Constancy #02 |
説明 | ||
■決して変わらないもの、それを物理学者は自然定数と呼ぶ。光速cやニュートンの重力定数Gなどの定数は、宇宙のいたるところで常に同じ値をとるとされている。物理学の理論は定数をもとに構築され、私達の宇宙の構造は定数を用いて定義されている。 ■しかし驚くべきことに、いかなる定数の予測も証明も、いまだに成功したためしがない。なぜ定数が特定の数値をとるのかはわからない。SI単位(国際単位)では、cは299792458、Gは6.673×10のマイナス11乗などだ。こうした数字には何の規則性も認められない。 ■定数を説明しようという試みは、自然を完璧に統一的に記述する「万物の理論(究極理論)」を構築しようとする取り組みを後押しする力となってきた。物理学者は究極理論を用いれば、それぞれの自然定数が特定の値をとる理由を論理的に示せるだろうと期待してきた。究極理論が一見気まぐれな世界の根底にある秩序を明らかにするだろうというのだ。 ■究極理論の最有力候補は、ひも理論から派生した「M理論」と呼ばれる理論だ。M理論が矛盾なく成立するには、時空の四次元に加えて、宇宙にさらに7つの次元が存在しなければならない。ここから推測できるのは、私達が認識している定数は、実は根本的な定数ではないかもしれないということだ。本当の自然定数はすべての次元をそなえた高次元空間にあって、私たちはその三次元の「影」を見ているにすぎない。 ■一方で物理学者は、多くの定数は初期宇宙の偶発的な出来事や素粒子の生成過程を経て、単なる偶然の結果として今の値をとったにすぎないのではないかと考えるようになった。実際、ひも理論によれば、自己矛盾しない法則と定数の組み合わせをそなえた、10の500乗もの「世界」が成立しうる。 ■私達の宇宙で、なぜ現在の組み合わせが選ばれたのかは誰も説明できない。(前書きより引用) 借用文原題名:Inconstant Constans [SCIENTIFIC AMERICAN June 2005] 著者:John D. Barrow/John K. Webb |
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