孫権伝―13
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 孫権伝第13話

 

 『拠点』

 

 

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 拠点2―雷火

 

 

 『可愛いを求めて』

 

 

 俺、北郷一刀の一日は朝の鍛錬から開始される。空が白む時に目を覚まし蓮華との鍛錬に勤しみ(ときどき思春が参加)太陽が大体の全体像を確認すると朝議に参加し(程立が最低三回ぐぅ・・・とする→雷火が叩き起こす)朝議が終わるとそのまま朝の警邏に出発(街で星、もとい華蝶仮面がほぼ騒ぎを起こす)太陽が昇りきると昼飯を食べながら報告書まとめ(輝理と雛里が補佐してくれる・・・が大体輝理が発情するので倍疲れる)午後は自身が率いる騎馬隊の調練に参加し(相手は大体秋蘭なのだが結構容赦が無い)それを終わらせてもまだ政務が残っているので報告書と共にまた事務作業(稟が此処で手が開いていて手伝ってくれるがニ分の一の確率で流血沙汰)最終的に月が大体てっぺんに登るかどうかって所で夕食を食べる(最終的に全員そろって居るのでかなり大騒ぎ)このローテーションである。

 

 ちなみに此処で出てこなかった昴と藍里だが・・・二人は俺が旅に出てる最中にいい感じになったらしく、街に居を構えている。後でお祝いでも持って行くか・・・

 

 と・に・か・く。この現状を蓮華に何処でどう伝わったか分からないが、今日明日と二連休を貰った訳で・・・

 

 一刀「とは言え、急な休みって何もすることなくなるんだよなぁ・・・」

 

 さてと・・・早朝鍛錬は最低でもこなさせてもらう事にして、それも終わり、やる事が無くなってしまった俺だった。

 

 頭の中で皆の予定を思い出してみたが、誰も非番じゃないこの現状。まだ、俺達の陣営は人材不足なのかもしれない。

 

 一刀「よし、街に行こう!」

 

 何処かで聞いた事のあるフレーズを口にしながら俺は城を後にした。街はとてもいい感じに賑わい、警邏兵と街の住人もいい関係を築けているのか、談笑している光景も見られた。

 

 一刀「うんうん。良い街になってきた。」

 

 よくよく思い返すと、俺がこの柴桑に来てからそんなに時間が経っていないと言う事が分かった。

 

 一刀「此処まで短時間に発展させられたのは一重に皆の頑張りがあったからこそだよなぁ・・・」

 

 そうしみじみ思っていると、何やら服屋の中からうなり声が聞こえて来た。しかも聞いた事のある声で・・・

 

 ??「うぅ〜〜〜〜〜〜〜・・・・うぅぅ〜〜〜〜〜〜〜ん・・・」

 

 一刀「・・・この声は雷火か??あ・・・やっぱり・・・」

 

 そこには身の丈に似合わない大人で妖艶な露出も高めな服を見てうなっていた。

 

 一刀「・・・なあ雷火、言いたくは無いが・・・それは無理がある。」

 

 雷火「か、一刀!?何故ここに居る!?此処は女性服の専門店で!・・・ま、まさか女装に目覚めたか!」

 

 一刀「そうか・・・そんなに俺の女装がみたいか。そうか、なら待って居ろ。」

 

 雷火「へ?あれ?え??」

 

 雷火の言葉に俺は御要望とあらばと奥に引っ込んで行く。ちなみに此処の女性店員とは仲が良く、度々女性服の相談をしたりする。

 

 女店長『あら?北さん。どうしたの??・・・ええ・・・ええ・・・それなら任せてちょうだい。奥の部屋使ってよ。はいこれ鬘。化粧道具もあるからね。』

 

 しばらくして俺は着替えを終わらせ雷花の前に出ていくと、しばらく雷火は目をぱちくりさせて、俺の顔、胸、腰、足、そこからまた胸を見て、自分のと見比べて・・・

 

 雷火「ど・・・どうしてこうなった!!」

 

 俺の胸(興味本位で作ったシリコンパッド)を鷲掴みしてうな垂れてしまった。

 

 一刀「ああ・・・そうだな。本当にどうしてこうなったんだろうな。」

 

 ちなみに俺の今の姿は長い黒髪とかなり厚手の生地を長袖ワンピ風に仕立て、スカート部分はひざ上15cmで黒のハイニーソを穿いている状態だ。(イメージ画としてはブラックロックシューターを想像してくれい)

 

 一刀「・・・さてと。冗談は此処までにして・・・雷火は何してたんだ?」

 

 雷火「む・・・いや・・・見た・・・通りだ。」

 

 一刀「・・・はあ、身の丈に合った服が一番いいと思うけど、やっぱり雷火はそれなりに歳の行った女性と言う事かな?」

 

 雷火「歳の事を言うな!これでも逝き遅れは自覚してる。」

 

 何やら字が違う気がするが・・・突っ込まんぞ?

 

 一刀「行き遅れだなんてそんなことないだろう。雷火はまだまだこれからだって。それより此処じゃなく布を見に行こう。」

 

 雷火「へ?ちょっ、ちょっと待て、引っ張るな!と言うかその格好で歩くのか!?か、一刀!?!?あ〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜!!!!」

 

 そのままの格好で俺は近くの生地売りの店舗に入ると、そこには東西南北ありとあらゆる生地が集められたんじゃないかと思えるほどの生地が所狭しと置かれていた。

 

 雷火「此処には何の用なんだ?私も此処は良く来るが・・・その・・・手直し用の生地しか買いに来てないぞ?」

 

 正直、雷火は子供服をうまくアレンジして現在の服に仕立てている。それも可愛い・・・可愛いんだが・・・だがまだ可愛くなれると俺は思う訳だ!

 

 一刀「好きな生地を選んでくれ。複数でもいい。それで・・・俺が雷火に似合う服を作ってやる!」

 

 雷火「・・・はぁぁぁぁ!?!?と言うか一刀は服飾が出来るのか!?」

 

 一刀「俺を甘く見てもらっては困るぞ雷火。炊事洗濯服飾建築戦闘から部隊運用、政軍両略果ては国家運営の全般まで出来ると自負している!!」

 

 雷火「そんな完璧超人なら自分で国興せ!?」

 

 一刀「とにかく・・・雷火は可愛いんだから子供服の手直し品やら身の丈に合わない女性服じゃなく、もっとに合う服があると俺は思う訳だ。」

 

 雷火「だ・・・だからそんな・・・可愛いとか・・・恥ずかしいじゃないか//////」

 

 顔を赤くして、可愛いなぁ。おっと話が逸れる。

 

 一刀「雷火、俺は俺みたいな怪しくて正直信用ならない奴を此処まで信じてくれてる皆にお礼がしたいんだ。作らせてくれないか?」

 

 雷火「・・・・・・わ、わかった。そこまで言うなら・・・これと、これと・・・これが良いなと思っていたんだが、高くて手が出なかったんだ・・・これで作ってくれないか?」

 

 一刀「お安い御用だ!元々金なんざ食事ぐらいしか使わないからな!!」

 

 アタッシュケースのおかげで鉄とか普通にタダで手に入るからな。自分の物だけはこれで足りるのだ!

 

 雷火「た、楽しみにしてるぞ。一刀。」

 

 一刀「ああ!」

 

 その後、俺と雷火はそのまま二人で城に戻った。・・・が、途中で星達に見つかり、俺の姿を大いに弄られた後、自分たちも貰えるのでしょうね?と言われ、雷火に生地を託し、何処から嗅ぎつけたか蓮華と思春も混ざり、結局全員分の生地を買い込み、翌日の休日は衣装作りに没頭する羽目になった。あれ?これって休日の話じゃなかったっけ??ま、服を貰った皆の顔がものすごく幸せそうだったからいいか。可愛かったし・・・眼福眼福。

 

 

 

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 拠点3―星、風、稟

 

 

 『セイギのカタチ』

 

 

 服飾事変(勝手に命名)の後、またも仕事に明け暮れる日々。そんな中、唐突に星が手合わせをしたいと申し出て来た。

 

 一刀「いきなりだね?どうしたの??」

 

 星「いやなに、一刀殿の実力と言う物がなかなか測り辛く、思春に聞いたが要領を得ないのでな・・・蓮華殿との鍛錬風景を見てもやはりというか・・・実力があるのに雰囲気がそう思えないのです。」

 

 一刀「あ〜〜〜。それはたぶん俺が純粋な武将としての素質を持ち合わせてないからだよ。」

 

 星「と、言うと?」

 

 なんと説明すればいいだろう。俺は一角の武将じゃない。端的に言えばただの大学生だ。武術も確かに習ったが結局小手先の技ばかりだ。だからいろんな武術を習った。それもかなりたくさん・・・

 

 一刀「ん・・・やっぱり戦おう。それなら分かってもらえると思う。」

 

 星「でしたらすぐにでも。」

 

 一刀「わか「何言ってるのですか〜?」・・・・・・そうだね、仕事だね。星すまん。風が怖い。」

 

 星「・・・そうですな。すまぬ、風、稟。」

 

 風「いえいえ〜。分かっていただけて何よりです〜。」

 

 稟「星は仕事はいいのですか?」

 

 星「今日は非番なのでな。手持無沙汰なのだよ。」

 

 それで俺の所に来るとか・・・暇すぎじゃないか?趙子龍よ・・・

 

 星「それならば昼に中庭で。よろしいかな?」

 

 一刀「ああ、それでいい。」

 

 そのまま星は部屋を後にし、俺は仕事に意識を戻した。この案件は・・・華蝶仮面の正体は?だそうだ。・・・うん、死ねばいいと思うよこんな案件出した下級文官殿。

 

 風「お兄さん、お兄さん。そんなどうでもいい案件は後回しでいいのですよ〜。」

 

 一刀「そうは言うけどな、風。これはこれで問題なんだ。」

 

 稟「はて?どこが問題なのでしょう??」

 

 一刀「華蝶仮面の正体を知らない警邏隊。特に見破っていない昴と藍里が結構躍起になってる。それで統率が乱れ始めてるんだ。」

 

 風「む〜〜〜、それは問題ですね。」

 

 これは結構問題なのだ。正体云々はどうでもいいが華蝶仮面の存在自体が警備体制の不調の原因を作ってる事は確かなのだ。

 

 一刀「人の事は言えた義理じゃないが、正義の押し付けは勘弁してほしい所だ。所詮他人の戯言だと言いたい。」

 

 稟「一刀殿は正義に否定的なのですか?」

 

 一刀「一概に否定はしない。だが、肯定もさすがに出来るものじゃない。」

 

 風「どう言う事でしょう?」

 

 これは俺の主観が入る話だが、聞いてもらうのも良いだろう。

 

 一刀「言葉は違うが、風と稟は英雄をどう思う?」

 

 風「そうですね〜。英雄とは時代を作り上げた偉人でしょうか?」

 

 稟「そうですね。民衆に語り継がれる、正しく正義でしょうか?」

 

 一刀「そうだな。だが、英雄と言うのは紐解き、蓋を開ければ、大量殺戮者でもある。直接的にしろ、間接的にしろな。正義も同じだと俺は思う。」

 

 風「なるほど〜。確かに一理ありですね〜。」

 

 稟「言いたい事は分かりますが・・・」

 

 一刀「だから正義とは個人が決めるものじゃない。正義とは、民衆が決めることだ。個人で『私は正義です!』なんて言って民衆に信じ込ませる奴は屑だと思う。個人の行いが周囲の人間にどう捉えられるか、それが正義とか英雄と言われる人間の素質と言うか資格なんだと俺は思うよ。」

 

 二人「「なるほど・・・」」

 

 一刀「と、そんな話をしてる間に俺の分の案件終わり。」

 

 稟「な!?」

 

 風「・・・ぐぅ。」

 

 一刀「風、寝るな。」

 

 風「おぉ!お兄さんの事務能力に感心しつつ、風達以上の処理能力に絶望してつい現実逃避と言う睡魔が・・・」

 

 一刀「ははは。じゃ、俺は先に早めに昼を食べて来るよ。星との“語り合い”がある事だしね・・・」

 

 稟「あ、はい。お疲れさまでした。風、さっさと終わらせるわよ。星と一刀殿の模擬戦、ちょっと興味があります。」

 

 風「了解ですよ、稟ちゃん。」

 

 そのまま俺は部屋を後にした。昼は一人寂しく酢豚を食べた。パイナップルほしい・・・邪道だと?違う・・・肉が柔らかくなるんだ!!だから悪い話じゃないんだ!!え?蜂蜜で柔らかくなるだろう・・・言うなよ。言ってて悲しくなってくるじゃないか。

 

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 昼食も早めに済ませ、腹を休ませながらゆっくり中庭に向かう俺は途中で思春にばったり会った。

 

 思春「ん?一刀か。仕事は終わったのか?」

 

 一刀「ああ、思春か。さっさと終わらせて早目の昼を終わらせた所だ。これから中庭で星と模擬戦の予定。」

 

 思春「そうか・・・遂に星とぶつかるか。」

 

 一刀「その様子だと、機会をうかがっていたんだね、星の奴。」

 

 思春「ああ、意外と時間が合わない物だからな。特にお前は仕事三昧過ぎる。」

 

 一刀「ははは、自覚してるけどね。身内がもっと出来るようになるまでは・・・ね。」

 

 思春「雛里は政略を、輝理は軍略を、藍里はどちらも・・・と言ったところか?」

 

 一刀「ああ・・・風と稟にはあまり無理はさせられない。客将だからね。」

 

 思春「そうだな・・・それでは蓮華様に報告するか。見る事も大事な鍛錬だ。」

 

 一刀「ああ、好きにさせてあげると良い。こんな短期間で形になったのは素質があったからだしね。」

 

 思春「ああ。それじゃあ頑張れ。一刀。」

 

 一刀「ああ。」

 

 そのまま俺は中庭に歩き出した。そして開けた場所には槍を持ち構えて集中していた。構えを解かず星は俺に視線を向ける。なんだろう、少しばかり怒気が含まれている気がするのは・・・

 

 一刀「待ったかい?」

 

 星「・・・いえ。」

 

 一刀「・・・なんか怒ってるようだけど。」

 

 星「そんな事はありませぬ。しかし・・・一刀殿は正義に否定的なのですな。」

 

 一刀「ああ、そうか・・・聞いてたんだね。まったく・・・盗み聞きはそう言う事になるからやめた方がいいんだけど・・・まあいいさ。正義に否定的・・・か。・・・・・・だったらどうだっていうんだ?趙子龍。」

 

 星「・・・」

 

 一刀「少なくとも星の正義の押しつけは警邏隊の行動に支障をきたしている。おっと、星じゃなかったね。あ〜〜〜たしか・・・馬鹿蝶お馬鹿面だったか?」

 

 星「(ピク)」

 

 一刀「違ったか??正義なんて耳心地のいい言葉を恥ずかしげもなく叫んで、民衆に本来出来うる行動を起こさせない。そんな奴を馬鹿と呼ばずなんと言う??」

 

 星「本来出来うる行動ですと?」

 

 一刀「なあ星。あの“正義”が現れた時、民衆がどうなってるか見たことがあるか?」

 

 星「偉大な華蝶仮面の正義を見るために集まっているのではないですか?」

 

 一刀「・・・つまり、民衆は何時賊徒に斬られるかも分からないと言う事だろう?」

 

 星「!?そ、それは・・・」

 

 一刀「なあ、星。華蝶仮面をやるのは良い。だが、それに伴って起こりうる不確定要素を考えない事は止めてくれ。」

 

 星「私は華蝶仮面では・・・」

 

 一刀「いい加減にしろ!!」

 

 星「!?」

 

 一刀「正体が分かってる奴等は分かってる!今!目の前に居る!俺が!そうだと言っている!!いい加減正体を見破っている俺を見ろ!!!」

 

 星「一刀・・・殿・・・」

 

 一刀「来い、お前の正義と武を、今回全力で・・・否定してやる。俺の((業|ごう))により高められた小手先の((業|わざ))で、お前の目を覚まさせてやる!」

 

 星「く・・・ならば覚悟してもらいましょう!!」

 

 その話が終わると同時に徐々に周囲に人が集まり始めていた。

 

 一刀「さあ、場は整った・・・星。いや、趙子龍。言葉は尽くした。後はお前の武と俺の技で“語り合おう”。」

 

 その言葉が開始の合図かのように星は一気に俺との距離を詰めて来た。と同時に俺はさらに星との距離を詰める。虚を突く。星は自分の有利な間合いまで詰めたと思っていた矢先の更なる近接戦闘。すぐに距離を置こうと下がろうとするが、元より槍が俺の手元まで来ていたのでそれを掴みちょっと力を込める。

 

 星「んな!?」

 

 グルン!

 

 俺は槍を中心に星の上下を逆さまにした。

 

 一刀「ふっ!」

 

 ド!!!

 

 星「か・・は。」

 

 ズザザ!

 

 星「い、いま・・・何を・・・」

 

 一刀「まだ行くぞ。」

 

 星が体勢を整える前に俺はさらに懐に入り込む。

 

 星「く、嘗めるな!」

 

 俺を払い除けようと槍を横に振るうが、俺はそれをしゃがみこむことで回避、その後ファイティングポーズを取る。

 

 一刀「シュシュッ!シィ!!」

 

 パンパン!!ズパァァン!!

 

 星「プォ!?バハァ!?!?」

 

 女性の悲鳴には到底聞こえない声を上げ、星はそのまま仰け反ってしまった。そこを見逃すほど俺は甘くない。

 

 一刀「ブロォォォォォォ!!!!!」

 

 ドォォォォン!!!!

 

 星「お・・・ごぁ・・・」

 

 ブロー。レバー打ち。これに堪えない人間はそうは居ない。その後足払いをした後、落した槍をあさっての方向に蹴り飛ばした俺はそのまま腕を取り、腕拉十字固を決めた。この技は本来加減が効く技だが、俺はそんな事はしない。星の肘からはギシギシ、とかビキビキと言う音が聞こえて来た。

 

 星「ぐ・・・が・・・」

 

 一刀「どうした趙子龍!その程度か!!ならば降参しろ!!でなければ・・・貴様の腕は使い物にならなくなり、二度と槍を握れんぞ!!」

 

 星「ぐ・・・があああああ!!!」

 

 星はあいた手で俺の脚を掴むとあり得ない握力で握って来たのだ。

 

 一刀「ぐぅ!?」

 

 星「あき、らめ、られぬ!!」

 

 一刀「ちぃ!」

 

 ゴ!!

 

 俺は掴まれていない足を振り上げてそのまま振り下ろした。その瞬間星の手は一瞬力を逃し、俺はそのまま脱出した。

 

 一刀「まったく・・・執拗に顔を攻めてるのに怯みすらしないな。」

 

 星「武人故に・・・譲れぬのですよ。」

 

 一刀「・・・そうかい。ならこっちもありとあらゆる手で君を否定しよう!」

 

 その後、一進一退の攻防が続いた。星はすぐに槍を拾うとそのまま連撃を繰り出し、俺はそれを前に進みながら避けて行く。接近を嫌った星はあえて近寄り蹴りや拳で俺を下がらせようとし、俺自身もその連撃に堪らず下がる事になったり、今度は俺の接近攻撃を槍の柄で受けたり、かろうじて回避に成功するも無理な体勢になり反撃に転じれない光景が続いた。

 

 星「本当に・・・貴方は武人のようで武人では無い方だ!」

 

 一刀「それは褒め言葉として受け取っておこう!弱者の強者を屠る為に培った正しく知恵の結晶が俺の技だ!!」

 

 攻防一進一退。ダメージが蓄積されて最初に片膝をついたのは俺の方だった。

 

 一刀「・・・く。」

 

 星「!?貰った!!」

 

 その瞬間を見逃す星では無い。だが、これすらも俺の計算の内だ。

 

 一刀「・・・卑怯と言うなよ?これは模擬戦とはいえ・・・戦いだ。」

 

 目つぶし。無手だからこそ出来る、石つぶてによる目つぶし。

 

 星「ぐぅ!?」

 

 一刀「ふっ!!」

 

 一瞬の隙を突き、俺は星の背後にまわり飛び付いた。両足を星の腹部に回し締めつけながら、両手は首に回し、完全に極めにかかった。首絞めはうまい人間がやれば一瞬で意識を昏倒させる事の出来る技でもあった。

 

 星「が・・・あ・・・」

 

 その星の腕が力なく垂れ下がり、槍は地面に転げ落ちた所で勝負ありとなった。

 

 一刀「はぁ・・・はぁ・・・き、きっつ・・・」

 

 倒れた星の気道を確保して、蘇生させ、俺はそのまま星の隣で大の字になって倒れてしまった。

 

 一刀「・・・もう・・・今日は仕事無理・・・休む。」

 

 その言葉はどうやら蓮華に届いたらしい。分かった、よく休め。と言う声と共に周りの人はそれぞれの仕事に戻っていった。

 

 その場で残っているのは大の字で倒れる俺と、かすかな呼吸音をさせる星、そして風と稟だった。

 

 一刀「どう・・・だった?」

 

 風「なんと言うか〜。本当にお兄さんは武人で無いのか疑いたくなりますね〜。」

 

 稟「ええ・・・これで武人らしくないとは信じられません。」

 

 一刀「ま、武人らしさってのは闘気が在るか無いかじゃないかな?俺にはそう言った素養は無かったからね。」

 

 星「・・・本当に・・・ずるいお方だ。」

 

 一刀「星・・・気付いてたか。」

 

 星「はい・・・一刀殿、貴方は何故正義に否定的なのです?」

 

 一刀「まずは訂正。正義を否定はしないよ。だけどね、それを決めるのは大衆であって俺達個人じゃない。先の大乱である黄巾の乱も内部の民衆にとっては張角達は正義だった。正義と正義がぶつかり、負けた方が悪で、勝った方が本当の正義。結局どっちに転ぶかは分からないんだよ。俺達の行動はもしかしたら何処か別の場所じゃあ悪行と取られるかもしれないだろう?」

 

 星「・・・一刀殿はそう言った顔も合わせる事の無いような者たちの顔色すら窺うのですな。」

 

 一刀「まさかそこまでは言わないよ。少なくともこれから領地にするかもしれない場所の事は考えるけどね。」

 

 星「・・・本当に・・・貴方は計り知れない方だ。」

 

 そのまま星は深い眠りに着いた。どうやら、俺も、限界らしい・・・

 

 一刀「風・・・稟・・・出来れば・・・毛布辺り・・・を・・・持って来て・・・すぅ・・・」

 

 そのまま俺の意識は闇に呑まれていった。

 

 

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 帯裏四コマ

 

 

 先の一刀お兄ちゃん騒動の数日後、東屋で休憩中の一刀は、ふと華琳はお姉ちゃんとか呼ばれた事があるのか気になって聞いてみた。

 

 華琳「まずは華侖ね。あの子私の事華琳様って呼ぶけど、昔は春蘭達みたいに華琳姉ぇって呼んでくれていたのよ?」

 

 一刀「へぇ。それは聞いてみたかったな。」

 

 それを想像しちょっとにやけてしまう一刀だった。

 

 

 二コマ目

 

 

 そんな話の中、華琳はふとこんな事を言いだした。

 

 華琳「季衣や流琉、香風もそうだけど・・・小さい子に私もお姉ちゃんと呼ばれたいわ。本当に一刀が羨ましい。」

 

 一刀「それなら呼ばせればいいじゃないか。俺だってお願いして呼んでもらったりしてるぞ?」

 

 そう言われても華琳はそ「立場上出来る訳無いじゃない」と一蹴してしまった。

 

 

 三コマ目

 

 

 ふと、何を思ったか華琳はいい事思い付いたと言う顔でこんな事を言いだした。

 

 華琳「・・・一刀辺りにも呼ばせてみたい気もするわね。」

 

 一刀「勘弁してくれよ。・・・さ、仕事に戻ろう。」

 

 いきなりそんな事を言われた一刀はまったく・・・と言う顔をしながら理を入れた。こうして華琳とのお茶会は終わりを告げた。

 

 

 四コマ目

 

 

 執務室

 

 一刀「・・・なあ、華琳。」←椅子に座ってる。

 

 華琳「何?」←立ってる。

 

 一刀「・・・(上目使いで)華琳・・・姉さん。こ、これでいいか!?//////」

 

 華琳「・・・・・・・・・」

 

 

 その後数日、華琳が引きこもり、一刀に仕事が全部回ってきた。

 

説明
さて、続けて拠点です。

今回は雷火、星、風、稟です(風と稟に関しては微妙)

では本編どうぞ。
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コメント
聖龍さん<一刀「見てはいけないものを見てしまったな。(二つの意味で)ま、後者は自業自得か。」(ユウヤ)
未奈兎さん<一刀(9)「お母さ〜ん」トテトテ  華琳「じゅるり」  夏候姉妹「「誰か華琳さまを止めろ!さすがにあれは不味い!」」(ユウヤ)
;-) チラ……まさか華林様が、床をロードローラ中(凹凸無いし……)!?………!Σ(×_×;)!、グハ(聖龍)
華琳wwwwwどこぞの母親華琳様か!(未奈兎)
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