。せっかくですから本陣は一刀さんと愛紗さんがお願いします。」

 

「了解。水晶は言い訳考えておいて。

 

さあやろうか。黄巾残党を完全に叩く。おそらく冀州最後の戦いだ。愛紗、勧告と檄は任せる。」

 

「そこは一刀さんがしてほしいところなのですが……。

 

 

黄巾全軍へ告ぐ。すみやかに武器を捨てて降伏せよ。そうすれば命は助ける。抗戦するのなら、最後の一兵まで殺し尽くす。選べ。

 

これで終わらせる。全軍突撃。」

 

 

愛紗がこんなやり方をとるとは珍しいな……。いつもは“熱”あるいは“炎”と形容できるようなやり方をとる。それとは真逆の冷たい殺気。大声で叫んだわけではない。しかし、その威圧感のせいか、敵も味方も争うのをやめて言い終わるのを待っていた。

 

 

一人、また一人、武器を捨てていくのが見て取れた。しかし、それを臆病と罵り殺そうとする者もいる。もちろん、それは弓と騎馬兵で阻まれていく。愛紗、桔梗、紫苑。3人ともすさまじい弓の能力を持っている。それに加えて配下の騎馬兵と弓兵の力もまた別格だった。

 

降伏した敵をまだ戦意のある敵から守る、実はかなり難しいことだけれど、俺たちにとっては手慣れた“作業”でしかなかった。降伏8割。殺害2割といったところだろうか。

 

戦後、俺は愛紗、水晶、桔梗、藍里を連れて皇甫嵩のところへ向かった。皇甫嵩の部下からはひたすら低姿勢でもてなされた。むしろ歩かせて申し訳ありません、とまで。

 

よく考えたら俺の将軍位は左将軍で、改めて考えてみるとかなり偉い地位だったはずだ。皇甫嵩の位はしらないけど、部下とでは天と地の差があるのだろう。

 

 

「わざわざお越し頂き申し訳ありません……。本来なら私が出向かなければいけないのに……。あうううう……。」

 

何というか、予想外に低姿勢な子が出てきた。こんなのでは都で貧乏くじしか引けなさそうだ。

 

「本当に申し訳ありません……。私、左中郎将の皇甫嵩と申します。左将軍の北郷殿にわざわざ来て頂くことになってしまい、ご無礼お許しください……。」

 

「俺が来たのは引き継ぎのため。張角と張梁の首を渡すから、きちんと朝廷へ報告してくれ。あとは?統と黄忠にまかせるから、2人に聞いて。」

 

「わかりました!!」

 

そう告げて藍里と紫苑に任せてここを後にした。

 

「水晶、位、そんなに違うの?」

 

「将軍位と官位ですから完全に照らし合わせるのは不可能ですが、官職に“((三公九卿|さんこうきゅうけい))”というものがあります。そのうちの九卿の一つに((光禄勲|こうろくくん))という役職があります。左中郎将はその光禄勲の部下と言えるような役職です。左将軍は九卿に匹敵、つまり光禄勲と同格と言われていますから、皇甫嵩よりは位が高いのです。」

 

「なるほど……。ところで一刀さん、皇甫嵩はきちんと報告をするのですか? 我々のほうから誰か出しても良かったのでは?」

 

「なら愛紗が行きたかった? 冗談冗談。正直、これ以上の位も官位もどうでもいいからね。下手に上がって宮仕えなんて頼まれたら断るのが面倒だ。上がるだけならそれはそれでいいけどね。今回の討伐にしても、俺らがやったところでもらえるものは“位”しかない。もう恩賞も土地も出す力がないからだ。

 

あり得ない話だけど、何進の次の大将軍になんてなった時の想像はできる? 十常侍をいかに処分するか考えながら洛陽暮らしだよ。もちろん連中は俺らの命を狙ってくる。遠慮したい。今は他全てを相手にして勝てるとも思えないからねえ……。“我慢”の時は続くけど諦めるしかない。」

 

「確かにその通りですね……。また増えた部下を育てながら、時を待つ。それはそれで楽しみましょう。」

 

 

 

 

 

人物紹介

 

 

皇甫嵩 字・真名は不明

 

史実では極めて有能な将であり、後漢最後の名将と言って間違いない。

 

黄巾の乱を平定したのは、曹操でも孫堅でも、もちろん劉備でもない。皇甫嵩なのだ。

 

なぜ拙作でこうなったかというと、ただ単純に「張三姉妹を生かす」必要があったため。皇甫嵩ファンの方には申し訳ないことをしました。拙作での位は史実で黄巾賊討伐のときについていたものと同じです。

 

コメント

 

英雄譚の新キャラ紹介で出ているのはすごい。他の作品と同じく“平凡”“普通”が強調されているのはもはや様式美かもしれませんね

 

 

後書き

 

ずいぶん間を空けて、しかも洗脳のやり方などは先伸ばしで、そのうえ短くて申し訳ありません・・・・。

※位、もし間違っていたら感想欄で指摘ください。たぶん大丈夫だとは思うのですが・・・。

説明
第5章 “貞観の治

恋姫英雄譚2、魏編発売おめでとうございます。
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コメント
未奈兎様>確かに。それより“縛られ”と“それなり”が気になってしまいましたw(山縣 理明)
M.N.F. 様> お待たせして申し訳ないです・・・。そうですね。13話ですからかなり前の話・・・。 左将軍(一刀)>左中郎将(皇甫嵩)になります。(山縣 理明)
しかしキャラクター相関図を見ると人を見る目はあるみたい。(未奈兎)
おお、久しぶりの更新来てた。 そういえば左将軍位でしたっけね。 桃香は右将軍でしたっけ? 皇甫嵩より上なんですね。(M.N.F.)
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