真・恋姫無双 覇王伝 第三十一話 |
〜洛陽にて〜
洛陽の宦官たちを中心に声が上がっている
「あの者の増長、目に余るものが有ります」
「さよう 『天』を僭称するだけでも陛下に対して不敬であるというのに」
「袁術より揚州州牧を我等の許しなく譲り受けるとは」
「最早、謀反と見なしても問題無いでしょう」
「早速、洛陽に呼び出し刑罰を与えましょう」
宦官たちの話題に上がっているのは揚州の一刀達の事である
漢王朝にとって『天』とは皇帝のみ 『天の御遣い』の異名は不敬であるとの考えが有る
更に一刀が美羽から揚州州牧を譲り受けた事で宦官達は怒り狂っていた
自分達の許しも得ずに・・・と
そして一刀を洛陽に呼び出して処刑しようと考えていた
「お言葉尤もですが、一つだけ宜しいでしょうか」
宦官達に言葉を挟んだ女性 彼女の名は「李儒」と云った
〜一刀視点〜
「やはり袁紹は負けたか」
氷雨から官渡での曹操と袁紹の戦いの報告を受けての俺の第一声だった
「はい 袁紹は私達との戦いで多くの兵が逃走し、失っていました
更に『虎豹騎』によって糧道を断たれて士気も上がらなかったようです
おまけに『虎豹騎』に戦線をかき乱されそこを本隊に突かれると一方的な戦いとなりました
『虎豹騎』は、まるで我が軍の『鳳凰』の様な活躍だったようです」
曹操と闘う時には『虎豹騎』の対策が鍵となりそうだな
「次に劉備に付いての報告です
劉備は益州へ逃れ、益州を傘下に加えました
元々益州は内乱状態だったのでそこを突いたようです」
静里の報告を聞いて
「堅固な地盤を得た劉備がこれからどう動くのか」
そう考えて居た時、その人物はやって来た
「北郷一刀 漢王朝の許しも無く揚州州牧の任を譲り受けるとは謀反に等しい
直ぐに洛陽に出頭せよ」
洛陽からの使者は俺に一気に捲くし立てた それに対して
「寝言は寝てから言え」
俺は平然と言い放った
七乃を始め、皆からこの様な命が洛陽から来るのは予期していた だから俺も予定通りに応える
「貴様、勅命に逆らう気か!」
「何時まで強大な漢王朝の幻想に浸っている
もう民は漢王朝に絶望しか抱いていない
そんな王朝は滅び、新たな力に統治されるべきだ
そう、漢王朝は今こそ滅ぶべきだ!」
漢王朝への宣戦布告と云うべき言葉を俺は言い放った
洛陽からの使者を追い返した後、軍議に入る
「直ぐに南陽へ出陣するべきです」
静里が進言する
「今、小百合もとい曹操さんは袁紹から奪った領地の統治で動けません
しかしそれが終われば我等の領土に南進するか西進するかの二択です
おそらく西進して力を増幅させてから我等との戦いに挑むでしょう
兵力が互角以上にならない内には南進はあり得ませんから
その曹操さんの西進への牽制の為にも、漢王朝への圧力の為にも南陽を取るべきです」
静里の説明に鞘姉が
「でも劉表が漢王朝と連携したら厄介にならない?」
と質問した
「劉表には劉備との『二虎競食の計』を仕掛けます
劉備と劉表に互いに攻め込む機を伺っている、との偽情報を流します
諸葛亮や鳳統なら見抜くでしょうが劉表が掛かった時の事を考えれば劉表への備えが必要になります
劉表にしても同様です これで劉表の動きを封じます」
静里の案を採用する事にした
「陣営は『鳳凰』を率いる一刀さんを総大将
疾風さん、星さん、祭さん、粋怜さん、軍師として私が同行します
兵の総数は5万 出撃準備は整っています」
今回の静里は随分と手際が良いな 何かあったのか?
翌日、出陣した
そして、途中の城は戦わずにして城主が逃走 順調に南陽の要所『宛』へと進んでいた
〜建業にて〜
その頃の建業の雪蓮と冥琳の会話
「今気付いたんだけど、今回の陣営を考えたのって静里よね」
「そうだ」
「で、今回の遠征部隊の将で一刀に気が有るのって静里だけじゃない」
「そうだ」
「静里ー!ず〜る〜い〜!嵌められた〜!」
「ずるい事を考えて人を嵌めるのが軍師だ」
〜一刀視点〜
「前方5里の地点に騎馬隊が待ち構えております
数は凡そ5万 旗から西涼の馬騰と思われます」
斥候が報告する それを聞いて静里が
「洛陽にも少しは知恵が回る人物が居ましたか
しかしそれなら宛か洛陽に籠城させればいいのに・・・ 中途半端な策ですね
いずれにしろ隊列を整えます」
そう言って指示を出す
今回は騎馬隊は『鳳凰』以外にも2部隊 各千騎を率いている
「『鳳凰』を中央、右翼を星さん、左翼を疾風さんのそれぞれの騎馬隊
粋怜さんと祭さんは歩兵と弓兵の指揮をお願いします」
そして両軍がぶつかった
星、疾風の騎馬隊は西涼の騎馬隊相手にも互角に渡り合っていた
『鐙』の恩恵は予想以上に大きい
騎馬の数で負けていても歴戦の将である粋怜と祭の絶妙な補佐のおかげで数の差を補っている
『鳳凰』は騎馬の技術の差は『鐙』で補われ、個々の武力は優っているので優位を保っている
しかし、『鳳凰』は兵の補充が困難なので消耗戦は避けたい
そこで敵の大将 馬騰へ向かう
その頃星は馬騰の姪 馬岱と、疾風は馬騰の娘 馬超と
三か所での一騎討ちが行われようとしていた
「貴女が馬騰か?」
「お前が北郷一刀か」
「大人しく降伏してくれないか?」
「ふざけるな!武人ならばその武で私を降して見せろ!」
「お主の名は?」
「蒲公英の名前は馬岱だよ」
「ふむ、筋は良さそうだがまだ未熟だな
私はハズレを引いたようだな」
「むっかー、蒲公英を莫迦にするとどうなるか
その身で思い知れー!」
「貴女が馬超で間違いないかな」
「そうだ、アンタは?」
「北郷軍の高順 私怨は無いが討ち取らせてもらう」
〜あとがき〜
今回は展開が駆け足になってしまいました
一騎討ちは次回に持ち越します
南陽に関しては調べても分からない事が多いので自分の解釈とご都合主義で進めました
「何を間違った解釈してんだ この馬鹿は」と思われるかもしれませんがご容赦下さい
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
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漢王朝との決別 | ||
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コメント | ||
nao様>馬騰以外と云うか西涼以外だといませんね。劉備が多少・・と云った所です。(ZSAN) 未奈兎様>ご指摘有難うございます。李儒については西涼を呼んでおくのが考えですが、次話でちょっと補足を入れる予定です。(ZSAN) mokiti1976-2010様>宦官は「自分達こそが絶対」と思ってる連中ですから。馬騰は忠誠と思惑が有るのですがそれは次話にて。(ZSAN) 睦月様>そう言って頂けると本当に嬉しいです。(ZSAN) 漢に対して宣戦布告しましたなぁ〜馬騰以外に漢に忠誠誓ってる武将っていたっけ?^^;(nao) 雪蓮のセリフのずるいがするいになっております、さて、李儒の動きは・・・。(未奈兎) さすが宦官、全くもって現実が見えてない。馬騰はそれでも漢に対する忠誠心で動こうというのかそれとも別の意図があるのか…?(mokiti1976-2010) 鐙チート。よく恋姫で使われるネタなんですが、実は西晋時代の中国や満州にルーツがあるので三国時代には既に鐙の原型が存在していた可能性が高かったりします。その意味では、誰かが開発する訳でもなく鐙が平然と使われている描写のある蒼天航路は案外正しいのかもしれません。(h995) 一刀の使者に対する一言かっけぇ〜w(睦月) |
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