艦隊これくしょん とある島の戦闘目録(バトルインデックス)
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カリカリカリ………

 

 

工厰内の一室にペンの走る音が鳴る。

 

部屋は質素な物で、調度品といえば執務様の机と椅子、それに衝立の向こうにあるベッド位なものだ。

 

 

コンコン

 

 

「どうぞ」

 

 

走らせていたペンを止めて、訪問者に呼び掛ける。

 

 

「しれーかんさん。ほうこくにきたですー」

 

「ありがとう流星ちゃん。早速報告よろしく」

 

 

司令官。柄でもないのだが、一昨日に女神さんに頼まれてしまったのだ。

 

この島に居る総勢1243人の妖精さんを束ねる司令官になってほしいと。

 

 

「いわれたとおり、みんなにやくわりぶんたんしてもらったです。工厰・開発班、食糧班、それと戦闘班にわかれてもらったのです。やはり、戦闘班にたいするきょうそうりつがいちばんたかくて、ちょっとだけもめちゃったみたですが、なんとかきまったみたいです」

 

「そうなんだ。内分けはどのくらい?」

 

「工厰・開発班が456にん、食糧班が489にん、戦闘班が289にんです。それと、よりしろのない連装砲ちゃん5きと連装砲くん3きはしれーかんのおてつだいになりました」

 

 

まず、始めにしたことは妖精さん達の配置だ。今までは全員が依り代を無くし、工厰を依り代としていた。妖精さん達は森にある木の実や果実なんかを少し食べるだけで十分事は足りたが、ボクと言う人間(?)と新たな仲間が加わった事により食糧の確保が急務となった。

 

 

「食糧班のみんなはいましまのなかにちいさなはたけをたがやしてもらってます。あと、ぎょかいるいのかくほもしてもらってます」

 

「その他の班は?」

 

「工厰班はげんざいじゅんちょうにしんにんにさぎょうのてじゅんをおしえてます。開発班は応急修理女神さんのもとでしれーかんさんのぎそうをちょっとずつかいせきちゅうです。戦闘班のみんなはしまのいたるところでほうだいやら、たいくう・たいすいじょうでんたんやらのせっち、またはきちにとめてあるかんさいきの整備中です」

 

 

概ね順調に回っている様で何よりだった。流星ちゃんが持ってきてくれた書類に目を通す。ん?この紙?何か妖精さんの不思議技術(?)でつくってるみたい。

 

 

ドドドドドドド

 

 

「しれー。かんたいg」

 

「ただいま〜〜〜っぽい!!!」

 

 

何だか地鳴りがしたと思ったら、先に工厰妖精さんが入ってきて間髪開けずにクリーム色の髪の黒いセーラー服的な物を着た少女が飛び込んできた。

 

そのまま少女はボクの胸にダイブ………って!?

 

 

ドンガラガッシャーン!!!!

 

 

案の定、ボクと少女────夕立は椅子から倒れ落ちる。

 

 

「ただいまっぽい!!ただいまっぽい!!」

 

「お帰り、夕立。……他の皆は?」

 

「皆は艤装を解除してるっぽい!でねでね、私が報告に来たっぽい!!」

 

「ありがとう、夕立」

 

「えへへ〜♪」

 

 

夕立の頭を撫でてやると夕立は気持ち良さそうに目を細める。

 

 

「ん〜………もうこんな時間か〜。そろそろご飯、作らなきゃね」

 

 

夕立を一端離れさせて立ち上がり、服に付いた埃を払う。するとまた、夕立が抱き付いて来るので一緒に部屋を出る。因みに、さっきの夕立に吹っ飛ばされた憐れな工厰妖精さんは流星ちゃんに連れられて先に出ていった。

 

 

「てーとくさんのご飯はとっても美味しいっぽい!!」

 

「そう言ってくれるとボクも嬉しいよ。じゃ、行こうか」

 

「ぽいっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トントントントン

 

 

所変わって、ここは工厰に併設されている簡易的な食堂。その厨房でボクは人参やその他の野菜を刻んでいた。

 

 

「みゆさんお魚の方は捌き終わりましたよ」

 

「ありがとう、翔鶴さん。連装砲ちゃん、この野菜炒めてもらえる?焦げ付かせない様に満遍なく混ぜてね」

 

「キュー♪」

 

 

今、調理場に足っているのはボクと三基の連装砲ちゃんと元空母ヲ級だった翔鶴さんだ。翔鶴さんは元駆逐棲姫に率いられていた深海棲駆逐艦の娘達と共に資源回収や島の哨戒任務に従事する傍ら、ボクの調理の手伝いをしてくれる。

 

 

「魚の方どうします?」

 

「うーん?三枚に下ろしてもらったし焼いてもても良いけど、皆大勢いるからお刺身にしよっか」

 

「わかりました。お刺身にしますね」

 

「お願いしまーす」

 

「キュー!!」

 

 

魚の調理法を決めていると、連装砲ちゃんが服の端を引っ張ってご飯が炊けた事を教えてくれる。

 

因みに、この調理場にある機材の全てが妖精さんのハンドメイドだ。恐るべし、工厰妖精さん。

 

それと、このお米はなんと前回助けた補給艦『桜島』が積んでいた荷の一つ。なんとなんと現地に住んでいた妖精さん(原住妖精さん)に分けて貰ったらしい。籾殻付きのも幾らか貰ってきていたので、食糧班に頼んで生産してもらわないと。

 

 

「ありがとう、連装砲ちゃん」

 

「キュー♪」

 

 

連装砲ちゃんを撫でてあげると、気持ち良さそうに目を細める。なんとも可愛い。

 

 

「みゆさん、お刺身出来上がりました」

 

「ありがとう、翔鶴さん。連装砲ちゃん、皆を呼んできて。翔鶴さんはお刺身を持ってきて。夕立ちゃんは野菜炒めをお願い」

 

「わかりました」

 

「ぽい!!」

 

「キュー!」

 

 

こうして、出来たものを準々に食堂へ運んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いただきます」

 

 

いただきまーす、と一斉に声があがり食器の鳴る音がし始める。

 

 

「てーとくさんのご飯はとっても美味しいっぽい!」

 

「美味しいね♪」

 

 

夕立ちゃんと春雨ちゃんが美味しそうにおかずを頬張っていく。

 

 

「ご飯の炊き具合もバッチリで美味しい〜」

 

「お刺身もとっても美味しい!!……醤油じゃ無いのが残念だけど」

 

「資源回収より、先ずは大豆の回収が先かな?」

 

 

そう話しているのは、村雨と白露それと時雨の三人。お願いだから資源回収もしてね、と心のなかで切に願う。

 

ワイワイガヤガヤと夕食が進んでいき、料理はあっという間になくなった。

 

 

「ご馳走様でした」

 

 

ご馳走様でした〜♪と全員が手を合わせる。

 

妖精さんや艦娘の皆はそれぞれ散り散りにお風呂向かったり、工厰へ向かったりと様々に移動する。

 

 

「みゆさん」

 

「ん?どうしたんですか、女神さん?」

 

 

食器を洗い終わった所で、女神さんが話し掛けてきた。

 

 

「明日、あなたの艤装のテストと本格的な解析をしたい、と開発班が言っていてね。どうかと思うのだけれど」

 

「結局、解析できなかったんですか?」

 

「ええ、幾つかの機能と格納庫に格納されていたコンテナは確認・取り出す事はできたのだけれど、精々解析出来たのは24%程でしかないわ」

 

 

なんと、妖精さんの技術力を持ってしても解析出来ないとは、恐るべしボクの艤装。

 

 

「みゆさんが装着した状態なら、幾つかのロックが外れるみたいだから……お願い出来ないかしら?」

 

「ボクは全然構いませんよ?ボクだってちゃんと艤装のこと知りたいです」

 

「なら、明日の昼食後に工厰まで来てくれないかしら?島から10km地点で諸々の性能テストをするから」

 

「わかりました」

 

 

そう言って女神さんは工厰の方へ消えていった。

 

 

「提督」

 

「ん?どうかした時雨ちゃん?」

 

 

いつの間にか後ろに時雨が居た。確か夕立ちゃん達と一緒にお風呂に向かってた筈だけど?

 

 

「提督がいつまで経っても来なかったから、見に来たんだ。皆お風呂場で待ってるよ?」

 

「わかったよ。直ぐ着替え持って行くから、先に入っちゃってて」

 

「了〜解」

 

 

そう言ってボク達は別れる。さて、部屋から着替えを持ってこなきゃ。

 

 

 

 

 

 

to be continues………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一次中間報告書

 

報告内容 草薙提督の艤装について。

 

     解析度:24%

 

解析が完了艤装名称 主砲:51センチ三連装砲二基

          副砲:12.7センチ連装砲四基

          対空砲:40ミリ連装高角砲八基

             :20ミリガトリング高角砲十二基

          その他多数の武装が存在するが、現在は解析不能

 

主機 解析不能

主機室(エンジンルーム)への入室不可能。また、缶室(ボイラー室)を発見できず。

 

推進力 四軸推進

また、船底側面に無数の小型スクリューを確認。

 

航空兵力 未知数

V字型の飛行甲板を備え、甲板前部にカタパルトらしき物を確認。

艦載機については不明。また、格納庫にて大型コンテナを発見。艦載機の物と思われる。

 

説明
第五話〜妖精島に提督が着任しました〜
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