英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 戦争回避成功ルート |
〜オーロックス峡谷〜
「そ、そんな……!?」
「外道が……!何の罪もない市民達まで人質に取ってまで、その”御子”とやらをその手にしたいというのか!」
「故郷がそんな状況になっているのに、どうしてクロウは”D∴G教団”に力を貸しているんだ……?」
「……あくまで推測だけど”グノーシス”を使った影響で、正常な判断能力を失っているからかもしれないわね。」
「実際例のクロスベル襲撃事件の前に”ルバーチェ”の誘いで”グノーシス”に手を出した市民達は全員、性格が変貌して正常な判断能力を失っていたらしいからその可能性は十分に考えられるな。」
クレア大尉の話を聞いたトワは悲痛そうな表情をし、ユーシスは怒りの表情をし、不安そうな表情をしているジョルジュの疑問にサラ教官とトヴァルはそれぞれ答えた。
「クロチルダさん、クロウは”グノーシス”の危険性についてわかっていて”グノーシス”に手を出したのでしょうか……?」
「私自身は”D∴G教団”や”グノーシス”についてクロウに教えた事は無かったけど、例のクロスベル襲撃事件は世間にも公表されていて、その時に”グノーシス”の効能や危険性も公表されたわ。だから当然クロウも”グノーシス”の危険性については知っているはずよ。」
「……という事は危険性を知っていてなおその薬物に手を出してクロウがそんな事になったのはクロウの”自業自得”でもあるということか。」
「クロウ様は一体何を考えて”グノーシス”に手を出し、ヨアヒム・ギュンターと手を組まれたのでしょうね……?幾ら誘拐されたパトリック様達の為とは言え、リィン様達と違い、それ程親交のない学生の方達の為にそこまでの危険を犯す事には少々違和感を感じますわ。」
「……奴の真意は気にはなるが今は”D∴G教団”に占拠されたジュライ特区だ。ジュライ特区内の市民達はどうなっている!?」
リィンの質問に重々しい様子を纏って答えたクロチルダの説明を聞いたアンゼリカは複雑そうな表情で呟き、シャロンが呟いた事を静かな表情で答えたナイトハルト少佐は厳しい表情で尋ねた。
「情報局の調べによると市民達は家や建物に避難し、難を逃れているとの事です。幸いにも貴族連合の残党や悪魔達は建物には突入していないとの事ですから、恐らく市民の中からまだ被害は出ていないかと思われます。」
「最悪の事態に陥っていなくて何よりですね……」
「―――ですが、その状況がいつまで続くかわかりませんね。」
「ええ……世界各地から幼い子供を誘拐した挙句人体実験に使うという凶行を犯した狂信者達の一員なのですから、目的の為には手段を問わないでしょうね。」
「もしかしたらヨアヒムが言っていた『エレボニアは多くの犠牲を出す事』には貴族連合の残党や悪魔達によってジュライの市民達を蹂躙や虐殺するという意味も含まれているかもしれませんね。」
クレア大尉の話を聞いたエリスが安堵の表情をしている中、リアンヌやルイーズ、エリゼはそれぞれ厳しい表情で考え込んでいた。
「そ、そんな……それじゃあ最悪はジュライの人達が……!」
「カレイジャスならジュライにもすぐに到着できて、市民達の救助活動を行えると思うけど……」
「リベールとの戦争勃発を防ぐ為にも殿下達をカレイジャスでリベールまで送り届ける必要があるから少なくても殿下達をリベールに送り届けてからという事になるな……」
「―――ただ幾らカレイジャスと言えど今からリベールまで行ってその後にジュライまで行くとなるとさすがに3時間は厳しいと思うよ。」
リアンヌ達の推測を聞いたエリオットは表情を青褪めさせ、トワは複雑そうな表情でカレイジャスを見つめ、ラウラとアンゼリカはそれぞれ重々しい様子を纏って答えた。
「当然正規軍が3時間以内にジュライ特区に到着するなど不可能だ……貴族連合の旗艦であった”パンダグリュエル”のような大型の飛行艦ならば正規軍を丸ごと乗せてジュライに向かえば、移動時間を大きく減らせるが……」
「”パンダグリュエル”は以前のメンフィルによる大反撃でメンフィルに奪われ、メンフィル帝国の所属艦になったのですからメンフィル帝国の協力がない限りその案は不可能ですわね。」
ナイトハルト少佐の言葉に続くようにシャロンは静かな表情で答えた。
「…………あの……レン姫。ここにいる正規軍をパンダグリュエルでジュライ特区まで運んで頂くだけで構いませんので、どうか御力を貸して頂けないでしょうか?勿論、状況が落ち着いた後に”代償”も支払うつもりです。お願いします……!」
「セドリック………レン姫、わたくしからもどうかお願いします……!」
「フフ、二人ともこの内戦で見違える程成長したね。レンく―――いや、レン姫。どうかジュライ特区の民達を救う為にパンダグリュエルで正規軍を運ぶ事を取り計らって頂きたい。どうか、この通りだ……!」
レンを見つめて頭を下げるセドリック皇太子とアルフィン皇女を静かな笑みを浮かべて見つめたオリヴァルト皇子は真剣な表情でレンを見つめて頭を下げた。
「エレボニア皇族の皆さん直々に頭を下げてもらったんだからさすがに応えない訳にはいかないわね……と言いたい所だけど、悪いけどレンに”パンダグリュエル”に指示できる権限はないから、レンでは”パンダグリュエル”に正規軍をジュライ特区まで運ぶような指示はできないわ。」
「当然私もそんな権限は持っていません。申し訳ございません……」
頭を下げられたレンは疲れた表情で答え、レンに続くようにプリネは申し訳なさそうな表情で答えた。
「そ、そうなの!?」
「プリネはまだわかるけど、”殲滅天使”にまで”パンダグリュエル”の指示権を持っていないなんておかしくない〜?確か”殲滅天使”って現メンフィル皇帝の代理なんだよね?だったら、”パンダグリュエル”の指示権も当然持っていると思うんだけど〜。」
「口を謹んで下さい、ミリアムちゃん!」
二人の答えを聞いたエリオットは驚き、不満げな表情でレンを見つめるミリアムにクレア大尉は声をあげて注意した。
「レンがシルヴァンお兄様の代理権を持っていたのはみんなの前で戦争回避条約とかを提示した時までよ。だから今のレンでは”パンダグリュエル”に指示できないわ。指示をできるとすればパパかシルヴァンお兄様、後はリフィアお姉様ね。」
「あ、あの……”パンダグリュエル”を使わなくてもエヴリーヌ様やベルフェゴール様達の転移魔術でリベールかジュライ、どちらかに送ってもらうというのはどうでしょう?」
「そうか……!その手があったな!」
「しかも”殲滅天使”も含めて転移魔術ができる人が複数いるから、両方とも可能だね。」
レンの後に答えたセレーネの提案を聞いたマキアスは声をあげ、フィーは真剣な表情でレン等転移魔術ができる者達を見回し
「へえ?まさかそこに気付くなんてね♪」
「レンさん……その口ぶりだと気付いていて、黙っていたんですね……」
「え〜……何でエヴリーヌ達がそんなめんどくさい事を。第一エヴリーヌはその”ジュライ”って所に行った事がないから転移できないし、リベールに転移したいんだったらバリアハートにある転移門を使えばいいじゃん。」
感心している様子のレンを見たツーヤは呆れた表情をし、エヴリーヌはめんどくさそうな表情で呟いた。
「バ、バリアハートの転移門……ですか?」
「そんなものがある話等今まで聞いた事はないが……まさかバリアハートをメンフィルが占領して以降に設置したものなのか?」
エヴリーヌが呟いた言葉を聞いたエマは戸惑い、ユーシスはプリネを見つめて尋ねた。
「はい。ユミルやケルディック同様バリアハートにも転移門が設置されてあります。ちなみに転移先はユミルとリベールのロレント郊外にあるメンフィル大使館です。」
「えっ!?」
「ユ、ユミルとまで繋がっているのか!?」
プリネの答えを聞いたエリスとリィンはそれぞれ驚いた。
「以前にも説明しましたがエレボニアと戦争状態に陥った事でユミルが最重要防衛地点とされた為ユミルにも設置されたとの事ですわ。」
「まあ、いずれクロイツェン州の統括領主になるシュバルツァー家の実家があるユミルとの移動をしやすくする為でもあると思うがな。」
「それは…………」
「………………」
「――――二人とも、俺に気を使う必要はない。それより今はリベールとの件だ。」
「確か”戦争回避条約”の”妥協案”にサインした時にメンフィル帝国領にある転移門の使用も許可するって言っていたから、今も使わせてもらえるんだよね?」
シグルーンとレーヴェの説明を聞いたリィンとエリスは複雑そうな表情でユーシスを見つめ、ユーシスは動じる事無く答え、ミリアムはプリネ達を見つめながら尋ね
「そ、そう言えばそんな話もあったな……」
「カレイジャスを使って活動していたオレ達は使った事が無いから、正直忘れていたな……」
ミリアムが呟いた言葉を聞いたマキアスは冷や汗をかき、ガイウスは苦笑していた。
「……メンフィル大使館…………―――プリネ姫。以前リィンさんから教えてもらったのですが……メンフィル大使館への転移はメンフィル大使館側の許可が必要との事ですが。」
「ええ。少々お待ちください。今お父様に連絡を取ってパンダグリュエルの件も含めても許可を取りますので――――」
「―――その必要はない。」
クレア大尉に尋ねられたプリネが通信機を取りだしたその時、何とリウイがペテレーネを伴ってリィン達に近づいてきた。
「あら。」
「リウイお兄ちゃん♪」
「お父様!?それにお母様もどうしてこちらに……!」
リウイとペテレーネの登場にレンは目を丸くし、エヴリーヌは嬉しそうな表情をし、プリネは驚きの表情で二人を見つめた。
「―――いざという時の為に私が陛下に連絡したのですよ。それに陛下自ら理事を務めた学び舎の学生達の成長ぶりや陛下とイリーナ様にとって心強き味方になる我が愛弟子であるデュバリィ達の実力を見てもらう良い機会と思いましたので。」
「リアンヌさんがですか!?」
「マ、マスター…………!フ、フフフフフ……ッ!―――今のマスターの言葉を聞きましたか、アルゼイドの娘と”光の剣匠”!マスターに最も信頼される家臣という栄光ある立場は貴方達”アルゼイド”ではなく、私達―――はぐっ!?」
リアンヌの話を聞いたツーヤは驚いている中リアンヌの言葉に感動したデュバリィは勝ち誇った笑みでラウラとアルゼイド子爵を見つめて話しかけたがアイネスに頭を、エンネアには首筋に強烈な一撃を入れられて呻き
「……すまん、デュバリィ。お前を黙らせるにはこの方法しかなかったのだ。」
「これ以上”鉄機隊”の品位が疑われるような真似をすれば、私達”鉄機隊”どころかマスターにまで恥をかかせる事が何故わからないのよ……」
「きゅう…………」
デュバリィに一撃を入れた本人である二人がそれぞれ呆れている中、デュバリィは気絶して地面に倒れ、その様子を見守っていたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。
このルートでの士官学院奪還篇では面目躍如したかと思われたデュバリィですが、ポンコツな所は結局直っていませんでしたwwやっぱりデュバリィはデュバリィか(オイッ!)なお、リウイが登場した時のBGMはVERITAの”覇道”だと思って下さい♪
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第91話 | ||
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コメント | ||
本郷 刃様 ポンコツなのがデュバリィですしねw K"様 まあ、何だかんだ言って悪運(?)は強いから大丈夫かとw(sorano) ……デュバリィはこんなんでこの先大丈夫なのか。(K') デュバリィらしくていいでしょうw(本郷 刃) |
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