女神異聞録〜恋姫伝〜 第五十三話
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                 女神異聞録〜恋姫伝〜

 

                   第五十三話

 

                  「崩壊への足音」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ぽつりぽつりと雨が降り始める中、一刀達は次の門、東へと向かっていた。

 

足を速め雨が本格的に振り始める前に辿り着こうとしているのだろう、急いている様子が

 

伺えた。

 

急ぐ理由はある事が起きてしまう為。

 

そして起きる事象を止める手段は無い。

 

出来ることといえばそれが起きる前に行える出来事を行ってしまう事と起きる事への対処。

 

前者は今行っている門の開放。

 

後者はロッポンギにて思春に頼んでいる。

 

ただ、その急ぐ様に不満をもっている人物もいた。

 

「一刀は………仲間が死んだのに悲しまないのね………」

 

駆け足で追いついていく中、蓮華がぽつりと洩らした言葉を確りと聞いていたものがいた。

 

「蓮華!」

 

パーンと音高く頬を平手で張る音が皆の足を止めさせる。

 

「ね、ねえさん?」

 

なぜ叩かれたのかわからないと、唖然とした表情で蓮華は雪蓮を見た。

 

雪蓮の目には怒りが灯っていた。

 

「涙を見せる事が哀しむ事なの?哀しみで足を止めろというの?そんなことを守ったあの

 

子たちが望んでいるとでも思っているの!?」

 

言葉で止まるのなら、あんな呟きは洩れない。

 

言葉で止まるのなら、憤りという感情は生まれない。

 

「それでも!何も思わないだなんて!まるで心が凍っているようにしか思えないわ!」

 

唖然とした表情から一転して噛み付くように吼える。

 

「一刀が、一刀でなくなったみたいに見えるのよ!」

 

俯き、肩を振るわせ更に言葉を続ける。

 

「元の一刀に戻ってよぅ………及川君と一緒に馬鹿やって笑ってた頃の一刀に戻ってよ…

 

……もうやだぁ。皆で笑ってたあの頃に帰してよ………」

 

童女のように膝を折り、掌で顔を覆って泣いていた。

 

しばらく嗚咽の声が場を支配したかと思うとふらりと蓮華は立ち上がる。

 

「帰る………もうおうちに帰るの………」

 

ふらふらとした足取りでとぼとぼとどこかに向かって歩いていく。

 

そんな蓮華を見て、雪蓮と桃香が一刀に声をかける。

 

「「一刀………」」

 

「すまないけど、蓮華を頼めるか?」

 

声をかけられ二人に任せようとした一刀だったが、次の瞬間に鳴り響いたのはすぱーんと

 

一刀の頭を叩く音だった。

 

「男がなに女々しいこと言うてんねん!お前さんが追いかけんかい!!」

 

いつの間に近づいてきていたのかドリルを持った軽装というには軽装過ぎる恰好をした女

 

の子が背後に立っていた。

 

腰には厚みと幅のあるベルトが二重に巻かれており工具が繋がっていた、それ以外はビキ

 

ニにホットパンツ、何故かベルトに繋がったストッキング、首から下がったゴーグルとよく

 

わからない恰好をしていた。

 

「ほんに思春さんから言付け頼まれてきたっちゅうのに………変な場面に出くわしてもう

 

たで。ほら、お前さんもあの姉ちゃん追いかけえな」

 

頭を叩くのに使ったであろうハリセンを腰の後ろにしまったかと思えば見えなくなった。

 

「そうか。言付けはまた後で聞くとして………俺で大丈夫なのか、そっちの方が心配だな」

 

「隊長なら大丈夫です」

 

更にその少女の後ろから姿を見せたのは灰髪を三つ編にして延ばし、手には手甲をつけた

 

子だった。

 

「なんで隊長なのです?」

 

ねねが少女の言っていた言葉に疑問をはさみ新たに現れた少女に話しかける。

 

「ロッポンギ遠征討伐部隊隊長ですので、隊長と呼んでいます」

 

「一体いつの間に一刀は隊長になったのですかー!?」

 

そんな会話を尻目に一刀は蓮華を追いかけるように他のメンバーから追いやられていく。

 

「なんで蓮華ちゃんの言葉にあんなにも一刀が出てきたと思ってるの?ほらほら速く追い

 

かけてあげなきゃ」

 

「そうよ、妹を抱きしめて励ましてあげるのよ」

 

「お、おう………」

 

「うむ、乙女心は察してあげるべきじゃろう。真正面から言うのは思いのほか勇気がいるの

 

じゃぞ」

 

「まったく。一刀殿は朴念仁でござるな………これだけ好かれているというのにそれに気

 

付きもしないとは」

 

「むぅ………」

 

追わなければ弄ると女性陣が語る中、一刀は他の人の方が慰められるのではないかと思い

 

ながらも蓮華を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 蓮華の足取りは遅く、すぐに一刀は追いついた。

 

「蓮華」

 

声をかければ振り返る。

 

その顔は涙に濡れていて、何かを言いたそうだった。

 

「………」

 

「ごめんな」

 

謝りながら、寂しそうに苦笑いをする。

 

「戻ろうにも戻れないんだ………もう何が楽しかったのか、嬉しいという感情が解らなく

 

なっている。悲しみよりも怒りしか涌かない………」

 

人を辞めた。

 

誰が最初にそういったのか。

 

蓮華はその言葉を聞いて絶句する。

 

「(モドレナイ?どこに)」

 

聞いた言葉が頭の中に反響する。

 

「(ワカラナイ?なにが)」

 

言葉は頭に入ってくるのに意味を理解できなかった。

 

理解したくなかった。

 

「(シカワカナイ?涌く?)」

 

瞳が恐怖に震える。

 

一刀が口を開く。

 

更に続く絶望が言葉に成って耳に届くのか。

 

「アクマを恐れなくなったのは………多分最初なんだろうな。それからは次々と何かを失

 

っているんだろう」

 

昔には戻れない。

 

感情がわからない。

 

これまでも失ったのにまだ何かを失うのだと。

 

人としての大切なものこそ失われていく。

 

「一刀は………それで、いいの?」

 

感情のままに疑問に思ってしまった言葉が口から出てしまった。

 

出してはいけない言葉。

 

聞いてはいけない意味。

 

知ってはいけない決意。

 

「あぁ、それでかまわない」

 

「ダメよ!!」

 

それを必死に否定する。

 

「そんなのダメよ!!みんな一刀に笑ってほしい。喜んでほしい。生きていてほしい。そう

 

思っているんだから!!」

 

何を最期に失うのか。

 

何を奪われるのか。

 

「なら、私が生きてみせる!!貴方の隣で!!取り戻させて見せる!!」

 

この時、私は彼がナニに挑み、ナニを求めているのか理解していなかった。

 

ただ私は、思っていた。

 

いつかきっと………互いに心から笑い合える時が来ると思っていた。

 

「ありがとう」

 

そう言って私の髪を撫でる手は見ていたよりも大きくて、暖かかった。

 

本当はもう体温もまともにないのに。

 

その厚意にまた涙が零れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 蓮華を元気付けて一刀はまたみんなの元に戻ってきた。

 

新たに来た彼女たちに現状を聞かなければならない。

 

どこまで進んでいるのか、もうすでに決して小雨とは呼べないほどの雨が降り始めている

 

のだ………時間は例え一秒といえども惜しい。

 

まだしなければならないことがあるのだから。

 

「頼んだものは?」

 

「ふっふ〜ん。うちらになにいうてるんや。もちのろんで完成させたったわ」

 

「強度に不安は残りますが、明命様、思春様共々仮の拠点としては及第点をいただきました」

 

二人は胸を張って応えた。

 

かなり無理を言った注文だったが、ロッポンギの皆は応えてくれた。

 

「わかった………雨脚も強くなってきた乗り遅れのないようにしてくれ」

 

これから起こることを想像して、他の皆に声をかける。

 

「蓮華、ねね、雪蓮、桃香、祭、星、恋、凛、美羽、七乃」

 

かけられた全員がごくりと唾を飲む。

 

「ラムに乗って全員ロッポンギにもどれ」

 

「「いや」なのです」

 

「「断る」わ」

 

「「だめです」」

 

「「なぜ?」じゃ」

 

「わかったのじゃ」

 

「わたしはお嬢様についていきますよ〜」

 

六人は断り、他の二人は訳を聞いてきた。

 

「無意味に死なせるわけには行かない。ラム、お前は過去を払拭しろ」

 

「ふん。今度は空でも駆けて見せようか」

 

「あぁ、やって見せてくれ」

 

「ふふん、わらわがその時は力を貸してやろう」

 

これから起きる事を何人かは知っている。

 

もしくは敵の手の内でも読んだというのか。

 

知って断ったと確信できるものは居る。

 

だが、知って承諾したか、知らずとも信じ承諾したか、それは判断が付き辛かった。

 

「してなぜですかな?」

 

「なんじゃそんなことも解らんのか」

 

美羽がふんぞり返って星を小ばかにした態度を取る。

 

「雨が降っておるのぅ?随分と久方ぶりの雨な筈じゃ………のぅ?何処の誰ぞが降らせて

 

おるのかの」

 

「まさか………」

 

「むぅ………なるほど、それでわしらに守れというわけじゃな」

 

祭は弓の弦を指で弄び、不敵に笑う。

 

「凛、お前の智謀また頼ることになりそうだ」

 

祭の笑みを見て星もまた笑う。

 

「えぇ、私たちも名もまだ捨てたものじゃないでしょう」

 

凛の眼鏡がきらりと光を反射する。

 

「蓮華、ねねちゃん。あんたたちは行きなさい」

 

「「え?」」

 

不意にかけられた声に発した人を見た。

 

雪蓮が微笑んでみていた。

 

「それじゃ、一刀………大聖堂でまた会いましょう」

 

「恋ちゃんはどうするの?」

 

「ご主人様と一緒………」

 

いつの間にか裾を握られていた。

 

「むぅ」

 

「ぐぬぬ………いや、しかし、ぬぬぬ」

 

なぜか三人から睨まれることになった。

 

「はぁ、仕方が無い………空は、メタトロン、コウリュウ、タイセイ、頼んだぞ」

 

「承知」

 

「合点」

 

「わかりました、が………」

 

一様にして頷き、同意したがメタトロンだけが意見を一つ述べた。

 

「わたしなら止められるかもしれません。タワーに行かせていただいてもよろしいです

 

か?」

 

その言葉に一刀はメタトロンを見る。

 

「止められるのか?」

 

「わかりません。ですが止められるかも知れない………ただそれだけが事実です」

 

天使のヒエラルキーというものを失念していた。

 

正確にはその階級のあるべき場所というものだが。

 

派生した宗教からの階位で、どうにかなるのか………ゆえにメタトロンはわからないと言

 

ったのだろう。

 

「わかった。そっちは任せる………無理はしないでくれよ」

 

「それこそ承知していますよ。まだまだアリスには見せたい光景と言うものがありますか

 

ら」

 

一つに集まっていた群れは三方に散り、それぞれのすべきことをする為にその地を離れた。

 

雨足は強く、海に注ぎ込まれる。

 

大聖堂は完成し、今天使による選別が始まろうとしていた。

 

全てを天からの恵み、雨による海の底へと沈めるという大虐殺が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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詠「詠と」

月「月の」

詠&月&へ「「「あとがきコーナー」」」

詠「今回はまともな期間に投稿ね」

へ「疲れた………」

月「(そっとお茶を出す)」

詠「やっと最終章に行きそうね(月が出したお茶を飲みながら)」

へ「俺のじゃなかった………」

月「シフトの増加お疲れ様です」

へ「しかしこっから先も難しい………」

詠「大洪水で大体世界人口の万分の一くらいになるんだったかしら?」

へ「約億分の一じゃないかな」

月「大虐殺どころじゃないですね………」

へ「陸地の何%が残った?て感じだからね」

詠「山に逃げれば………そうね。確かに生き残ってられるかどうかわからないわよね」

へ「遭難、孤立、放置、危険生物跋扈に逃げ場無し………サバイバルってものじゃないね」

月「へぅ………これは普通にやりすぎなんじゃないでしょうか………」

詠「黙示録でも七つのラッパでかなり死んじゃうし仕方ないんじゃないかしら」

月「七つのラッパ………やっぱりあの人たちが出てくるんでしょうか」

へ「俺はこれを投稿したら寝る。うん、とりあえず寝る」

詠「そう、お疲れ様」

月「疲れは残しちゃダメですよ」

へ「二年目突入する前に終わるといいなぁ」

詠「終わっても第一部が終わるだけだけどね」

月「次は第二部ですね」

へ「あぁ………終わりが見えない………涙で目が霞むよ」

詠「蝶禅でも出して漢気補充したら?」

月「卑弥呼さんでもいいかもしれないですね」

へ「うん、そうだな、そうしようか」

詠「(あ、これ相当ダメだわ)」

月「(随分と疲れたんですね)」

へ「うん、二人を出してルドラサウムに特攻させよう、そうしよう」

詠&月「「作者が壊れ気味なのでこれで〆ちゃいます」」

へ「アハハハハハハハハハハハハハハh………」

詠&月「「ではお休みの間アクマに身体を乗っ取られませんようお気をつけて」」

詠&月「「また次回お会いしましょう」」

 

説明
真・女神転生世界に恋姫無双の北郷一刀君を放り込んでみたお話
人の命はとっても安い、そんな世界
グロや微エロは唐突に生えてくるもの
苦手な人は注意されたし
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真・恋姫無双 真・恋姫†無双 恋姫 真・女神転生 恋姫無双 恋姫†無双 

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