いぬねこ!13
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いぬねこ!13〜猫山さん誕生日SS〜2015

 

【猫山】

 

 私は犬神さんのことが好きだ。

だけど意識しすぎてるせいなのか、居心地の悪さを感じて最近は秋の家に

転がり込んでいる。

 

「でさぁ、犬神さんがね〜」

「うん」

 

 で、秋と何を話すかというと特に何も浮かばないから二人の中で身近な

犬神さんの話になってしまうのだ。秋はいつも通りに少し困り顔をしながら私の話に

耳を傾けてくれる。

 

 でもいつもより秋の様子がおかしい。というのも、いつもより口数が少なかったのと

少し表情が怖く見えていたことだった。

 

「秋?」

「ほんと猫山は犬神のことばっかりだね」

 

「え・・・?」

 

 いつものように呆れたような笑みを浮かべた後、ベッドに腰掛けていた私を

力をいれずに自然と倒れるようにして押されると秋が私の顔の前に近づいてきた。

 

「秋・・・?」

「今まで妹みたいな存在かと思って接してきたけど、何か違うのは感じていて

どの変が違和感に繋がっているのかと考えていたんだけど」

 

 冷静に言っているようでその間にも少しずつ私との距離を狭めていくと。

 

「犬神の話をしている猫山を見て思ったんだ。あぁ、私犬神に嫉妬してるんだなぁって。

別に犬神のこと嫌いじゃないのにイライラばかりが募っていってさ」

「あ・・・秋・・・」

 

「あぁ、私。猫山のことが好きだったんだなってわかった。発情期みたいなこと

言ったことあるけど、わたしも人のこと言えないね。ね、怖がらないで。猫山」

 

 優しくするから、と耳元で秋が囁いた後、本当に優しくて暖かい唇をそっと重ねた。

怖く感じていた感情はやがて胸から熱い鼓動が聞こえて顔全体まで熱くなっていった。

 

 秋の匂いが温もりが体全体で感じていて、強張っていた体から少しずつ力が抜けて

秋に身を任せるようにして私は秋の背中に手を回した。

 

 それからどれくらい時間が経ったのかわからないくらい頭がボーっとして

口を離すと今まで見たことのない秋の赤らめた表情が私の視界に入った。

 

 冷静でしっかりもののお姉さんで周りの面倒を見るのが上手くて。

そんな完璧超人でクールな秋が今、少し心に余裕のなさそうにそわそわしながら

勢いで動いたことに戸惑っている様子が窺えた。

 

「猫山・・・」

「秋・・・」

 

「ごめん・・・」

「ううん、大丈夫。嫌じゃなかったから・・・」

 

「え・・・?」

「あ、何か変なこと言ったかな!?じゃあ、私帰るね!」

 

「猫山・・・!」

 

 バタンッ

 

 焦った・・・。もし秋に今の私の気持ちが伝わってしまったらお互いに困って

ぎくしゃくしてしまうかもしれないと思ったらつい部屋を飛び出してしまった。

 

 私は震える足を抑えながらゆっくりと玄関に向かうと秋の妹さんたちが来てくれて

秋を呼ぼうとしていたのを見て私は慌てて止めた。

 

「あ、大丈夫だから」

「まったく、しょうがないお姉ちゃん」

 

 妹さんはそう言いながらも珍しいことなのか首を傾げた後、私が出るまで手を

振ってくれた。

 

「また来てね」

「うん・・・」

 

 外に出て、外の空気を吸い込んで吐き出す。少しでもこのドキドキをなくそうと

したけれど、ちっとも治まりそうになかった。けど、この気持ち嫌じゃない。

むしろ好きなのかもしれない・・・。

 

 秋と熱いキスを交わして、家へ帰る途中。私は自分の唇に手を当てて

すごく真剣で真っ直ぐな眼で私を見てくれた秋を思い出してまた強くドキドキしてきた。

 

 今まで犬神さんだけが好きだったのが、今は秋のことで頭がいっぱいになっていて

一体私はこれからどうしたらいいのか悩み、顔を俯かせ真っ赤になって

もやもやしながらゆっくりと家に帰るのだった。

 

お終い

 

説明
時間なかったので簡単に書いてみました。猫山ちゃん誕生日用のSS中身は誕生日と関係ないですが、秋ちゃんとイチャイチャしてるとこみてぇなぁ^^
イラスト→http://www.tinami.com/view/800066
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犬神さんと猫山さん 猫山鈴 柊木秋 百合 キス 

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