本編補足
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運命の糸

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C1 援軍

C2 身代わり

C3 囮

C4 本当の想い

C5 結ばれた糸

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C1 援軍

 

早朝。青白く染まったテウシン王国首都ブザのダンレン宮殿。城壁の前に立つテウシンの地の名用将軍シルパラ。背後には大多数の軍勢。城壁の上からシルパラを見下ろす冕冠を被るウシン王国国王でテウシン王の血を引く美少女スヒィンとユ王国国王の容姿端麗なユガの息子で容姿端麗なユーリユーリとスヒィンに、バビルサ獣人のキバシシを筆頭とする一同。

 

歓声が上がる。橙に染まっていくダンレン宮殿の城壁。シルパラはゆっくりと顔を上げ、手に持ったパゴタの首を上げる。眼を見開くスヒィン。ユーリはシルパラを睨み付ける。

 

ユーリ『シルパラ殿!これは一体どういうことだ!』

 

背後の大多数の軍勢に貴族連合盟主国であるシュヴィナ王国、テウシンの各王国であるミゼ王国、カヤン王国、ユ王国、クド王国、パノパス王国、バカイ王国、ツァ王国、ヂョルガロン王国の旗印が上がる。

 

シルパラ『宮中に居る者達よ!今こそ、テウシンの妖女から立ち上がる時だ!』

 

首を横に振り、後ずさりするスヒィン。ユーリはシルパラを睨み付ける。ツァ王国の将ペドポルノが一歩前に出る。

 

ペドポルノ『我々をたぶらかした妖女を討て!』

ユーリ『おのれ!シルパラ!』

 

ユーリの放った矢がシルパラの心臓を射抜く。眼を閉じ、再び目を開けるシルパラ。

 

シルパラ『これで、我が血筋は守れる…。』

 

倒れるシルパラ。スヒィンの方を向き、剣を抜く衛兵達。衛兵を切り捨てるユーリとキバシシ達。機械音。シルパラの息子シルトラ配下のカッシャ級人型機構が多数現れる。

 

シルトラの声『モングと手を結ぼうとしたテウシンの妖女を逃がすな!』

 

城門の開く音。キバシシはユーリの方を向く。

 

キバシシ『ここは俺達に任せて後宮逃げ込め!』

 

ユーリは頷き、呆然とするスヒィンをお姫様抱っこする。スヒィンはユーリの方を向く。スヒィンを見つめ、頷くユーリ。彼らは衛兵達を切り捨て後宮へ去って行く。進むシュヴィナ王国、テウシンの各王国であるミゼ王国、カヤン王国、ユ王国、クド王国、パノパス王国、バカイ王国、ツァ王国、ヂョルガロン王国の軍勢。

 

C1 援軍 END

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C2 身代わり

 

テウシン王国首都ブザのダンレン宮殿。後宮に逃げ込むスヒィンとユーリ。宮中から上がる炎。轟く軍靴の音。機械音。ユーリはダンレン宮殿を向く。ユーリはスヒィンを降ろし、彼女の方を向く。

 

ユーリ『王様。』

 

顔を上げ、ユーリを見つめるスヒィン。

 

スヒィン『ユーリ…。』

ユーリ『衣服を拝借いたします。』

 

スヒィンから冕冠を取り、衣服の上段の衣を撮るユーリ。眼を見開くスヒィン。

 

スヒィン『えっ?』

ユーリ『こうなってしまえば追っても所々に居るはず。私が王様の身代わりになります。』

スヒィン『しかし…。』

 

ユーリはスヒィンの肩を持つ。

 

ユーリ『私が囮になり時間を稼ぎます。』

 

後宮の扉を閉め、駆けこんで来るキバシシとシシ党の一同。

 

キバシシ『こうすれば時間が稼げる。』

 

スヒィン達の方を向くキバシシ。

 

キバシシ『王様…。』

 

冕冠を被るユーリ。キバシシ達はユーリを見つめる。

 

キバシシ『ユーリ、お前、その格好は…。』

 

旒ごしからキバシシを見つめるユーリ。

 

ユーリ『キバシシ、後は頼んだぞ。』

 

ユーリを見つめ、頷くキバシシ。ユーリを見上げるスヒィン。

 

スヒィン『ユーリ、駄目…。』

 

ユーリの服の袖を掴むスヒィン。ユーリはスヒィンに背を向ける。

 

ユーリ『…一目見た時から貴方の事をお慕いしておりました。』

 

スヒィンの目に映る冕冠の旒の間から見えるユーリの瞳。

 

ユーリ『短い間でしたが、私はあなたと一緒に居られて、

私はあなたの為に生きることができて幸せです。』

 

眼を見開くスヒィン。駆けていくユーリ。ユーリに手を伸ばすスヒィン。

 

スヒィン『ユーリ!』

 

キバシシがスヒィンを抱え上げる。シシ党のホジラ獣人のジラジラが一歩前に出る。

 

ジラジラ『オラ、体がでかいから目立つだ。』

 

キバシシはジラジラの方を向く。

 

ジラジラ『…ユーリの手助けをする。』

 

キバシシに背を向けるジラジラ。

 

キバシシ『ジラジラ…。』

 

ジラジラは振り向き、シシ党の面々とスヒィンの顔を見た後、正面を向く。

 

ジラジラ『親分、達者でな。』

 

駆けていくジラジラ。

 

 

テウシン王国首都ブザ。後宮裏手の森。キバシシに抱えられたスヒィンの眼に映える炎に包まれたダンレン宮殿。無数の矢が突き刺さり、血だらけになったジラジラと、ダンレン宮殿の屋根の上で、敵兵達を切り捨てるユーリ。

 

スヒィン『ユーリ、ジラジラ…。』

 

スヒィンは目を背け、再び彼らの方を向く。触手に縛られた後、一刀両断されるジラジラ。屋根の上の敵兵達が下がり、ユーリの前に現れるヂョルガロン王国トング城城主シンノトレスの食客で完全武闘装衣を身にまとったシルとダン・ユー。

 

C2 身代わり END

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C3 囮

 

テウシン王国ブザの森。座り、俯くスヒィン。周りにはキバシシとシシ党の面々達。シシ党の女リス獣人のケトラバサレをはじめ、泣く面々多数。スヒィンの傍らに寄るキバシシ。スヒィンはゆっくりと顔を上げ、キバシシを見つめる。

 

キバシシ『王…。』

 

スヒィンはキバシシから目をそらす。

 

スヒィン『…キバシシ、ごめんなさい…。』

 

瞬きし、スヒィンを見つめるキバシシ。

 

スヒィン『あなた方をこんなことに巻き込んでしまって…。』

 

キバシシは両ひざに手を当てスヒィンを見下ろす。

 

キバシシ『王、何を言ってるんですか?王様は何も間違ったことをしていないじゃないですか。』

 

スヒィンはキバシシの顔を見つめる。

 

キバシシ『俺達は王を信じている。』

 

スヒィンの方を向き、頷く一同。泣き出すスヒィン。

 

スヒィン『私…私…。』

 

しゃがみ、スヒィンを見つめるキバシシ。キバシシはスヒィンの背を撫でる。森の中から現れるシシ党のダンゴムシ人のマルマルンヨ。

 

マルマルンヨ『駄目だ。親分。この森はバカイ王国の大軍に完全に包囲されている。』

 

マルマルンヨの方を向く一同。立ち上がるキバシシ。スヒィンは顔を上げる。マルマルンヨの方を向き、眉を顰めるキバシシ。

 

キバシシ『…突破はできそうか?』

マルマルンヨ『…バカイ王国の軍勢を突破できたとしても、近くに他の王国の軍勢が布陣している。』

 

腕組みをするキバシシ。

 

キバシシ『そうか…。』

 

キバシシを見上げるスヒィン。キバシシはスヒィンの方を向く。

 

キバシシ『王。』

スヒィン『はい。』

キバシシ『我々がバカイ王国を引き付けます。その隙に逃げてください。』

 

眼を見開き、キバシシを見つめるスヒィン。

 

キバシシ『それと念のため、村人の衣服に着替えてください。』

スヒィン『キバシシ!』

 

立ち上がり、シシ党の面々を見回すスヒィン。

 

スヒィン『それに、皆…。』

 

スヒィンの方を向き、頷く一同。キバシシはスヒィンの肩を掴み、スヒィンの顔を見つめる。

 

キバシシ『王。生きてください。』

 

スヒィンの方を見つめ、微笑む一同。スヒィンは目を潤ませ、頭を深々と下げる。

 

スヒィン『皆…。』

 

 

テウシン王国ブザの森。兜の紐を締めるキバシシ。後ろに並ぶシシ党の面々。木々の間からキバシシ達を見つめるスヒィン。スヒィンの方を向き、頷くシシ党の一同。スヒィンは頭を深く下げて駆けていく。

 

キバシシ『テウシン王国シシ党部隊!行くぞ!』

シシ党の一同『おおーーーっ』

 

駆け去るシシ党の一同。スヒィンは振り返る。砂煙が巻き起こる。剣撃、弓の音に銃声、砲撃音。

 

キバシシの声『マルマルンヨ!マルマルンヨはおるかーーーーーーーーっ!』

 

静寂。

 

スヒィン『キバシシ。』

 

その場に崩れ落ちるスヒィン。

 

C3 囮 END

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C4 本当の想い

 

テウシン王国ブザの森。木々を掻き分け駆けていくスヒィン。彼女の目に映るカッシャ級人型機構が多数並ぶバカイ王国軍本陣。

 

ソゲン大将軍の声『テウシン王が偽物だったとは、本物は近くにいる筈だ。探せ。』

バカイ王国兵士Aの声『はっ。』

ソユルの声『しかし、偽のテウシン王がユガ殿の息子のユーリ殿とは…。』

ソラルの声『今、シル殿とダン・ユー殿と闘っているらしい。』

ソシルの声『まだ、決着はついていないのか?』

バカイ王国兵士Bの声『報告します!テウシン王国の将キバシシを仕留めました。』

ソゲン大将軍の声『そうか。ご苦労。』

ソユルの声『キバシシごとき下賤の身が他の国より精強な我がソ一族の軍と戦おうなどと身の程を知れ。』

ソラルの声『他の軍勢とソ一族の軍勢は格が違うのだ。』

ソユルの声『キバシシなどに負ける他国の軍勢など…。』

ソゲン大将軍の声『それは違うぞ。息子達よ。キバシシという男があれだけの戦果をあげられたのは、他国が弱いわけでもキバシシが強いわけでもない。ミゼのユミル、ユラルとツァ王国のツァグトラのおかげだ。総兵力で攻め入ればすぐに片が付いたものを、ツァグトラの奴は貴族連合への点数稼ぎの為、時間を引き延ばし、ユミル、ユラルはそれをいいことに政敵たちを言葉巧みに少数の兵力で首都に前哨戦という形で引き込み、体よく殺した。』

 

机を叩く音。

 

ソゲン大将軍『奴らは兵をなんだと思っているのだ!父母は断腸の思いで国家の為に子を我らの元に預けておるのだぞ!それを奴らはくだらんことで消費して…我らの為に子を捧げた彼らに申し訳が立たん!』

ソユル、ソラル、ソシルの声『父上…。』

ソゲン大将軍『今回のツァグトラの行動も気に喰わん!シュヴィナに妖女を討たせ、手柄を与えるという考えがな。』

 

バカイ王国本陣を横目に森を駆け抜けていくスヒィン。

 

ソゲン大将軍の声『…この匂いは?』

ソラルの声『父上、どうしました?』

 

天幕から駆け出、弓を持ち、カッシャ級人型機構の肩部に駆け上がるバカイ王国のソゲン大将軍。

 

ソゲン大将軍『この匂い…。テウシン王の香の匂い。』

 

弓をつがえ、森林に狙いを定めるソゲン大将軍。彼は弓をひく。森に飛んでいく矢。それは森林を駆けるスヒィンの背中に突き刺さる。悲鳴を上げ、飛び上がり、その場に倒れるスヒィン。

 

ソゲン大将軍『間違いない。あそこにテウシン王はいるぞ!』

 

ざわめき。スヒィンは両手を使い上体を起こすが、すぐに倒れる。

 

スヒィン『…ユーリ。』

 

スヒィンの体が七色に輝く。

 

C4 本当の想い END

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C5 結ばれた糸

 

テウシン王国ブザ。キュリョウ廃城。シャンデリアの間。倒れている背中に矢の刺さったスヒィンと無数の切り傷のついたユーリ。火のついたユーリが纏っていた衣がゆっくりとゆれながら部屋の角に落ちていく。眼を開き、その眼にユーリを映すスヒィン。

 

スヒィン『ユーリ…。』

ユーリ『王…。』

 

ユーリはゆっくりとスヒィンの方に顔を向ける。彼の眼に映る背に矢の突き刺さるスヒィン。眼を見開くユーリ。部屋の角に落ちる火のついたユーリの纏っていた衣。部屋の壁を燃やす炎。

 

スヒィン『あなたと…キバシシ達との約束を果たせず…。』

 

ユーリはスヒィンを見つめる。ユーリを見つめ涙を浮かべるスヒィン。

 

スヒィン『…こんなになるまで…。王位なんていらない。あなたとずっと一緒にいたかった!あなたといると幸せだった!』

 

スヒィンは首にかけているペンダントを掴み見つめる。

 

スヒィン『テウシンの血筋…。大婆様も!お母様も!お父様も!こんなものの!こんなものの為に!!私は!』

 

スヒィンは首にかけていたペンダントを引きちぎり、腕を振りかぶる。スヒィンのペンダントを持った手を握りしめるユーリの手。スヒィンはユーリを見つめる。

 

ユーリ『スヒィン様…。テウシン王へと繋がるあなたの血筋。それが私と貴女を引き合わせてくれたのです。』

 

眼を見開くスヒィン。彼女を見つめるユーリ。

 

ユーリ『私はあなたと引き合わせて下さったテウシンの血筋に感謝しています…。』

 

ユーリを見つめるスヒィン。

 

ユーリ『こんなにも愛しい人と出会えて…。』

スヒィン『ユーリ…。私も…。』

 

手をつなぎ、眼を閉じるスヒィンとユーリ。火柱が上がる。シャンデリアに燃え移る炎。軍靴の音。

 

ツァ王国兵士Aの声『七色の光がこの城に向かって行きました。間違いありません。』

ツァグトラの声『盟主様。いよいよテウシンの妖女を討伐する時が来ました。』

 

キュリョウ廃城シャンデリアの間に続く二階のアーチをくぐるツァ王国兵士Aとツァ王国兵士B。彼らは燃え盛るシャンデリアの間の階下のスヒィンとユーリを見つめる。

 

ツァ王国兵士A『いたぞ!テウシンの妖女を発見したぞ!』

 

鬨の声が上がり、シャンデリアの間の二階のアーチを潜る貴族連合盟主でシュヴィナ王国国王のエグゼナーレとツァ王国国王ツァグトラにシュヴィナ王国とツァ王国の兵士達。続く従軍記者団。スヒィンの方を指さすツァ王国兵士A。

 

ツァ王国兵士A『あそこにいるのがテウシンの妖女でございます。』

 

一歩前に出るエグゼナーレ。彼の目に映る手を握って倒れるスヒィンとユーリ。前に出る従軍記者団。火柱が立ち、燃え盛るシャンデリアが左右に大きく揺れる。シュヴィナ王国兵士Aがエグゼナーレの下に駆け寄る。

 

シュヴィナ王国兵士A『思った以上に火の回りが早いです!ここは避難すべきです!』

 

シュヴィナ王国兵士Aの方を向くエグゼナーレ。

 

エグゼナーレ『分かった。』

 

炎を帯びたシャンデリアが揺れ、スヒィンとユーリの死体の上に落下する。

 

C5 結ばれた糸 END

 

END

 

説明
・必要事項のみ記載。
・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
・心理的嫌悪感を現す描写が多々含まれておりますのでそれういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
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R-18グロテスク 悪魔騎兵伝(仮) 

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