高速戦術輸送機 C-37B「アルバトロス」と「ブランシュ・フォンテーヌ」
説明
【小説】ブランシュ・フォンテーヌ【Blanche Fontaine】‐母の面影にとらわれた或る技術者の一生‐
 
http://www.tinami.com/view/800875

の挿し絵のために作成。  西暦2044年の初夏、ジョルジュの死没年齢を越え、41歳の壮年期に入った「リージェ重工業」の主任設計・指揮者「ブランシュ・フォンテーヌ」は、遠征艦隊軍【UEEF】から他社であるボーイング.マクドネル社が開発した戦術高速輸送機 「C-37A アルバトロス」の問題点の改良を請け負いました。

A. リージェ重工業の主任設計指揮者「ブランシュ・フォンテーヌ」伝記

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B. 戦術高速輸送機 「C-37 A,B,C アルバトロス」開発史と性能値
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同機は元々サザンクロス軍の要求により開発された高速大型・戦術輸送機でしたが、サザンクロス軍の崩壊により、同軍が他の惑星で運用していた機体を「遠征艦隊軍」【UEEF】がそのまま接収して運用していました。

陸軍出身のサザンクロス軍の総司令官「アナトール・エリ・レオナルド」(クロード・レオン)の横槍で無理な高速性能を追及した機体設計は、空気抵抗を極限まで減らす為、固有安定性が重視される大型機、しかも輸送機という運用目的にも関わらず水平尾翼どころか垂直尾翼すらなく、尾翼が無いが故に推力偏向ノズルに水平安定の制御を依存するという無理な設計で、確かに高速性能は大型機としては突出していましたが、操縦安定性が不良で事故が多く扱い辛い機体でした。

サザンクロス軍は【月月火水木金金】と土・日を潰した猛訓練で使いこなし、一見普通に運用しているかのように外部からは見えていただけで、旧サザンクロス軍の生き残り古参航空兵達が退役し、遠征艦隊軍(UEEF)の地球を知らない若い航空兵が機体を引き継ぐ2040年代になると、重大な死亡事故が多発しました。
艦隊附属・航空技術本部は、ボーイング社の拠点が全て地球圏内にあるため、2033年のインビッド占領により、同社と音信不通の状況にあることから、同機の改設計をリージェ重工業とブランシュらの設計チームに発注しました。

★ 問題点の抽出と解決法を、ブランシュらは以下の問題点を見いだし、順次解決していきました

1.主翼に対して重心が前方に偏り過ぎで、通常の尾部末端への水平尾翼の取付けは不可能。
2.胴体の後方への延長も強度の低下や重量増大など無駄と無理が生じる。
3.原型の設計では二次元推力偏向ノズルで水平安定の代用をさせているが、これは戦闘機のような小型な機体に有効な代替方法で、舵取りの反応の遅い大型機では無理があり、先尾翼〔カナード〕としたい。
4.垂直尾翼が主翼の両端の小垂直小翼〔ウィングレット〕で代用というのも大型機の場合は2乗3乗の法則により大きな垂直尾翼の面積が必要になり、無理のある設計である。機尾に双垂直尾翼を追加したい。
5.当然ながら触れ込みの高速輸送機としての最大速度は空気抵抗の増加により低下するが、輸送機に必要なのはピーキー、つまり高性能だか扱い辛い操縦性能ではなく、機体の固有安定性と空力重心の移動範囲を含めた輸送能力にある。

紙幅が無い為、問題点と解決法の記載を箇条書きとして同一項内に収め、簡潔にまとめましたが、この結果が画像に結実します。

▼ リージェ重工業による安定性不良の改良型【B型】▼

1.垂直尾翼、先尾翼、先尾翼端の断片的な小翼( ウイングレット )追加により空気抵抗が増え、A型でマッハ2.6(高度 15 km )だった最大速度は約2割低下し、マッハ1.8程度となったが、固有の飛行安定性は劇的に増加し、操縦性能の改善により、死亡事故の発生率は要求値を達成し1/12 となった。
2.インビッドに地球占領されたとはいえ、開発拠点だったボーイング・マクダネル社に対する配慮から、制式名称を「アルバトロスII」とされることは無かったが、胴体の短縮などの大きな変更を含め、あまりにも変更箇所が多岐に渡るため、非公式には、このように区別される。
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